レコードチャイナ 2013年11月12日
2013年11月12日、財新網発・中国政府の一人っ子政策で、
両親のどちらかが一人っ子の場合、2人目の子供の出産が
認められる見通しとなった。
消息筋が明らかにした。
中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議
(3中全会)閉幕後まもなく発表される見通しだ。
実現すれば中国政府の人口調整政策において重大な意味を
持つとみられる。人口学の専門家は、両親の片方が一人っ子の
家庭、いわゆる「単独家庭」にとって「小さな一歩」になると指摘。
人口増加に大きな影響を与えるものではないが、今後の方向性を
示す上で意義があるとしている。また、家族計画において個人や
家庭に決定権を持たせるものともいえる。
中国国家衛生計画出産委員会の毛群安(マオ・チュンアン)
報道官は11日、中国政府が一人っ子政策を続けた結果、
人口4億人余りが抑制されたと表明。「(政策の実施により)
人口の急増が資源、環境にかける負荷を大幅に緩和した」と
説明した。(翻訳・編集/AA)
関連記事です。
「やめられない一人っ子政策」
先月、広西チワン族自治区の農村各地で、一人っ子政策の横暴な
取り締まりに反発した住民らが暴動を起こすという事件が発生した。
現地当局が、一人っ子政策の実施にあたって、女性に不妊手術を
強要したり、法外な罰金を徴収したり、財産没収を行ったりして
いたことが原因だという。一人っ子政策についての同様の事件は
過去にも報道されたことがあったが、今回は抗議に参加した人数が
大規模で、暴動という事態に至ったため特に注目を集めた。
海外メディアは、どれもこの事件を批判的に報道していたし、地元
当局が行っていたという暴力行為や不法行為は、どんな理由が
あろうと許されるものではない。ただ、少し意地の悪い見方かも
しれないが、この事件について報じるいくつかのニュースは、
タイトルにあたかも「一人っ子政策」そのものに対して批判的
であるかのようなニュアンスを漂わせておきながら、実際に
読んでみると、一人っ子政策を正面きって批判する内容は
ほとんど見受けられなかった。
一人っ子政策をどう捉えるかというのは難しい問題である。
後述するように、一人っ子政策の弊害を列挙することは
難しくない。子供を生む権利の制限が、人道的観点から見て
ひどい政策なのも確かである。多くの日本人は、中国の街角の
掲示板や横断幕に「少なく産んで、早く豊かになろう!」とか、
「少なく産んで、精鋭に育てよう!」という標語が掲げられているのを
見たとき、あるいは公共バスの車体に大きく風邪薬か何かの
宣伝のように経口妊娠中絶薬の広告が描かれているのを
見たとき、おそらくカルチャー・ショックを受けるだろう。
だが「では、今すぐ一人っ子政策をやめるべきか」と問われれば、
大半の人は言葉に詰まってしまうのではないだろうか。
当然ながら中国では、一人っ子政策はすべての人にとって重大な
関心事項であり、それに関する出版、番組、報道も多く、弊害に
ついて論じるものや、政策の緩和を求める意見も少なくない。
中国では50年代に、人口を抑制しなければ食糧難・就職難に陥り、
環境に悪影響を与え、人口の増加が経済発展の成果を帳消しに
してしまうと危惧する声があがり、60年代にはいくつかの都市で実
際に計画出産の政策が採用され、70年代末から中央政府が
全国的に一人っ子政策を推進し始めた。以降、30年にわたり
政策を継続しているわけだが、人口増加の問題を抱える途上国の
中で、中国はその抑制に成功した国だと言われている。
だがよく知られているように、急激な人口増加率の低下は同時に
深刻な問題をもたらした。ひとつは、急速な高齢化である。
2000年度に行われた国勢調査では、65歳以上の人口が全体の
6.95%に達しており、中国も「高齢化社会」に分類される水準に
達した。しかも農村では労働力が都市に流れてしまうため高齢化の
度合いがさらに高くなる。国家人口生育計画委員会が発表した
報告書は、60歳以上の人口比率について、2020年に16%、
2040年代後半には30%に達すると予測している。
超高齢化社会の到来である。
労働人口の減少が経済発展の足を引っ張ることも懸念
されている。中国は労働者が豊富に存在し、かつては
「経済発展しても賃金が上昇しない」などと言われていたが、
もはやそれも過去の話である。中国社会科学院人口・労働
経済研究所が発表した報告書「中国就業増加と構造変化」は、
農村における余剰労働力も減少の一途をたどっており、おそらく
09年頃から労働力不足に転じ、労働者賃金の上昇に
