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2021年01月24日

人口の1/3が死んだ「黒死病」はいかに社会を変えたか【感染症、歴史の教訓】

労働力不足で社会は崩壊、それでも恐ろしい疫病に「恩恵」はあった


またたく間に世界を大きく変えてしまった新型コロナウイルス感染症。
わたしたちの暮らしや社会が今後どうなるのか心配な人は多いだろう。


猛スピードで広がり、膨大な死者をもたらした恐るべき疫病


ネズミのせいではなかった? 現代より
はるかに速く拡大した理由とは

ペスト菌はネズミによって拡散されたと
長い間信じられてきた。新型コロナで
話題になったカミュの小説『ペスト』でも、
冒頭からネズミがこれからやってくる災いを
象徴するように描かれている。
だが、犯人は別にいたようだという
研究結果が科学誌
「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に
2018年に発表されている。
論文によると、「犯人」はネズミでは
なく人間だ。実は、ペスト菌を直接媒介
するのはノミやシラミだ。
それをネズミや人間が運ぶことで病気は速く広がる。
 19世紀後半から現在まで続いている
腺ペストの流行では、ネズミやその他の
げっ歯類がそのノミを運ぶせいで菌を
拡散させていることがすでにわかっていた。
加えて、中世のペスト犠牲者の遺伝子を
調べた研究結果から、多くの専門家が
中世の世界流行もネズミによって
もたらされたと考えていた。
しかし、黒死病が広がった経路は別だったと
主張する歴史家もいた。根拠のひとつは、
新型コロナ感染症を除き、黒死病が
現代のどの伝染病よりもはるかに速く
欧州に広がったことだ。
また、現代のアウトブレイク(大流行)の
前には、ネズミの大量死がしばしば
確認されているが、中世で同様に
ネズミが大量死したという記録は
残されていない。
ならば、黒死病はいかにして広がったのか。
以前から、ノミやシラミを運んだのは
ネズミではなくヒトだったと考える
学者はいた。感染した人間から血を
吸ったノミやシラミがペスト菌も
一緒に吸い取り、すぐ近くにいる別の人間に
飛び移れば、その人間も感染する。
そこで、論文の著者で、
ノルウェー国立獣医学研究所に
所属するキャサリン・ディーン氏のチームは、
ネズミとヒトの場合のそれぞれに
おける感染拡大モデルを作成し、
統計的に評価した。すると意外なことに、
調査対象とした9都市の7つで、
ヒトのモデルの方が死亡の記録と
一致したのだ。  
ただし、ディーン氏らはさらに多くの
実験データを集めて、モデルを改善する
余地があるとしている。
また、この研究が疫病研究者の間で
論争を呼ぶだろうということも認めている。
「ペストに関しては、たくさん
の論争があります」というが、ディーン氏らは、
自分たちは客観的な立場にいるとしている。

人口が減り各地で社会が崩壊、だがそのおかげで……

犯人がいずれにせよ、交易路を介して、
最初に感染が広まったのは大きな商業都市だった。
そこから近隣の町や村へと放散し、
さらに田舎へと広がった。
中世の主な巡礼路も黒死病を運び、
各地の聖地は、地域内、国内、国家間の
伝染の中心地になった。  
ペスト菌が人々の家庭に忍び込むと、
16〜23日後になってようやく発症し、
その3〜5日後には患者が死亡する。
コミュニティーが危険に気づくのは
さらに1週間後で、その頃にはもう手遅れだ。
ペスト菌は患者のリンパ節に移行し、
腫れ上がらせる。
患者は嘔吐し、頭痛に苦しみ、高熱に
よりガタガタと震え、せん妄状態になる。  
当時の町では「すぐに逃げろ、急いで
遠くに行け、戻るのはあとにするほど
よい」と言われていた。
この助言にしたがって避難する余裕ある
人々の多くが田舎に逃げたため、
悲惨な結果になった。避難した人々も
すでに感染していたり、感染者と一緒に
旅をしたりしたため、自分たちが
助からなかったばかりか、それまで
感染者がいなかった遠隔地の村に
病気を持ち込むことになってし
まったのだ。  黒死病の犠牲者は
膨大な数に上ったと推定されているが、
具体的な数字については論争がある。
パンデミック前のヨーロッパの
人口は約7500万人だったが、
1347年から1351年までの間に激減
して5000万人になったと見積もられている。
死亡率はもっと高かったと見る研究者もいる。
 
人口が激減したのは、黒死病に罹患した人々が
死亡しただけでなく、畑や家畜や家族の
世話をする人がいなくなり、広い範囲で
社会が崩壊したからだった。
中世のパンデミックが終わったあとも
小規模な流行は続き、ヨーロッパの人口は
なかなか回復しなかった。
ようやく人口増加が軌道にのってきたのは
16世紀頃だ。  
大災害の影響は生活のあらゆる領域に及んだ。
パンデミック後の数十年間は労働力不足に
より賃金が高騰した。かつての肥沃な農地の
多くが牧場になり、丸ごと打ち捨てられる村もあった。
 英国だけで1000近い村が消えた。

とはいえ、悪い面ばかりではなかった。
地方から都市に向かって大規模な
移住が起きたため、都市は比較的速やかに
回復し、商業は活気を取り戻した。
田舎に残った農民は遊休地を手に入れ、
土地を持つ農民の権力が増し、
農村経済が活性化した。  
実際、歴史学者たちは、黒死病から
新しい機会や創造性や富が生まれ、
そこからルネサンスの芸術や文化や
概念が開花し、近代ヨーロッパが
始まったと主張している。

ひるがえって、いまの新型コロナウイルス
感染症のパンデミックによって、
何か新しい価値や社会が生まれるのだろうか。
災いを福に転じられるかどうかは、
これからを生きるわたしたちにかかっている。








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2020年12月21日

予防接種を受けさせないスイスの親たち

 

SWSSINFO 2019/04/03

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スイスでは自分の子供に意図的に予防接種を受けさせない親がいる。だがこういった姿勢は、感染症根絶の妨げにもなっている。なぜ予防接種を拒むのだろう?

2月の初頭、スイスのシュタイナー学校で生徒が麻しん(はしか)に感染した。感染の広がりを防ぐため、当局はワクチン接種をしていない子供60人を自宅待機させた。シュタイナー学校がはしか流行の温床となったのは今回が初めてではない。連邦内務省保健局(BAG/OFSP)の広報担当は、シュタイナー学校ではしかの感染が頻発するのは偶然ではないとスイスのメディアに述べている。シュタイナー学校は、ヴァルドルフ教育に基づき授業を行う。その思想の提唱者で創立者のルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)は予防接種を疑問視していた。

病気を成長のチャンスと見る。
はしかの予防接種を受けていない子供がなぜシュタイナー学校に多いのか、アントロポゾフィー医学(人智学医学)の立場から診療を行う医師に聞いた。アーレスハイム医療人類学クリニックで小児科および青年期医学を担当するベルンハルト・ヴィングアイヤーさんは、人智学医学では人間を単なる生物学的実体ではなく、それより広い意味で捉えているという。
この人間像は、人智学医学における病気の理解にも影響を与えている。「我々は人間の自己治癒力を信じ、それらを活性化する方法も心得ている」とヴィングアイヤーさんは説明する。「人智学医学において、病気は除外すべき悪ではなく、特に子供たちにとっては成長のチャンスだと理解している」

人智学医学に携わる医師は、「真の予防接種の反対派」(このグループについては後で言及する)とは異なり、すべての予防接種を拒否している訳ではない。ちなみにヴィングアイヤーさんは、破傷風の予防接種は必ず受けるよう推奨している。その他の子供がかかりやすい感染症に関しては、親に個別にアドバイスするという。「人智学医学では個々の特徴を知ることを重要視している」

個人主義が伝染病根絶の妨げに
この個人主義的な人智学医学のアプローチは、スイスでは広く一般に支持されている。「予防接種の必要性について質問をしたり、医師や当局といった専門家の推奨を疑問視したりするのは、現代医療や個別化医療の特徴でもある」とフィリップ・タール共同院長は言う。バーゼル・ラント準州の州立病院でスイス全国を対象にした研究プロジェクト「予防接種を疑問視するスイスの親と医師」を率いる。
問題は、このような個別化医療が、はしかなどの感染もう一つの問題は、予防接種をしていない人が、赤ちゃんや妊婦など、予防接種を受けられない人や予防接種が効かない人を感染の危険にさらすことだ。スイスでは2018年、過去に予防接種を受けていた男性がはしかで死亡した。化学療法で免疫システムが機能しなくなっていたのが原因だった。つまり個人主義は社会の連帯性とも衝突するということだ。

誰が予防接種を拒むのか、そしてその理由は?

では一体、どこの誰が自分の子供に予防接種を受けさせないのか、その理由は何かという疑問が生じる。ドイツでは、富裕層の多い地域で特に接種率が低いという研究結果が出ている。

スイスでも同様のことが観察されている。また、「高学歴の親に予防接種を拒む傾向があることも分かっている」と連邦内務省保健局のマーク・ヴィッチ予防接種推薦部門長は言う。予防接種の拒否は、国の豊かさを象徴する現象なのかもしれない。とりわけ秘儀の崇拝者や、代替医療や自然主義を支持する人々の間で(部分的に)予防接種を拒否する傾向が広がっている。

もっとも、予防接種を完全に拒否する人はスイス人口のわずか1〜3%に過ぎない。反対派は、製薬業界と予防接種の副作用について警告する。「国民は予防接種に対してさまざまな懸念を抱いている。ワクチンやワクチン添加物の安全性、そして『自然に任せた』生き方の方が良いという考え方もある。つまり自然に病気にかかって獲得した免疫の方が予防接種で植え付けた免疫より優れているという見方だ」(タール院長)

ワクチンの接種率は州によって大きく異なる。一つには、予防接種に対する市民の考え方が違うことがある。保守的なドイツ語圏のスイス人は、フランス語圏やイタリア語圏と比べて予防接種を懐疑的に見る傾向にある。もう一つには、学校で予防接種を行っている州は、そうでない州と比べて接種率が高い。症の根絶を目指す世界保健機関(WHO)の活動を妨げてしまう点だ。WHOは、予防接種の反対派は世界的脅威になりつつあると警鐘を鳴らす。


コメントです。
欧米でいよいよコロナワクチンの
接種が開始されました。
ワクチン接種にあたって、
以前から懸念されていた
ワクチン拒否論者に
どう対応するかを
議論する必要があります。
人権か、それとも協調か。
もともと、人権を強く主張する
人たちはその一面でしか
物事を見ようとしません。

時事状況が平成であれば
いろんな意見を交わしあうのも
いいでしょう。
ですが、現在のコロナ下は
有事です。
その状況下、強硬派によって
主張ばかりされても社会生活が
成り立ちません。

それに加えて、きちんとした
知識も持たず、自己の現状に
不満をもっているため
これを機会に無責任な
発言をする輩の存在も
頭が痛い問題です。
コロナ収束活動に
おいても、スポーツ観戦で
発生するフーリガン対策が
必要です。
むしろ、ワクチンや治療薬の
開発よりやっかいかもしれません。


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2020年12月12日

コロナワクチン調査 現役医師の38.8%が「打ちたくない」

NEWS ポストセブン  

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依然として猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。世界中で予防のための「ワクチン」の承認が相次いでいる。

 米国では製薬大手ファイザーと同モデルナの2社がFDA(米食品医薬品局)に緊急使用許可を申請、早ければ12月10日以降に供給が始まる見込みだ。英国ではファイザー社製ワクチンの緊急承認を決め、一足早く接種が始められるという。

 両社のワクチンについては日本政府も確保と供給を明言しており、モデルナ社製は来年6月末までに2000万人分が、ファイザー社製は6000万人分が供給される見通しだ。

 ワクチンの実用化が迫る中、医療関係者用の会員制サイト「ケアネット」で、ワクチンに関する医師1000人アンケートが実施された(10月)。

 これは30代以上の勤務医、開業医を対象に、新型コロナワクチンの接種希望の有無や懸念する点などを聞いたもので、本誌・週刊ポストは医療関係者の協力を得てその結果を入手した。

「どこの国が開発したワクチンを希望するか(複数回答可)」の設問に対し、アンジェス(大阪大学発のバイオベンチャー)などが開発を進める「日本」と答えた医師が396人で1位。アストラゼネカやGSKを擁する「英国」は2位(231人)、前述のファイザーやモデルナを擁する米国は3位(222人)だった。

 一方、同アンケートでは前提として「ワクチンが日本で接種可能になった場合、接種したいと思うか」の問いに全体の38.8%(398人)が「接種したくない」と回答している。

 ワクチンの接種を希望しない理由として最も多かったのは「安全性などのエビデンス不足」だ。

 間もなく接種が始まる米国製、英国製ワクチンの有効性や安全性はどうなのか。

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安全性第一の国民性

11月に入り相次いで「有効率90%超」と発表された米国のファイザーやモデルナのワクチンはいずれも移送・保存には超低温での温度管理が必要とされる(ファイザーは零下60〜同80℃、モデルナは同20℃で最大半年保存できる)。

 それに対し英・アストラゼネカのワクチンの有効率は平均70%に留まるが、通常の冷蔵設備で約半年は保存できるため、途上国などでも扱いやすい汎用性が利点になると目されている。

 ただし、有効率として示される「90%超」や「70%」という数字には注意が必要だ。ワクチンメーカーで勤務経験がある大阪健康安全基盤研究所の奥野良信理事長(ウイルス学)が解説する。

「ワクチンを接種しなかった人の発症率を1とした時に、ワクチン接種によってどれくらい発症率が下がるかを推定したのが有効率です。『95%の有効率』という場合、100人いたら95人が発症しないという意味ではない。

 例えば、ワクチン非接種者と接種者それぞれ1000人をサンプルとした場合、非接種者の100人が感染し、接種者の5人が感染すれば有効率は95%になる。100人と5人という感染者の数を比較して、“ワクチン接種で感染リスクをどれだけ減らせたか”を表わす数字なのです」

 この場合、ワクチンを接種していなくても、もともと9割の人が感染していない。それでも有効率は95%となる。

 また、世界初の国家承認として話題になったロシアの「スプートニクV」や中国製ワクチンは希望者が“ほぼゼロ”だった。関西福祉大学教授(渡航医学)の勝田吉彰氏が解説する。

「欧米や日本、韓国では同じルールの下で臨床試験を行なうが、ロシアのワクチンは適正な治験をやっていない」

 一方、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師が語る。

「正直、私はどれも打ちたくありませんし、家族にも打たせたくありません。臨床データが不足していて、副反応で人体に何が起こるか全くわからないからです。

 本格的な研究が始まってようやく半年経ったばかり。インフルエンザのように5年、10年と時間をかけて接種後をフォローするのが本来のワクチン開発なのに、そういう議論がなされないまま議論が突き進んでいる」

