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2016年03月07日

認知症徘徊事故、家族に責任なし 監督義務、総合的に判断 JR賠償請求に最高裁判決

朝日新聞 2016年3月2日

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愛知県大府市で2007年、認知症で徘徊(はいかい)中の
男性(当時91)が列車にはねられて死亡した事故をめぐり、
JR東海が家族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟の
上告審判決で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日、
介護する家族に賠償責任があるかは生活状況などを総合的に
考慮して決めるべきだとする初めての判断を示した。

そのうえで今回、妻(93)と長男(65)は監督義務者にあたらず
賠償責任はないと結論づけ、JR東海の敗訴が確定した。
高齢化が進む中で介護や賠償のあり方に一定の影響を与えそうだ。

民法714条は、重い認知症の人のように責任能力がない人の
賠償責任を「監督義務者」が負うと定めており、家族が義務者に
当たるのかが争われた。JR東海は、男性と同居して介護を
担っていた妻と、当時横浜市に住みながら男性の介護に
関わってきた長男に賠償を求めた。

民法の別の規定は「夫婦には互いに協力する義務がある」とも
定めるが、最高裁は「夫婦の扶助の義務は抽象的なものだ」と
して妻の監督義務を否定。長男についても監督義務者に
当たる法的根拠はないとした。

一方で、日常生活での関わり方によっては、家族が
「監督義務者に準じる立場」として責任を負う場合もあると指摘。
生活状況や介護の実態などを総合 的に考慮して判断すべきだ、
との基準を初めて示した。今回にあてはめると、
妻は当時85歳で要介護1の認定を受け、長男は横浜在住で
20年近く同居していなかったことなどから「準じる立場」にも
該当しないとした。

結論は5人の裁判官の全員一致。ただ、うち2人は長男は
「監督義務者に準じる立場」に当たるが、義務を怠らなかった
ため責任は免れるとの意見を述べた。

JR東海は「最高裁の判断なので、真摯(しんし)に受け止める」
とのコメントを出した。(市川美亜子)

 ■<解説>社会で分かち合いを

最高裁の判決は、社会の高齢化が進み、「老老介護」などで
家族が重い負担を強いられている現場の現状に即した
判断といえる。

家族に賠償を命じた一、二審判決は、介護現場から
「認知症の人の在宅介護を敬遠する人が増える」といった
批判を浴びた。最高裁は「家族だから」という理由だけでは
賠償責任を負わないと判断した。一方、介護を担う人の
年齢や生活状況などによって賠償責任が認められる余地
も残した。解釈の幅は広く、今後積み重ねられるであろう
個別のケースに判断を委ねた形だ。

事故で損害を負うのは今回のような大企業だけでなく、
個人の場合も想定される。誰もが直面し得る時代に、
社会全体で負担を分かち合う仕組みづくりも急務だ。
(市川美亜子)


コメントです
今回の判決は一般的社会意見からすると
当然のことと思われます。
しかし、案外JR東海も損害賠償より、認知症患者の

事故防止として問題提起をしたかっただけなのかも
しれませんね。





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2016年01月08日

北九州市が「子ども食堂」 自治体初、新年度開設へ

西日本新聞 2016年01月04日

北九州市は、経済的な理由で食事を満足に取れなかったり、
親が忙しくて一人で食べたりしているひとり親家庭の児童・生徒に
食事提供や学習支援を行う 「子ども食堂」を設ける方針を固めた。
対象は小学高学年から中学生で、2016年度の開設を目指す。
厚生労働省によると、自治体の食堂設置は全国で初めて。
市民レベルの取り組みが広がる中、自治体も子どもの
居場所づくりに乗りだす。 

計画によると、市内2カ所に設置。学童保育後、親が仕事を
終えるまでを主に想定し、平日と土曜の午後6時半〜同10時の
利用とする。夕食は少額で提供するか、食材などを持参して
もらうかを検討。スタッフが勉 強を教えたり、調理や掃除など
生活習慣を指導したりすることも視野に入れる。
市は数十人の利用を見込み、運営は子育て支援団体などに
委託する考え。
市によると、20歳未満の子どもがいる市内のひとり親家庭は
約1万8千世帯(11年現在)で、過去20年で約5400世帯
増えた。このうち母子家庭の年収 は全国平均291万円に対し、
市内は234万円。母子家庭の小学高学年−中学生は
1万人近いといい、市は「食事を満足に取れない子どもは
さらに増えるだろ う。学習や食の環境を整えることで
『貧困の連鎖』を断ちたい」としている。

長崎大教育学部の小西祐馬准教授(児童福祉)は
「市民が手弁当で子ども食堂に取り組んできたが、
本来は行政の役割。将来は小学校区に一つ設けるべきだ」と
指摘している。

=2016/01/01付 西日本新聞朝刊=

関連記事です。
子ども食堂「私たちも」 主婦や元教師…開設準備

貧困など、さまざまな事情を抱える子どもたちに食事を
提供する「子ども食堂」を新たに開設する動きが、
福岡県大野城市の2カ所と同県那珂川町で具体化
している。満足にご飯が食べられない子どもだけでなく、
親の多忙などを理由に孤立しがちな子どもが気軽に
立ち寄れる居場所にもなれば−。
そんな思いを込めて、準備が先行する那珂川町の
松木公民館でクリスマスの25日、
「なかがわこども食堂」がオープンする。

「食事の前に、近くの公園でごみ拾いをしてもらっては」

「食器は子どもに片付けてもらうなどルールを決めよう」。
20日、松木公民館には子ども食堂の実行委員らが
集まり、運営方法について話し合った。

母体となるのは、大野城市を中心に子育て支援に
取り組むNPO法人「チャイルドケアセンター」。
2001年に設立し、子育て世代の母親向けの情報誌を
発行してきたほか、託児事業や小学校の学童保育などを
行っている。

同じ服を1週間着ている子、何日も風呂に入っていない子、
赤飯や雑煮など行事食を知らない子…。同センター理事の
吉儀亜紀さんらは、そんな子どもたちが増えている現状を
目の当たりにし、「食育を通じた支援ができないか」と
ずっと考えてきた。こうした中、子ども食堂の取り組みを
紹介した西日本新聞の11月7 日付朝刊の記事が
「(開設の)後押しになった」(吉儀さん)という。
日頃から付き合いがある同公民館に協力を依頼したところ、
快く場所を貸してくれた。

同センターは、大野城市中央コミュニティセンターでも
「おおのじょうこども食堂」を開く準備を進める。両食堂への
食材を供給するため、企業や農家から余った食材を
提供してもらう「ふくおかフードバンク」も展開していく予定だ。
ほかの地域からも「開設したい」との声が寄せられているという。

なかがわこども食堂は、25日午前11〜午後4時で、おにぎりと
豚汁を無料で提供する。当日は学習支援も行う。
おおのじょうこども食堂は、来年1月17日に開設予定。
いずれも、どのくらいの頻度で食堂を開くかは今後検討する。

    ■  ■

大野城市東大利3丁目でも、野菜ソムリエの資格を持つ

主婦や元教師らが来年2月7日に「下大利こども食堂」を
オープンさせる。 主催者と子どもたちが一緒 にカレーを
調理して食べるのが特徴だ。調理を手伝った子どもは
無料になる。メンバーは十数人集まっており、
毎月第1日曜日に定期開催する予定。食材の提供や
寄付を呼び掛けている。主催者の富修一さん(49)は
「新聞記事が一つのきっかけになった。ご飯を1人で
食べている子どもたちの居場所にしたい」と話し ている。

    ■  ■

子ども問題取材班には、九州各地から「自分たちの地域でも
子ども食堂を開きたい」といった声が数多く寄せられている。
本紙は、その動きを今後も紹介していきたい。

=2015/12/23付 西日本新聞朝刊=

コメントです
NPOなどボランティア目的の民間団体による、「こども食堂」の
開設が各地市町村で行われているようですが、その動きを
受けて自治体も初開設への取り組みを開始しました。
もちろん、これだけでは子供の貧困へのセーフティネットと
しては脆弱ですが、それでも緊急性目的の子供への支援と
しては十分有効だと思います。

今後、自治体は予算等の支援、それから現場でのノウハウは
ボランティア団体が豊富な知識を持っているので、両者が連携して
充実した支援活動を行ってほしいですね。





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2015年12月20日

市民参加6年半、初執行 裁判員判決による死刑

朝日新聞 2015年12月19日


法務省は18日、2人の死刑を執行した。
うち1人は、2009年に川崎市のアパートで3人を
殺害した殺人の罪で、11年に横浜地裁の裁判員裁判で
判決を受けて確定した津田寿美年死刑囚(63)。
09年5月に裁判員制度が始まって以来、市民が判断に
加わった死刑囚に刑が執行されたのは初めて。
東京拘置所で執行された。

裁判員裁判で死刑判決を受けたのは26人、
このうち確定者は今回の執行前までに7人。
津田死刑囚は2番目に早く確定していた。

死刑執行による裁判員の精神的な重圧は、制度設計時から
指摘されていた。だが、法務省幹部は「制度が定着する中、

執行を避けていては、逆に市民に失礼だと考えた」と話す。

では、誰から執行するのか。最初の確定者は共犯者が逃亡中で、
執行が難しかった。津田死刑囚は公判で「命で償う」と語り、

弁護人が控訴したものの、自ら取り下げて確定していた。

省内には「プロの裁判官が裁く高裁、最高裁の審理も経て
確定したケースが望ましい」という声もあったが、
「自ら控訴を取り下げたことは、罪の内容に疑いがないことを
意味する」。ある幹部はこう説明した。

今回の執行で、収容中の確定死刑囚は126人。
うち90人余りが再審請求中だ。請求中は執行しないのが
慣例となっており、津田死刑囚が請求していなかったことも、
執行に踏み切った理由の一つとみられる。

14年までの10年間に執行された死刑囚について、確定から
執行までの平均期間をみると約5年5カ月。津田死刑囚は
確定から4年5カ月が経過していた。

     ◇

法務省は18日、裁判官のみで判決を出した
若林一行死刑囚(39)の刑も執行した。06年、岩手県洋野町の
上野紀子さん(当時52)と次女友紀さん(同24)を絞殺。
現金2万2千円などを奪って遺体を山林に遺棄したとして、
強盗殺人などの罪で12年に確定していた。

 ■一生背負う・苦しみ消えない 裁判員経験者ら

津田死刑囚の裁判で裁判員を務めた20代男性は、判決から
約2年後の取材で、死刑執行のニュースのたび、誰が
執行されたのか気が気でない日々を送っていると語った。
「自分の出した結論で一人の命を絶つわけだから気が重い。
このつらさは、裁判員にしか分からない」とも話していた。

この日の執行を死刑判決にかかわった各地の裁判員経験者は
どう感じたのか。

埼玉県の 50代女性は「いつかこうした日が来るとは思っていた。
ついに来たかという感じ」と話す。「国民の判断によって一人の命が
なくなったわけで、改めて責任は 重大だと思う」。
自分が担当した事件を、今でも思い出す。今月、死刑が確定する
ことを知った直後も寺に行って被害者に報告した。
「私は一生背負っていく覚悟でいる」

宮崎市の会社員男性(44)は裁判官が判決を告げるときには
体や手が震え、自宅に帰っても涙が止まらなかった。
「死刑が執行されれば、裁判員の自分たちが殺すようなもの。
その苦しみは一生消えない。二度と裁判員はやりたくない」

愛知県小牧市の20代男性は裁判員になるまで、法律が
認める以上、死刑はあっていいと考えていた。
今は揺れている。
「罪と向き合い、一生背負い、被害者や遺族に償う。
苦しみながらでも、生きた方がいいと思うことがある」

 ■<解説>心のケアなお課題

司法に市民感覚を入れようと導入された裁判員制度は、
死刑で市民に重い負担を負わせるという懸念が当初から
あった。開始3年後に見直しが検討された際には、経験者の
意見などから、死刑求刑事件を対象から外すことも
議論されたが、「重大事件こそ市民の目で」と維持された。
今年3月までに裁判員を務めた人は約5万8千人にのぼり、
法務省は今回、一歩を踏み出した。
だが、その一方で裁判員候補者のうち6割が辞退しており、
負担の軽減や心のケアといった課題はなお未解決だ。

また、悩み抜いた選択が現実となった今回の執行でも、
従来通り執行の詳細は明らかにされていない。刑場は
民主党政権下で一度、公開されたのみだ。「究極の刑」に
向き合う市民に、情報公開は不可欠だ。(金子元希)

 ■<考論>負担と向き合う必要

裁判員制度の 設計に関わった元検事総長の松尾邦弘
弁護士の話 設計時、死刑に関わる裁判員の負担は
大きなポイントとして議論されたが、この制度は
「司法への国民参加」 の柱で、死刑を抜きにすることは
考えられなかった。開始から時間が経ち、死刑に関わることも
含めて国民は受け入れてくれている。
来るべき時が自然と来たということだろう。執行で制度が
揺らぐことはないが、裁判員の負担という課題には、
検察、裁判所ともに、今後も向き合っていかなければならない。

 ■<考論> 死刑制度考えるとき

元東京高裁判事の木谷明弁護士の話 今回の執行を、
死刑制度について国民に本気で考えてもらう機会と
捉えるべきだろう。世論調査では死刑存置論が依然と
して多数だが、国民が死刑の可否を判断するための
情報は、あまりにも少ないのが現状だ。執行の順序、
再審請求の状況、死刑囚の処遇、世界の潮流といった
情報を知らずに的確な判断はできないだろう。
だれもが裁判員になる可能性がある。無期懲役や
終身刑のあり方も含めて、議論していく必要がある。



コメントです
市民参加による裁判員制度が始まって、
市民が判断に加わった死刑囚に刑が初めて
執行されました。
重い内容ですが、記録記事として掲載しておきます。


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2015年12月08日

タトゥー彫り師、「自分の仕事は犯罪か」 法廷闘争へ

朝日新聞 2015年12月8日

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タトゥーをしている人の印象は?

