疎外感、そがれる士気 福島第一原発、
単純ミス相次ぐ下がる日当「割に合わない」
朝日新聞 2013年10月14
福島第一原発で相次ぐ作業ミスについて原子力規制庁の
池田克彦長官は4日、東電の広瀬直己社長に
「初歩的な確認の不足で引き起こされた。現場管理能力が
著しく低下している」と詰め寄った。ほかの発電所から作業員を
回してでも、福島第一原発で適切に作業管理をするよう指示した。東電は、柏崎刈羽原発(新潟県)の6、7号機について新基準適合
申請をしているが、池田長官は「(福島で)こういう状況が続く中、
柏崎刈羽安全管理を適切に行うことができるのか」と疑義を呈した。
しかし、ミスはその後も止まらない。7日、経験不足の作業員が
配電盤の操作を誤り1号機原子炉の注水が一時低下。
9日には誤ってホースを外し、作業員が汚染水を浴びた。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は9日、
「現場の一人一人の士気をきちっと保てるようにしないと。
不注意によるトラブルは規制でなおるものではない」と発言。
東電が作業を下請け任せにしている現状や、作業環境の
悪さについて懸念を示した。
東電原子力・立地本部の尾野昌之本部長代理は11日の会見で
「構造的なものなのか、うっかりしたからか整理後改善したい」と
述べた。2日に起きたタンク上部から汚染水漏れで一部が海に
流出した問題では、現場担当者の要求が幹部に伝わりにくく
情報共有ができていなかったことなどを原因に挙げた。
30〜40年続く廃炉作業の担い手を確保するには、作業員が
抱える健康への不安の払拭(ふっしょく)が欠かせない。
国は東電や協力会社に、半年に1回作業員の健康診断を
義務づけている。事故後9カ月間に働き累積の被曝線量が
50ミリシーベルトを超えた作業員に限り、離職後に白内障の
検査などの費用を国が補助する。
支援団体「被ばく労働を考えるネットワーク」(東京都)の
中村光男さんは「会社から放射線管理手帳をもらっておらず、
自分の被曝線量を知らない人もいる。50ミリ以下の被曝でも、
国の責任で離職者に定期的な健診をすべきだ」と話す。
原発作業員が「ポイ捨て」されると語った男性は、事故前は
原子炉建屋内などの作業でチームの責任者も務めた。
事故直後、避難先から志願して戻り、原子炉に水を入れる
ために建屋にホースを運んだ。被曝(ひばく)量が1時間で
10ミリシーベルトを超え、「死ぬかと思った」こともある。五輪に沸き返る東京の様子や、消費税増税がメディアを
にぎわす一方で、第一原発の報道はトラブルばかりで、
作業員の声はほとんど報じられない。被災地に著名人が
慰問に訪れても、作業員には会わずに帰る。
「今は社会全体で応援してくれる空気が感じられない。
モチベーションがどんどんなくなる」とぼやく。
入退域管理棟で働くベテランの男性は、汚染水絡みの
トラブルが相次いだ夏ごろから、作業員の肌や下着の
汚染が増えたと感じる。
防護服に全面マスクを身につけているがマスクを外す際に
汚れた手袋で首筋に触れる人もいるという。
「事故後にゼネコンが集めた作業員は経験も知識も浅く、
防護服も上手に脱げない」
しかも、第一原発は通常の発電所と違い、がれき撤去や
タンクの据え付けなどで少しずつ様子が変わっていく。
事故前の作業経験が通用しない現場もあるという。
20代の男性作業員は、周りで除染の仕事に移る人が
増えたと感じている。
国が進める除染では日当とは別に1万円の「危険手当」が
支払われる。この男性の日当は、事故の年は3万円
近かったが、今は2万円を下回る。除染の賃金との差は
ほぼなくなった。
「第一原発で浴びる線量は除染作業の数百倍になる
こともある。割に合わないと思う人が増えているんだろう」
休憩所には、仕切りもなく、床にマットを敷き
雑魚寝するだけの場所もある。
高線量の被曝にポイ捨て。疎外感と士気の低下。
割に合わない待遇……。厳しい労働環境の中、
作業員の確保も容易ではない。
それでも第一原発に戻る人がいる。
30代男性は、母親から「何であんたが、あんなところで