 前述の通り、アンケートではまだ治験段階のアンジェスなど日本製が「医師が接種したいワクチン」1位となった。その理由について、奥野氏はこう推測する。

「従来、日本のワクチンは海外製に比べて副反応のリスクが圧倒的に少ない。欧米は多少の副反応が出ても許容され、それより有効率の高さを求める意識がある。安全性を第一に求める日本人医師の志向の現われではないか」

 この結果について医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師の見方は厳しい。

「数万人単位の臨床試験を実施する欧米のワクチン開発と比べて、日本では数百人単位の臨床試験しかやってきませんでした。ノウハウがなく、信頼されていません。日本製ワクチンを使いたい医師がいるのは世界で日本だけでしょう。現段階ではどのワクチンも安全性のデータがあるとは言えず、横一線の印象です」

 治療現場の実態を知り、最新研究への知見を深めることが、いざ自分が罹患した時の備えになる。


※週刊ポスト2020年12月18日号

コメントです
コロナワクチンについて
医療現場からの声です。
もちろん、未知のウィルスに
未知のワクチン。
どの答えがベストなのか
誰にもわかりません。
現状ではより多くの
資料を検討していく
しかないですね。






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2020年12月08日

新型コロナウイルス感染症回復者のほとんどが、6か月後も 抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることが明らかに

 



新型コロナウイルス感染症回復者のほとんどが、6か月後も 抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることが明らかに



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1 新型コロナウイルス感染症回復者のほとんどが、6 か月後も 抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることが明らかに 新型コロナウイルス感染 6 か月後における 抗ウイルス抗体保有および中和抗体保有調査に関する中間報告 横浜市立大学学術院医学群 山中 竹春 教授、梁 明秀 教授、後藤 温 教授らの研究グループは、新 型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)に罹患した方を対象に、感染後 6 か月および 12 か月時点の抗ウイルス抗体および中和抗体を測定する研究を実施しています。今回、中間結果を報 告します。 研究の結果 「新型コロナウイルス感染症回復者専用抗体検査 PROJECT*1」において、感染から 6 か月が経過 した回復者を対象に参加を募ったところ、本年 7 月 29 日〜9 月 30 日の約 2 か月で 619 名もの方から 参加希望がありました。そのうち、10 月 26 日までに採血して検体測定を完了した 376 例のデータを 解析した結果、ほとんどの COVID-19 回復者が、(1)抗ウイルス抗体を保有し、かつ(2)中和抗体 を保有していることが判明しました。数ある抗体の中で、中和抗体はウイルスの細胞への侵入を阻害 する役割をもち、再感染を防ぐ抗体を指します。なお、中等症・重症の方が、軽症に比べて、中和抗 体の活性がより強い傾向にあるという結果も得られました。 本研究の結果は、COVID-19 回復者の一定期間後の追跡調査として国内初かつ最大規模の回復者デ ータに基づいて得られたものです。SARS-CoV-2 に対する抗体検査について、その意義に関する知見 がいまだ十分ではないなか、本研究で得られた結果は、今後の地域抗体調査の実施に有用な情報を与 え、また、世界中で開発されている予防ワクチンの開発にも一定の期待が持てるものとなりました。 研究の背景 これまで、COVID-19 に関して、「中和抗体の活性が検出限界以下、もしくは非常に低い感染者がい る」「抗ウイルス抗体が早期に消失する」等の報告が海外からなされています。しかし、ほとんどの研 究において、「検体数が小規模である」「長期間の追跡がなされていない」「検査の精度が不明」等の問 題が散見され、これらの研究結果のみで COVID-19 回復者の中長期的な免疫能の獲得についての結論、 特にわが国における結論を出すことは難しい状況にありました。また、日本独自のまとまったデータが 存在しないため、感染者の免疫応答についての知見が、海外に比べて乏しいという現状がありました。 そこで、横浜市立大学は、本学が開発した精度の高い抗ウイルス抗体検出技術ならびに中和抗体検出 技術の 2 つを用いて、感染から一定期間が経過した多くの回復者にご参加いただく大規模な調査研究 を、東京都医師会・神奈川県医師会・大阪府医師会の後援、および横浜市・神奈川県の協力のもとで開 始しました。 令和 2 年 12 月 2 日 広報室 公 立 大 学 法 人 横 浜 市 立 大 学 記 者 発 表 資 料 厚生労働記者会・厚生日比谷クラブ 文部科学記者会・科学記者会 経済産業記者会・横浜市政記者会 同時発表 研究成果のポイント 〇 COVID-19 回復者を一定期間追跡した日本初かつ国内最大規模のデータ 〇 COVID-19 回復者のほとんどが「抗ウイルス」抗体と中和抗体を保有 〇 COVID-19 回復者のうち、酸素投与を要した中等症以上の症例の方が軽症例よりも、 中和活性が高い傾向 2 研究の内容 今回の研究では、回復者の体内で産生された新型コロナウイルスに対する抗体が、感染から中長期間 を経た後も残存するかを調査するとともに、新型コロナウイルスの感染阻止に寄与すると考えられる中 和抗体の測定を同時に行っています。感染から中長期後の回復者の体内に中和抗体が確認されれば、そ うでない場合に比べて、再感染する可能性は低くなると言えます。 感染から 6 か月および 1 年後の抗体や中和抗体の状態について調査することは、SARS-CoV-2 に対 する経時的な免疫応答の解明に貢献します。また、今回の研究で用いた全自動抗体検出技術および中和 抗体検出技術は、今後実施される抗体保有率調査に活用されることが期待されます。 ※本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)令和 2 年度ウイルス等感染症対策技術 開発事業の支援を受けて行われました。 研究課題 事業名:日本医療研究開発機構(AMED)令和 2 年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改 良研究支援) 課題名:「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開 発及び同測定方法の社会実装に向けた研究」 研究体制 代表機関 公立大学法人横浜市立大学 代表研究者 横浜市立大学学術院医学群 臨床統計学 主任教授 山中竹春 分担研究機関 東ソー株式会社、関東化学株式会社 研究開発の概要 東ソー株式会社は、既に事業展開している全自動化学発光酵素免疫測定装置(AIA-CL2400 及び 同等機種)の新規項目として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検出用の試薬開発を行い ます。短期間での製品開発と社会実装につなげることを目標とし、将来的に体外診断用医薬品とし ての製品化を目指します。本学は、このシステム開発のための基盤的研究として、抗原の選定や品 質試験、全自動測定系に最適な抗原の作製法の探索などを行い、かつ、本学附属病院や他の医療機 関等の臨床検体からのデータ収集や、科学的・社会的意義の高いデータ解析を実施します。さらに、 本測定システムで得られた抗体価の結果に基づいた、COVID-19 発症や重症化、治療効果予測、感 染防御能との相関等についても検証します。関東化学株式会社は、本測定システムにおいて、新型 コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検出用の試薬に用いる抗原タンパク質を安定的に生産する方 法の確立を目指し、試薬原料(抗原タンパク質)の供給体制を整えます。
*1 https://covid19-kaifuku.jp/ 

問い合わせ先

広報室   担当課長 上村一太郎
Tel:045-787-2414
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

 コメントです。
コロナイヤーも
そろそろ一年になりますが、
感染状況と並行して、
治療薬、ワクチン、
そして上記記事にあるように
抗体についての報告です。
いうまでもなくコロナウィルスが
地球上から消滅してしまう
わけではありません。
今後、コロナとどうやって
共存していくか。
その意味合いからも
この研究発表は
貴重な資料です。










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コロナワクチン接種義務化、すべきでない WHO

AFP 2020年12月8日

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12月8日 AFP
世界保健機関(WHO)は7日、新型コロナウイルスワクチンの接種を義務化するより、同ワクチンのメリットについて説く方がはるかに効果的だという考えを示した。

 WHOは、新型コロナワクチンの接種をどのように実施するかは各国の判断に委ねるとしたが、過去にはワクチン接種を義務化したことで反発がより激しくなったことがあり、接種の義務化はすべきではないと述べた。

 WHOの予防接種部門を統括するケイト・オブライエン(Kate O'Brien)氏は、オンライン形式で行われた記者会見で、「義務化はいま取るべき方向だとは思わない。特にこれらのワクチンについては」と述べた。「そういった要請(義務化)なしで、ワクチン接種を奨励し、助長するという方がはるかに良い考え方だ」 

「WHOは、予防接種を義務化する国があると想定してはいないと思う」

 一方でオブライエン氏は、一部の医療従事者がスタッフや患者の安全のために予防接種を義務付けられる、あるいは強く推奨されることはあり得ると述べた。

 WHOの専門家らは、ワクチンが利用可能になった時に接種を一般の人たちに納得させるには相当な努力が必要だとしている。(c)AFP/Robin MILLARD

コメントです
今後、コロナワクチンについて
各国の接種方針をWHOが
浅くとりまとめた記事です。
現代は個人の主張が守られた
よい時代かもしれません。
しかし、有事下で
人権保護が必ずしも
最優先事項かどうかは
疑問です。
コロナは人類に大きな課題を
投げかけているのでしょうか?


※宗教戦争(しゅうきょうせんそう)
宗教上の問題原因で生じた戦争紛争
単に宗教戦争と言った場合は
16〜17世紀にヨーロッパ各地で
起こった
キリスト教の新旧両派間の
戦争を指すことが多いが、
それ以外にも世界各地で宗教問題が
原因の
戦争や紛争は多数おこっており
それらも宗教戦争のカテゴリーに
分類される。
同じ話題に対して、相異なる立場を
熱狂的・宗教的に支持する者同士が
衝突し、それらの間で発生する論争を
比喩的に宗教戦争と
表現することがある。






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2020年12月07日

中国「6億回分のコロナワクチン年内に承認へ」発表


 新型コロナウイルスのワクチン開発競争が世界で激しさを増すなか、中国の研究開発グループの専門家が、「6億回分のワクチンが年内に承認される」と発表しました。

 中国メディアによりますと、ワクチン研究開発グループの専門家・王軍志氏は4日、武漢で開かれた医療に関する国際会議で講演し、中国産のワクチンについて「6億回分の不活化ワクチンが年内に承認される」との見通しを明らかにしました。

 また、王氏は「接種後の免疫反応も比較的強く、安全性もコントロールできる」としたうえで、「複数の臨床試験で良好な結果を得た」と強調、2度から8度の間の温度で輸送が可能だとも述べました。

 ワクチン開発をめぐっては、イギリスが今月2日、製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンを承認し、まもなく接種が始まりますが、中国としても安全性と開発の成果をアピールする狙いがあるとみられます。

コメントです。
6億回分、中国国内人口の
半分弱ですか。
人口の多い国は大変です。





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ロシア モスクワで新型コロナワクチンの大規模接種始まる

ロシア モスクワで新型コロナワクチンの大規模接種始まる
NHK 2020年12月6日

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ロシアの首都モスクワでは5日、医療関係者などに対する新型コロナウイルスの国産ワクチンの大規模接種が始まりました。プーチン政権としては、今週前半にも接種が始まるイギリスに先駆けて行うことで、ロシアのワクチンの有効性などを強調するねらいもあるとみられます。

ロシアの首都モスクワでは5日、70か所の医療機関で、医療関係者や教師などに対する新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まりました。

今回使われるワクチンは、3段階ある臨床試験が終わっていませんが、ロシア政府がことし8月に承認した国産のワクチンで、市内の医療機関では、事前にインターネットで申し込みをした人が接種に訪れていました。

医師の女性はNHKに対して「自分の身は自身で守らなければなりません。接種できてうれしいです」と話していました。

プーチン政権としては、アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンの接種が、今週前半にも始まるイギリスに先駆けて大規模接種を行うことで、ロシアのワクチンの有効性などを強調するねらいもあるとみられます。

ただ、このワクチンをめぐっては、ロシアの一部の閣僚などが接種したものの、プーチン大統領は接種しておらず、今月発表された世論調査では「接種する用意がある」と回答した人は30%にとどまるなど多くの国民は、ワクチンの安全性や有効性について慎重な見方をしています。

国際社会で存在感示したいねらいか

今回の大規模接種で使われているワクチンは、ロシアの研究機関が開発した「スプートニクV」です。当時のソビエトが世界で初めて打ち上げた人工衛星にちなんで名付けられたものでことし8月、ロシア政府が正式承認しました。

最終段階の臨床試験と並行して、医療や軍の関係者に対する接種も一部で始まっていましたが、プーチン大統領は2日、医療関係者や教師に対して大規模な接種を6日からの週に始めるよう指示しました。

これを受けてプーチン大統領とも近いモスクワのソビャーニン市長はワクチンの保管などの態勢も整ったとして5日から大規模接種を始めると明らかにしたもので、今週前半にも接種を始めるイギリスの動きも意識して調整を急いだと見られます。

また、ワクチン開発に携わっている政府系ファンド「ロシア直接投資基金」は、先月下旬、スプートニクVについて有効性や価格を相次いで発表するなど欧米に対抗する動きを強めています。

プーチン政権としては、今後、一般の人への接種も始めることで安全性などを強調して各国への売り込みにも力を入れるとみられ、感染対策における国際社会での存在感を示したいねらいとみられます。

一方でロシア国内の科学者からも政治的な思惑を先行させるべきではないと慎重な対応を求める声もあがっています。

コメントです
ロシアをはじめ、社会主義国は
現状のパンデミック下では
政府が問答無用で
国民に対して方針を立て、
実施するので、ある意味
統率が楽かもしれません。
普段ならあまり人権が
守られていない国が、
皮肉なことに有事では統率を
発揮するということ
でしょうか。

※宗教戦争(しゅうきょうせんそう)
宗教上の問題原因で生じた戦争紛争
単に宗教戦争と言った場合は
16〜17世紀にヨーロッパ各地で
起こった
キリスト教の新旧両派間の
戦争を指すことが多いが、
それ以外にも世界各地で宗教問題が
原因の
戦争や紛争は多数おこっており
それらも宗教戦争のカテゴリーに
分類される。
同じ話題に対して、相異なる立場を
熱狂的・宗教的に支持する者同士が
衝突し、それらの間で発生する論争を
比喩的に宗教戦争と
表現することがある。