 
医師法違反の罪で略式起訴されたタトゥー(刺青(いれずみ))の
彫り師が無罪を訴えて法廷闘争に踏み切る。
医師免許がないとダメという捜査側に対し、意識の変化を挙げて
反論する予定だ。タトゥーを他人に彫る行為は医業か、
それとも芸術か。

■「仕事と認めて」略式命令拒む

法廷で争うのは大阪府吹田市の デザイナー増田太輝さん(27)。
高校2年の時、タトゥーの実演を音楽ライブで見て、現代的な
デザインに魅せられた。
会社勤めの傍ら独学でデザインを学び、4年前に店を開いた。
衛生面に気をつけ、針やインク皿は使い捨て。
「暴力団関係者お断り」の同意書もつくった。
客は20〜40代が多く、 ファッション感覚で入れていくという。
父の命日を入れてほしいとの依頼もあった。

ところが大阪府警は今年4月、タトゥー用具の消毒薬を
売る業者の薬事法違反事件の関係先として、増田さんの店を
捜索。その後、増田さん自身が医師法違反容疑で取り調べを
受け、昨年7月〜今年3月に女性3人に店でタトゥーを
入れたことが違法行為とされ、8月に略式起訴された。

いったんは略式起訴を受け入れたが、「自分の仕事を犯罪と
認めるのか」と疑問が募った。弁護士に相談し、9月に簡裁が
出した罰金30万円の略式命令を拒み、正式裁判を申し立てた。
今月25日に公判前整理手続きが始まる。

体に針を入れる以上、免許制のような規制はあるべきだと思う。
でも、医師免許まで求められるのは違うと感じる。
「僕にとっての表現行為の一つ。まっとうな仕事と認めてほしい」

■法に規定なく解釈巡り争い

医師法は「医師でなければ医業をしてはならない」と定めるが、
タトゥーを医業とする明文規定はない。
では、検察側は何を根拠に起訴しているのか。

厚生労働省は 2001年、眉や目尻に墨を入れる
「アートメイク」のトラブルが相次いだのを受けて、
「針先に色素を付けながら皮膚の表面に色素を入れる
行為」は医師しか できないとの通達を出した。
「保健衛生上、危害が生じる恐れがある」との理由だ。
警察当局はタトゥーにもこの通達が当てはまると判断。
兵庫県警が10年7月、暴力団組員の彫り師を初めて
医師法違反容疑で逮捕した。その後、摘発された事例も
多くが暴力団関係者だった。

増田さんの主任弁護人、亀石倫子(みちこ)弁護士は
「タトゥーは長い歴史をへて技術が改善され安全性も高まり、
社会に浸透してきた。現行の法解釈を当てはめ続けるのは強引。
これを是とすれば、彫り師という職業自体が成り立たない」と話す。

■日本での印象、年代で違いも

サッカーのベッカム選手や、歌手のレディー・ガガさんら
タトゥーを入れた外国人も多いが、海外の法規制はどうか。
関東弁護士会連合会(関弁連)の調査によると、タトゥー業者は
米国の多くの州でライセンス制、英国では登録制をとり、
医業とは異なる枠組みで規制しているという。

増田さんの弁護団は、医師法による一律規制は妥当か、
刑罰を科すほどの違法性があるかも争い、憲法が保障する

「職業選択の自由」などの観点からも無罪を訴える方針だ。

とはいえ、日本ではまだタトゥーへの抵抗は根強い。
関弁連の昨年の意識調査では、タトゥーのある人を見て
「怖い・不快」と感じた人は87・7%。 55・7%が
「アウトロー」を思い浮かべる。ただ、20代に限ると
38%が芸術やファッションを連想すると答えた。
「イレズミの世界」の著者、山本芳美 (よしみ)・都留文科大
教授(文化人類学)は、「日本のタトゥーの技術の高さは
海外でも評価されている。そんな文化を地下に潜らせて
いいのか。今回の裁判が考える機会になれば」と注目する。
(阿部峻介)

コメントです
タトゥーの話題ですが、今日の記事では
施術する側について、それが医療行為に
あたるかどうかが論点となっています。
これだけ一般的になったタトゥー。
司法の場で論議を交わして法整備するのも
いいかもしれませんね。



posted by salsaseoul at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

(にっぽんの負担)税の現場から 「非婚」ひとり親、置き去り

朝日新聞 2015年12月7日

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大阪市の30代のシングルマザーは、保育園児の娘を
育てながら調理師として働く。月収は13万〜16万円、
年収は200万円ほどだ。食費や娯楽を切り詰めても、
どうにもやりくりがつかない。娘の保育料は延長料を
含めて月約2万5千円かかっていたが、職場の同僚から
「シングルマザーならもう少し安くなるはずでしょ」と聞かされた。

「なんでこんなに保育料が高いんでしょうか」。
2年前、思いあまって区役所の窓口を訪ねて聞いてみると、
意外な答えがかえってきた。
「あなたは婚姻歴がないので所得税の寡婦控除が受けられません。
保育料は税を基準に計算するので離婚のシングルのお母さん
より高くなります」

 ■結婚歴ないと控除の対象外

女性は33歳で妊娠が分かった時、結婚せずに一人で娘を
育てる決断をした。寡婦控除は、死別か離別したひとり親の
課税対象の所得を減らし、税負担を軽くする制度だ。
だが女性のような「非婚」は制度の対象外だという。

女性の場合、寡婦控除を受けられる同じ年収の離婚の
シングルマザーに比べ、所得税と住民税で年間
計約5万円も税負担が多く=表=、
娘が2歳のときは、保育料負担が年収の1割以上も
かかっていた。

「自分で選んだ道だからがんばらないといけないと思って
いるけど、離婚か非婚かで税金まで違うとは」。
絶句した女性に、窓口の女性職員は申し訳なさそうに応じた。
「国の制度なのでどうしようもない。私も非婚のシングルです」

寡婦控除は1951年、夫を戦争で失った妻を助けるために
できた。
その後、離別や父子家庭にも対象が拡大されたが、
非婚のひとり親は対象外のままだ。

厚生労働省の全国母子世帯等調査(2011年度)によると、
非婚のシングルマザーは増加傾向にある。
母子世帯になった理由は離婚(80・8%)に次いで
非婚(7・8%)が多く、初めて死別(7・5%)を上回った。
特に都市部で多いとみられる。

このゆがみを是正しようという動きも自治体に広がり
つつある。14年の日本弁護士連合会(日弁連)の
「寡婦控除規定の改正を求める意見書」に前後し、
東京都八王子市や那覇市などが導入した自治体
独自の「みなし寡婦控除」だ。非婚のひとり親も
離婚の場合と同等に、保育料や公営住宅の
家賃負担を軽くした。

大阪市も昨年6月からは、保育料で寡婦控除の
みなし適用を始めた。今年10月現在、大阪市で
新制度を使ったのは39人だ。だが、自治体が
寡婦控除をみなし適用したとしても、安くなるのは
保育料など自治体が決められる負担だけで、所得税や
住民税は安くならない。大阪市課税課は
「地方税法で定められているので従っている」と説明する。

厚労省の同調査によると、母子家庭の母親の平均の
就労収入(10年)は離別世帯が年176万円、非婚世帯が
年160万円。どちらも経済的に厳しいが、税金や保育料
には制度的な差がある。一方、結婚していて専業主婦
(主夫)がいる家庭は働き手の所得税が軽くなる
配偶者控除、年金の保険料が免除される「3号被保険者」の
制度など、優遇が一段と手厚くなる。

 ■LGBT、不利益なお多く

同性パートナーも生命保険の受取人になれるよう
サービスを拡大――。11月、テレビで流れたニュースが、
関東地方の会社経営の60代男性の目にと まった。
30代男性と2人でマンションで暮らす。生活費や家事を
分担しながらペットの猫をかわいがり、2人で旅行したり、
たまにけんかしたりもする10年来のパートナーだ。

ライフネット生命が開始したこのサービスは、13人に1人
いるとされる性的少数者のLGBT
(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルなどの総称)の人たちの
間で反響を呼び、月内に最初の契約が成立した。
このゲイカップルも同社のホームページを開いた。

ただ同性パートナーの場合、法律上の配偶者に比べ、
実質的に受けとる保険金が少なくなる可能性がある。

配偶者が受取人だと、死亡保険金にかかる相続税には
さまざまな軽減措置があり、納める保険料も
「生命保険料控除」があって所得税が安くなる。
一方、同性パートナーが受けとる保険金には割高な
相続税がかかり、保険料の控除も受けられない。

60代男性は、万一の場合は自分名義のマンションを
パートナーに譲りたいと考えているが、名義を書き換えれば
多額の贈与税がかかる。パートナーと養子縁組する
方法もあるが、実家の母にはカミングアウトしておらず、
「知ることになるかも」と踏み切れない。

関東地方に暮らす40代の自営業の女性は
バイセクシュアルで、結婚していたことがある

。専業主婦だったころは、夫の所得税が安くなる
配偶者控除など、さまざまな税の優遇があった。
夫の給与明細を見て「主婦っていいなあ」と感じた。

女性はその後離婚し、今はレズビアンのパートナーと
暮らす。「たとえば彼女が体を壊して働けなくなったとき、
扶養に入れてあげることもできない」。自分の選んだ
生き方だと納得しているが、法律上の夫婦だった
ころとの税制上の扱いの差を感じてしまう。

 ■異性婚と同等、海外では続々

海外では同性婚や、法律婚に準じる地位を認める
登録パートナーシップ」などを認め、相続や税制で
同性カップルを異性カップルと同等に扱う国は少なくない。
国立国会図書館の13年の調査によると、オランダ、
ベルギー、フィンランド、仏、独、英国など多くの国で
同性カップルにも税制上の優遇措置があり、米国でも
今夏、すべての州で同性婚が認められた。

日本では東京都渋谷区と世田谷区で同性
パートナーシップが相次いで認められた。
しかし、税制上の扱いは何も変わらない。
LGBTの税制上の問題に詳しい上村大輔税理士は
「少数者にも配慮した公平な税制でなければ、税への

不信感を高め、納税意欲が下がりかねない」と指摘する。

 ■<解説>多様化する家族、変わらぬ制度

 同性パートナーや国際結婚、子連れ再婚、
結婚しない選択――。時代とともに大切に思う
「家族」や「絆」の形は多様化している。

今年の厚生労働白書によると、50歳までに一度も
結婚したことのない人の割合(生涯未婚率)は男性が
20%、女性が10%。35年には男性が29%、
女性が19%になると予測されている。海外では
LGBTの権利を認める動きが広がり、税制も
柔軟に変化させている。

しかし日本では、働き手の夫を、専業主婦の妻が
支えながら子育てをする家族をとくに優遇する
税や年金の制度を堅持している。

税制で一定の家族像を推進しようという動きは
今もある。自民党の「家族の絆を守る特命委員会」が
9月に提言した「夫婦控除」は、配偶者の収入が
103万円超でも夫婦の所得税を軽くする税制。
その狙いは「税制を活用することで、家族の絆を
守る政策を推進する」というもの。実際に導入は
されない見通しだが、主に専業主婦がいる家族を
優遇する配偶者控除の見直しも先送りされた。

生き方の多様性が尊重される社会は活力を生み、
安定した納税の基盤にもなる。あるべき家族の形や
生き方を押しつける税制ではなく、「生き方に中立な税制」を
目指すべきだろう。

 (堀内京子)

 ■家族のかたちで税負担は異なる(大阪市の場合)

         年収の例   所得税    市・府民税

ひとり親・非婚 205万円 3万3600円 7万4700円

ひとり親・離婚 205万円 1万6100円 4万2200円

 (参考)夫婦 300万円   3万2千円 3万9500円

 〈いずれも子1人(2歳)。夫婦は年収150万円ずつの共働き、
税額は夫婦の合計〉


コメントです
非婚のシングルマザーはこんなにも
冷遇されているのですね。
上記記事にもありますが、
最近の地方自体は国税の欠点(時代に合わない)を
柔軟に補う動きがありますので、そのあたりで
救済してあげてほしいですね。
制度化していまえば、おそらく予算はそれほど
高額ではないと思います。




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2015年12月07日

(戦後70年 エピローグ:1)縮む世界、開く心の距離

朝日新聞 2015年12月6日

201512061.jpg201512062.jpg

多様な文化の共生を掲げてきた欧州で、外からは見えにくい分裂が
広がる。何が起きているのか。

旧オランダ領の南米・スリナムなどからの移民が多い
オランダ・アムステルダム南東地区。
元区長のマルセル・ラローズ(64)は、地域にかかわるなかで
一つのことに気がついた。

様々な民族や文化集団が同じ地域に住んでいるようにみえるが、
「身近」にいるだけでは多様性があるとは言えないのではないか、
ということだった。

自身も約40年前にオランダに来た。移民の文化を尊重する国と
感じた。自国の文化伝統への同化を移民に強いるフランスなど
とは違っていた。でも「尊重」は無関心に転じやすい。
住民同士の間に横たわる「心の距離」を感じた。

地元の高校の子どもたちに、スマートフォンの通信アプリなどで
普段やりとりする相手を聞いた。多くが、離れた場所に住む
「同じエスニック(民族)集団の人」と答えた。クラスで机を並べて
いるから、当たり前にやりとりが生まれていたわけではなかった。

スマホのおかげで、移民やその家族が、インターネットで他の
地域にいる「母国」の友人や親族とつながりやすくなった。
それ自体は悪いことではないが、ラローズは「技術の発展で
世界の距離が縮まったが、異なる文化や民族の人と直面して
生きていく必要がなくなった」とみる。

いま、欧州評議会が2008年から始めた文化の多様性を
生かす街づくり政策の相談役として、様々な背景を持った
個人が同じ地域社会に参加する意識を育もうとしている。
一方、パリ同時多発テロなど「距離」を遠ざける事件も続く。

欧州ではグローバル化が進むなか、マイノリティー集団への
差別意識が高まった。ヘイトクライム(憎悪犯罪)や
ヘイトスピーチが吹き荒れた1990年代以降、規制を
導入・拡大するなど理念の実践にも力を入れてきた。
それでも分裂は収まらず「心の距離」を埋めるのに
苦しんでいる。

(アムステルダム=高久潤)


■団地自治会、役員に中国人

外国人をどう受け入れるか。日本でも模索が続いている。
約4千人が暮らす埼玉県川口市の芝園団地だ。最寄り駅から
東京駅まで30分の立地。会社勤めの中国人らが増え、
中国人世帯数が日本人を上回った