働き続けるのか」と言われた。覚悟の上だ。
1999年に茨城県で起きたJCOの臨界事故で大量の
放射線を浴び、亡くなった人の画像をタブレット端末に
入れて持ち歩いている。
「こうなるかもしれないと考えながら働いてる」
地元で暮らし、第一原発で働いてきた。
「この業界には『マイプラント意識』という言葉がある。
お金の問題じゃない。俺らがやり続けなくちゃ」
(根岸拓朗、笠井哲也、岡本進)
■要員、下請け頼み
国や東電は福島第一原発で働く人が年間約1万2千人
必要とみて要員計画をつくった。だが作業員には
年間被曝(ひばく)量の上限があり、新たな人を確保し
続けないとすぐに人不足に陥る。
無理な人集めによって違法な偽装請負が横行し、
要員計画は事実上破綻(はたん)している。
実際に最前線で働く作業員のうち、東電社員は1割ほどだ。
危険な作業の大半を担うのは下請けの人々。地元だけでは
足りず、全国各地から原発作業に不慣れな人も集められる。
募集業務を担うのもまた下請け業者だ。
東電を頂点にプラントメーカーなどの元請け、その下に中小業者が連なる多重請負構造は、こうしてできる。
雇用責任はあいまいになり、偽装請負の土壌が広がる。
東電が昨年、作業員4千人を対象にしたアンケートでは、
半数近くが偽装請負の状態で働かされている恐れが判明。
賃金が中抜きされ、安全管理も不完全だった。
国は「指導を強化する」というが、東電や元請けは人件費を
抑えるため社員の新規採用に慎重で、「下請け頼み」は
改善されないままだ。(多田敏男)
■東電、問われる現場管理
福島第一原発で相次ぐ作業ミスについて原子力規制庁の
池田克彦長官は4日、東電の広瀬直己社長に「初歩的な
確認の不足で引き起こされた。現場管理能力が著しく低下
している」と詰め寄った。ほかの発電所から作業員を回してでも、
福島第一原発で適切に作業管理をするよう指示した。
しかし、ミスはその後も止まらない。7日、経験不足の作業員が
配電盤の操作を誤り1号機原子炉の注水が一時低下。
9日には誤ってホースを外し、作業員が汚染水を浴びた。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は9日、
「現場の一人一人の士気をきちっと保てるようにしないと。
不注意によるトラブルは規制でなおるものではない」と発言。
東電が作業を下請け任せにしている現状や、作業環境の
悪さについて懸念を示した。
東電原子力・立地本部の尾野昌之本部長代理は11日の
会見で「構造的なものなのか、うっかりしたからか、整理して
改善したい」と述べた。2日に起きたタンク上部から汚染水が
漏れて一部が海に流出した問題では、現場担当者の要求が
幹部に伝わりにくく情報共有ができていない、
などを原因に挙げた。
30〜40年続く廃炉作業の担い手を確保するには、作業員が
抱える健康への不安の払拭(ふっしょく)が欠かせない。
国は東電や協力会社に、半年に1回作業員の健康診断を
義務づけている。事故後9カ月の間に働き、累積の被曝線量が
50ミリシーベルトを超えた作業員に限り、離職後に白内障の
検査などの費用を国が補助する。
支援団体「被ばく労働を考えるネットワーク」(東京都)の
中村光男さんは「会社から放射線管理手帳をもらっておらず、
自分の被曝線量を知らない人もいる。50ミリ以下の被曝でも、
国の責任で離職者に定期的な健診をすべきだ」と話す。
■福島第一原発で最近起きた主なトラブル
9月15日 台風18号の影響で汚染水をためている
タンクを囲む堰(せき)から雨水があふれる
27日 タンク内にゴムパッドを置き忘れ、放射性物質
除去装置ALPSが処理停止
10月 1日 ホースの誤接続で雨水が5トン漏れる
2日 タンクに雨水を入れすぎ汚染水430リットルが
堰外に。一部が海に流出
7日 配電盤の誤操作で電源が止まり、
1号機原子炉への注水が一時低下
9日 汚染水淡水化設備の配管を誤って外し、
作業員が汚染水を浴びる
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