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イギリス 新型コロナワクチン 8日から接種開始へ

イギリス 新型コロナワクチン 8日から接種開始へ
NHK 2020年12月6日 

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イギリスでは、アメリカの製薬
大手ファイザーなどが開発した
新型コロナウイルスのワクチンの
接種が今月8日から始まることに
なりました。
病院では、接種の手順を
確認するなど準備が
進められています。
イギリスでは、ファイザーとドイツの
企業ビオンテックが開発した
新型コロナウイルスのワクチンが
承認され、ワクチンは製造拠点の
あるベルギーからイギリス国内に
運ばれ、品質などのチェックを
終えて安全な場所に保管されています。
イギリス国内での接種は今月8日から
始まることになり、このうち、
ロンドンのあるイングランドでは
50の病院で行われる予定で、
看護師などが接種の手順の
確認作業などを進めています。
ワクチンは、一定期間以上の
保存にはマイナス70度前後という
低温での管理が必要となるため、
当面、接種を実施するのは
設備の整った病院に限定されます。
また、接種は、80歳以上の高齢者や
高齢者施設の介護職員、
それに一部の医療従事者が
優先されます。
一方、当初は優先される
予定だった高齢者施設の
入居者については、施設での
ワクチンの管理に課題が
あるとして、対象には
含まれませんでした。
政府は、施設の入居者が
できるだけ早く接種
できるよう対応していくと
しています。
ワクチンは、前日の7日には
病院に届くことになっていて、
ジョンソン首相が、イギリス史上
始まって以来だと位置づける
ワクチンの接種計画に向けて
準備が進められています。

関連記事です。
「拙速で厄介な決定だ」…イギリスのワクチン承認にEUから反発の声

  • イギリスが西欧諸国で最初にCOVID-19ワクチンを承認した後、EU議員とヨーロッパ諸国の政治家はその決定の速さに異議を唱えた。
  • ドイツのシュパーン保健相は、イギリスがファイザーとバイオンテックのCOVID-19を承認したことについて「安全で効果的なワクチンを接種することが一番重要だ」と述べた。
  • EUの医薬品規制当局は、より多くの証拠に基づいているため、EU独自の承認プロセスはイギリスよりも厳格である述べた。
  • しかし、イギリスはファイザーのワクチンが安全であると強く主張している。

欧州連合(EU)は、イギリスがファイザー(Pfizer)とバイオンテック(BioNTech)によるコロナウイルス・ワクチンを迅速に承認したことを批判した。イギリスは、西欧諸国としてCOVID-19の予防接種を承認した初めての国になった。

イギリスが2020年12月第2週からワクチン接種を開始すると発表した後、EUは、EUのワクチン承認プロセスはより多くのエビデンスを必要とするため、より厳格なものだと述べた。欧州議会の議員も、今回の決定を「軽率」で「厄介」であると非難した。​彼らは迅速なワクチン接種ではなく、効果的なワクチン接種に重点を置くべきだと述べている。

ワクチンの緊急認可は、EU離脱とパンデミック対応で批判されたイギリスのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相による一種のクーデターだと見られている。今回の決定は、緊急承認プロセスの下で行われた。これにより、イギリス医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、大規模試験のデータを検討し始めた直後に、EUの規制を迂回してワクチンを暫定的に承認することができた。

​EUでCOVID-19ワクチンの承認を担当する欧州医薬品庁(EMA)は異例の声明を発表し、EUは、イギリスが選択した緊急的な手続きよりも多くのエビデンスを要求しており、より適切な承認手続きだと述べた。

イギリスは2021年1月1日のEU離脱まではEUの規則に従わなければならないため、通常はEMAの承認を得てからワクチンを配布する必要があったが、パンデミック時の特例として独自の審査を開始することができた。​EMAは、ファイザーとバイオンテックのワクチンを暫定的に承認するかするかどうかを12月29日までに決定すると発表している。

欧州委員会の広報担当者は、EMAの手続きは「すべてのEU市民が安全で効果的なワクチンを利用できるようにするための最も効果的なメカニズム」だと述べた。

ファイザーUKの責任者、ベン・オズボーン(Ben Osborn)は、「我々は、完全なデータパッケージを両規制当局に提供した。あなたが目にしているのは、データの違いではなく、プロセスとスケジュールの違いだと思う」と語った。

​イギリスMHRAのジューン・レイン(June Raine)長官は、 「MHRAが行った方法は、すべての国際基準と同等である」と述べ、「我々の進捗は、ローリング・レビュー(逐次審査)と厳格な評価、独立したアドバイスに依拠している」と付け加えた。

​EMAはファイザーの試験から得られたデータのローリング・レビューを10月6日に開始している。年末までの承認決定は、迅速化を目的とした緊急の手続きであり、通常、完全なデータの受領から承認までは少なくとも7カ月かかる。イギリス当局は10月30日に独自のローリング・レビューを開始しているが、分析したデータ量はEMAよりも少ない。

ドイツのイェンス・シュパーン(Jens Spahn)保健相は記者会見で、「第一の目的は安全で効果的なワクチンを作ることだ」と述べた。EU諸国は、ワクチンの信頼度を高めるために、イギリスよりも徹底的な審査を行うことを選択したと彼は付け加えた。

「部分的なデータだけを評価する場合、リスクも最小限しかわからない」と、EMAの元長官であるグイド・ラシ(GuidoRasi)はイタリアのラジオに語った。

「個人的には、入手可能なすべてのデータの強力なレビューを期待していたが、イギリス政府は、ヨーロッパにお先にどうぞとは言えなかった」と彼は付け加えた。

問題あり」そして「厄介」な決定

欧州議会の議員たちは、イギリスの動きをさらに露骨に批判した。

ドイツの与党の一員で、EU議員のペーター・リーセ(Peter Liese)は、「この決定は問題があると考えている。EU加盟国が同じプロセスを採用しないことを推奨する」と述べた。

「EMAによる数週間にわたる綿密な審査は、ワクチンの緊急承認を急ぐよりも良いことだ」と、欧州議会で最大派閥の中道右派を代表するリーセ議員は述べている。

「ワクチンをできるだけ早く市場に投入しようとする世界的な競争があるのは知っている」と、欧州議会で2番目に大きい勢力の左派グループのティエモ・ウォーケン(Tiemo Wolken)議員は述べた。

「しかし私は、品質、効果、安全性が保証され、EUの基準を満たしていることを時間をかけて確認する方が良いと信じている」

コメントです
英国発、
コロナウィルスについて
ワクチンの発表です。
やはり欧州全体で
人々の主義主張の
方向性は類似するものが
あります。
基本、協調より主張が強く、
方針を立てる
政府も大変ですね。

時間がたてば
コロナウィルスは
収束するでしょう。
しかし、今回の
パンデミックをきっかけに
世界中で主張の相違から
静かな紛争が起きることが
危惧されます。
実際に争うわけではなく、
あくまでも意見の相違に
よる争い。
そこに議論する余地はなく、
お互いがお互いを
認めようとしません。
また、ワクチン接種を
例にとっても、
受け入れるか、拒否するか、
二者選択しかなく、
中立は存在しません。


※世界中でフランスを
基準においておけば、
ワクチン接種拒否率の
上限目安になるでしょう。

※宗教戦争
(しゅうきょうせんそう)
宗教上の問題原因で生じた戦争紛争
単に宗教戦争と言った場合は
16〜17世紀にヨーロッパ各地で
起こったキリスト教の新旧両派間の
戦争を指すことが多いが、
それ以外にも世界各地で宗教問題が
原因の戦争や紛争は多数おこっており
それらも宗教戦争のカテゴリーに
分類される。


同じ話題に対して、相異なる立場を
熱狂的・宗教的に支持する者同士が
衝突し、それらの間で発生する論争を
比喩的に宗教戦争と
表現することがある。






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2020年12月06日

バイデン氏、新型コロナのワクチン接種は義務化しない


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バイデン氏は国民の前で
ワクチン接種を受ける用意があるという


アメリカのジョー・バイデン
次期大統領は4日、新型コロナ
ウイルスのワクチンが国内で
使えるようになっても、
接種を義務化するつもりはないと
述べた。
4日にはマイク・ペンス副大統領が
ジョージア州アトランタにある
疾病対策センター(CDC)本部を
訪れ、ワクチン承認は
「1週間半」先になるかも
しれないと述べた。
アメリカでは4日、新型ウイルスに
よる1日の死者が2500人以上、
新規感染者が22万5000人
近く確認された。

アメリカで確認された感染者の
累計は1430万人、死者は
27万8000人以上に達している。

CDCは同日、自宅にいるとき
以外は屋内でもマスクを常時
つけるよう、初めて呼びかけた。
CDCは、冬になり人が屋内で
過ごす時間が増えた現在
国内でのウイルス感染リスクが
「高いレベル」に達したと
警告している。
CDCは、新規感染の約半数は
無症状の人からの感染によるもの
だとして、屋内でもマスクを着け、
お互いの距離を保ち、屋内施設の
不要不急の使用を避け、
屋外でも混雑した場は避けるよう
呼びかけている。


バイデン氏はワクチンについて
地元デラウェア州ウィルミントンで
バイデン氏は、ワクチン接種を
義務付ける代わりに、
「大統領としてできる限りのことを
して、国民に正しい行動をとるよう
促すつもりだ」と述べた。

来年1月20日に就任する予定の
バイデン氏は、感染対策のために
就任式は小規模なものになると
述べた。
大統領就任式は通常、
連邦議事堂前に
大きな壇を整え、その前の
国立公園の敷地や沿道に
観衆が並ぶ大規模な
式典が慣例となっている。

「なんらかの形で壇を使った式には
なるだろうが、実際にどうなるのか
まだ分かっていない」と
バイデン氏は話した。

大統領選の結果については4日夜、
カリフォルニア州アレックス・パディリャ州務長官
バイデン氏勝利の選挙結果を認定した。
AP通信によると、これを受けて選挙人
538人のうちバイデン氏が過半数の
279人以上の票を獲得することが
確実になった。
11月3日の選挙結果に沿って、
12月14日の
選挙人団の投票でバイデン氏が
正式に当選することが
これで確定したという。

米ピュー研究所の調査によると、
現時点で新型ウイルス・ワクチンの
接種を受ける
用意があると答えたアメリカ人60%。
9月の51%からは増えている。

バイデン氏は3日は米CNNの
インタビューで
安全性に対する世間の不安を
和らげるため、「喜んで」公の場で
接種を受けると述べた。かつて
トランプ政権下で開発されたワクチンに
疑念を示して批判されたことのある
カマラ・ハリス次期副大統領も、
同じ番組でFDAが安全性を確認し、
自分の番が来れば「もちろん」接種を
受けると述べた。

ほかに、バラク・オバマ氏、
ジョージ・W・ブッシュ氏、
ビル・クリントン氏の
大統領経験者3人もまた、ワクチンの
安全性を示すために公の場で
接種を受ける用意があると
表明している。

米製薬ファイザーは、自分たちが
開発したワクチンは臨床試験で95%
有効だったと発表。
同モデルナは、94%の有効性を
発表している。両者とも
米食品医薬品局(FDA)に
アメリカ国内の使用承認を
申請済み。

イギリスは2日、ファイザーの
ワクチンの緊急使用を世界で
初めて承認した。

バイデン氏はさらに、
「自分が大統領に就任した初日、
皆さんに100日間のマスク着用を
求めるつもりだ。100日間だけだ。
永遠ではなく。100日間だ」と
述べている。

コメントです
米国発、
コロナウィルスについて
ワクチンの拒否率、
及び義務化可否の
発表です。
時間がたてば
コロナウィルスは
収束するでしょう。
しかし、今回の
パンデミックをきっかけに
世界中で主張の相違から
静かな紛争が起きることが
危惧されます。
実際に争うわけではなく、
あくまでも意見の相違に
よる争い。
そこに議論する余地はなく、
お互いがお互いを
認めようとしません。
また、ワクチン接種を
例にとっても、
受け入れるか、拒否するか、
二者選択しかなく、
中立は存在しません。
上記記事の米国の場合、
国内で意見の相違が
4対6で分かれたこと
なります。

※世界中でフランスを
基準においておけば、
ワクチン接種拒否率の
上限目安になるでしょう。


※宗教戦争(しゅうきょうせんそう)
宗教上の問題原因で生じた戦争紛争
単に宗教戦争と言った場合は
16〜17世紀にヨーロッパ各地で
起こった
キリスト教の新旧両派間の
戦争を指すことが多いが、
それ以外にも世界各地で宗教問題が
原因の
戦争や紛争は多数おこっており
それらも宗教戦争のカテゴリーに
分類される。
同じ話題に対して、相異なる立場を
熱狂的・宗教的に支持する者同士が
衝突し、それらの間で発生する論争を
比喩的に宗教戦争と
表現することがある。








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2020年12月05日

新型コロナ「ワクチンの接種義務化は逆効果」仏マクロン大統領

フランスのマクロン大統領は
新型コロナウイルスの
ワクチンの接種について
「義務化するのは逆効果だ」と述べ
有効性に関する情報の公開などを
通じて接種への理解を得ていきたい
考えを示しました。
フランスのマクロン大統領は4日、
オンラインメディア、「Brut.」の
番組に出演し、2時間にわたって
記者や視聴者の質問に応じました。

フランスでは、来月から始められる
としている新型コロナウイルスの
ワクチンの接種を義務化しない
ことにしています。

マクロン大統領は番組で、接種を
義務化しない理由を尋ねられ、
保健当局や研究機関による
新しいワクチンの有効性などに
ついて今後の評価が欠かせないと
指摘しました。
そのうえで「よく知られていない
ワクチンを義務化するのは逆効果だ。
義務よりも透明性で納得することが
大切だ」と述べ、有効性に関する情報の
公開などを通じて接種への理解を
得ていきたい考えを示しました。
フランスでは、政府のまとめで
これまでに220万人を超える
感染者が確認され、
ヨーロッパで最も多くなっていますが
今月はじめに行われた世論調査では、
61%がワクチンを接種しない
つもりだと回答しています。


コメントです
フランス発、
コロナウィルスについて
ワクチンの拒否率の
発表です。
時間がたてば
コロナウィルスは
収束するでしょう。
しかし、今回の
パンデミックをきっかけに
世界中で主張の相違から
静かな紛争が起きることが
危惧されます。
実際に争うわけではなく、
あくまでも意見の相違に
よる争い。
そこに議論する余地はなく、
お互いがお互いを
認めようとしません。
また、ワクチン接種を
例にとっても、
受け入れるか、拒否するか、
二者選択しかなく、
中立は存在しません。
上記記事のフランスの場合、
国内で意見の相違が
6対4で分かれたことに
なります。

※宗教戦争(しゅうきょうせんそう)
宗教上の問題原因で生じた戦争紛争
単に宗教戦争と言った場合は
16〜17世紀にヨーロッパ各地で
起こった
キリスト教の新旧両派間の
戦争を指すことが多いが、
それ以外にも世界各地で宗教問題が
原因の
戦争や紛争は多数おこっており
それらも宗教戦争のカテゴリーに
分類される。
同じ話題に対して、相異なる立場を
熱狂的・宗教的に支持する者同士が
衝突し、それらの間で発生する論争を
比喩的に宗教戦争と
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2020年12月01日