ゴミを分けない。声が大きい。路上で小便をする。自治会に
苦情が相次ぐようになったのは05年ごろだ。ネットでは
「中国団地」との悪口も飛び交った。

街づくりを研究する岡崎広樹(34)が14年に移り住み、
自治会に加わった。防災が共通の関心事項だとつかみ、
防災教室を開いた。行事に誘って顔見知りを増やしながら、
マナーも呼びかけた。苦情は減り、ネット上の中傷もやんだ。

岡崎は今年、共生の知恵を探ろうとオランダの団体で
インターンをした。面倒をみてくれたのがラローズだった。
欧州ではテロがあったが、「顔の見える関係づくりを地道に
やっていくしかない」と思う。摩擦の原因は文化の違いではなく、
生活習慣の違いにあると考えるからだ。

芝園団地自治会には今年度初めて中国人の役員が誕生した。
高齢化と国際化を先取りする団地を応援したいと、大学生の
グループもできた。市の協力を得て、中国語による情報の
ネット配信も始まった。

断絶から生まれた憎悪がテロに結びついた欧州と日本の状況は、
比べものにならない。だが、断絶と共生の最初の分かれ目は、
小さなことかもしれない。
住民どうしの接点を増やす芝園団地の試みはつづく。

 ■異文化理解、進むか

日本に暮らす外国人は過去最多の約217万人。
雇用されているのは約79万人だ。政府は単純労働者は
受け入れないとしながら、例外を増やしてきた。

日本は70年代まで移民を送り出していたが、85年からの
円高やバブル景気で、世界中から人が集まった。90年には
3世までの日系人に定住が認められ、来日があいついだ。
事実上は単純労働の「技能実習」制度は拡充されている。

家族と日本で暮らす人たちを地域の一員として迎え入れようと、
総務省が「地域における多文化共生推進プラン」を策定
したのは06年だ。霞が関には政策づくりの機運が生まれたが、
2度の政権交代を経て、今は「冬の時代」といわれる。

NPO法人「多文化共生センター大阪」の代表理事、
田村太郎(44)は「自治体とNPOが必死に取り組んで
大きな社会問題にならなかったのをよいことに、政府も
国会も外国人との共生を議論せずにきた」と指摘する。

戦前からの在日韓国・朝鮮人に、中国人や日系人、
フィリピン人。共生相手の多国籍化はさらに進んでいるが、
日本人だけの方がうまくいくという考え方は依然として根強い。
文化人類学者で、国立新美術館長の青木保(77)は
「それは『思い込みの秩序』にすぎない」と指摘する。

思い込みだと気がつけるか。青木は「多様な人がいることで、
社会が豊かになり、才能も育つと捉えることが重要だ。
そのためには自文化の発信と異文化理解に丹念に
取り組むことが必要だ」と話す。

 =敬称略

 (北郷美由紀)


 ■取材後記

ネットで連絡も買い物もできる時代。他者と顔を合わせる時の
心理的な負担が相対的に増している。
相手が外国人だったら、なおさらだ。それでも話し てみる。
聞いてみる。取材を通じて、共生の取り組みが多くの地域で
積み重ねられてきていることを知った。日本語指導や
学習支援を受けた人たちが、今度はつ なぎ役として
活動している。私たちの社会は大きな資産を手にしている。
このことを今後も伝えていきたい。

 (北郷美由紀)


コメントです。
日本国内にいる在日外国人とのコミニュケーションについての
話題です。
東南アジアの人材が、日本国内の介護市場で必要とされていて、

実際には相当数の外国人がすでに就労しています。
さて、今日の話題ですが、しばらくは日本も「利害関係の一致」で
今後、就労するための外国人が増えると思います。

そこでうまく共存できるかどうかはわかりませんが、問題をひとつずつ
ピックアップして妥協点を探していくしかないですね。


posted by salsaseoul at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年11月01日

1冊6万円謎の本[亞書(あしょ)]、国会図書館に「代償」136万円

朝日新聞 2015年11月1日

201511012.jpg201511011.jpg

ギリシャ文字などを無作為に打ち込んだ1冊6万4800円(税込み)の
シリーズ本が、国立国会図書館に78巻納本された。
納本された本の定価の一部などを発行者に支払う仕組みがあるため、
すでに42冊分の136万円余が発行者側に支払われている。
納本は法律で義務づけられているが、ネットでは疑問の声が上がり、
同館も支払いが適正だったのか調査を始めた。

問題の本は、りすの書房(東京都墨田区)が発売した「亞書(あしょ)」。
同社によると2月にネット書店「アマゾン」で販売を開始。
112巻まで作成し、最終的には132巻まで出す予定という。
A5サイズで480ページのハードカバー。各ページとも縦12センチ、
横9センチの枠内にギリシャ文字やローマ字が並び、ページ数は
振られておらず、全く同じ内容のページもある。国会図書館へは
3月ごろから10月にかけて78巻までが1部ずつ納本された。

同館は納本された本の定価の5割と送料を「代償金」として
発行者に支払うことが国立国会図書館法 などで定められている。

2014年度は、約15万点に対し約3億9千万円の代償金を支払った。
「亞書」は目録作成中のため館内での閲覧はまだできないが、
同館のホームページの蔵書リストに載ると、ネットで
「代償金目当てでは」と炎上。りすの書房は10月26日以降、
アマゾンでの販売を取りやめている。

同社は2013年3月に設立され、代表取締役の男性(26)が
1人で運営。男性は朝日新聞の取材に対し「自分が即興的に
パソコンでギリシャ文字を打ったもので、意味はない。
本そのものが立体作品としての美術品とか工芸品。
長年温めてきた構想だった」と説明。
題名も「ひらめいて付けた。意味はない」。
著者のアレクサンドル・ミャスコフスキーは「架空の人物で、
作品のイメージとして記載した」と話した。

各巻20部を自らレーザープリンターで印刷し、装丁。
「1冊の作成に3万円強かかっているため、1冊あたりの利益は

アマゾンへの支払いを差し引くと6千円」で、価格は妥当だとし、
「まだ1冊も売れていないが、代償金目当てではない」と語った。

納本したのは「出版した者の義務だ」としたうえで、
「2年ほど前に10万円の楽譜を作ったが、『高くて買えないから
国会図書館に納本してほしい』と匿名の客から電話があり、
それ以降、納本を続けている」と話した。

出版物の納本は国立国会図書館法で発行者に義務づけられている。
広く行きわたらせること(頒布)を目的に、相当部数作成された
資料が対象で、チラシや手帳といった簡易なものは対象外だ。

同館によると、納本は知的活動の記録を後世に伝えるための
制度で、「図書館側が内容に踏み込んで納本の可否を
判断することはない。『頒布』や『相当部数』の基準は
ケース・バイ・ケース」という。今回は、ネット書店で売られて
いたことや装丁がハードカバーで簡易でないことなどから、
納本すべき出版物 としての要件を満たすと判断したと説明する。

ただ、ネットでの炎上を受け、同館は10月28日、男性に連絡。
返却に向け協議したいと伝えたという。

これまでこうしたトラブルの例は把握しておらず、
「頒布の実態があったのか調査する。ネットで注文を受けて
製作するオ
ンデマンドという新たな本の作り方について、
価格の元となる費用算定の経験値が国会図書館としても
十分でなかった」という。
男性は「(国会図書館から返本された場合は)返金する」と
話している。(塩原賢、竹内誠人)

田村俊作・慶応大学名 誉教授(図書館情報学)の話 
「納本制度は文化や情報の自由に貢献しようという、発行者側と
国会図書館との合意が前提だ。
本の内容から納本の適否を判断することは、検閲につながるので
やってはならないが、米英などには代償金の仕組みはない。
想定外のことだが、この仕組みを悪用しようとすれば、
できてしまいそうなことが明らかになった」

関連記事です。
「ネットの指摘はいわれなき中傷」 「亞書」制作の男性
「亞書」を制作した、りすの書房代表取締役の男性(26)との
一問一答は次の通り。

――ギリシャ語のわかる人が見ても、まったく意味がわからないと
言っていますが、どういう内容なのですか。

自分で書きましたが、パソコンでギリシャ文字をランダムに即興的に
打ち込んだものなので、意味はないです。メッセージも特にない。
デザインですね。題名も意味はなく、ひらめいて自分で付けました。
作者は自分のペンネームであり、作品のイメージで名づけた架空の
人物です。

 ――全く同じ内容のページもありますが?

 同じ部分が入っているところは意図的にしています。
 面白みを出すためです。

 ――出版の意図は?

112巻まで作りましたが、132巻まで出したいと思っています。
しかし本当は(分冊せずに)全部で1冊の分厚い本にしたかったんです。
美術作品 や工芸作品という感じですね。1冊1冊それ自体が、
本というより立体作品。昨年12月から制作を始めましたが、
構想は学生の頃からずっと温めていたもので す。

 ――誰に読んでもらおうとしているのですか。

 分かってくれる人が見てくれればいいです。

 ――どうやって作ったのですか。

ページのかがりもカバーも、取り寄せた材料で自分で作りました。
印刷はレーザープリンターでやりました。

 ――値段は高すぎませんか。

1巻につき20部作っていますが、1冊あたり3万円強かかって
います。アマゾンで売れたとしても、制作費を差し引けば、
利益は6千円しか残りません。

 ――1冊3万円とすると、制作費はすでに6千万円以上
かかった計算になります。資金はどうしたんですか。

自分の貯金だけでは足りず、迷惑をかけましたが両親から
援助してもらいました。

 ――売れていますか。

アマゾンで96巻まで発売しましたが、1冊も売れていません。
高額の本は他にも出していて、聖書をアイスランド語に
翻訳した7万円の本が1冊売れました。

 ――「亞書」の販売をやめたのはどうしてですか。

ネットで騒ぎになり、レビューに誹謗(ひぼう)中傷が
たくさん来たから、10月26日にやめました。
同時に会社も臨時休業にするとホームページで発表しました。

 ――国会図書館に納本した経緯は?

義務ですから。2年くらいまえに、10万円の楽譜をつくったら、
匿名の電話があって、高くて買えないから納本してほしいと
言われた。その時から納本をしています。

 ――ネットでは「代償金目当てではないか」との疑問の
声も出ています。

ネットでの指摘はいわれなき中傷です。
代償金目当てではありません。代償金は原価に相当するものなので、
もらえるならばありがたいです。
(もし仮にすべて返本されて返金するように言われたら)
そのときは返金します。国会図書館から電話があり、返却について
話がありました。「分かりました」と答えましたが、
「本自体が芸術なんです」と伝えました。

 ――これまでに何点くらい本を出しているのですか。

今回、「亞書」を発行した「ユダ書院」も含め四つのレーベルから
200点以上出していると思います。正確な数字は覚えていないのですが。

 ――出版社としての売り上げは?

年商で、一昨年が70万円くらい、昨年が420万円、今年は
これまでに300万円です。出版だけではもうからないので、
印刷を請け負ったり、ネットに商品のレビューを書いたりしています。
(聞き手・塩原賢、竹内誠人)


コメントです
弊社(紫陽花文庫(株))でも法令に基づいて、
国立国会図書館に納書しています。
弊社の場合は、すべて寄贈扱いでお願いして
いるので、代償金は受け取っていません。
国立国会図書館できちんと管理、保管して
いただけるだけで、ありがたいと思っています。
また、納書制度に関しても、上記理由から
感謝すべき法律だと思っています。

さて、今日の話題についてですが、日本も
今回の事例をきっかけに、米英に見習って
代償金について見直し検討をしたほうが
いいでしょう。
少し想像力を働かして考えればわかることですが、
国立国会図書館が納書された書物をきちんと
保管する費用は、おそらく代償金として支払った
金額と比べて多額なもののはずです。
(原則永久保存の為)
代償金を廃止すれば、少しでも保存費用の足しに
なるはずです。



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posted by salsaseoul at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年10月30日

難民申請すでに5500人 10月半ば現在 今年、過去最多に

朝日新聞 2015年10月29日

20151030.jpg

日本で今年、難民認定を申請した外国人が10月半ばまでに
5500人を超え、5年連続で過去最多を更新したことが
法務省への取材でわかった。このペースで増加すれば、
年末には7千人に達する。アジア諸国からの申請が
増加しているという。
国際的に大量の難民が発生する中で、日本も対応を迫られている。

法務省によると、昨年に申請した人は前年より1740人多い
5千人だった。今年は6月末に3千人を突破。7月以降、
増加のペースが上がったという。

国別では昨年はネパール、トルコ、スリランカ、ミャンマーの順に
多く、この4カ国で6割を占めた。今年もネパールが最も多く、
アジア諸国が中心。欧州に難民が大量に流入しているシリア
からの申請は、数人にとどまっている。増加の背景として
法務省は、申請中は強制送還されないほか、在留資格が
あれば申請の半年後から働けるよう2010年に運用を
変えたことがあると分析する。

申請が急増しているにもかかわらず、難民と認める例は
増えていない。昨年はわずか11人。
「人道的配慮」で在留を認めた人を含めても121人だった。
難民の支援団体などは「法務省は就労目的の申請を強調し、
保護すべき人が見落とされかねない」として、受け入れの
拡大を強く求めている。

入管行政に詳しい安冨潔・慶応大名誉教授は
「保護する人数を増やすだけでなく受け入れた後の支援策が大切。
政府を挙げて取り組むべき課題だ」と指摘する。(金子元希)

 ◆キーワード

 <日本の難民認定> 
難民条約は「人種や宗教、政治的意見などを理由に迫害を
受ける恐れがある人」を難民と定め、これに従っていると
法務省は説明する。難民認定されると、国民年金や児童扶養
手当など日本国民と同じ待遇を受けられる。法務省は9月に
運用の見直しを公表。明らかに難民に当たらない人は本格審査の
前に振り分けて就労を認めない一方、アフリカで虐待を受ける
女性など「新しい形態の迫害」を難民と認める方針。
紛争から逃れた人は難民とは認めないが、「待避機会」として
保護対象に位置づけた。