つながると指摘している。
選択的中絶によるいびつな男女人口比も深刻だ。
中国では一人しか子供がもてないなら男児を、と望む家庭が
少なくなく、胎児の性別鑑定を禁じる法律ができたあとも、
不均衡は広がる一方である。女児100に対し男児105±2が
正常値といわれているのに対し6年度は122.66となっている。
また"小皇帝"(*1)の教育や精神面での悪影響も懸念
されている。祖父母4人、両親2人、子供1人という環境でさんざん
甘やかされ、一方で過大な期待をかけられストレスを抱える
子供たちが大人になったとき、中国社会はどう変化するのか。
一人っ子政策の緩和を求める声がある一方で、都市部では
子供を望まない若い夫婦が増えてきたことや、旧正月に
どちらの実家に帰省するかというテーマが社会面で
よく取り上げられているのは、日本と同様である。
それ以外にも、戸籍のない子供の存在や、最初に挙げた
ような地方当局の無理な取締りとそれに反発する住民の
紛争、逆に罰金など痛くも痒くもない富裕層の一人っ子
政策違反なども最近では問題になっている。
一人っ子政策のマイナスの影響が増大するにつれ、中国
国内でも政策の緩和を求める声が大きくなってきており、
中央政府も若干の緩和策を実施したが(*2)、
それ以上の政策変更は時期尚早と判断しているようである。
国家人口計画生育委員会の副主任も「現在の出生率
1.8%のまま推移すると過程すると、中国の人口は毎年
800万から1000万増加することになり、2年でオーストラリア一国、
6年でイギリス一国分の人口が増加することを意味し、
今でさえ苦しい生活環境に更なる困難をもたらす」と述べている
(『人民網』日本語版、2006年10月10日)。
また、たとえば広東省の人口生育計画委員会主任は
「計画出産政策を実施してから、広東省の出生率が5.87から
1.8にまで減少したのは喜ばしいが、流動人口の影響で、
今後も毎年110万人の新生児が誕生することが予測されて
おり、これは毎年100万人都市が一つ増えるのと同じことである」、
「広東省は今後も人口と資源、環境の協調的発展の問題を
重視していかなければならない」と述べている。
(『北京青年報』インターネット版、2007年5月24日)。
要は一人っ子政策によって人口増加スピード抑制することには
成功したが、それでもまだ人が多すぎると言っているのである。
そうはいっても、いずれどこかで政策転換を行わなければ
ならないのは皆分かっている。問題は、いつ、どのように
してということだが、それについては統一した見解がない。
人口のコントロールなど、そもそも科学や人智で制御するのは
極めて難しくデリケートな問題である上に、中国統計局局長も
認めていることだが、統計の数字があまり当てにならない。
それには二つの理由があって、一つはかつて社会主義で戸籍、
住居などを当局が管理できていた時代は、人口の把握や
出産計画の実施も比較的容易であったが、市場化や人々の
流動が進んだ現在は、それが困難になってしまった。
二つ目は、地方の上げてくる数字が信頼できない。中央から
指示を受けた地方は、「全体の局面からこの問題をみず、
狭い視野にとらわれ、自分の評価が下がるのを心配し、
修正した良い数字を報告してくる」からだ。
中国の経済成長や外交面での活躍など見ていると華々しいが、
内部の問題に目を向けると、ただ溜息が出るばかりである。
中国では何もかもが桁外れ、巨大な国だという当たり前の
認識を、また確認しただけだった。
*1 小皇帝:
女の子の場合"小公女"と呼ばれることもある。一人っ子
政策開始後に生まれた一人っ子の子供のこと。両親や
祖父母から過保護に育てられ、わがままに育つ子供を
揶揄する言葉。彼らは両親や祖父母の世代と違い、
比較的豊かな生活を送り高い教育を受ける反面、協調性や
忍耐力、独立心に欠ける傾向があると言われている。
*2 一人っ子政策:
一人っ子政策は、都市部では厳格に適用されていたが、
農民や少数民族については地方によって二人目以降を
出産することが許可された。たとえば一人目の子供が女子で
あった場合や、一人目と二人目の出産間隔を空けるなど。
現在では都市部でも、両親ともに一人っ子である場合、
二人まで子供をもってよいことになっている。一人っ子政策の
もたらす弊害に危機感を抱く学者などは、「1人か2人」、
つまり誰でも2人までは子供をもてるように政策を緩和すべき
だと主張しているが、それはまだ認められていない。
中国の一人っ子政策緩和の話題です。
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