イングランドの新規感染者、ロックダウンで30%減少

BBC 2020 11 30

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英イングランドでロックダウン期間中、新型コロナウイルスの新規感染数が30%減っていたことが、最新の調査で明らかになった。

調査ではまた、イングランドでは感染の広がりを示す実効再生産数(R)が0.88まで下がったと推定。Rは、患者1人が感染を広げる人数を示すもので、1未満の場合は流行が縮小傾向にあることを示している。

特に感染が拡大していた地域で大きな効果がみられた。ただ、イングランドではなお多くの人が感染している。

インペリアル・コレッジ・ロンドンが行った調査「コミュニティー感染のリアルタイム評価(React-1)」は、11月13〜24日に行った10万人以上の検査サンプルを元にした。

React-1は、COVID-19の流行状況について最新の全体像が把握できるデータとして高く評価されている。

ただし、今回のデータは中間発表のもので、調査内容は精査が必要だ。


イングランドでは11月5日から2度目となるロックダウンが始まった。12月2日に解除され、3段階の警戒レベル(ティア)が導入される

<関連記事>

インペリアル・コレッジ・ロンドンの研究チームは、調査会社イプソス・モリと協力し、新型ウイルス検査のサンプルを無作為に抽出し、症状のあるなしに関わらず調査対象とした。

その結果、新規感染者は10月末の前回調査から30%減少していた。

前回の調査時点では、イングランドでは9日ごとに感染者数が2倍になっていたという。

現在では新規感染報告は減っているが、その勢いは拡大時よりも遅く、半分になるのに37日かかっている。

一方、感染者が最も多かったイングランド北西部や北東部では、新規感染が半分以下に減ったという。その結果、現在ではイースト・ミッドランズとウエストミッドランズが、イングランド国内で最も感染者が多い地域となった。

なお、COVID-19の症状が出た人のみを対象としたデータでは、ロックダウンが始まった1週間後に感染者が急増している。

新型ウイルスは感染してから検査で陽性反応が出るまでに平均5日ほどかかるため、ロックダウン前の接触を反映したものだという。

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ロックダウンにより感染者ははっきりと減っているものの、流行はなお続いている。

推計では、現在イングランドの100人1人が新型ウイルスに感染している。これは流行の第2波が始まった9月の2倍の割合だ。

調査ではさらに、この期間に陽性率が高かった属性をまとめている。

  • アジア系の人々
  • 貧困地域に住む人々
  • 世帯人数が多い場合

また、以下のような推計も発表した。

  • 1万人当たりの感染者は96人と、ロックダウン前の1万人当たり132人から減少した
  • 1日当たりの感染者数は7万2000人と、10月末の10万人から減少した

調査を主導したポール・エリオット教授は、このデータはイングランドでの流行について「前向きな兆候」を示していると話した。

「ここで示された傾向によって、ロックダウン以前のティア制が(最も感染がひどかった地域での)感染を抑え、それからロックダウンが効果をあげたことが分かった」

一方で、「感染症対策にとって厳しい季節へ向かう中、日々の活動や習慣を通じて、新型ウイルスを追い払う努力をすることが一層重要になってくる」と指摘した。

「正しい方に向かっている」

英オープン大学のケヴィン・マコンウェイ教授(統計学)はこのデータについて、「過剰に期待を持ちすぎてはいけない。9月以降上昇していた感染率がはっきりと低下に向かっているのは良いニュースだが、十分に下がっているとはまだ言えない」と述べた。

「物事は再び正しい方に向かっている。しかしロックダウンの後、それ以前にも厳しい制限があったにもかかわらず、今の状況は夏の終わりどころか、夏の初めの状態までも戻っていない。あらゆる方法で細心の注意を払い続けなくてはならない」

政府は、2日から導入するティア制が感染を縮小させ続ける「重要な」要素になるとしている。

このティア制では、ロックダウン以前に行われていたものよりも厳しい基準が採用されている。

「ティア1(中程度)」、「ティア2(高い)」、「ティア3(非常に高い)」の3段階のうち、イングランドの99%の地域はティア2に分類される。ティア2では、屋内での他世帯との集会は禁じられ、パブやレストランの営業にも制限がかけられる。

一方、コーンウォールとワイト島、シリー諸島の3カ所だけがティア1となる。

イングランド以外の地域については、北アイルランドが2週間のサーキットブレーカー(短期間のロックダウン)を開始。スコットランドでは5段階の警戒レベルが導入され、各地域ごとに対策が取られている。

ウェールズのマーク・ドレイクフォード自治政府首相は、4日以降にパブやレストラン、バーに対してより厳しい制限を設ける予定だと発表した。

(英語記事 Covid infections fall by 30% over lockdown - study

コメントです。
この手のポジティブな
記事が上がっても、相変わらず
コロナ陰謀説派、マスク不要派は
まったく耳を貸そうとせず、
どこからか自分たちに都合のいい
統計データを提示して、
自己主張を改めようと
しません。

正当化と正当評価、
音はすごく似ていますが
意味は正反対になります。
コロナに関しての真実は、
現在はだれも知りません。

そして、先で答えが出たときに、
自分の考えが間違っていた側は
どのような態度に出るのでしょうか。





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2020年11月29日

【解説】 英オックスフォード大のワクチンに疑義 原因は「投与量の間違い」

今月23日、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発している新型コロナウイルスワクチンが、臨床試験で高い効果を示したことが発表された。

すでに90%以上の有効性が発表されていた米ファイザーと独ビオンテック、そして米モデルナのメッセンジャーRNAワクチンよりも安価で流通させやすいという点で、この一報はCOVID-19との闘いに新たな希望を与えてくれた。

しかしこのお祝いムードの後、ネガティブな報道が続いた。

26日には、英米の複数メディアがオックスフォード大のデータに疑義があると伝えた。安全性ではなく、有効性に関する疑問だった。

臨床試験では、3つの有効性に関する数値が公表された。全体の有効性が70%、最低値が62%、最高値が90%だ。この数値の揺れは、臨床試験での投与量に間違いがあったことから生まれた。一部の被験者は、予定されていた量の半分しか投与されなかったのだ。しかしこの「間違った」量が、最終的には勝者となった。

どういうことなのか?
一部の被験者は、予定よりも弱いワクチン、つまり免疫をつけるのに必要な要素が少ないワクチンを投与された。オックスフォードのワクチンは全部で2回、1カ月の間を置いて接種する必要がある。被験者のほとんどが、2回とも正しい量のワクチンを接種したが、そうでない人もいた。規制当局はこの間違いについて早期に報告を受けており、臨床試験の続行と、被験者を増やすことで合意していた。この間違いは、ワクチンの安全性には影響を及ぼしていない。
結果はどうなった?
結果的に、約3000人のボランティアが1回目に規定の半量のワクチンを、4週間後の2回目には規定量のワクチンを投与された。

そしてこのグループが、約90%という最も高い有効性を示した。

1回目と2回目に規定量を投与された約9000人については、有効性は62%だった。

アストラゼネカはこの数値をどちらも公表し、平均では70%の確率でCOVID-19を防ぐと発表した。しかしこの数字の違いに、一部の科学者が頭を悩ませることになった。

免疫の専門家で、王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)で健康プログラムに携わっているデイヴィッド・ソールズベリー教授は、「異なる投与量について2つの研究を行って、どちらの投与量についても反映していない、混ぜ合わせの1つの結果が出ている。多くの人が、このことに困っている」と説明した。

アストラゼネカは、23日に発表された内容は暫定的なもので、完全な最終結果ではないと強調している。これはファイザーについても、モデルナについても同様だ。

完全な結果がそろった時には各社とも、公の考査を受けるために医学誌にデータを掲載することになる。

また、緊急使用認可を得るために規制当局にも完全なデータを提出している。そうすれば各国で、国民全員に免疫をつけるために3つのワクチンが使われ始めることになる。

今回のことで何が変わるのか?

アメリカの食品医薬品局(FDA)は、パンデミックに対抗するには少なくとも50%の有効性が必要だとしている。

もしオックスフォード・ワクチンを接種して有効性の最低値を示したとしても、このボーダーはクリアできるだろう。

このワクチンの臨床試験では、被験者のうち131人がCOVID-19を発症した。

うち101人は偽薬を投与されていた。残りの30人はワクチンを投与されていたが、うち少ない量を接種していたのが3人、規定量を接種していたのが27人だった。

オックスフォード大学の研究者は現在、なぜ弱いワクチンを打ってから規定量を打つことで有効性が上がるのかを調べている。

可能性のひとつとしては、弱いワクチンを打ってから強いワクチンを打つことが新型ウイルスの感染に似ているため、より高い免疫反応が得られたという説が挙げられる。

しかし、ワクチンを半分の量しか受けなかったボランティア本人に、他の人とは違う要素があったのかもしれない。

米政府のワクチン開発計画の科学主任、モンセフ・スラウイ博士は、半分の量を接種したグループには、55歳以下のボランティアしか含まれていなかったと指摘した。

COVID-19では年齢が高くなるほど重症化リスクが高まるため、高齢者をウイルスから守るワクチンは非常に重要視されている。

一方で、オックスフォードのワクチンに関する治験初期の研究では、すべての年齢層に強い反応が得られることが分かっている。

アストラゼネカは「これらの研究は最高の基準に沿って進められている」と説明した。

「これからもっと多くのデータが蓄積され、追加分析によってより正確な有効性が示されるとともに、免疫が続く期間も明らかになるだろう」

その上で、高い有効性を示した少量のワクチン接種について、新たな研究を行うとしている。

同社のパスカル・ソリオ最高経営責任者は、「国際的な研究も行われるだろうが、こちらの方が早いだろう。ワクチンの有効性はとても高いので、被験者は少なくてすむ」と語った。

専門家の意見は?

投与量こそ違っていたものの、研究のその他の部分は当初の計画通りに進んだ。

英インペリアル・コレッジ・ロンドンのピーター・オープンショウ教授は、もうすぐ3種類の有望なワクチンが手に入り、人命が救えるというメッセージこそ大事だと指摘した。

「完全なデータを待ち、規制当局が結果をどう判断するかを見なければならない」

「我々はいま、限られたデータでしか判断していない。オックスフォードとアストラゼネカのワクチンは、ほかのメッセンジャーRNAワクチンより効果が薄いかもしれないが、結果を待たなくてはならない」

その上でオープンショウ教授は、「長年、ワクチンの到来を待っていて、まだ完成していない病気がたくさんある。HIVや結核、マラリアなどが良い例だ」と話した。

「これまでの結果から、COVID-19にはワクチンができそうで、これはとても良いニュースだ」


(英語記事 Oxford's Covid vaccine 'dose error' explained

コメントです
コロナウィルスのワクチンに
ついての話題です。
まだまだ未知数のウィルスに
向けての戦いが続きますが、
日々、精度(ワクチンの有効性)が
上がっています。







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英オックスフォード大の新型ウイルスワクチン、どうやってこんなに速くできたのか

10年かかるワクチン開発を10カ月で行う。設計や臨床試験、製造で近道はできない。

この2つの文章は一見、矛盾している。英オックスフォード大学がこのほど急ピッチで開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、こんなにあっという間にできたものの安全性は大丈夫なのかと、疑念が出ているのも、そのせいだ。
【解説】 英オックスフォード大のワクチンに疑義 原因は「投与量の間違い」
英オックスフォード大の新型コロナ・ワクチン、有効率70% 安価で保管しやすい利点
オックスフォード大のワクチンがなぜこんなに早く作れたのか。そのあらましを説明する。

幸運と、そして傑出した科学的才能。エボラ出血熱のアウトブレイクと、チンパンジーの鼻風邪。こうしたものが、その背景にある。そして研究チームの置かれている状況は、貯金ゼロの状態から出発して、やがてチャーター機を借りられるまでに一変した。


何年も前から始まっていた

オックスフォードのワクチンについて最大の誤解は、パンデミックが始まってから開発に着手したというものだ。

2014〜2016年に起こったエボラ出血熱のアウトブレイクは大惨事だった。対応は遅れに遅れ、1万1000人が亡くなった。

オックスフォード大で今回の新型ウイルス・ワクチンの開発に携わったサラ・ギルバート教授は当時を振り返り、「世界はもっと上手に対応すべきだった」と語った。

エボラ対策の遅れに非難が集まる中、次の大きなパンデミックに向けた検討が始まり、計画が作られた。何が脅威となり得るかというリストには、既知の感染症の次に「感染症X」という不吉な名前が記載された。「感染症X」。つまり、新しい未知の感染症。世界の意表を突くような感染症のことだ。

オックスフォード大学には、1796年に世界で初めてワクチンを開発したエドワード・ジェンナーにちなんだジェンナー研究所があり、世界有数の専門家が集まっている。そしてこの研究所が、未知の敵を倒すための戦略を練り上げた。

ギルバート教授は、「できる限り最短時間で人にワクチンを投与できるよう、本当に素早く対応するにはどうしたらいいか、計画していた」と話す。

「この計画はまだ終わっていないが、それでもよくやったと思う」

不可欠だった技術

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ジェンナー研究所の計画の中心には、「プラグ・アンド・プレイ(起動後すぐに作動すること、元はコンピュータ用語)」と呼ばれる、画期的なワクチンの仕組みがあった。素早く柔軟で、未知の病気に対応するにはうってつけだった。

幼少期に受ける予防接種で使われる従来のワクチンは、弱体化、もしくは不活化したウイルスや、その一部を体内に投与する。ただし、こうしたワクチンは開発に時間がかかる。

オックスフォード大の研究者はこれに代わるものとして、「チンパンジー・アデノウイルス・オックスフォード1(ChAdOx1、チャドックス1)」を作り出した。

チンパンジーが感染する普通の風邪のウイルスを操作し、あらゆる感染症に対応できるワクチンの建材となるようにした。

COVID-19以前には、インフルエンザやジカ熱、前立腺がん、チクングニア熱などの治療に、「チャドックス1」をもとにしたワクチンを計330人が投与されている。

チンパンジーから採取した風邪ウイルスは遺伝子操作されているため、人間が感染することはない。ここにさらに、治療したい病気の遺伝子コードを組み込むことでワクチンが完成する。対象の病原体が体内に入れば、免疫系が反応して攻撃する仕組みだ。免疫反応を引き起こすものを「抗原」と呼ぶ。

チャドックス1は言わば、ミクロの世界の、優秀な郵便配達人のようなものだ。科学者は治療したい病気によって、チャドックス1に託す荷物、つまり抗原を変えるだけでいい。

ギルバート教授は、「(抗原を)入れたら、あとはおまかせ」と話した。

2020年1月1日

大みそかの行事がひと段落して、世界の大半がのんびりと過ごしていた2020年1月1日、ギルバート教授は中国・武漢で「急速に広まっている肺炎」に関する気がかりな情報に気づいた。