関連記事です。
日本の難民認定、5000人中11人と先進国中最低 
「島国は言い訳にならない」海外から批判

複数の海外メディアが、日本の難民受け入れ数が“世界最低”
だと報じている。法務省のデータによれば、昨年の難民
申請認定数は5000人中たった
11人。一方、トップのドイツは10万人以上受け入れている。
ドイツメディア『ドイチェ・ヴェレ』(DW)は、
「人権よりも経済成長を優先してきた結果 だ」などと批判している。

◆審査に3〜5年、ほとんどが却下
難民の数は増加傾向にあり、世界全体の難民数は2013年に
戦後最多の5000万人を突破した。日本でも昨年、難民申請数が
前年比で53%増加。5年前 と比べると4倍になっているという。
しかし、申請が認められたのは「先進国中最低」のたった
0.2%(ロイター)だ。この極めて低い認定率は、日本が
国連難民条約を批准した1981年以来続く傾向で、
過去16年間で最も少なかったのは2013年の0.1%(6人)。
同年の世界平均は32%だった。

ロイターはその背景に「難民の保護と移住の計画に欠けること」
「申請を処理するシステムの機能不全」があるとしている。
実際、難民申請から処分決定までには平均3年かかり、
4〜5年かかったケースもあるという。DWも、
「例えば内戦を逃れて来たような者が、母国を離れて証拠を
提示するのは極めて難 しい。しかし、日本の法務省は、
認定するのに十分な証拠がないという理由でしばしば
申請をはねつける」と批判している。

NPO法人『難民支援協会』の石川えり代表理事は、毎日新聞の
インタビューに答え、欧米と違って日本の場合は本人に
立証責任があり、提出書類が何 百枚にもなることがハードルを
上げていると指摘する。また、仮に証明できても、
「それが深刻な人権侵害なのかという基準の適用も
日本は厳しい」といい、 「2、3日強制労働させられても
『その程度であれば迫害にはならない』と判断されたケース」も
あったと述べている。

◆「人権よりも経済発展を優先してきた結果」
 DWは、難民は多くの場合、近隣諸国に流入する傾向があり、
そのため紛争地域などに近い発展途上国にも多くが
逃れるとしている。しかし、地理的に孤立し たオーストラリアや、
島国のイギリスも多くの難民を受け入れていることを挙げ、
日本が「地理的な理由」を言い訳にすることはできないと主張する。

ロイターは、日本国内でも批判の声が高まっているとし、
「低い認定率は恥ずべきものだ」「先進国の中でこれほど
首尾一貫して認定率が低い国はない」といった弁護士らの
発言を取り上げている。石川氏も、日本は難民を守るための
国連難民条約を批准しているにも関わらず、日本は「本当に
難民を守ろうと思って審査をしているのかどうか」世界に
問われていると述べている。

また、DWは、韓国も日本同様に受入数が極端に低いと
指摘。東アジア諸国の傾向として「国益と国内市場の保護の名の下、
人権よりも経済発展を優先してきた結果だ」と総括している。

◆「認定基準に透明性を」
「ほとんどの人たち(難民申請者)は政治的な理由で来て
いるわけではない。ネパールやスリランカのような国では、

多くの人が働くために来日することがで きると考えている」。
法務省の担当者は、認定率が低い理由を、難民申請の
ほとんどが実際は就労目的だからだと述べたという(ロイター)。

一方で、日本の労働力不足は深刻だとロイターは記す。
政府は難民申請のほとんどを却下する一方で、「研修」の
名の下に「低賃金の単純労働者の受け入れを拡大している」と、
外国人研修制度との矛盾を指摘している。DWも、ユニクロを
運営するファストリテイリングなどの民間企業が、
インターンシップ・ プログラムを通じて難民を労働者として
受け入れている例を挙げている。

『難民支援協会』の石川氏は、日本政府がシリアの難民支援や
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に多額の資金を

拠出していることについては、 積極的に評価している。
そのうえで、「認定基準や審査の透明性確保が重要」
「丁寧な支援を現場で続ける、一人一人がもっと関心を
持つなど小さな取り組みを 積み重ねていくことで変わる
余地はある」などと語っている(毎日新聞)。

コメントです
日本政府の難民受け入れ数が少ないと
海外で非難されているようですが、
他国の人たちと共存するノウハウに
欠ける日本人。
日本政府の対応は正解です。
それより、日本政府は開発名目で
途上国に多額の資金援助していますから、
難民受け入れに関しては相殺されるべきです。
海外は日本国に多くを望みすぎです。



posted by salsaseoul at 07:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年10月23日

奨学生の地元就職後押し 返還減免6県、13県も検討

朝日新聞 2015年10月18日

地元で就職した学生は奨学金の 返還を免除します――。
若者の流出に悩む県がこんな取り組みを始めている。

朝日新聞が47都道府県に取材したところ、香川、福井の
両県が先行。国が人口減 対策の一つとして今年度から
後押しし始めたこともあり、富山、鳥取、山口、鹿児島の
4県があらたに導入したほか、13県が検討しており、
さらに広がりそうだ。

「地元に帰る後押しになりました」。そう語るのは高松市出身の
天雲大貴(てんくもたいき)さん(22)。香川県の奨学金を
使って東京の私大に通っていた。今
春卒業。東京の大手家電メーカーなど数社の内定を得ていたが、
地元の銀行に就職した。

 ■3年間働けば

香川の制度は、2012年度に学生の地元定着を狙って
始まった。奨学金を 受ける条件は、
保護者らが県内に居住
▽保護者らの所得が県が定める基準額以下
▽高校の成績が5段階評定で3・5以上――などで
、大学などに在学中は月額3 万〜13万2千円を貸与される。
卒業後、学生らが県内で就職し、3年間働くなどした場合、
貸し付け月額のうち1万5千円または2万5千円分の返還が
免除さ れる。

これまで奨学金を受け取った人は計475人。今春までの
卒業者99人のうち、県内で就職し、減免の対象となったのは
33人(9月末現在)。
県の担当者は「数が多いか少ないかは、まだ評価できない」という。

天雲さんは、東京での就職を希望していたが、きょうだい3人とも
大学に入った家計を支援し、将来祖父母ら家族に何かあったときに、
近くにいて支えたいと考え直した。2年生の時から借りた奨学金は
230万円で、減免額は54万円。今は毎月5万円を家に入れている。
「奨学金の返還を減らしてもらい感謝しています」

福井は香川より1年早い11年度から、奨学金返還の支援に
乗り出した。ただし、こちらは理工系大学院の院生が対象。
月額6万円を貸与し、県内の製造業などで7年間働いた場合、
全額返還を免除する。これまで119人に貸与し、修了した
74人のうち60人が県内企業に就職したという。

 ■国が助成制度

総務、文部科学の両省は今年度から両県の試みなどを
参考にした制度を始めた。県が地元産業界と連携して
基金を設置し、学生が日本学生支援機構などから借りた

奨学金を返還する際、地元企業に就職すれば全額または

一部を支援する。就職期間は各県が決める。国は各基金に
最大1億円を助成。1県あたり100人までを想定している。

鳥取、山口、鹿児島の3県は早くも今年度からこの制度を
利用することを視野に、奨学生の募集を始めた。富山も
関連予算を組んでいる。ほかに、秋田、山形、栃木、三重、
和歌山、島根、徳島、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、
宮崎の13県が、人口減対策として策定する「総合戦略」などに
盛り込み、検討し始めている。

一方で、慎重な県もある。静岡は、対象が1県で100人に
限られている点を指摘し、「人口の多い静岡では効果が少ない」
などとして、導入を見合わせる方向。
愛媛は「就業義務期間の後も学生が地元に残ってくれるか
確証がない」と効果を疑問視する。

日本学生支援機構の奨学金を 借りた人数は、03年度は
74万人だったが、次第に増え、13年度には144万人に
倍増。15年度は134万人となっている。返還を延滞して
いる人は、 03年度は22万2千人だったが、08年度に
30万人を突破。14年度は32万8千人となっている。(
太田康夫、天野剛志)

 ■学生の奨学金返還を支援する各県の取り組み

 【福井】

 <対象の教育機関> 理工系大学院

 <貸与額> 月額6万円

 <支援額> 全額

 <県内就職義務期間> 7年

 【鳥取】

 <対象の教育機関> 大学、短大、大学院(修士)など

 <貸与額> 多様

 <支援額> 半額または4分の1

 <県内就職義務期間> 8年

 【香川】

 <対象の教育機関> 大学、短大、大学院など

 <貸与額> 月額3万〜13.2万円

 <支援額> 貸与月額のうち1.5万円。県内大学などに
         進学した場合1万円加算も

 <県内就職義務期間> 3年

 【山口】

 <対象の教育機関> 理工系大学院(修士)、薬学部(5、6年生)

 <貸与額> 月額4.5万〜8.8万円

 <支援額> 半額〜全額

 <県内就職義務期間> 4〜8年

 【鹿児島】

 <対象の教育機関> 大学、短大など

 <貸与額> 入学時80万円

 <支援額> 全額

 <県内就職義務期間> 3年


コメントです
医学生・奨学生の地元就職(一種のしばり)で
奨学金返還減免の話は有名ですが、
その制度を他の学部にも拡大するようです。
制度としてはいいですね。
若い人にとって都会は魅力的に映るかも
しれませんが、住んでみたらけっこう
飽きるものです。
都会に興味があれば遊びにいけば済むことです。




posted by salsaseoul at 01:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年10月12日

常駐の住職いない寺1万2千カ所 檀家減少や後継者不足

朝日新聞 2015年10月11日

7万を超す全国の寺院のうち、別の寺の僧侶が住職を
兼ねていたり、また住職がいなかったりして常駐する
住職のいない寺が、1万2千カ所にのぼることが
朝日新聞の調べでわかった。
過疎・高齢化による檀家(だんか)の減少や住職の後継者
不足などが要因で、今後「寺の消滅」が加速する可能性がある。
文化庁の宗教年鑑(2014年版)によると、全国の仏教系
宗教法人の寺院は7万5900。今回、全国の寺の約8割を
占める主要10宗派(曹洞宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、
浄土宗、日蓮宗、高野山真言宗、臨済宗妙心寺派、天台宗、
真言宗智山〈ちさん〉派、真言宗豊山〈ぶざん〉派)に今年2月時点で
この10年間の所属寺の状況を尋ね、日蓮宗以外の9宗派から
回答を得た(高野山真言宗は09年以降)。

専従の住職がおらず、別の寺の僧侶が住職を兼ねる「兼務寺」は
1万496、住職がいない「無住寺」は1569で計1万2065カ所
(全体の約16%)。10年前の調査や記録がない真宗大谷派と
高野山真言宗を除く7宗派では、10年前の計9104から

803増えた。宗派別では曹洞宗、浄土宗、真宗大谷派の順に多く、
真言宗の智山(ちさん)・豊山(ぶざん)両派、
臨済宗妙心寺派は所属寺の3分の1にのぼる。

兼務寺には、豊臣秀吉が長浜城の鬼門よけに移築し、
国重要文化財の十一面観音像をまつる知善院
(ちぜんいん、滋賀県長浜市)や、空海の創建とされ、
小堀遠州作と伝わる庭園が有名な長楽寺
(ちょうらくじ、浜松市)など、観光客が訪れる所もある。

兼務・無住寺は経営が成り立たなくなると、宗教法人としての
任意解散や吸収合併といった手続きを経て、消滅する
可能性がある。今回の調査では、10年間で9宗派で
計434寺が消えていた。

寺の消滅は檀家にとって、先祖代々の墓の維持や
葬儀・法事を託す先や、お盆など伝統行事の喪失に
つながる。浄土宗の中村在徹(ざいてつ)・総務局長は
「地域コミュニティーの中心という寺も多い。なくなれば地域の
つながりも消える。仏教界として最大の問題だ」と危惧する。
(岡田匠)

     ◇

〈住職〉 
一般的に寺院の代表役員のこと。宗教年鑑(14年版)に
よると、主要10宗派の僧侶ら「教師数」は約9万3千人
(うち女性は約9500 人)で10年前より約1万2千人減った。
宗派によって異なるが、僧侶になるには剃髪(ていはつ)
するなどして出家し、系列の宗門校などで学び、本山や
専門道場で修行する。住職には世襲でなることが多いが、
本山の推薦で後継者のいない寺に入ったり、先代住職の
娘と結婚したりして住職になる場合もある。

コメントです。
住職の収入は、失礼ながら一般世帯より
高額な印象がありましたが、今日の記事を
読んでそんな時代はとっくに終わっている
ことを認識しました。
(現在でも、京都の有名なお寺はそうかもしれませんが)



posted by salsaseoul at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

保護された姉妹、1カ月ぶり入浴 親子が月4万円で生活

朝日新聞 2015年10月10日

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6畳ほどの面談室に、すえた臭いが広がった。

2年前の9月。関東地方にあるDV被害者のシェルターの職員は、
39歳の母親と7歳の長女、4歳の次女を迎えた。

差し出したオレンジジュースを、姉妹は一気に飲み干した。
白とピンクの長袖シャツはあかで灰色に変わり、頭には
シラミがいた。

一家の手荷物は、ランドセルとポリ袋二つ。サイズの合わない
シャツ、穴の開いた靴下や下着が、汚れたまま詰め込まれていた。

風呂は約1カ月ぶりだという。翌日から一緒に入り、姉妹の
髪をとかし、数百匹のシラミをつぶした。

「お姉ちゃん、もうこれでいじめられなくなるね」。
次女がそう言うのを何度も聞いた。

いま、3人は母子生活支援施設で暮らし、自立を模索する。

保護されるまでの暮らしぶりを、母親は振り返って語る。

夫はトラック運転手や倉庫管理など10年で10回以上転職した。
年収は200万円前後。家賃や光熱費以外は酒やたばこに消え、
自分の事務職の給料などでやりくりしていた。

9年前に長女が生まれてから、「頭が悪い」「ダメな女」などと
毎日なじられた。洗濯物がたためない。
ご飯を作りながら、子どもに気を配れない。
酒が入ると、胸ぐらをつかまれ殴られた。
後に分かることだが、母親には二つのことが同時にできない
「広汎(こうはん)性発達障害」などがあった。

6年前に次女が生まれた後、「能力不足」との理由で解雇された。
次の職が見つからず、家計は悪化。夫の失業で約2年間は
生活保護も受けたが、夫が再就職すると打ち切られた。
夫は給料を家計に入れず、月約4万円で生活した。
長女が小1になったころから電気、ガス、水道のどれかが
止まるようになった。

