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2013年10月22日

日本の革靴、川濁る原料の街 バングラデシュ

日本の革靴、川濁る原料の街 バングラデシュ
朝日新聞  2013年10月21日

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皮革なめし工場の中では、労働者たちが素手で化学物質を扱っている=
ダッカ市ハザリバーグ、小暮哲夫撮影

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皮革なめし工場から排水溝に、汚水が垂れ流しされている=
ダッカ市ハザリバーグ、小暮哲夫撮影

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日本の革靴輸入国/バングラデシュの革靴輸出国


灰色の濁った水が、壁から外に突き出たパイプから、勢いよく
排水溝に流れ出す。
バングラデシュ・ダッカ南部のハザリバーグ地区は、革靴の
原料になる皮革のなめし工場が並ぶ。その数は大小200。
国内の皮革の9割がつくられ、3万人ほどが働く。
汚水や悪臭の原因は、工場で使う化学物質だ。クロムや硫黄の
化合物など数十種類。有毒だが、労働者たちは素手でマスクを
つけずに作業を続ける。毎日、約2万立方メートルの排水が、
市内を流れるブリガンガ川に注ぐ。
排水は浄化して外に流さなければならないが、
「処理施設がある工場はゼロ」(環境森林省)だ。
NGO「環境と人材開発の会(SEHD)」が1999年に労働者
179人を調べると、国内平均と比べた罹患(りかん)率は
皮膚炎で52倍、胃炎は37倍、ぜんそくで6倍に達していた。
この地区の皮革原料とした革靴が日本でも大量に売られている。
(ダッカ=機動特派員・小暮哲夫)


関連記事です。
原料調達先、知る責任 革靴輸出国バングラデシュ

革靴はバングラデシュの主力輸出品だ。日本への2011年度の
輸出額は6553万ドル(約64億円)で、国別で世界トップだ。
年間20万足を日本に輸出しているバングラデシュの靴メーカーは、
おもな最終販売先として日本の複数の大手靴小売りチェーンを挙げ、
「原料の皮革は(環境被害を引き起こしている)ハザリバーグ地区
から仕入れる」と答えた。
名指しされた大手チェーンの1社によると、自社ブランドの革靴は、
輸入卸商社とやりとりしながらデザインを決定。商社が海外の
協力工場に生産委託する。バングラデシュ製の靴もこの方法で
生産して仕入れ、09年から現在までに約10万足販売したという。
ただ、輸入商社がどの現地工場と取引をしているかや、原料の
調達先については「把握していない」とし、「当社にできるのは、
できあがった靴の品質をしっかり検査することだ」と説明した。
一方、輸入商社は取材に「原料(皮革)の調達は、委託先の
バングラデシュの靴メーカーに一任している。
その先の原料工場の状況は把握していない」と答えた。
日本の貿易統計によると、12年に同国から輸入された革靴は
全体で410万足に上る。ハザリバーグ地区が同国の皮革の
9割をつくる現状からみて、日本で出回っている同国製の靴の
多くがこの地区の皮革を使っているとみられる。
別のバングラデシュの靴メーカーも取材に対し、日本に年間1
0万足ほど輸出する革靴の原材料を「ハザリバーグ地区から
買っている」と答えた。

関係者が「周辺国の皮革地区と比べても、こんなひどい
状況はない」と話す同地区の環境問題は1990年代から
指摘されてきた。政府と業界団体は03年に覚書で
「有害な排水が、人々の生活を危うくしている」と認め、
ダッカ郊外に工業地区全体を移し、共用の排水処理設備を
整えることで合意。さらに環境団体が訴えた訴訟で最高裁
09年、「住民に大きな被害をもたらし、労働者らは病気を
患っている」と政府と業界団体に速やかな移転を命じた。

だが、いまだに移転は実現していない。費用負担を巡って
業者と政府に意見の違いがあるからだという。
企業の社会的責任に詳しい斉藤誠弁護士は「皮革は、革靴で
最も重要な原材料だ。日本企業は、例えば『皮革地区が
移転しないままでは、取引停止もありうる』と持ちかけるなどして、
靴メーカーを通じて改善を促す働きかけをすべきだ」と指摘する。
■供給網調査、先行く世界
取引先、調達先の問題なので、関係ありません――。
企業活動を巡って起きた社会問題について、こんな対応で
通じる時代は、国際的には終わりつつある。

ナイキ(米国)などスポーツ用品・衣料品業界は90年代
後半から、海外の委託工場の児童労働が批判されてきた。
そこで、生産から販売までのサプライチェーン(部品供給網)に
目を配る必要性に迫られた。
人権を守るのは従来、政府の役割。だが、国境を超える人や
物の動きが増えると、政府の対応では限界があり、企業向けの
国際ルールづくりが近年、進む。
国連人権理事会は11年、「ビジネスと人権に関する指導原則」を
採択。日米欧など34カ国が加盟する経済協力開発機構
(OECD)は、企業を対象にした「行動指針」を改訂した。
いずれも法的な拘束力はないが、サプライチェーンに連なる
取引先の事業に問題がないか注意を促す。想定する内容は、
取引先が引き起こす労働問題や環境悪化、健康被害、
先住民の伝統破壊、など幅広い。
バングラデシュでは4月、英企業が生産を委託した衣料品
工場で1千人以上が死亡する崩落事故が起き、安全確認や
補償などの対応を余儀なくされた。
事故後、H&M(スウェーデン)や「ユニクロ」を展開する
ファーストリテイリング
なども、バングラデシュでの委託工場の
安全検査を始めざるをえなくなった。
供給網を巡るルール化では、米国は今年、さらに一歩進んだ。
自動車や家電の部品などに使われるスズなど4種類の鉱物が、
内戦が続くコンゴ(旧ザイール)産でないかの情報開示を、
法律で上場企業に義務づけた。
鉱物を売ったもうけが武装勢力に流れ、戦争犯罪や人権侵害に
加担する恐れがあるとの理由だ。
米国で上場するトヨタ自動車やソニーなども、世界中の供給網を
さかのぼって調べなければならなくなった。
■日本企業、対応は一部
日本国内でも対応に乗り出している企業はある。
スポーツ用品のアシックスとミズノだ。
両社は商品のほとんどを海外企業に生産委託する。
それぞれ約150の委託工場を、社員が訪れて従業員が
適切な条件で働いているか、環境への配慮はされているか
などを調べる。不十分ならば、改善を求める。
ただ、ここまでするのはまだ例外だ。
日本総合研究所
の足達英一郎理事は「日本企業は製品の
QCD(品質、費用、納期)には熱心だが、どうやって製品が
できたかというプロセスに対する意識に欠けている
と指摘する。
(ダッカ=小暮哲夫)
 ■委託・調達先の問題で社会的責任を問われた例
 ◇ネスレ(スイス) 
 チョコレートの原料になるパーム油の調達元が、インドネシアの熱帯雨林を破壊 
 ◇カーギル・コットン(米)など 
 綿摘み作業での児童労働が批判されているウズベキスタン原産の綿を輸入 
 ◇プリマーク(英) 
 バングラデシュの委託先縫製工場ビルが崩壊し、多くの労働者が死亡 
 ◇ギャップ(米) 
 インドネシアの生産委託工場の排水が河川を汚染 

コメントです。

バングラデシュ内で、靴等の材料となる革製品の
製造による環境破壊の問題です。
確かに、もう先進国企業は『調達先は知らない』などの
態度では許されない時代でしょう。
搾取から共存をめざすといったところでしょうか。



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posted by salsaseoul at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 南アジア・インド周辺国
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