それから2週間もしない内に、ウイルスは特定され、人から人へ感染するかもしれないと疑われるようになっていた。

「私たちは感染症Xに向けて備えて、感染症Xを待ち構えていた。私は、これがそうかもしれないと思った」と、ギルバート教授は言う。

この時点でオックスフォード大のチームは、自分たちの研究がいずれどれほど重要なものになるか、分かっていなかった。まずはワクチンがどれだけ素早く作れるのか試すため、そして「チャドックス1」技術の実用性を示すために、作業を開始した。

ギルバート教授は、「研究プロジェクトだけで終わるかもしれない、私たちがワクチンを作っても、そのころにはウイルスは消えてなくなっているかもしれないと、そう思っていた。実際はそうはならなかった」と語った。

奇妙な幸運


こう言うと奇妙な、ほとんど不謹慎な発言にさえ思えるが、今回のパンデミックの原因がコロナウイルスだったのは、不幸中の幸いだった。

コロナウイルスは過去20年の間に2度、動物から人間へと感染範囲を広げようとした。2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、そして2012年の中東呼吸器症候群(MERS)だ。

つまり、科学者らはこのウイルスの生物学的特徴や活動の仕方、そして「スパイクたんぱく質」がウイルスの「アキレス腱」、つまり弱点だということも、すでに承知していたわけだ。

オックスフォード大のワクチン開発チームの一員、アンドリュー・ポラード教授は、「すでに研究が相当進んでいる段階から、(ワクチン開発を)始めることができた」と話した。

スパイクたんぱく質とは、ウイルスが人間の細胞に入り込むため、扉を開ける鍵のようなものだ。研究チームは、この「スパイク(くさび)」を攻撃するよう免疫系を訓練するワクチンが作れれば、成功の確率はかなり高くなると承知していた。

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加えて研究チームはすでに、スパイクたんぱく質を標的とする、チャドックス1を使ったMERSワクチンを開発済みだった。オックスフォード大学のチームは、ゼロからスタートしたわけではなかったのだ。

「これがもし全く未知のウイルスだったら、状況はかなり違っていたはずだ」とポラード教授は言う。

また、コロナウイルスによる感染が短期的なことも運が良かった。感染期間が短いとはつまり、人体がウイルスを倒せるということで、ワクチンはその自然の治癒プロセスを後押しすればいいということを意味した。

もしこれが、たとえばHIVウイルスのように、人体が治すことのできない長期的、慢性的な症状を引き起こすものだった場合、ワクチンが効く可能性は低かった。

1月11日になると、中国の科学者たちが新型ウイルスの遺伝子コードを公表し、世界と共有した。

これによってオックスフォード大のチームには、COVID-19ワクチン開発に必要な材料が全てそろった。

あとはチャドックス1に新型ウイルスのスパイクたんぱく質の遺伝子情報を挿入すれば、ワクチンはできる。

お金、お金、お金

ワクチン開発には非常にお金がかかる。

「最初のころは、かなりつらかった。銀行口座の残高がまったくない時期があった」とポラード教授は振り返る。

大学からの資金提供もあったが、オックスフォード大のチームは、世界中の競争相手にはない大きな強みがあった。

オックスフォード市内には大学のチャーチル病院がある。その敷地内に、独自のワクチン製造工場を持っているのだ。

「他のすべての製造を中断して、このワクチンを作るよう指示することもできた」とポラード教授は言う。

研究を進めるには十分な施設だが、大規模な臨床試験に必要な大量のワクチン製造には足りなかった。

ギルバート教授は、「4月までは資金集めが自分の主な仕事だった。今すぐ資金援助をしてくださいと、ともかく大勢に頼み込んだ」と話した。

やがて新型ウイルスの感染が世界に広がり、各国が次々とロックダウンに突入すると、資金が入り始めた。ワクチン製造拠点はイタリアの施設に移され、ロックダウン中の欧州でいったいどうやって物資を運ぶのかという悪夢のような問題を含め、治験中断につながったかもしれない諸問題は、資金が解決した。

イタリアにあるワクチンが翌朝にはイギリスのクリニックで必要で、飛行機をチャーターする羽目になったこともある」と、ギルバート教授は言う。

華やかではないが重要な検査

品質管理がプロジェクトの花形になることはない。しかし実験的なワクチンを大勢に投与するには、それが十分に高い基準に沿って作られているという確証が必要だ。

製造過程のひとつひとつで、ワクチンがウイルスやバクテリアに汚染されていないかを確認する必要があった。かつて、これはとても時間のかかる作業だった。

「どうやったら時間を短縮できるか考慮しなければ、仮に3月にワクチンが出来上がっていても、6月まで治験を始めなかっただろう」

<関連記事>

結果としては、動物実験で安全性が示された後、オックスフォード大のチームは4月23日から臨床実験に入ることができた。

臨床試験に次ぐ臨床試験

オックスフォード大のワクチンはそれからというもの、通常のワクチンと同じ臨床試験の段階を通ってきた。

臨床試験には次の行程がある。

  • 第1相:少人数を対象に行う治験で、安全性を確かめる
  • 第2相:安全性を確認する検査を、さらに大人数で行う。また、ワクチンが、必要な反応を引き起こしているかどうかを確かめる
  • 第3相:数千〜数万人を対象とした大規模な治験で、実際に病気を予防するかどうかを確かめる

オックスフォード大のワクチンはこれまでに全ての段階を進み、第3相には3万人の志願者が参加。開発チームは十分なデータを得られた。

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通常は、各行程の間に何年もの待機時間が過ぎていくが、今回はそうはならなかった。

ケンブリッジ市内で治験に携わったマーク・トシュナー医師は、ワクチン開発には10年かかるものだという考えは誤解を招くと言う。

「その間、何も起きていないことがほとんどだからだ」と、トシュナー氏はBBCに話した。

こうした期間には、治験の認可申請書を書いたり、それが拒否されたり、書き直したり、認可が下りたり、製造業者と交渉したり、参加者を募ったりするプロセスに使われているという。一つの段階から次の段階に進むのに何年もかかる場合もある。

「時間がかかるのは、その必要があるからでも、その方が安全だからでもなく、現実の世界とはそういうものだからだ」

今回のワクチンは異例のスピードで開発と治験が進んだが、安全性は犠牲にならなかった。代わりに、この臨床試験を実現させるため、科学界から前例のない後押しがあり、大勢が進んで治験参加に志願し、そしてもちろん資金援助があった。おかげで、通常のワクチン開発にはつきものの遅れが、消し飛んだというわけだ。

かと言って、今後何か問題が絶対に起きないということではない。医療研究に「絶対」の保証はないからだ。たとえばワクチンの副作用は通常、そのワクチンが投与された直後に、あるいは数カ月後に発覚する。数百万人が接種した段階で、異例の問題が出来する可能性もある。しかし、これは過去のあらゆるワクチンに言えることだ。

今後のプロセスも急ピッチで

COVID-19をめぐっては、ワクチンの認可取得と製造のプロセスも劇的にスピードアップされている。
イギリスではすでに400万回分のワクチンが製造され、供給を待つばかりだ。オックスフォード大の開発チームは製薬大手アストラゼネカと提携し、臨床試験の結果が出る前から製造を開始した。その時点では賭けだったが、結果的に大成功だった。

通常は臨床試験の終了を待ってから動く規制当局も、今回は早くからワクチンに関わっている。

イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)はオックスフォード・ワクチンの安全性や製造基準、有効性について「逐次審査」を実施してきた。この結果、ワクチンの使用認可の判断は通常より早く判明することになる。

オックスフォード大のワクチンは、ファイザーやモデルナのワクチンと同様、世界中が必死の思いで待ち望んでいる中、記録的な速さで出来上がったというわけだ。

コメントです。
オックスフォードとアストラゼネカが
共同開発しているコロナワクチンに
ついての話題です。
有効性が確認されて、いよいよ
世界規模で出荷でしょうか?





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2020年11月27日

「消毒すればOK」という誤った感染対策の超危険 最も重要な感染対策がおろそかになっている

「消毒すればOK」という誤った感染対策の超危険

最も重要な感染対策がおろそかになっている

東洋経済 11月26日(木)

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香港の閑散とした空港では、清掃員が荷物用カート、エレベーターのボタン、チェックインカウンターを繰り返し消毒している。ニューヨークでは、作業員がバスや地下鉄の表面部分を頻繁に消毒。ロンドンでは、多くのパブがロックダウン(都市封鎖)後の再開に向けて多額の資金を投じて表面消毒を徹底したが、11月には二度目のロックダウンで再び休業に追い込まれた。

世界の至る所で、表面の洗浄、拭き取り、消毒が行われている。そこにあるのは、新型コロナウイルスと闘うという強い目的意識だ。ところが、ますます多くの科学者が、ウイルスに汚染された表面を介して感染が広がっているという証拠はほとんどない、と指摘するようになっている。空港のような混雑した屋内空間では、感染者の息とともに吐き出されて空気中に滞留するウイルスの方がはるかに危険だという。

表面消毒で広がる「誤った安心感」

もちろん、せっけんを使った20秒間の手洗いや手指の消毒が大切なことに変わりはない。ただ、専門家によれば、表面を消毒しても屋内の感染予防にはほとんど役立たない。保健衛生当局に対して専門家らは、表面消毒ではなく、換気の改善や屋内空気の清浄に力を入れるべきだ、と警告している。

「私の所見では、表面消毒のために多くの時間と労力と資金が浪費されている。さらに問題なのは、空気感染対策がおろそかになってしまっていることだ」と、アメリカ国立衛生研究所の呼吸器感染症専門家ケビン・フェネリー氏は語る。

オペラのように派手派手しく展開される消毒作戦が一般の人々に誤った安心感を植え付けている典型として、一部の専門家は香港を引き合いに出す。人口750万人の過密都市・香港は、過去にもさまざまな感染症の流行を経験してきた。


香港空港管理局は、公衆電話ボックスのような「全身消毒ブース」を設置し、検疫エリアのスタッフに消毒液を吹きかけている。空港によれば、これは世界初の設備で、空港職員だけに試験的に用いられている。空港を「すべての利用者にとって安全な環境」とするための徹底した対策の一部だという。

このような光景を見せつけられれば、人々の不安は和らぐかもしれない。当局が感染対策をしっかりと講じているように映るからだ。しかし、エアロゾル(空気中に漂う微小な飛沫)に詳しいコロラド大学ボルダー校のシェリー・ミラー氏は、このようなブースは感染防止にはまったく意味がない、と話す。

普通の風邪やインフルエンザなど、さまざまな呼吸器系疾患は病原体によって引き起こされ、そうした病原体は汚染された表面を介して広がる場合もある。そのため、昨冬に中国本土で新型コロナの感染が広がったとき、これらの「媒介物」が病原体を拡散させる最大の経路になっていると推測するのは理にかなっているように思えた。

ところが7月になると、媒介物による感染リスクが誇張されている、と論じる論文が医学誌『ランセット』に掲載される。2002年〜03年にSARS(重症急性呼吸器症候群)のパンデミックを引き起こしたウイルス「SARS-CoV」など、近縁種の研究で示されたエビデンス(科学的根拠)が考慮されていないという指摘だった(新型コロナのウイルス名は「SARS-CoV-2」)。

見せかけの「衛生劇場」

「少なくとも最初に確認されたSARSウイルスでは、媒介物による感染が極めて限定的なものでしかなかったことを示す非常に強力なエビデンスがある」。論文を執筆したラトガーズ大学の微生物学者エマニュエル・ゴールドマン氏は電子メールの取材にこう回答した。「(SARSウイルスと)極めて近縁のSARS-CoV-2がこの種の実験で著しく異なる作用を示すと考える理由は存在しない」。

ゴールドマン氏の論文がランセットに掲載された数日後、新型コロナはどのような屋内環境であっても空気によって拡散する可能性があると認めるよう、200人を超える科学者が世界保健機関(WHO)に迫った。この問題に対するプレッシャーは強力で、WHOはレストラン、ナイトクラブ、職場、宗教施設など、換気の悪い場所ではエアロゾル感染が発生する場合があることを認めざるをえなくなった。

5月から物体の表面は「ウイルス拡散の主要な経路ではない」といった立場をとってきたアメリカ疾病対策センター(CDC)も10月までに、呼吸器から排出される飛沫が感染の「最大経路」になっている、との見解を示すようになる。


しかし、その頃までには、手すりから買い物袋に至るまで、あらゆる物体の表面を介して感染が広まっているといった妄想が世の中に広まっていた。感染予防策として表面を消毒しまくるといった光景が日常に深く根付くようになっていたということだ。こうした現象を、有力誌『アトランティック』は「衛生劇場」と呼んだ。

「テニスのパートナーと試合後に握手するのは、やめにした。ただ、(テニスをしている間は)相手が手で触ったボールをこちらも手で持ったりしているわけだし、これにいったい何の意味があるのだろう」。文筆家のジェフ・ダイヤー氏は3月、老舗文芸誌『ニューヨーカー』で発表したエッセーにこう記し、潔癖症的な時代精神を切り取った。

香港では新型コロナで5400人を超える感染と108人の死亡(11月中旬時点)が確認されているが、これは大都市としては、どちらかといえば低い部類に属する。とはいえ、屋内のエアロゾル感染への対応が遅れたと指摘する専門家もいる。

香港当局は早い段階で、レストランに対しテーブルの間に仕切りを設置するよう求めた。10月に行われたアメリカ副大統領候補の討論会で使われたのと同じ種類の、ほとんど何の役にも立たない薄っぺらな防護パネルだ。

香港当局は屋内での集まりに対する規制を徐々に緩めてきており、結婚披露宴も50人までの参加が許可された。そのため、屋内で新たな集団感染が起こるのではないかと危惧されるようになっている。

オフィスでマスクを外す人の「盲点」

香港ではリモートワークが徹底されていないため、一部の専門家は、混雑したオフィスの通気口を通じてウイルスが拡散することを特に懸念している。

「昼食時や自分のキュービクル(仕切りで囲われたオフィス内の個人スペース)に戻ってきたときにマスクを外してしまう人は多い。キュービクルは自分だけの空間だと思い込んでいるのだ」と、香港科技大学の楊経倫教授(化学・生物工学)は話す。

「でも、忘れないでほしい。あなたが吸い込んでいる空気は、基本的には(まわりの人たちが呼吸しているのと)同じ空気なのだということを」

(執筆:Mike Ives記者、Apoorva Mandavilli記者)
(C)2020 The New York Times News Services

コメントです。
コロナの感染についての
話題です。
平たく言えば、#空気感染
ここに最も重要な感染予防対策が
必要とされており、表面消毒などで
安心するべきではない。
確かに理にかなっています。
しかし、未だに見かける
#マスク不要論者
#現実逃避派
#ワクチン拒否派
どのような意見なのでしょうね。
世界的規模でのコロナ感染拡大も
そろそろ一年近くなりますが、
最近はウィルスより
常に自己正当化する意識しか
持たない「人」のほうが
恐ろしくなってきました。