母(41)と姉妹の生活は、夫のDVや失業などでより
一層苦しくなっていった。

朝食はパン1枚。夕食はご飯と冷凍ギョーザか納豆。
夏休みの学童保育のお弁当は、おにぎり1個だった。

「おなか痛い。今日は休む」。嫌がる長女を、集団登校の
待ち合わせ場所に引っ張っていく日も増えた。
そんな日は保健室登校になった。理由を聞くと
「くさい、毎日同じ服って言われた」と泣かれた。

「シラミがいるみたいよ。駆除してあげて」。
長女が小2になった夏、同級生の母親から指摘され、
薬局に走った。
薬は2千円。手が出なかった。

夫の叱責(しっせき)は続き、うつ状態になった。
警察署に通報したのは夫だった。
「子どもの前で妻にDVしてしまう。彼女たちを保護してください」。
シェルターにつながり、夫とは別れた。

「つらいことなんてなかったよ。学校もおうちも楽しかったんだよ」。
そんな長女の言葉を、母は自分への気遣いだと推し量る。

母は母子生活支援施設の職員から勧められ、精神障害者
保健福祉手帳を取得した。
生きづらさの訳がわかり、自分を責める気持ちは薄らいだ。
長女からいろいろ要求されても、「一つずつ言ってね」と
言えるようになった。

カレーライスや肉うどん。料理は苦手だが、職員と一緒に
夕食を作り、一家3人で食卓を囲むようになった。
ときどき姉妹が職員に「味見して」と料理 を差し入れる。
「よくできたね」と褒められると、跳びはねて喜んだ。
「ここがいい。職員さんや他の子もいるから」と長女は言う。

子どもが18歳まで施設にいられるのが原則だが、利用者の
約6割が2年未満で退所する。生活保護を受け始める人が多く、
施設費用との二重措置期間を短くしたい行政の思惑もある。

母も生活保護を受けながら週3回、障害者の作業所で働く。
施設に来て2年。退所後の生活は描けていない。
(山内深紗子)

■専門家「貧困から抜け出せない連鎖が広がっている」

子どもの貧困に詳しい首都大学東京の阿部彩教授に
現状や課題を聞いた。

親の経済状況でいや応なく不利を背負った子どもが、大人に
なっても貧困から抜け出せない連鎖が広がっている。
低所得の背景にある非正規労働は拡大している。

親自身が抱える困難もある。
労働政策研究・研修機構の調査では、子ども時代に、
親の生活保護受給や離婚、虐待、父との死別を
一つでも
経験した母親は、未経験の母親に比べて
貧困率が
約2〜3倍だった。
母子世帯の母親のうつ傾向も、配偶者のいる
母親の2〜3倍だ。

病気やうつ、失職、離婚などが一つでも起きると、
今そうでない人も貧困になりうる。この母子のように、
要因が複数になると深刻な事態に陥りやすい。

子どもは、人権の剝奪(はくだつ)と言わざるを得ない
ほどの衣食住の不足、不健康、低学力、孤立やいじめ、
非行、不登校、自尊心の低下などのリスクにさらされる。
日本ではこうした問題について、何十年も親の資質や
しつけなどの面から論じ、背後にある貧困をきちんと
直視してこなかった。

将来の社会の担い手である子どもの貧困を放置すると、
社会的損失になる。
(注:これはあくまでも副産物的な損失
   第一に、子供の尊厳・尊重を確保するべき)
児童扶養手当の拡充など経済的支援は必須だ。
そのうえで、教育や医療面での支援など、親を含めた
包括的対策が求められている。(中塚久美子)

     ◇

 《子どもの貧困》 
厚生労働省によると、日本の子どもの貧困率は
16・3%(2014年発表)で、過去最高を更新している。
実数換算すると約328万人。貧困率と は、世帯収入から
国民一人ひとりの所得を子どもを含めて試算し順に並べた
とき、まん中の人の所得の半分に届かない人の割合。
ひとり親など大人が1人の家庭に限ると54・6%と、
先進国でも最悪の水準に達する。
中でも深刻なのは母子世帯だ。
母子世帯になる原因の8割は離婚で、養育費が払われて
いるのは約2割。8割の母親は働いているが、同居親族も
含めた年間世帯収入は平均291万円(10年)。

コメントです
貧困世帯で子供の生活が窮地している話題です。
少し掲示板等を見てみましたが、上記にあるように
将来の社会の担い手である子どもの貧困を放置すると、社会的損失になる

という意見が数多くありました。
確かに正論ですが、それ以前に、もっとシンプルに
日本国憲法で保障されている基本的人権を
ベースに貧困対策を強化してほしいですね。

ただ、現状ではその対策のひとつの「生活保護」の
審査が十分でないケースもよくあるようで、
場合によっては就労するより高額な支給額例も
あり、そうなると、支給世帯主は生活保護費と
引き替えに就労意欲を失います。



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(時時刻刻)虐待、その向こうに 愛せない、親が抱える不安

朝日新聞 2015年10月9日

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児童虐待の増加が止まらない。子育てへの不安や虐待の
連鎖、経済的な問題など、虐待する親はさまざまな
要因を抱える。児童相談所は親子関係の修復に向けた
支援を進めているが、決定的な対応策はない。

■「娘に完璧を求め、できないと許せなかった」
 「母は食事を作らず、帰って来ない日もあった」

愛知県豊橋市の村松葉子さん(40)は長女(5)が歩き始めたころ、
「娘が思い通りにならない」といら立ちが募った。
泣いてもあやさずに放置。しだいに手をあげるようになり、
出かける直前のおむつ替えの時は、激しくお尻をたたいた。

夫(40)とは再婚で、前夫と離婚後、精神的に不安定な時期が
あった。不安をさとられまいと完璧な育児を目指し、離乳食は
全て手作りで、紙おむつは使わなかった。
自らも小学生のころ、言いつけを守らないと母親にたたかれた。

「娘を苦しめたくないのに完璧を求め、できないと許せなかった」。
たたくことは、普通だと思っていた。
海外出張の多い夫は虐待に気づかなかった。

パートを始めて長女を保育所に預けると、心に余裕ができた。
子育ての苦しさを受け止めてくれる人がいたことが、虐待を
やめるきっかけとなった。今 は子育て中の母親の交流の場や
講座を開く団体で活動する。「頑張っても周囲に認められず、
母親は孤独を抱えている。
完璧でなくていい、と伝えたい」と村松 さん。

大津市に住む女性(50)は小学2年から母子家庭で育った。
生活は貧しく、お風呂に入れるのは週に1度ぐらい。
母親は食事を作らず、帰って来ない日もあった。
「仕方なく育てている」という母親の言葉が今も胸に突き刺さっている。

中学2年で家出した。18歳とウソをついて、ホステスとして働いた。
「体を提供すれば、男の人が私を大切にしてくれる」と、寂しさから
売春を重ねた。

21歳で結婚。
長男を産んだが、わがままを言われるたびに頭に血が上った。
長女が生まれ、「この子さえいなくなれば」と思い詰めた。
夜泣きがうるさくて別の部屋に放置すると、翌朝、長女は
亡くなっていた。乳幼児突然死症候群と診断されたが、
「私が殺した」と感じた。
次女が生まれたが長女への罪悪感から覚醒剤に溺れ育児を放棄した。

夫と離婚し、子どもは夫のもとへ。
1年後、寂しくて引き取りたいと言うと、
「薬をやめられていないのに、子どもを巻き込むな」と言われた。
その言葉をきっかけに、依存症からの回復を支援する施設に入り、
5年かけて薬をやめた。

子どもたちとも時々会うようになった。
「『なぜ自分の子どもを愛せないの?』と、思うかもしれない。
でも虐待してしまう親も愛情を受けず育ったことを知って欲しい」

 ■家計や心身、サポート 児相・自治体、連携に課題

全国児童相談所長会が児相を対象に行った2013年の調査では、
虐待の要因とみられる家庭の状況(複数回答)は
親が精神的に不安定など「虐待者 の心身の状態」が32%で
「経済的な困難」が26%。「育児疲れ」も15%に上った。
単一回答で聞き取ったところ、虐待を主導した人の8・2%に
虐待された経験があった。

児相や自治体は、子どもが再び虐待を受けずに安心して
暮らせることを目指す。そのためには虐待した親への支援が
必要で、聞きとりをもとにした虐待の要因に応じて児相が中心に
対応。経済的に苦しければ生活保護などの制度を紹介し、
親が精神的に不安定なら医療機関の受診を促す。

子育て方法を学ぶプログラムも活用。
例えば、日常の場面を想定し、注意する時、ほめる時の
言葉や接し方を練習する。

親の支援を踏まえ、子どもを家庭に戻すかどうか判断するため、
厚生労働省は「子どもは家庭復帰を望んでいるか」
「地域では公的機関などの支援体制が確保されているか」と
いったチェックリストを示している。

静岡県藤枝市の 県中央児童相談所では独自のリストを作成。
虐待されて施設や里親に預けられた子どもを常時100人
前後支援するが、14年度中に家庭へ戻ったのは12人だった。
担当者は「親が復帰を強く希望しても子の安全確保が最優先。
どの環境が子どもにとって一番なのかという姿勢で対応する」と話す。

ただ、家庭復帰の判断は難しい。
高知県香南市で14年12月、当時3歳の女児が母親らに布団で
す巻きにされ、窒息死した。この女児は虐待されて施設に入った後、
児相の支援を経て家庭に復帰。14年9月に当時住んでいた
高知市が支援を引き継いだ。
この事例の検証報告では、母親は経済的な苦しさや精神的な
不安定さを抱え、高知市は把握していたが、支援が
追いつかなかったとみなされた。(長富由希子、畑山敦子)

 ■<考論>「親子一緒」限界も

西澤哲・山梨県立大教授(臨床福祉) 
子どもが亡くなるような深刻な虐待では、親の多くが幼少期に
虐待されたとみられる。愛された経験がないため異性や薬物に
依存して子どもをネグレクト(育児放棄)し、殴られて育ったため
「しつけには体罰が必要」と暴力をふるう。
貧困や精神疾患などの問題が芋づる式に起きる人も多い。
親の問題が根深いと虐待を止めるのは難しい。親子で一緒に
暮らせるようにすることをあきらめ、信頼できる大人のケアで
子どもが暮らせることも社会の責任だ。

 ■<考論>地域の手助け必要

宮島清・日本社会事業大准教授(児童福祉) 
様々なトラブルを抱えながら、しんどい暮らしをしている親子は
少なくない。特に虐待した親の困難は深刻で、反省を求めたり
子どもへの接し方を訓練したりするだけでは十分ではない。
親子の状況を把握し、児相だけでなく市区町村や保育所、
学校、病院なども関 わるオーダーメイドで包括的な支援が

不可欠だ。親が変わるのを待つだけでなく、例えば保育所入所や
子どもの食事・洗濯の補助など、地域が親子とつながっていく
支援をすべきではないか。

関連記事です。
育児ノイローゼの母がネグレクトを題材にした映画「子宮に沈める」を観る

よく「自分のこどもを産んでから子供が事故に合うニュースが辛くて
見てられない」とか聞きますが、わたしは全く逆です。

産むまでは虐待や事故のニュースは可哀想で泣いて
しまう程共鳴するタイプだったんですが子どもを産んでから
全く感じなくなりました。

まったくです。

母性も産んだ時に一緒に出しちゃったんじゃねーの!と思います。
ハハーン。まあ、たぶん心を麻痺させることでなんかの
バランス保ってるんでしょうね。

むしろ幼児遺棄事件とかネグレクト、連続殺人事件のニュースや
映画をあさるように観るようになりました。見て、知って、ネグレクトを
する母親と自分とどこが違うのか確認したい、自分の子どもや親を
殺す程わたしはそこまで追いつめられているのか確認したい、
そんな気持ちがあるんだと思います。

で、ずっと気になってた大阪2児放置死事件を題材にした映画
「子宮に沈める」がレンタルに出てたので借りてきました。

以下バリバリネタバレしてます。

よき母であろうとする由希子、シングルマザーになってからこども達と
3人での生活が始まります。母親の心情を象徴するように部屋は
どんどん荒れていきます。手作りしてお皿に出していた食事が
スーパーのパックのまま食卓に載るようになってになって、子どもの
食べ散らかしはまき散らされたままになり、台所の流しで煙草の灰を
捨てるようになり、ゴミの日に出せないゴミ袋が大量にたまっていく…。
母親の格好も水商売を始めたのか、ほっこりファッションから
高いヒールに薄いドレスと、どんどん派手にだらしなくなっていく。
そしてとうとうドアと 扉にガムテームで目張りをして、
大量のチャーハンを作って出て行く…

で、感想は、あーすげー嫌な感じに作ったなー、でした。

子どもが可哀想で嫌だったのではなく、あの部屋の閉塞感。
ずっとマンションの部屋の中で撮影されて、やたらと長廻しなのです。
あと子ども目線なのか 視界が低い。うまいなー。子どもの泣く声、
ママーママーってずっと呼ぶ声。突然切れる映像。わたしを
責めるように泣く新生児を抱いて、ずっと部屋から出ていなかった
産後の一ヶ月の期間を思い出して観るのが辛かった。産後の
母って視界が低いんですよね。ベッドで寝てた人も布団に
寝るようになったり、赤ちゃんのおもちゃにあわせて寝転んだり
するから。その時に見た風景とそっくりでした。

あとね、事件の内容というより母性がわかりやすく
演出されてるのが鼻につく。

男が撮った映画だなーと思いました。

はじめの丁寧にロールキャベツ作るところとか、最後の死体に
手編みの母親のマフラー巻いてあげるとか、はいはい母性ですねって
感じで何の共感もできなかった。子どものシーンの圧倒的な
息苦しいリアルさに対して、母親のでてくるシーンがミナミの帝王か!
って突っ込みたくなるほど安っぽすぎる。萬田はんは好きですけどね。

あんなに母性を神聖化して描く必要なかったと思う。
そのせいで整頓された「お話」になってて、わかりやすすぎた。
監督の力量不足なのか故意なのかはわかりませんが、
もっとカオスだっただろうに。きれいにとまとめる必要あったの?

監督インタビューに観客の想像の余地があるように撮ったとか
書いてあったけど、どこが???でした。いやいやいやいや、
「子どもを愛してるいいお母 さんがちょっとしたきっかけで
ネグレクトするんですよ、誰でも陥る事態かもよ」でしょう。
はじめっからお手本のようないいお母さん描いて、絵に
描いたような堕落の一途をたどってって… でも子どもは
愛してたんですよーって何の想像の余地もないよ…。

事件について考えるきっかけにはなるだろうけど、
母性演出がフィクションすぎて自分の身に寄り添わせて
考えるのは難しい映画でした。
手編みのマフ ラーの編み針で堕○してるなんていう
ストーリーの〆みせられて、自分の身近で虐待が
起こってるかもなんて考えられないよねー。
まあルポルタージュの本でてるけどね、真実について
知りたければそっち読めばいいし。
だいたい乳幼児がいる家の部屋なんて、
ネグレクトしなくてもあれくらい荒れてる
よ!!!!
と声を大にして言いたい。
(そうでもないですかね、すいません)
この映画を知った時に観ないで批判するな!って書いてあった
レビューがあったけど、告知映像の方がネグレクトの悲壮さ
は伝わるんじゃないかな。観た方が批判したくなったわ…。

育児ノイローゼ母としてはどうせフィクションにしちゃうなら、
ほっこり*お母さんのままネグレクトしてる映画が観たかったです。
それくらい育児の闇って深いし、周りからわかりにくいと思うよ。



posted by salsaseoul at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年10月04日

宅配便、留守で2割が再配達 排ガス増・人手不足に懸念

朝日新聞 2015年10月3日

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宅配便の取扱量が増えるなか、受取人の留守で2割が
再配達となっている。輸送トラックの排ガスが増えることや
運転手不足への懸念が浮上し、国が対策に乗り出した。
宅配業者は新たな受け取り拠点をつくるなど、サービスを
広げて効率的な配達を図っている。

「また間に合わなかったか……」。東京都内に住む出版会社
勤務の女性(30)は7月、マンションの郵便受けに入って
いた不在票を見て肩を落とした。

静岡県の母親から菓子が送られてきたが、仕事で不在だった。
再配達を依頼したが、帰宅が間に合わなかった。
宅配ボックスのないマンションに移って再配達の依頼が増えている。

こうした再配達が各地で目立っている。国土交通省は昨年12月、
宅配事業大手3社を対象に再配達の発生率を調査。
約413万個を調べた結果、2割が再配達されていた。
都市部、都市郊外、地方のいずれもほぼ同じ傾向だった。

トラックで運ばれる宅配便の取り扱い個数は増加傾向で、
2013年度に35億個を超えた。再配達が顕著な背景には、
通信販売の普及や、共働き世帯が増えるなどライフスタイルの
変化があるという。

再配達の影響は小さくない。同省の試算では、トラックの排ガス
では年42万トンの二酸化炭素が発生する。山手線の内側面積の
2・5倍と同じ広さのスギ林が吸収する量に匹敵するという。

不在者への配達には、のべ年約1億8千万時間かかり、
労働力に換算すると約9万人分になる。業界ではトラック
運転手の不足感も強まっており、全日本トラック協会の4〜6月期の
調査では人手不足の見通しがあると答えた事業者は半数にのぼった。

「再配達の過剰発生は社会的損失」とみる同省は6月、宅配事業者や
通販会社、大学教授らによる検討会を発足させた。

業界では対策を進めている。

ヤマト運輸は、あらかじめ配達予定日や時間をメールで知らせ、
外出先でも変更できる会員向けアプリを配信。
帰宅途中に受け取れるようコンビニ約4万店で荷物を預かる
会員向けサービスも行う。

日本郵便は4月から楽天と連携し、楽天市場で購入した物品を
預かるロッカーを都内24カ所の郵便局に設置。11月には
配達予定日を事前にメールで知らせるサービスも始める。
楽天は、関西大学や地下鉄なんば駅、名鉄名古屋駅など
全国23カ所に独自に宅配ボックスを設置している。
(中田絢子)


コメントです
この記事は、増え続ける通販で宅配便の不在が
社会的に悪影響を及ぼす内容です。
ところで、ここでは話題になっていませんが、
実は大手通販会社の配達外注を請け負っている
個人営業の配達員さんがいちばん配達先の不在に
悩まされているはずです。
不在なしで配達できたとしてもコストがぎりぎりですから。
だいたい、通販を利用する客なんてそれを買いに行く
時間がないからネットで買ってしまうわけで、そうなると
配達先が不在がちなのはセットみたいなもんです。
まあ、大手通販会社が営業戦略として「送料無料」と
していることが、実は環境にものすごく悪影響を
及ぼしているのかもしれませんね。





posted by salsaseoul at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年09月24日

罵倒されても蹴られても…妻からのDV、口閉ざす夫たち

朝日新聞 2015年9月13日

201509231.jpg
妻からの暴力に悩まされた男性。自分の携帯電話で写したメールの写真などが
証拠となり、離婚裁判で役立った(画像の一部を加工しています)

配偶者の暴力(DV)を受けている被害者を守るDV防止法が
成立し、15年目に入りました。法は改正を重ね、救済の道は
広がってきました。
女性だけでなく男性が被害を訴える事例も増えているようです。
DVの現状と課題について、2回にわたって取りあげます。

■「稼ぎが悪い」「バカがうつる」

東京都内に住む自営業の男性(45)が、2年余り受け続けた
妻からの暴力を明かしたのは3年前の夏だった。
妻から逃れて自宅を飛び出すと、警察官が立っていた。

 「どうしました?」

 男性は重い口を開いた。

前夜、酔って帰宅した妻の携帯電話にメールが着信した。

差出人は知らない男の名前で、直前まで会っていたことが
うかがえる内容だった。気配で目を覚ました妻が「携帯を返せ」と
飛びかかってきた。服を引き裂かれながら近くの公園へ逃げ、
一夜を明かして帰ると妻は再び逆上。
その騒ぎを聞いた近所の人が 110番通報をしたのだった。

1歳上の妻とは2008年に結婚した。精神的に不安定で、
目の前で手首を切られたこともある。「自分が支えなければ」と
結婚に踏み切ったが、10 年ごろから暴力が始まった。
毎月20万円の生活費を渡しても「稼ぎが悪い」とののしられ、
料理をすれば「まずい」と言われ、トイレ掃除をしても「汚い」と
責められた。自宅で仕事中に蹴られてけがをし、完成間際の
作品を壊された。

常に身構えるようになり、抜け毛が増え、吃音(きつおん)にも
悩んだ。周りから「奥ゆかしい」と評される妻の素顔は誰にも
言えなかった。だが、警察官に明かしたその日のうちに別居。
2年越しの裁判で昨年春に離婚が成立した。役立ったのは、
逃れた公園で撮影した浮気の証拠となるメールと警察官が
聴取した記録だった。「慰謝料は請求できたが、一刻も早く
離婚したくて諦めた」と男性は振り返る。あの夏、警察官に
会わなければ、孤立したままだったかもしれ ない。

神奈川県内で働く30代後半の会社員の場合、DVの被害を
訴えられないままでいる。妻の暴言が始まったのは長女が
生まれてから。「バカがうつる」と言われ、母親との 絶縁など
無理な条件が並ぶ誓約書を書かされ、まもなく自宅を
追い出された。それから2年。会社員は今も月収の半分を
超す30万円を毎月の養育費として支払い、自分は
風呂なしのアパートで暮らす。

「『子どものため』と言われれば養育費を払うしかない。
プライドが邪魔して、相談もできない」

■DV被害10%は男性

警察庁によると、DVの被害は年々増え続け、14年には
過去最多の5万9072件に上った。そのうち男性は
10・1%で、10年の2・4%から4倍に増えた。
最高裁のまとめでは、「相手からの暴力」で離婚を
申し立てた夫は00年度の882件から14年度の1475件へと
増加。一方、妻は1万3002件から1万1032件へと減った。

なお被害者の9割は女性だが、男性の被害は明らかに
なりにくい背景もある。

内閣府が14年度に実施した男女間の暴力についての
アンケートでは、配偶者からの被害経験は女性が23・7%、
男性が16・6%。そのうち「相談しなかった」と答えたのは

女性の44・9%に対し男性は75・4%。男性の方が
1人で抱え込む傾向がうかがえる。

男性からのDV相談も多く受ける森公任(こうにん)
弁護士は、男性の被害者に対する世間の理解不足から
「離婚したい場合、現場をとらえた写真や音源といった
客観的証拠が女性以上に重視される」と指摘する。

自治体も対策に乗り出している。東京都が運営する
東京ウィメンズプラザでは01年6月から男性専用の
夜間電話相談を開設。今年度からは週1回の面接相談を
始めた。京都市も13年度に男性職員が相談に乗る
電話窓口を設けた。北海道では昨年末以降、男性が
入れる「一時保護施設」を社会福祉法人の一室に準備した。

夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんは「男性は社会的
地位が影響し、公的機関や勤務先に頼るケースは極めて
少ない。職場で『家庭内さえ管理でき ない』と見なされ、
出世を阻まれたり失職したりするのを極度に恐れて口を
閉ざすのが大半」と分析する。そのうえで「離婚できない
状況であれば、職場に単身 赴任を願い出たり遠くに
住む親の介護を装ったりして別居する道もある。
子どもを含む被害を減らす方法だ」とし、男性が暴力の
被害を言うことは恥ではないと強調する。(高橋美佐子)

     ◇

 《DV防止法》 夫婦や恋人の間での暴力
(ドメスティック・バイオレンス=DV)の被害者保護と
自立支援を目指して2001年4月、超党派の議員立法で
成立した。被害者の申し立てにより、必要なら加害者に
被害者への接近禁止や住宅からの退去などの
「保護命令」が出る。これまでに3回改正され、加害者の
対象が離婚した元パートナーや同居相手にも拡大した。
この法律に基づいて全国の婦人相談所などに置かれた

「配偶者暴力相談支援センター」への相談は、14年度に
10万件を突破した。


■男性のためのDV電話相談窓口

東京都 ※東京ウィメンズプラザで受け付け

 月・水17:00〜20:00(祝日・年末年始除く)

 電話03・3400・5313

京都市

 毎月第2・第4火曜19:00〜20:30受け付け終了(祝日・年末年始除く)

 電話075・277・1326

神奈川県

 月・木18:00〜21:00(祝日除く)

 電話0570・783・744

横浜市 ※性別を問わない

@月〜金9:30〜12:00、13:00〜16:30(祝日除く)

 電話045・671・4275

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 電話045・865・2040

関連記事です。
「別れない。怒らせる妻が悪い」DV加害者は変われるか

201509232.jpg

パートナーから暴力(DV)を受けても、経済的な不安や子どもへの
影響を考えて別れない女性は少なくない。こうした女性の中には

「夫に変わって欲しい」と願う人もいる。
加害者に対する教育の取り組みは進んでいるのか。

■「自分は配偶者より優秀で正しい」

関東地方に住む男性会社員(41)は7年ほど前、
妻(53)からこう切り出された。

「あなたのしていることはDVです。ここに行ってくれないなら
離婚します」

妻を殴った直後に、加害者教育を受けるよう迫られたのだ。
妻が勇気を振り絞っているのがわかった。

殴ったのは良くなかったかもしれない。でも、怒らせる妻も
悪いのではないか。とにかく絶対に別れたくない……。
さまざまな思いがわき起こったが、2010年1月、
妻の要求に従うことにした。

男性が通い出したのは、民間団体「アウェア」(東京都)が
行っている加害者教育。毎週1回2時間のプログラムで、
料金は1回3千円かかる。被害者であるパートナーが
「十分に変わった」と言うまで通う決まりで、妻の求めで
来る人が多かった。

他の参加者らの前で自分の行為を話すと、
「都合の良いことしか言っていない」と突っ込まれたり、
「こうしたらうまくいった」と助言されたり。
これを毎週繰り返すうちに、DVの加害者だという
自覚が出てきた。

「夫の方が偉い」という価値観があり、妻が自分の意見を
聞き入れないと「なんでわからないんだ」と殴った。
「妻は夫を最優先にすべきだ」と考え、 電話に出ないと
怒鳴った。「妻はいつも笑っているべきだ」と思い、不機嫌
そうだと馬乗りになって暴力をふるった。自分の価値観が
正しいと思い、相手の気持ちは考えもしなかった。

アウェアの加害者教育では、力を使ってパートナーを
自分の思い通りにすることがDVだと徹底して教える。
その「力」は殴る蹴るといった身体的暴力だけでなく、
言葉で相手を否定する精神的暴力、お金を借りさせる
経済的暴力、性的暴力もある。

男性は身体的暴力をやめ、一時期は増えた精神的暴力も
減ってきた。男性の顔色を常にうかがい、うつ病にも
なった妻が半年前からアウェアの被害者支援を受ける
ようになったからだ。少しずつ自信を取り戻した妻は
「今の言い方は怖かった」などと言えるようになり、
男性が態度を変えるきっかけになった。

妻は「DVが完全になくなったとは今も言えないが
暮らしやすくなった。被害者が加害者に『教育を受けて』と
言うのはとても勇気がいる。行政や司法で受けさせる
仕組みができれば、救われる人が増えるはずだ」と話す。

アウェアの吉祥眞佐緒(よしざきまさお)事務局長によると、
加害者の男性には共通の傾向がある。
「自分は配偶者より優秀で正しい」という思いがあり、
「家事は女性がすべきだ」などと男女の固定的な役割

分担意識が強い。暴力を「相手のせいだ」と
責任転嫁する人も目立つという。

プログラムは、こんな意識を捨てて相手を尊重することを
目指す。「被害者が逃げることが日本のDV対策の中心に
なってきたが、逃げられない人も少なくない。
効果は簡単に出ないが、加害者教育を望む人に応える
必要がある」と吉祥さん。

一方、加害者教育には課題もある。プログラムを受けた
加害者を被害者が過度に信用し、かえって危険な目に
あう恐れが指摘されている。アウェアの場合、
「簡単には変わらない」ことを被害者に事前に伝え、
危険だと判断したら警察や被害者に連絡する。