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2020年11月26日

ドラッグストアが軒並み退店…大阪の不動産がヤバいことになっている

ミナミが「まるで別の街」に…
栗田 シメイ ノンフィクションライター


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大阪の中心地に訪れていた不動産バブルが終焉を迎えつつある。
インバウンド需要の爆増や大阪万博開催決定を背景に、近年では市内を中心にホテル建設ラッシュが相次いだ。北区、中央区、浪速区に西区、天王寺区といったエリアの訪日外国人客における人気と地価上昇率は比例し、5年ほど前から今年1月頃までは地価は上昇の一途を辿っていったのだ。
リーマンショックを超える「別次元」の地価下落
大阪府が発行する『地価だより』(20年3月号)の地価公示前年の平均変動率をみると、市内は住宅地、商業地、工業地で昨年の水準を上回っている。特に商業地は全体で2.7%の上昇をみせており、変動率1位の宗右衛門町の住友商事心斎橋ビルは実に44.8%の上昇を記録していた。
ミナミは全国でも有数のインバウンドの恩恵を受けていた地域の1つであり、この流れを牽引していた。だが、世界中に拡大した新型コロナウイルスの影響で訪日観光客は途絶え、7月の地価調査では壊滅的な数字を叩き出している。不動産鑑定士の中村光伸氏はいう。
「05年の地価調査と現在を比較すると、15年間で道頓堀の観測地点で約5倍弱、心斎橋では6倍近い数字に跳ね上がっていました。それが今年は同エリアの観測で年間約30%を超える地価下落に直面する可能性が高い。この数字はリーマンショック時の約20%という下落率を超えるもので、もはや別次元の数字といえるでしょう」
実は地価推移を大阪市内全域でみると、あくまで微増、微減に留まり、特筆すべき数字ではない。先述した北区、中央区、浪速区に西区、天王寺区に福島区辺りの上昇地域と、その他の区との2極化が進んでいる側面もある。
以前、ミナミの中心地である道頓堀や心斎橋筋の組合幹部を取材した際に、こんな表現を用いていた。
「ミナミという“面”で集客できる点が強みとなっており、正直、他のエリアでは同じ戦略は難しいところもある。逆にいえば、訪日客が減れば元の地方都市の寂れた商店街に戻ってしまう……」
これは大阪にとっていかに訪日観光客が経済成長に占める割合が大きいかを示した言葉であり、極端にいえば、成長率=インバウンドと行っても大袈裟ではないのかもしれない。


インバウンドバブルで地価が“異常”に上昇していた

なぜ不動産バブル終焉の危機を迎えているのか。先出の中村氏が解説する。

「近年のミナミ、キタの地価上昇率は“異常”とも呼べるもので、ここ数十年でも類を見ない水準で、全国的にも上昇幅が非常に高いエリアに該当していた。地価調査の基準点となる戎橋(大阪中央5-2)では、16年7月時点での11,000円(千円/m2)から、今年1月には28,700円と3倍近い金額にまで伸びた。その理由は、インバウンドの一言に凝縮されます。

テナント料が上がっても、それをペイできる観光客が大挙していたことで、どんどん価格は上がっていった。ところが、新型コロナウイルスの影響で今年の7月には半年間で-18.8%まで下落し、来年1月の調査でも同程度の水準で落ちる可能性が高いと見ています。つまり、年間で約30%を超える地価下落に直面しているということです。外国人観光客の来訪等が上昇の原因であることを踏まえると、元の状態への回復にはもう暫く時間を要するでしょうし、地価も下落傾向が続くと予想されます」

まるで「別の街」になってしまったミナミ

地価下落に直面する町の様子はどう移ろっているのか――。10月中旬、大阪のミナミエリアを歩いた。

ほんの1年前までは外国人観光客で溢れ返った道頓堀や心斎橋筋商店街の人の流れは緩やかで、観光客の姿はほとんど見当たらなかった。それに伴ってか、閉店や空き店舗も目立つようになっていた。インバウンドの象徴的なエリアだった黒門市場は閑散とし、一時休業を余儀なくされた店舗も散見される。個人商店が占める割合いも多い近隣では、「家賃を払えない」「コロナがなければ」と嘆き節も聞こえてくるほど、厳しい状態だった。

国土交通省の「地価LOOKレポート」では将来の動向として、心斎橋、なんば、西梅田、茶屋町(キタ)の見通しを、「下落傾向で推移する」と予想しながらも、なんばエリアには「優良物件取得の好機と捉えて積極的に物件取得を検討する市場参加者が存在する」という言葉が添えられていた。空前のバブルが弾け、平常運転へと戻った大阪の不動産市場。改めて、大阪の底力が問われる局面を迎えているのかもしれない。


コメントです。
とても良い傾向ですね。
偏ってビジネスが 繁盛しても
ろくなことはない。
今までインバウンドで 恩恵を
こうむっていた 業者は決して
真っ当な やり方とはいえません。
大阪経済、 いったんリセットして
健全に立て直すべきですね。
#コロナは漂白剤
#あじさい文庫だより









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2020年11月21日

新型コロナワクチン、極低温輸送の準備急ぐ航空各社

ロイター 2020年11月20日

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10月18日、航空各社がこのところ忙殺されているのが、
極低温輸送・保管施設の準備である。
写真はベルギーのプールスにあるファイザーの研究施設で、
新型コロナウイルス向けワクチン試薬が保管された
冷凍庫の前を移動する関係者。ファイザー提供(2020年 ロイター)


[パリ/フランクフルト 18日 ロイター]
航空各社がこのところ忙殺されているのが
極低温輸送・保管施設の準備である。
運ぶものはファイザー
PFE.N
モデルナ
MRNA.O
が開発する
COVID−19ワクチンだ。
最初に流通する可能性が高い両社の
ワクチンだが、いずれも極低温での
輸送・保管が必要となる。

航空貨物関連の業界団体、医薬品輸送
企業の団体に対する最近の調査では
この業界に参入している企業のうち
ファイザー製ワクチンが必要とする
摂氏マイナス70度
(華氏マイナス94度)近い低温
での輸送に対応できるとの感触を
得ているのはわずか15%だ。
モデルナのワクチンが必要と
する条件はマイナス20度と
やや緩く、約60%の企業が
対応できるとしている。

通常、航空会社が医薬品を
輸送する場合、ドライアイス
などの冷却剤を投入したコンテナを
利用するが、温度調整ができない
ものもあり製品が運航の遅延など
予期せぬ出来事の影響を受けやすい。

航空各社は現在、極低温を必要と
するワクチンの輸送に向けて
小型車ほどのコストがかかる
大型の電気冷蔵設備から、
液体窒素を用いる多層構造の
冷蔵容器に至るまで
さまざまな選択肢を
検討している。

こうした高度な梱包技術に
対する潜在的需要が見込まれる
ため、クライオポート
CYRX.O
独バキューテック
VQTG.DEなど
冷蔵コンテナ専門企業の株価は、
ここ数カ月で2倍以上に上昇している。

大韓航空003490.KSの広報担当者は
「大韓航空では、温度管理コンテナの
メーカー5社と直接契約し十分な量の
コンテナを確保している。
現在、それ以外のコンテナメーカー
とも契約締結のプロセスに
入っている」と話している。

エールフランスKLMAIRF.PAでは
製薬会社1社とのワクチン輸送
実地試験を急いでいるという。
相手企業名については明らかに
しなかったが、恐らく
アムステルダムのスキポール
空港経由で、ダミーのサンプルを
極低温で輸送することになる。

エールフランスKLMの特殊貨物
担当マネジャーを務める
ベアトリス・デルプエク氏が
ロイターに語ったところでは
この実地試験では、
1個当たり最大5000回
投与分を収容するボックスを使い
全てドライアイスによって
冷却するという。
その後の輸送ではバキューテックから
貸与されるもっと大型の極低温
コンテナを使う可能性がある。

デルプエク氏は「航空輸送のセグメントも
含め、始点から終点までロジスティクス
全体を検証する必要がある」と語る。

「私たちのチーム全体と、プロセスの
ステップを逐一検証する
専門タスクフォースを用意して、
どこにも何の障害も残らないように
している」と話す。


<ドライアイスでは限界あり>

だが、ワクチン輸送における
難問の1つは、航空機では
限られた量のドライアイスしか
運べないという点だ。
ドライアイスは凍らせた
二酸化炭素であり、
時間が経つにつれて気体に
戻り、機内の呼吸可能な
空気を追い出してしまう
からだ。

DHLが作成したワクチン
輸送に関する白書によれば、
ワイドボディの航空機の場合、
どの機種でも、
冷蔵・断熱コンテナで
運搬可能なドライアイスは
最大で約1トンだという。

フランクフルト航空貨物協会の
ヨアヒム・フォン・ビニング
CEOは
「機種にもよるが、通常は、
一度に運べる冷蔵・断熱
コンテナは数個に留まる」と
話している。

代替案としてドイツポスト
DPWGn.DE傘下のDHLが
利用してきたのは、
クライオポートが製造する
カプセル・コンテナだ。
DHL
グローバル・フォーワーディンで
グローバル規模の温度管理
ソリューションを担当する
パトリシア・コール氏によれば
このコンテナは液体窒素に
よって貨物を
最低マイナス150度、
最長10日間維持するもので
ワクチン治験の支援に
用いられているという。

これは比較的小規模な
ソリューションで、
コンテナ1個あたりで
医薬品の瓶を数百本しか
納められないが、
すでに広い範囲で準備が
始まっている。

ファイザーは米国内での
ワクチン流通に向けDHL、
フェデックス
FDX.N
ユナイテッド・パーセル・サービス
(UPS)
UPS.Nと協力を
進めており、16日の発表に
よれば、全米及び
グローバル規模の輸送計画を
練り上げるために、4州で
試験的な配送プログラムを
開始したという。

また、ファイザーはドライアイスを
利用してワクチンを最長10日間
マイナス70度前後に維持する
GPS追跡可能な温度管理
ボックスを開発した。


ただ、スウェーデンの
エンビロテイナーなどの冷蔵
輸送ソリューション事業者は、
中身の冷却に電気モーターを
利用する、
いわゆる「アクティブコンテナ」
の方が、安全性も高く
コスト効率も良いと話している。

エンビロテイナーの広報担当者は、
アクティブ温度管理コンテナを
用いた同社の輸送フリートは
競合他社の2倍の規模であり、
さらに輸送能力を50%拡大
すべく準備を進めていると話す。

バキューテックも今月、
COVID−19用ワクチン輸送の
受注を期待して、今後数カ月間で
コンテナ輸送フリートを大幅に
拡大すると発表している。

今年はパンデミックに関連した
渡航制限のもとで旅客数が
急減しており、航空会社の
収益源として貨物輸送の
比重が増している。

アクセンチュア傘下の
シーベリー・コンサルティング、
ワクチンがグローバル規模で
配布されることにより、
6万5000トン相当の
航空輸送が発生すると
試算している。
これは2019年の航空機に
よるワクチン輸送実績の
5倍に当たる。

とはいえ、KLMの
ピーター・エルバースCEOが
今月11日のCAPA
センター・フォー・
エイビエーションのイ
ベントで語ったように、
航空会社にとっては、
ワクチンによって従来の
ように旅行できる
状況が戻る可能性が
何よりも重要である。
「航空産業全体にとって、
ワクチンの重要性は、
それによって生まれる
航空貨物収入よりもはるかに
大きなものになると考えている」と
エルバースCEOは語った。


コメントです。
まだワクチン開発のめどさえ

たっていなかった頃から、
製造したワクチンを世界中に
どうやって運ぶかを
検討していました。
そして、いよいよ
その方法案が実施される日が
きました。
いよいよですね。
















posted by salsaseoul at 02:54| Comment(0) | TrackBack(0) | covid-19

2020年11月19日

新型コロナ「ファイザー」と「モデルナ」のワクチンの特徴は

NHK  2020年11月17日

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有効性に関する暫定的な結果が発表された
「ファイザー」と「モデルナ」のワクチンは、
従来型のワクチンとは異なり、いずれも
「mRNA」という傷みやすい成分が
入っていて輸送や保管の際の、
低温での管理が重要になります。

適切な温度管理ができないと、
接種しても効果が失われる
おそれがあるということです。
アメリカのCDC=疾病対策センターの
会議などで示されたデータによりますと
「ファイザー」のワクチンは、

▽マイナス60度から80度であれば、
最大半年間、保存が可能で、
▽2度から8度だと5日間、
保存が可能だとしています。

一方、モデルナのワクチンは、
▽マイナス20度で最大半年間
保存が可能で、
▽2度から8度では30日間
保存できるとしています。

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これについて、アメリカのメディアは、
温度管理の点で、より扱いやすいと
みられるモデルナのワクチンの結果を
歓迎する専門家の声などを伝えています。

一方、ファイザーもワクチンの輸送に
使う専用の小型容器を開発していて、
ドライアイスを入れることで輸送の際や、
冷凍庫がない場所での温度管理が
容易になるような対応を進めています。

保管温度の違い 専門家は

「ファイザー」が開発を進めるワクチンと
「モデルナ」が開発するワクチンは
いずれも「mRNA」という遺伝子を使っています。

いずれのワクチンも低温で管理する
必要がありますが一般の医療機関で
生ワクチンなどを保管するときに
使われる2度から8度の温度で
保存できる日数は「ファイザー」の
ワクチンで5日間、「モデルナ」の
ワクチンは30日間と異なっています。

これについてワクチン開発に詳しい
北里大学の中山哲夫特任教授は、
ワクチンの性質などの詳しい情報が
公開されておらず、評価は難しいと
したうえで、「2度から8度という温度は
麻しんなどの生ワクチンを保管している
温度なので、現場で使うことを考えると、
いずれのワクチンもこの状態で数日間、
安定性があるということは、
使いやすいと思う。長く安定しているほうが
より使いやすい可能性はある。
ただ、輸送の段階ではさらに低い温度が
必要だと考えられるのですべての
医療機関に届けるためにはまだ、
課題は残っている」と話しています。

専門家
「長期の安全性や有効性
見極めはこれから」

アメリカの製薬会社、「モデルナ」が
開発を進める新型コロナウイルスの
ワクチンについて、専門家は
「長期の安全性や有効性はこれから
見極めないといけない」として冷静に
開発状況を見守るべきだとしています。

ワクチン開発に詳しい北里大学
中山哲夫特任教授は今回、「モデルナ」が
発表した臨床試験の暫定的な結果について
「インフルエンザワクチンで有効率が
30〜50%とされている中、それよりも
いいデータが発表されて、驚いている」と
話しました。

ただ、実用化について、中山特任教授は
「『ファイザー』からもいいデータが
発表されているがいずれのワクチンも
まだ中間段階の発表であり、
この発表だけで新型コロナウイルスが
制圧できる、コントロールできると
安心できるわけではない」と述べ、
開発の状況を冷静に
見守るべきだとしました。

そのうえで、「ワクチンを接種したことで
獲得できる免疫が1年なのか2年なのか
どれだけ続くのかがまだ分かっていない。
多くの人に接種することになると、
重篤な副作用が出てくる可能性もある。
長期の安全性や有効性は、今後、
見極めていく必要がある」と指摘しました。





posted by salsaseoul at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | covid-19

2020年11月18日

米モデルナのワクチン、有効性95%の初期結果 新型ウイルス

BBC 2020年11月17日 


202011181.jpg

米バイオテクノロジー企業モデルナは16日、
開発中の新型コロナウイルス感染症
COVID-19の新たなワクチンについて
95%近い有効性を示す初期結果の
データが得られたと発表した。
新型ウイルスのワクチンをめぐっては
米ファイザーが同様の結果を発表したばかり。
モデルナの発表で、ワクチンが
世界的流行(パンデミック)を終わらせる
確実性が高まることになる。

両社とも、高度に革新的で実験的な
手法によってワクチンを開発した。

モデルナは「素晴らしい日」だとし、
数週間以内にワクチンの使用許可を
申請する予定だと述べた。
ただ、今回はまだ初期データであり、
重要な疑問が残ったままになっている。

<関連記事>

どれくらい有効?