加害者教育を行っている民間団体は全国に少なくとも
十数団体あるとされる。DV対策を担当する内閣府は
今年度、民間団体の質や教育内容の調査に初めて
乗り出す。教育内容や被害者の安全確保策などを
聞き取ったうえで、有識者で協議。ガイドラインづくりも
視野に入れている。

法務省は 08年度から、暴力犯罪を繰り返して

保護観察中の成人に教育プログラムの受講を
原則義務づけた。だが、「配偶者だけに暴力を振るう人が
多いなど、DVは他 の暴力とは違う特徴がある」という
意見を受けて教育内容を検討。今年度から保護観察中の
DVの加害者に対し、教育プログラムにDVも加えた。

法務省のプログラムでは、保護観察官が1対1で指導。
「パートナーが遅く帰ってきた」といった具体的な場面で、
どういう態度を取るべきなのかを考える。民間とは違い、
このプログラムを受けないと仮釈放や執行猶予を
取り消すなど強制力がある。

全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた
DVの相談件数は増え続け、14年度には10万件を
突破した。DV問題に詳しいお茶の水女子大の
戒能民江(かいのうたみえ)名誉教授は
「DV加害者のうち、民間や国の教育を受ける人は
ごく一部。多くの人は自分が加害者だと気づいていない」と

指摘。 「DVは重大な人権侵害だと、社会全体の意識を
変える必要がある」と訴える。(長富由希子)


コメントです。
私的な感想ですが、ここ十数年、繁華街で夜遅くまで
時間を過ごすミドルエイジの既婚女性が増えた気がします。
それ自体は特に問題はないですが、夜遅くまで外出して、
家族の方々はどう思っているのか疑問に感じていましたが、
今日の記事を読んでその事情の片麟に触れた気がします。
また、記事内での女性は年齢的にバブル世代。
たいへん華やかな時期の若い頃を過ごした方々ですから、
そのことも影響しているのかもしれませんね。
さて、DVに関して男性は圧倒的に声を上げにくいと
ありますが、
どうか公的機関などを利用して、
早急に身辺整理をすすめて生活の建て直しを
図ってほしいですね。



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2015年09月19日

少年非行は「スマホの有害情報が問題」69% 内閣府調査、前回より22ポイント増

産経新聞 2015.9.19
内閣府は19日付で少年の非行に関する世論調査結果を
発表した。「どのような社会環境が問題か」と尋ねた質問
(複数回答)に「スマートフォンやインターネットの普及で
有害情報を手に入れられる」と答えた人が69・8%に
上り、2010年の前回調査より22・5ポイント増えた。

他にも
スマホとネットの影響で「見知らぬ人と出会える」(62・5%)
「少年の交友関係や行動が把握しにくい」(50・8%)との
回答が上位を占めた。

5年前から増えていると思う少年非行(複数回答)については
「掲示板に犯行予告や誹謗中傷の書き込みなどネットを
利用したもの」が63・0%と最多。
「自分の感情をコントロールできずに行うもの」は52・7%だった。

最近の少年の問題点(複数回答)については「忍耐力がなく、
感情をコントロールできない」が67・4%で最多。
「他人とのコミュニケーションがうまくできない」(53・5%)、
「自己中心的で相手の立場を理解しない」(51・8%)が続いた。

調査は7月23日から8月2日まで実施し、全国の20歳以上の
男女3千人が対象。回答率は59・1%だった。

コメントです。
今日の記事題目に少し付け加えると、正確には
『ネット上の有害情報がスマートフォン経由で… 』が
正解でしょう。
ただ、スマートフォンの使用が有害情報の取得に
至らなくても、中高生が自転車を乗りながら
スマートフォンを使用するなど、あれだけ使用時間を
費やしていること自体は有害にならないのでしょうか。
社会人が勤務時間内にスマートフォンを
私用利用する
時間も、経済損失として換算したら相当なものです。



posted by salsaseoul at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年09月18日

小学生の暴力行為、1万1千件で過去最多 昨年度調査

朝日新聞 2015年9月16日

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昨年度の小学生の暴力行為は1万1468件で、前年を約5%
上回って過去最多となった。文部科学省が16日、国公私立の
小中高校を対象にした「問題行動調査」の結果を発表した。
中高生の暴力が大きく減ったのとは対照的に、増加に
歯止めがかからなかった。

小学生の暴力の内訳は、児童間が7113件、対教師が
2151件、器物損壊が1997件、それ以外の人への暴力が
207件。教員を何度も蹴る▽文具を隠したことをきっかけに
殴り合う▽登校中に雪玉をガラスに投げて破損させる
――などの例があった。暴力があった小学校は、校内に
限っても全体の12% にあたる2499校にのぼった。

文科省は、繰り返し暴力をふるう子や感情のコントロールが
できない子が増えていると分析。
貧困などの課題を抱える家庭が増え、小学校入学前に
言葉で
意思を伝えさせるなどの家庭教育が十分で
ないケースが
目立つという。
加害者数を学年別にみると、小6は前年度より減ったが、
小1は5年前の2倍以上に増えた。

一方、中学生の暴力行為は3万5683件(前年度比11・3%減)、
高校生は7091件(同13・6%減)。減少は、非行集団が減った
影響などが考えられるという。小中高生の合計を都道府県別に
みると、千人当たりの発生件数が最も多かったのは大阪府の
10・6件。最少は秋田県の0・6件だった。

暴力行為以外の調査では、小中高校生の自殺が230人。
原因とみられる状況は「進路問題」が21人、「家庭不和」が20人。
「いじめ」も5人いた。全体の人数は前年度を10人下回ったが、
小学生は3人増えて7人だった。

小中学生の不登校は計12万2902人(前年度比3285人増)。
小学生は千人当たり3・9人で過去最多だった。

例年、いじめの認知件数も聞いているが、岩手県矢巾町で
中学2年の男子生徒が自殺した問題を受けて再調査しており、
発表は10月末ごろの見通し。(高浜行人)

     ◇

■「怒り」理解させる試みも

小学生の暴力行為が増え続け、昨年度は1万1468件で
過去最多となった。ささいなきっかけで突然、周りにキレる児童。
感情を抑える方法を教えて防ごうとする学校もある。

今月初め、東京都内の小学校。2年生のクラスで担任教員が
計算のテストを返していると、「ぎゃーっ」と大声がした。
後ろに座る男子から急に背中を殴られた子が、悲鳴を上げた。

男子は「テストで×が多くて腹が立った」という。
以前から、教員が注意すると突然たたいたり、
「給食のおかずが少ない」と係の子を蹴ったりしてきた。

埼玉県内 の小学校で1年生を担任する教員は6月、
男子に突然、「何すんだよ!」と殴りかかられた。
教室で下を向く男子の肩に触れ、「どうしたの?」と声をかけた
直後だった。この子は普段から廊下で教師らに、「死ね」
「うぜぇ」と言葉を浴びせる。
「見えない攻撃の針がいくつも出ているよう」と担任は言う。

「暴力以外の解決方法を知らない子が増えている。
やりたいことをどうしたらうまくできるか、周りの大人が
教えていない」と都内のベテラン教員。別の学校の校長は
「教員の指導力が下がった」。担任が替わった途端に
落ち着くケースも多いという。

感情を抑えられない児童たち。東京都品川区では
2009年度から、全区立小学校で「怒り」をコントロールする
授業を続けている。

「これはどんな気持ちかな?」。
様々な表情の顔写真を見せ、感情を考えさせる。
また「友達が遊ぶブランコを、自分も乗りたい時はどうする?」
など と問いかけ、「順番で使う」「『乗りたい』と言う」と解決策を
考えさせる。怒りの感情を理解した上で、
「衝動的に殴ってはだめ」と教える目的があるとい う。

NPO法人「日本こどものための委員会」(東京都)が研修会を
開き、教員にこの指導方法を広めている。同法人の研修は近年、
全国で年800人ほどの教員が受けている。

埼玉県東 部のある学校では今春、児童の生活情報を
書き込む「指導連絡掲示板」を教職員専用のネットシステム上に
つくった。「○月×日 友達とけんか。保護者に連絡 済み」と
いった情報を学校全体で共有するためだ。「高圧的な指導は
かえって子どもの暴力を呼ぶ。各自の家庭環境や心情を教員が
理解しないと」と校長は話す。

いじめや暴力など、子どもの問題行動に取り組む専門の教員を

小学校に配置する自治体もある。横浜市は、児童の生活指導や
保護者との連絡を主に担う「児童支援専任教諭」を10年度から
全市立小学校に置く。「児童の問題行動が学校全体でしっかりと
把握できるようになり、対策も取れるようになった」と市教委の
担当者は言う。
同様の教員は川崎市、相模原市も配置を始めている。

     ◇

■他者への共感乏しく

〈村山士郎・大東文化大名誉教授(教育学)〉 
小学校低学年でも携帯やスマホ、 テレビゲームに夢中に
なり、真の感動体験が減っている。
その結果、自分を見つめたり、他者と共感し合う言葉や
表現力が乏しくなったりして、ちょっとしたこ とでキレやすく
なっているのではないか。学力調査の結果を競うなど過度な
競争や、貧困の拡大で家庭でかまってもらえず荒れるケースなど、

社会的要因も考え られる。こうした要因を軽減する取り組みが
なければ、子どもたちの中にたまった攻撃性の「マグマ」は
収まっていかないだろう。

■人間関係育む指導を

〈中村豊・関西学院大教授(生徒指導)〉 学級担任が多くの
教科を教える小学校は、生徒指導も担任に多くを任せる
文化がある。ベテランの大量退職に伴い若手の担任が増え、
保護者が体罰的 な指導に敏感になっていることもあり、
厳しい指導をためらっているのではないか。生徒指導担当教員の
追加など校内の指導体制を整えるとともに、子どもの人間関係を
育む指導方法にも気を配るべきだ。一方、増えたのは軽微な

ことも隠さず報告するようになった結果とも言える。
件数の多さを正しく評価する社会の意識も必要だ。


コメントです。
小学生の暴力行為増加傾向の記事です。
本文にもありますが、原因として、貧困による
家庭での教育不足、有害玩具(スマートフォン等)に
よるものなどさまざまな要因があります。
いずれにしても、先進国を目指した結果、
それから生じた多くの歪みが、一番弱い児童に
のしかかって今日の記事の事例に至ったのでしょう。
そうなると、社会は何のため豊かさを目指したのか
わかりませんね。




posted by salsaseoul at 20:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年09月14日

[東日本豪雨]被災地で空き巣横行 うわさ話も飛び交い住民に不安

産経新聞 2015.9.13

鬼怒川が決壊した茨城県常総市の被災現場で、住民が避難して
不在の隙を狙った火事場泥棒ともいえる空き巣被害が相次いでおり、
県警常総署が警戒を強化している。

常総署によると、13日までに十数件の被害が報告されている。
10日の避難直後で、本石下地区や若宮戸地区で多くの申告があり、
パトロールを強化してからは減少傾向にあるという。

戸締まりをしてから避難した若宮戸地区の男性は11日午後1時頃に
自宅のようすを見に帰ると、窓がこじ開けられていたという。

男性は「貴重品は持って避難したのでよかった。人が災難で
苦しんでいるときに、盗みを働くなんてろくでもない。
卑怯(ひきょう)だ」と怒りをあらわにした。

同市小保川から避難している女性(55)は、同じ敷地内に
住む伯母(90)の家に空き巣が入ったという。
「慌ただしく伯母を連れて出たので、鍵を閉め忘れてしまった。
捜査が終わるまで片付けもできない…」とため息をついた。

鬼怒川の堤防決壊で浸水した常総市新石下の実家と同僚の
家の片付けに来たつくば市の男性教諭(45)は、
「『自衛隊員の服装をした空き巣がいるらしい』というような
噂話があちこちで飛び交い、みんな不安に感じている」と話す。

男性は「つくば市に避難するよう両親に促したが、
『泥棒が心配で、夜は家をあけられない』と自宅にとどまっている。
食事やお風呂などは、被害のなかった知人の家に
通わなければならず、疲れがたまっていると思う」と、
高齢の両親を気にかけた。


コメントです。
東日本豪雨の話題です。
日曜日ぐらいから、朝刊やニュースで
被災地へのボランティア募集がありましたが、
善意の皮をかぶった悪人がいないかと
少し心配していましたが、違う形で心配が
当たってしましました。
情けないかぎりです。
あまりにも情けなくて
脱力してしましました。
また、記事にもありますが、
自然発生した不確かなうわさも、
被災住民を悩ませる要因のひとつですね。







posted by salsaseoul at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年08月19日

ひき逃げで免許取り消し 最悪ペース、目立つ20代 兵庫県15年上半期

神戸新聞 2015/8/19

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ひき逃 げ事故を起こして運転免許を取り消された兵庫県内の
処分者が、今年上半期(1〜6月)で61人に上り、過去10年間で
最多だった昨年(年間111人)の上 半期と同数だったことが、
県警への取材で分かった。厳罰化を図るため、免許を再取得
できない「欠格期間」が2009年に引き上げられた後、一時的に
減った が、その後は増加傾向が続いている。

道交法には、運転中に人身事故を起こした場合、応急手当て
を施したり、警察に報告したりするなどの「救護措置義務」が
定められ、違反すれば免許取り消し処分を受ける。

飲酒運転による死亡事故や悪質なひき逃げ事故などを受け、
09年に道交法が改正され「欠格期間」が最長5年から10年に
引き上げられた。08年に86人だった処分者は10年には
67人に減少したが、11年以降は右肩上がりを続けている。

県警が上半期に処分された61人の逃走理由を分析したところ、
最多の17人が「処罰を受けるのが嫌だった」と説明。
「怖くなった」(13人)や「保険に未加入・賠償できない」(9人)、
「大したけがではないと思った」(8人)も目立った。

年代別で見ると、
20代が24人で最も多く、
65歳以上=10人
▽40代=9人
▽30代=8人
▽10代=4人−と続いた。

上半期に発生したひき逃げ事故は598件で、
4人が死亡、279人が重軽傷を負った。県警は
「事故を起こしても、すぐに届け出ることで助かる
命もある」とし「免許の取り消しで仕事や家庭を失う
ケースも多い。絶対に逃げないで」と呼び掛けている。(初鹿野俊)