臨床試験(治験)はアメリカで3万人が参加。
半数にはワクチンが2回、4週間空けて
投与された。残りの半数は偽薬が接種された。

今回、COVID-19の症状が出た95人に
ついて分析した。

その結果、ワクチンが投与されたのは
5人だけで、90人は偽薬が与えられていた。
モデルナは、ワクチンが94.5%の人を守っているとしている。

COVID-19の重症を示した人は11人いたが、
ワクチンが投与された人は含まれていなかったという。

モデルナのタル・ザクス最高医療責任者は、
「全体的な有効性は際立っている
(中略)素晴らしい日だ」とBBCニュースに話した。

同社社長のスティーヴン・ホーグ博士は、
結果を知った時、
「しばらく満面の笑顔になった」という。

ホーグ氏は、「今回のワクチンがCOVID-19の
予防で94%の有効性がみられるとは誰
も真剣に期待していなかった。
本当に驚くべき結果だ」とBBCニュースに語った。

いつ接種できる?

それは、世界のどこにいて、何歳なのかによる。
モデルナは数週間以内にアメリカの規制当局に
申請するとしている。同国で2000万回分の
ワクチンを供給できるとみている。

同社は来年、世界中で最大10億回分を
供給したいとしており、他の国々にも
許可を求めていく予定だ。

日本政府はモデルナから、5000万回分の
ワクチンの供給を受けることで合意している。

不明なことは?

免疫がどれほどの期間、効果を保つのか、
まだわかっていない。その答えを得るためには、
治験ボランティアをもっと長い時間、
追跡調査する必要がある。

COVID-19の死亡リスクが最も高い
高齢者グループに対し、いくらかの予防効果が
あることは示されている。
ただ、完全なデータはない。

モデルナのザクス氏は、これまでのデータから、
年齢によってワクチンの「効果が失われるようには
見えない」とBBCに話した。

ワクチンが重症化を止めるだけなのか、
それともウイルスの拡散を止めるのかも不明だ。

これらの疑問は、ワクチンの使い方にも

影響を及ぼすことになる。

副反応はある?

安全性に対する深刻な懸念は報告されていない。
だが、パラセタモール(鎮痛剤)を含め、
どんなものも100%安全ではない。

ウイルスを投与した患者の一部は、一時的な
だるさや頭痛、体の痛みなどを訴えたという。

英インペリアル・コレッジ・ロンドンの
ピーター・オープンショー教授は、
「そうした作用は、効果があり、望ましい
免疫反応を引き起こしているワクチンに
見られるものだ」と話した。


202011182.jpg

ファイザーのワクチンとの違いは?

どちらのワクチンも、新型ウイルスの
遺伝子コードの一部を投与することで
免疫反応を起こす、という手法は
一致している。

これまでの初期データは、両方ともそっくりだ。
ファイザーと独ビオンテックが共同開発中の
ワクチンは約90%、モデルナは約95%の
予防効果がみられている。

しかし、どちらも治験は続いており、
最終結果は変わる可能性がある。

モデルナのワクチンは保存が
比較的簡単なようだ。マイナス20度で
6カ月間まで安定した状態を保てる。
標準的な冷蔵庫でも最長1カ月間保存できる。

一方、ファイザーのワクチンは、マイナス75度近い
超低温での保存が必要だ。
ただ、冷蔵庫でも5日間は保存できる。

ロシアで開発されたワクチン「スプートニクV」
最初期データで92%の有効性があるとされている。

どう作用する?

モデルナが開発した「RNAワクチン」は、
新型ウイルスの遺伝子コードの一部を体に注射する。

体内でウイルスのタンパクが作られるが、
完全なウイルスは作られない。
これにより、免疫システムが、ウイルスの
攻撃に対して訓練できるようになる。

訓練によって、抗体と、T細胞と呼ばれる
免疫システムの両方が、
新型ウイルスと戦えるようになる。

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いつCOVID-19は終わる?

1週間以内にファイザー、モデルナ、
ロシアから良い結果が示されたことで、
パンデミックを終わらせる可能性は飛躍的に膨らんだ。

最初の結果が出る前は、ワクチンの有効性は
せいぜい50%程度だろうとみられていた。
しかし、そうした見方は吹き飛んだ。
ワクチンが開発可能になっただけでなく、
強力な効果がありそうだとわかってきた。

これまでのデータは、他の開発中のワクチンに
ついても、成功への期待を高めるものとなっている。
だが、問題の1つが解決に向かう一方で、
別の問題が持ち上がっている。

世界中の何十億人という人々に
実際に接種するのは、途方もない難題だ。

専門家の一部は来春までに平常が訪れると
主張し、別の専門家らは来年の冬までかかるとの
見方を示す。
この先、長い時間がかかると考える専門家もいる。

その答えは、各国がいかに素早く、
「薬瓶の中の希望」を人々に
届けられるかにかかっている。

どう受け止められている?

インペリアル・コレッジ・ロンドンのオープンショー教授は、
「今回のモデルナのニュースは非常に興奮するもので
数カ月以内に優れたワクチンを選択できるように
なるという楽観的な見方を大幅に強めるものだ」と
話した。

同教授はまた、「報道発表よりも完全な詳細情報が
必要だが、今回の発表で楽観的な雰囲気が
高まる」とした。

英オックスフォード大学のトルーディ・ラング教授は、
「新たなワクチンに、先週ファイザーから発表されたのと
似たような有効性の結果が見られたのは、
非常に良いニュースだ」と述べた。

「今回の発表は中間分析であり、ワクチンを
投与されたボランティアたちに統計的に
有意なケースが確認されたことと、誰が
ワクチンを投与され、誰が偽薬を
投与されたかを見定めるために、
開発チームの目隠しを解くことを意味する」

国際研究機関・感染症流行対策
イノベーション連合(CEPI)を率いる
リチャード・ハチェット博士は、
「モデルナの結果はこれ以上望めないものであり、
期待を非常に高めるものだ」と評価した。






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2020年11月09日

ぜんそく患者「コロナ禍で急減」という衝撃事実

ぜんそく患者「コロナ禍で急減」という衝撃事実
予防や服薬など患者の行動変容が引き起こした
2020 11 05 東洋経済
202011091.jpg

新型コロナウイルス(COVID-19)
流行期に「ぜんそく(喘息)」に
よる入院患者数が
急減したことがわかった。

 

気管や肺に感染するウイルスは一般に、
ぜんそくを悪化させると知られている。
そこで、新型コロナも同様にぜんそくの
コントロールを増悪させると考えられ、
医療関係者の間では、新型コロナ流行当初、
ぜんそくの入院患者数が増加する
可能性が危惧されていた。

 

これは大規模診療データベースを
分析する研究で判明した事実だ。
大規模診療データベースの研究に
よる想定外の結果は、これまで医療で
“当たり前だったこと”を見直す機会に
なるかもしれない。

 

手指消毒やマスク着用が効いている?

 

この診療データベース研究は、
東大大学院医学系研究科・公衆衛生学教室の
宮脇敦士助教らのチームと、データック
代表取締役CEO兼医師の二宮英樹氏が
共同で行ったものだ。
ぜんそく入院患者数の減少は、
新型コロナからの感染予防行動だった
手指消毒や、マスク着用による花粉などの
アレルゲンへの暴露(さらされること)の
減少が主な要因だと推測される。


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今回の研究では、
メディカル・データ・ビジョンの
国内最大規模の診療データベースを用いた。
この研究の論文は、
アメリカアレルギー・ぜんそく・免疫学会
(AAAAI)の公式学会誌
『The Journal of Allergy and Clinical Immunology:In Practice』誌
オンライン版に2020年10月13日付
(日本時間)に掲載された。

公衆衛生を専門にする宮脇助教は
新型コロナが流行する中で、世界的に
知られる医学雑誌『The Lancet』の
姉妹誌である
『Lancet Respiratory Medicine』の記事で、
アメリカの小児病院の救急外来でぜんそくに
より受診する患者が減ったとする調査研究を
目にし、驚いた。
その後、欧州の人口200万人超のスロベニアに
ある小規模病院でもぜんそくの入院が
減少していることなどを耳にした。

ところが、これらの研究の中には、
年齢別の傾向などが
はっきりしないものもあった。
そのため宮脇助教は大規模診療
データベースを用いて、年齢階層別などの
詳細な研究をしたいと考えていた。

今回の診療データベース研究は
全国272病院の2017年から今年(2020年)の
1月から5月の間にぜんそくを主病名に
持つ入院患者数の週ごとの推移を調べた。
例年、春先(年初からの第9週=3月上旬以降)
から初夏にかけて、ぜんそく入院患者数は
増加する傾向があるにもかかわらず、
今年はちょうど同時期にあたる、
新型コロナ流行期のぜんそく入院患者数は、
例年に比べ約半減した。この傾向は、
18歳未満の子ども、成人ともに認められた。

新型コロナ流行期にぜんそく入院患者数が
大幅に減少したことについて宮脇助教は、
「ぜんそくに対する薬剤は、吸入ステロイド剤が
一般的になっている。コロナ禍で、
同剤の効能が急激に改善したとは
考えられない。そうするとぜんそく患者が
減ったのは、感染予防行動の波及効果や
患者の服薬コンプライアンス
(薬剤規定どおりに服薬すること)が
向上したことも理由として挙げられる」と
分析している。新型コロナが、患者の
行動変容を引き起こしたと
考えてもいいだろう。


宮脇助教は公衆衛生の研究をする一方、
医師として臨床の現場にもいる。
統計的に見て、季節性インフルエンザは
すでに例年に比べて急減しているが、
宮脇助教は外来診療をする中で、
「明らかに発熱患者が減っている」と
肌で感じている。今回の新型コロナの
流行で国民が感染症を予防するために、
手洗いや手指消毒のほか、
密閉、密集、密接を避けるいわゆる3密を
回避するなどの予防行動を徹底している。
個々人の行動変容が起きている。

大規模診療データベースの研究に
手応えを感じている宮脇助教は、
「新型コロナはある意味、
大規模な社会実験かもしれない」と話す。
今後の課題としてコロナ禍による
診療パターンの変化により、検査数値の
改善度合いといった「アウトカム」に
どのような影響を及ぼしたかを
調べてみたいと意欲的だ。

医療費削減につながるかもしれない

糖尿病患者の血糖値コントロールでは、
定期的な血液検査が一般的だ。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)を
測定して、採血前の約1〜2カ月の
平均血糖値をチェック、血糖値が
安定しているかのアウトカムを確認している。
コロナ禍で検査回数が減ったとしても、
そのアウトカムに変化がなければ、
検査の間隔を延ばして検査回数を
減らすことができるかもしれない。

この仮説が立証されれば、例えば、
これまで当たり前にやっていた
1カ月に1回の検査回数を2カ月に
1回に減らせれば、医療費など
患者負担の軽減につながる。
大規模診療データベースに基づいた
研究により、無駄な検査を
減らすことができるかもしれない。

宮脇助教はまた、「コロナ禍以前の、
保育所など密になる場所が子どもの間での
ウイルス性疾患の感染拡大に
つながっていたのならば、大人が
仕事をしやすくなるための代償だったとも
考えられる。社会全体の利益を
考えるうえで、その代償が適切で
あったのかも、このコロナ禍をきっかけに
考え直すきっかけになるかもしれない」と
問題提起をする。現代のライフスタイルの
変化が、社会全体で見ると損失に
なっている側面があるかもしれないというのだ。

「データベースの規模が大きいと、
本当に解析したい集団を絞り込むことが
可能になるため、より解像度の
高い研究結果を実施することができる。
臨床現場の気づきとクエスチョンを
私たちのようなデータサイエンティストや
臨床疫学者が吸い上げ、データを使って
解析することで、新型コロナによって
引き起こされた変化を定量的に理解する
ことができる。そういった定量的な把握は、
いわゆる“医療崩壊”を回避する
取り組みを行っていくうえで非常に有用と考える

今回の共同研究に参加した1人である
データックの二宮氏は、こう語る。
二宮氏は、データサイエンティストで
ある前に医師でもある。
医師とデータサイエンティストは、
それぞれ使う言語が違うため、
課題抽出の場面などで時間を要することがあるが、
二宮氏はそれぞれの言語を理解できるので、
課題解決までのスピードが短くなる。

国民的な行動変容が起きた

医学・医療界では、因果関係を
突き詰めるのが難しい。
二宮氏は、「コロナ禍で世の中に
どのような変化が起きたかを明確に
するには、データベースの研究は
とても有効だ。今回の研究で認められた
ぜんそく入院患者数の劇的減少は、
個人や社会が生活様式を変えることで
ぜんそくによる入院を防げる可能性が
あることを示唆した。ぜんそくの良好な
コントロールのための予防行動や
生活環境への配慮の重要性が
再認識させられる」と話す。


新型コロナに関する感染者の
増加や経済停滞などの
暗いニュースばかりが続く中で、
今回のデータベース研究は
比較的ポジティブな結果となった。
新型コロナの感染拡大により、
国全体で予防行動が徹底され、
国民的な行動変容が起きたのは確実だ。
その結果、新型コロナ以外の疾患が
抑制されるケースが出てきている。


欧米で新型コロナの感染者が
再び急増するなどして
楽観できない状況だ。
宮脇助教らのチームと二宮氏も
含めた今回の共同研究者たちは、
ぜんそく以外について、
大規模診療データベースを
用いた研究に、すでに着手している。
一連の研究に対して世界中の
医療者・研究者に関心を寄せてもらい、
「研究のための研究」ではなく、
「世の中のためになる研究」が
進展することを強く望んでいる。

新型コロナによる医療崩壊
について二宮氏は、医療機関に
新型コロナ患者があふれる事態と、
感染を恐れて受診控えが起きて
ほかの病気の患者の医療が
先延ばしされる事態が同時に
起こることを“二重の医療崩壊”だと
定義している。現在進行中の
ほかの診療データベース研究が、
“二重の医療崩壊”を回避する
ヒントになると期待している。


コメントです
コロナパンデミックが
医療制度でプラスの要素を
もたらす可能性があることを
視差しています。
ナイル川の氾濫が、
肥沃な土壌と測量技術の
発達に貢献したような
ものでしょうか。

こちらの記事、
#マスク不要論派
#コロナでっち上げ派
#コロナ現実逃避派

読んで頭を冷やして
もらいたいものです。

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2020年08月27日

新型コロナにまつわる致命的な「3つの大嘘」

東洋経済  2020/08/22

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世の中は嘘であふれている。
今回はその中の「3つの嘘」を糾弾しよう。

8月17日、日本の2020年度4−6月期のGDP速報値が
発表され、前期比で年率換算27.8%の減少となった。
これを受けて、メディアは「リーマンショックを
上回る戦後最悪の不況」などと騒ぎ立て、有識者も
「回復は最悪の場合、2024年度になる」などと
コメントしている。

こうした見方はすべて間違いだ。


第1の嘘は、このようなコロナショック不況に
ついての考え方だ。
経済は今後、不況にならない。逆だ。世の中はバブルになる
。なぜ、そんなこともわからないのかは大げさに言えば
「21世紀最大の謎」だが、有識者たちの一部は
確信犯なのかもしれない。

今回の不況のサイズは
「史上最小」かもしれない

足元のGDPの減少は、足元だけのことだ。
そして、すでに5月末に緊急事態宣言の終了と
ともに終わっている。7−9月期は必ずV字回復する。
そのV字が緩やかになるかどうかはポイントではあるが。
すでに6月以降、経済は回復し始めている。
この数字に対応して、新たに経済対策を打つ必要は
全くない。少し計算してみれば、すぐにわかるはずだ。
日本のGDPは500兆円強。四半期では130兆円程度。
27.8%というのは年率換算だから、前期比では
マイナス7.8%。実質額では10兆円程度にすぎない。
これがコロナショックのすべてだ。

つまり瞬間的に需要が蒸発しただけだ。
基本は「フローのショック」に過ぎない
一時的に行動制限されたから、その期間は需要が
失われた。それが終われば終わる。
だから、後をひかない。
不況のサイズとしては、史上最小の不況と言える。

スピードとしても最速だ。ショックで大きく
落ち込んだのは3〜5月の3カ月だけ。
6月からは回復しており、たった3カ月の
経済縮小ショックだった。
史上最悪なのは、瞬間風速だけで、一時的に需要が
蒸発したと言われるその現象だけが特異なだけで、
それ以外は、普通の不況である。
いや、普通以下の、史上最小のミニマムショックだったのだ。


また、コロナショックとは、述べたようにフローの
ショックに過ぎず、ストックは何も傷んでいない。
そこがリーマンショックとも東日本大震災とも違う。
大震災では、生活インフラが、産業インフラが、
農地が、港湾が破壊された。その立て直しには
時間がかかる。だがコロナでは何も壊れていない。
人々のマインド以外は何も壊れていないのだ。

リーマンショックでは、多くの金融資産が失われた。
紙くずになった。バブルに乗って、サブプライムローンで
借りられるだけ借りて、家だけでなく、
自動車も高級家電も買ってしまった。

それらはお金には戻らない。バブル消費は戻らない
。家計は長期にわたって消費ができなくなってしまった。
産業界もバブル消費めがけてビジネスモデルを
作り上げてしまったから、立て直しに時間がかかる。
リーマンショックはストックのショックで、
なかなか立ち直れなかった。
繰り返すがコロナショックは、ストックは何も傷んでいない。

さらに、金融機関が傷んでいない。リーマンショックは
投資家、金融機関を直撃した。そうなると、バブル崩壊の
影響は、幅広く経済全体に広がる。バブルと無関係に
まじめに製造していた工場に対しても貸し渋り、
貸しはがしが起こる。銀行の資本が投資損失で
毀損したから、融資を縮小する必要がある。
バランスシート調整が起こる。

しかし、今回、金融機関は、少なくとも直接は
まったく傷んでいない。今後、経済縮小が広がれば
破綻の連鎖もありうるが、前述のように、
もうフローの危機は終わった。だから、それもない。
したがって、コロナショックはもう終わったし、
後は前に進むだけなのだ。

なぜメディアは「ジョーク」のようなことを言うのか?

それなのに、なぜメディアは
「戦後最悪、人類史上最悪」などと、
ジョークのようなことを言い続けるのか。

それは「期間が短く、瞬間風速が最強だった」という
2つの特徴とともに、特定領域に不況の悪影響が
集中している、という3つめの特徴を持っていることが
理由だ。中小の飲食店、地方の中小の観光、旅館業界、
これがショックを一身に集めて浴びたために、ニュースと
して取り上げやすく、都会の無傷の年金生活者、
大企業サラリーマン、主婦、学生、大学教員などからの
同情を集めやすいニュースであるからであろう。

政治家たちは、もちろん確信犯である。
「危機を煽り、それを救うのは自分たちだ」という姿を
選出したいし、カネが動けば実利が伴う人々
もいるだろうから、
「この経済ショックはたいしたことはない」
などとは決して言わない。

不思議なのは、エコノミストなどの有識者たちだ。
GDPの年率減少27.8%に対してはようやく
「年率換算はミスリーディングだ」と言い始めた。
日ごろは意見が合わない双日総合研究所の
チーフエコノミストであるかんべえ(吉崎達彦)氏
ですら、これについては私と同意見のようだ
(詳しくは『溜池通信の8月19日の欄を参照』)
。だいたい、これまでは
「コロナショックは大したことがない」と言っていた
経済学者など、ほとんどいない。


これは経済学者や有識者の悪い癖である。
危機であるほうが、対策、経済対策の提案、議論など、
発言する機会が増える。それゆえ人々が
「危機ではないか」と恐れているときは、
それを煽るほうが、仕事がある、あるいは正義の
味方として議論に登場するという「快感」が
得られることから、危機だと思わせる節がある。
メディアももちろんそれを歓迎する。

今回、GDPの速報値が発表される前に、
「テレビ出演してコメントしてくれ」、という事前の
依頼が私にも殺到した。念のため
「どのような見解ですか」と聞かれたときに
「全然大したしたことない。GDPが前期比マイナス30%に
なっても気にすることはない」と明快に答えていたら、
すべての依頼は立ち消えになった
(それでこの記事を書いている)。

嘘は「単なる嘘」だけでは済まず、高くつく

これは日本社会の悪癖だ。そして
「メディアと有識者は酷い!嘘つきだ!」と
いうだけでは済まない。この嘘は高くつくのだ。

なぜなら、この嘘に基づいて、政治家たちは
政策を打つ。国民に受けるような政策を打つ。
つまり、ばら撒きだ。いわゆるコロナ給付金は、
必要ない人(前述の都会の無傷の人々など)にも
1人10万円配られた。そのお金がアマゾンや
家電量販店、さらには百貨店などにも向かい、
そして株式に向かった。巷ではロビンフッダー
などと呼ばれる「にわか個人投資家」が、
アメリカにも日本にも溢れている。

先日も、日比谷線の六本木駅で非常に若くて
煌びやかな女性が、私のすぐ近くでバーキンに
似たバックの中からスマホを突然2台取り出したので
「なんだろう」と思っていたら、緑と赤の文字が
フラッシュしているのが目に入ってきた。
株価ボードだったのだ。

そう、これから起こることは、第1に
「無駄なばら撒きによる株価バブル」だ。
一時的なフローのショックなのに、
FED(アメリカの中央銀行)をはじめ世界中の
中央銀行が、リーマンショック以上の大規模緩和を
している。そして、金融緩和は急にやめることは
できない。バブルは必至だ。
いや、すでに始まっている。

1つ目の嘘が長かったが、これが第2の嘘だ。
つまり今後は、デフレにもインフレにもならない。
バブルになるのである。
いや、もうすでに大きなコロナバブルが始まっている。
この点で、わが同僚でかんべえ氏とともに
この持ち回り連載を担当している経済評論家の
山崎元氏も「嘘」をついていることになるのではないか。

山崎氏は
「アフターコロナはバブルになる可能性が大きい」
などといっているが、すでにバブルは始まっていて、
すでに佳境を迎えている。可能性が大きいのではなく、
100%で、もう起きている。
競馬で言えば、先週のレースの予想をしているようなものだ。

このバブルは、もう少し膨らむだろう。
そして、山崎氏が最後に指摘しているように、
結末を迎える。そう。もちろん、崩壊するのである。
そして、山崎氏と残念ながらまったく意見が同じなのだが、
肩代わりするのは、今度は中央銀行ではなく政府だ。
政府の財政のばら撒きにより、すべてのしわ寄せは
政府に来る。つまり、財政破綻となる。


問題はその先だ。どうなるのか。
私は、大転換が起こると思っている。

ただし、これはコロナショックで転換が
起きるのではない。「世界の知性」などと
呼ばれるような人々が
「コロナで世界が変わる」という類の本をにわかに
出版しているが、嘘だ。これが第3の嘘
である。

コロナで世界は何も変わらない。
言ってみれば、やっかいな感染症が1つ増えただけだ。
21世紀は感染症の世紀で、すでにSARS、MARS、
新型インフルエンザと3つも増えていて、
新型コロナも4つ目が増えるだけで(
少しより厄介だとしても)、世界は何も変わらない。
変わるとすれば、すでに変わっているのであって、
感染症の21世紀はだいぶ前に始まっていた。

そのほかの変化もまったく同じで、すでに起きていた
変化が加速しているだけだ。新しい働き方も、
DX(デジタルトランスフォーメーション)とか
何とかいうやつも、高齢者施設のあり方も、
医療のあり方も、すべて新しい現実はだいぶ前に
始まっていた。その変化が加速しているだけのことだ。
何も新しいことはない。

地政学についても同じだ。中国をはじめ、コロナ対策での
アジア諸国のパフォーマンスのよさや、国ごとの実力の
差が顕在化した欧州については誰の目にも明らかになった。
アメリカは金融市場こそ豊かで依然盛り上がって
いるように見えるが、社会インフラは脆弱であることが、
再度確かめられた。コロナによる死者の多さも
格差社会のひずみが大きく影響している。

しかし、これについても間違った議論が多い。
世界の知性は「世界が変わる」などといっているが、
そうではない。アメリカの覇権の放棄、中国の
影響力のさらなる拡大が加速するだけだ。
その点で、かんべえ氏の、ドナルド・トランプ大統領に
ついての最近の議論も一部間違っているのではないか
(詳しくは「『いかさまハリス』と罵るトランプ陣営の勝算」をご参照)。

どうも日本のインテリ層、政治家、官僚たちは共和党が
好きなようなのだが、少なくとも、その延長線上で
「トランプ大統領のほうが日本にとって望ましい」
という議論をしたがるのは明らかに間違いだ。
トランプでいいことはひとつもない。
そして、そういう議論を有識者たちがしているのは、
世界で日本だけだろう。

日本の保守系有識者たちが、民主党よりも、共和党を
好む妥当な理由の多くは、軍事戦略によるものだ。
共和党のほうがタカ派であると同時に、無駄な介入はせず、
合理的に「アメリカ第1主義」の安全保障戦略をとる。
一方で民主党は、中途半端な正義感から介入してしまったり、
中国の経済市場の魅力におぼれて外交的に譲って
しまったりということがあるからだろう。

ここは賛否両論あるし、どちらもあり得るのだが、
トランプ氏がアメリカの大統領であることで
世界の安全保障にとってよいことなど、ひとつもない。


またトランプ大統領が表面的に対中強硬派で
あることは、仮に短期的に効果があったとしても、
長期的には何のよいこともない。

外交は常に長期で考えるべきである。
長期で考えれば、短期的に中国を封じ込めること
よりも、アメリカ、欧州、中国の3極の均衡の下に、
中国がこのバランスを崩せないようにすることのほうが
重要だ。つまり、中国がその均衡から抜け出そうとすれば、
米欧の利となるような状況を保ち続けることが、
中国の世界的覇権掌握への抑制となるからだ。
短期的な対中強硬策は、何の役にも立たない。

最重要事項は「欧州とアメリカの結束再強化」

トランプ大統領による「世界秩序の破壊」でもっとも
深刻なのは、アメリカと欧州の関係に傾きが
生まれたことだ。まもなく亀裂になるかもしれない。
欧州は、明らかに米中のバランスで言えば、
中国側に傾いている。どんなに表面的に中国を
非難しようとも、実質的には、中国を責めることはない。
対中包囲網を作りたがっているのは、せいぜい、
アングロサクソン国家だけで、しかも、イギリス、
カナダ、豪州の対中包囲網は経済的に余裕のない、
彼らにとっては非常に危うい、
持続可能とは思えない「絆」だ。

したがって、現在最も重要なのは、アメリカに
世界秩序維持から抜け出させないことであり、
欧州とアメリカの結束を再度強めることであり、
それにはトランプ大統領は最悪である。

とにかく欧州は余裕がない。ロシア、ベラルーシ、
ウクライナに対する安全保障リスクに対しては一枚岩に
なれるかもしれないが、中国に対してはもはや
不可能に近いだろう。したがって、中国との関係を
切らせるのではなく、米欧の結束を強めることで
3極のバランスを取る以外に方法はないのだ。


また、アジアの安全保障はもちろん重要だが、
長期的には、グローバルに中国を押しとどめられ
なければ、アジアは中国に完全に支配されるのは必然だ。

すでに、実際には、アジアは中国に支配されて
しまっているといってもよいかもしれない。
香港、台湾の問題では中国が強硬に出ざるを得ないのか、
もはや出ても大丈夫だと判断したのか、
それとも失敗なのか、意見は分かれるだろう。

だが、言ってみれば勝負に出られるほど、
アジア支配はほぼ確立したと言っていいだろう。
もうじたばたしても遅いのだ。日本も現実を直視する必要がある。


コメントです。
コロナ下の経済影響、
そして今後の展開について、
経済学者の視点で意見されています。

市井の現状感はやや欠けるようですが、
ポジティブな予想展開は好感が持てます。






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