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2015年08月14日

学校のトラブル「先生のせい」? 増える共済・保険加入

朝日新聞 2015年8月14日

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学校のトラブルで訴えられたり、賠償金を請求されたりする事態に備え、
教職員向けの共済・保険加入者が増えている。
従来、責任を問われるのは学校の 設置管理者である自治体や
学校法人だったが、専門家は「個人に責任を求める動きがある」と
指摘。自分の身は自分で守るという意識の高まりが、加入者増の
背景にあるようだ。

教職員賠償共済・保険は「生徒間のケンカの対応が不適切だと
保護者から損害賠償を求められた」など、教職員が業務中の
トラブルで訴えられた際の弁 護士費用や賠償金を補償。
「プールの栓を閉め忘れ、自治体から水道料金の一部支払いを
求められた」「校外学習のため給食を止めるべきだったのに失念した」
など、訴訟に至らないケースの補償もカバーする。

全日本教職員組合共済会が2002年度から月150円の掛け金で
始めた「教職員賠償責任共済」は、初年度の加入者4827人から
14年度は3・8 倍増の1万8479人に。
「大きく宣伝していないのに伸びている」と今谷賢二専務理事は
言う。「個人の責任を追及されるかもしれないという漠然とした
不安 が現場に広がっている」

教職員共済生活協同組合は11年度に参入。死亡保障などを
備えた総合共済に賠償保険を盛り込んだ。掛け金は月100円
増えたが、毎年4千〜5千人 台だった新規加入者は7千人台に
増え、14年度は8500人を超えた。総合企画部の小林康之部長は
「教育現場のニーズに驚いている。危機感は想像以上だ」 と話す。

■教員の「お守り」

本来は自治体など設置管理者がカバーするはずの学校トラブルの
賠償に、教員個人が備える教職員賠償共済・保険の加入者が
増えている。世間の教員に対する厳しい視線を意識し、
「お守り」として加入していると、専門家は指摘する。

関西の60代の元小学校長は現役時代、いじめをめぐる
対応を保護者に批判され、裁判に訴えられた。

 部下の教諭が児童の交換ノートに特定の子の悪口が
書かれていることを知り、記入した児童らを指導したところ、
保護者から「指導にかこつけた虐待だ」と非難された。

訴状にある被告欄には、部下とともに元校長が名を連ね、
「対応が不適切」と1千万円超の賠償を求められた。公務上の
トラブルであり、教育委員会が 守ってくれると期待したが
「訴訟費用は出せない」と言われた。裁判では「小学校側の
対応は合理的で何ら違法なものとはいえない」と勝訴したが、
心は晴れな い。

教員になったころは「保護者が見守ってくれている」という
思いがあった。今は「教育委員会に訴える」と迫る
保護者が増えたと感じる。「みんな、いっぱいいっぱい。
追い詰められ、漠然とした不安を抱えている」と言う。

甲南大教職教育センターの古川治教授(教育経営学)の
研究グループは昨年、大阪府の公立学校長にアンケートし
「訴訟に備えて損害賠償責任保険への 加入が必要と思うか」と
問うた。回答者844人のうち47%が「すでに加入」、28%が
「これから入りたい」と答えた。「校長の75%が自分の身は
自分で 守らなければいけないというのは、いかに現場が
大変かというのを物語っている」と古川教授は言う。

諸富祥彦・明治大教授(教育臨床学)は「学校教育はサービス業で
あるとの認識が広まり、保護者や地域の目は厳しさを増している。
かつて教員は安定志向の人が就くことが多かったが、もはや
覚悟が必要だ。ストレスばかり増す教員にとって、
保険はお守りのようなものだろう」と話す。(長野佑介)

■教職員賠償の給付例

学校行事の駐車場用地として、教員が空き地の草刈りを
していたところ、石が飛んで隣接の駐車場の車数台を
傷つけてしまった

・卒業アルバム作成時に生徒の名前に誤りがあったが
発見できず、修復が必要になった

・運動会の組み体操の練習中、生徒がメガネを外して足元に
置いていたところ、気づかず踏んで壊してしまった

・校外学習のため給食を止めるべきだったのに失念した

※教職員共済への取材による。学校や教育委員会の判断に
よって必ずしも個人負担になるとは限らない


関連記事です。
「先生触らないでください」 教え子らへのセクハラ深刻


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 学校の教職員による性的な嫌がらせ「スクールセクハラ」が
深刻化している。わいせつな行為で懲戒処分や訓告を
受けた公立学校の教職員は2013年度、初めて
全国で200人を超えた。私立学校は含まれず、
「氷山の一角」だ。

「俺に見放されたら、お前は終わるぞ」

 「そんなにベタベタ触らないでください!」

 数年前、都内の高校に通っていた20代の女性は
初めて、その男性教諭に強い口調で抗議した。
この教諭は授業中、女性の肩をもんだり頭をなでたり、
ほおや足を触ったりしてきた。

その様子は、他の生徒も目撃していたが、教諭は気に
していないように見えた。女性は「これってセクハラじゃ
ないの?」と迷いながら、受験への影響も考え、耐えていたという。

だが、この日は我慢できなかった。教諭が女性の机に
近づいてきて、制服のブラウスの中に手を入れ、背中を
触ってきたのだ。女性が抗議すると、教諭はこう言った。
「俺に見放されたら、お前は終わるぞ」

翌日から、学校に行けなくなった。眠れなくなり、食欲も
なく下痢を繰り返した。嘔吐(おうと)が止まらないこともあった。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

教諭は退職したが、教え方は上手で、人気があったため、
女性を責める同級生もいた。「なぜ私が責められるのかと
思うと、むなしかった」と女性は言う。卒業後に1浪し、
知人のいない遠方の大学に進学した。

両親の後押しで裁判に訴えた後も、苦痛は続いた。
教諭は、女性が反抗的な性格だったと非難し、
「スキンシップだった」「親しみを込めた表現だっ た」などと
主張。頭以外を触ったことは認めなかった。裁判所は、
不快感を与える身体的な接触があったことを前提に
和解を勧め、数十万円の支払いで和解し た。

今は会社員として働く女性は「誰かが嫌だと言わないと、
また同じことが起きると思った。友人を失ったのは
つらかったけど、訴えたことで自信につながった」と話す。

性暴力に詳しい打越さく良弁護士は「セクハラを訴えると、
被害者が人格攻撃され、品行方正な女性だったかどうかを
問われる構図がある」と二次被害を指摘する。
「周りの人が説得して泣き寝入りしているケースも多い」という。

■公立校教職員の処分最多

 「部活のときに触る」「肩をもむ」「身体的な特徴を言う」……。
教員と保護者が班になり、スクールセクハラにあたる
と感じる行為を挙げていった。

17日、大阪市の市立我孫子中学校(生徒数444人)で
あった人権の研修会。講師は、NPO法人
「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」
代表の亀井明子さん(67)だ。学校とPTAが「若い先生にも、
職を失う前に知っておいてほしい」と開いた。
30代の男性教諭は「セクハラになるかどうかの感覚が人に
よって違うと分かり、役に立った」と話した。

文部科学省の調査では、13年度に全国の公立小中高校や
特別支援学校で、強制わいせつや盗撮などで
懲戒処分・訓告を受けた教職員は過去最多の205人
(うち免職は117人)。私立や国立の学校は調べていない。

わいせつ行為の相手は、「自校の生徒」が77人(38%)で
最多。「自校の児童」(16人)などを含めると、「教え子」は
半数にのぼる。内容は「体に触る」が56人で最も多かった。
電子メールなどによる性的嫌がらせも増えている。

文科省が、現在と同じ方法で集計を始めた1988年度は
17人だった。01年に兵庫県の公立中学校の男性教諭が、
大阪市の中学1年の女子生徒に手錠をかけて連れ回し、
死亡させた事件が起きた。
これを機に、「原則として懲戒免職」という厳罰化に転じた。

広島県では08年、多数の女児に強姦(ごうかん)などを
繰り返していた小学校教諭が逮捕された。
県教委は09年、スクールセクハラと体罰の相談窓口を設置。

教職員向けの研修マニュアルも作り、各学校で実施している。

神奈川県は06年度から、県立学校の生徒を対象に、3年おきに
セクハラアンケートを実施し、被害の把握に努めてきた。
13年度からは毎年に変更。14年度の「先生」からの被害数は
19件と、前年度の36件から減少した。「アンケートを配布する
ことで、抑止効果にもつながった」とみる。

ただ、こうした対策は自治体によって差がある。
亀井さんは「200人の処分でも、1人が2人に加害行為を
していれば、被害者は倍になる。
表に出ているのは氷山の一角」とみる。

同ネットは、教員や児童心理の専門家らで98年に結成し、
母親を中心に年間約100件の相談がある。
だが、学校に訴えられない母親らが目立つ。処分されずに
教諭が転任し、別の学校で繰り返すこともあるという。

横行する理由について、元教諭の亀井さんは
「指導という名目での身体接触が多いため」と話す。
多いのは演劇部やコーラス部など、部活動の場面。
体に触りながら稽古したり、「全国大会に出るため」などと
正当化したりする例だ。

被害を受けたら、どうすればいいのか。

 亀井さんはまず校長への相談を勧める。
信頼できない場合は、先に教育委員会に相談してもいい。
ただ、「なかったこと」にされるケースもあるため、
同ネットのような第三者にも相談しておくと安心だという。
学校の対応は改善されてきたといい、
「今後は予防に力を入れてほしい」と期待する。(杉原里美)





コメントです。
十数年前から「モンスターペアレント」なる言葉が
生まれ、そして関連記事にあるように、性犯罪を
犯す犯罪者教師も相当数出てきて、いずれにしても
社会が相当病んでいますね。
最近の教育現場は、客観的に見て勝者はなく、お互いが
傷つけあう場所になって感があります。
もちろん、まじめに頑張っている方々が大部分なのは
間違いありませんが、何か、以前はなかった気持ち悪い
雰囲気が教育現場にあるのも事実です。





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2015年08月12日

子供自殺、9月1日最多 長期休み明けに集中 国調査42年分

朝日新聞 2015年8月12日


18歳以下の自殺人数を日付別に分析したところ、9月1日が
突出して多く、夏休みなど長期休暇が明けた時期に集中して
いることが内閣府の調査でわかった。増加傾向がみられる
8月下旬から9月上旬を前に、文部科学省は今月4日、
児童・生徒への見守りを強化するなど重点的な対応を求める
通知を全国の都道府県教育委員会に出した。

 1972〜2013年の42年間に自殺した子どもの総数は
1万8048人で、日付別に合計した。最も多かったのは
9月1日(131人)で、
4月 11日(99人)、
4月8日(95人)、
9月2日(94人)、
8月31日(92人)が続いた。
7月下旬から8月上旬は40人以下の日が多いが、
8月20日 以降は連日50人を超えていた。夏休みや
春休みなどの終わりが近づくと、自殺者が増える
傾向が浮かび上がった。

内閣府は「環境が大きく変わり、プレッシャーや
精神的動揺が生じやすいと考えられる」と指摘。
長期休業の期間に合わせて、児童・生徒の見守りを
強化したり、相談に応じたりすることが効果的だと提言した。

内閣府によると、大学生も含めた学生・生徒の自殺数は
14年の1年間に866人で、このところ減少傾向にある。
大学生が428人を占め、専修学校生など109人、
高校生213人、中学生99人、小学生17人。
原因別では、小中学生は「家族からのしつけ・叱責(しっせき)」
「学校の友人との不和」が目立ち、高校生になると
「学業不振」「進路に関する悩み」が増える。

 (太田泉生)

 ■18歳以下の自殺者が多い日

(1)9月1日  131人

(2)4月11日  99人

(3)4月8日   95人

(4)9月2日   94人

(5)8月31日  92人

(1972〜2013年の自殺者数を日付別に合算。内閣府調べ)


20150812.jpg

夏休みなど長期休暇が明ける前後に、子どもの自殺が増加する
傾向が、内閣府の調査で裏付けられた。いじめ対策や子どもの
支援に関わってきた人たちは、「子どもの異変に敏感になって」と
呼びかけている。

 「実感通りの数字だ。休み明けに多くの子どもが自殺している
現実を知ってほしい」。いじめ問題に取り組むNPO法人
「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さん(58)
=横浜市=はそう話した。

 1998年の夏休み中に、長女の香澄さん(当時15)がいじめを
苦に自殺。教員や保護者への講演に取り組んできた。
子どもの命を守るために「最も大事」と強調するのが夏休みだ。

「いじめに苦しむ子どもは、学校が始まる日を指折り数えて
追い詰められている」。いじめが解消していると期待して
登校したが変わらず、その落胆が自殺につながっていると見る。

「子どもは親に悩みを話しにくいため、学校の役割が大きい」と
小森さんは言う。先生がいじめに気づいたら、被害者に会って
「あなたをこうして守る」と伝え、その子が納得したら、具体的な
行動を取るべきだという。

小森さんは娘が苦しんでいると気づき、必死に支えようとしたが、
自殺するとは思ってもみなかった。「いじめが心を深く傷つけ、
生きる力まで奪うと気づいていなかった。
命に関わるという認識が大切です」

どうしたら、異変に気づけるのか。不登校の子らの居場所を
川崎市で運営するNPO法人「フリースペースたまりば」の
西野博之理事長(55)は「日常からアンテナを立てていないと、
子どものSOSに気づきにくい」と指摘する。

起床が遅くなったり、元気がないように見えたりしても、
大人は「怠けているだけ」などと見過ごしがちだ。

だがいじめや勉強の重圧など悩みを抱えている場合もある。
腹痛などの身体症状もあったら要注意。問いただすのではなく
寄り添って気持ちを打ち明けやすいようにしてほしいという。

西野さんは「学校は命を削ってまで行くところではない。
本当につらい時はちょっと休むことも考えて」とアドバイスする。

 (太田泉生)

 
■全国共通の子ども向けの電話相談

 ○24時間子供SOSダイヤル

 0570・0・78310(通話料が必要、保護者も可)


 ○チャイルドライン

 0120・99・7777
(月〜土曜の午後4〜9時、通話無料、18歳まで)




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