home003.gif

2013年05月22日

乳房予防切除、国内でも 遺伝性乳がん、都内2病院準備

乳房予防切除、国内でも 遺伝性乳がん、都内2病院準備

朝日新聞 2013年05月20日


522.jpg

【医療担当=大岩ゆり】健康な人が乳がんを防ぐために
乳房を事前に切除する手術が国内でも始まる。
体験を公表した女優のアンジェリーナ・ジョリーさんのように、
特定の遺伝子に変異があり、遺伝性の乳がんのリスクが
高い人が対象だ。がん研有明病院(東京)のチームは6月にも、
病院の倫理委員会に臨床研究として申請する。
聖路加国際病院(同)も実施態勢を整えた。

国内では毎年約6万人が乳がんになり、5〜10%が

「BRCA1、2」などの遺伝子に変異がある遺伝性の乳がんだ。
変異がある人がみな、がんになるわけではないが、がんの
不安や恐怖に悩む女性の選択肢が増えることになる。

がん研有明病院の臨床研究では、遺伝子に変異がある
希望者に、がん発生前に乳房切除の手術をする。片方に乳がん
見つかった人が反対側を予防切除するのも対象。本人が
遺伝カウンセリングを受け、希望すれば遺伝子検査を受ける。
変異が見つかれば、切除の利益と不利益を十分に理解した上で
切除するか判断することを条件とする。手術では、がんが
発生する乳房内の乳腺部分を取り除く。

切除のメリットは、乳がんの発生リスクを大きく減らせる点だ。
いつがんができるかわからないという不安も和らぐと期待される。

一方、遺伝子に変異があっても100%がんになるわけでは
ないため、がんにならない人が切除をする可能性もある。
欧米の調査では、変異のある人が70歳までに乳がんになる
リスクは約45〜65%とされている。
また、乳房の皮膚の感覚が鈍ることもある。

費用は希望者の自己負担で、切除費は約100万円。
患者が希望すれば、術後に乳房再建もできる。一般的には
乳房内に風船状の器具を入れて少しずつ広げ、数カ月後、
広がった部位にシリコーンなどを注入する。術式により
切除費に加えて100万〜150万円程度かかる。
遺伝子検査の費用も自己負担で約20万〜25万円。

すでに予防切除の相談や希望が寄せられている。

聖路加国際病院でもすでに倫理委員会が予防目的の
乳房切除を承認しており、片方に乳がんができた患者に、
健康な反対側の乳房を切除した例はある。

乳房の予防的切除は、がんの発生率を下げるが、死亡率
まで下げるかどうかはまだ十分なデータがない。がんが
できても早期発見、治療で助かる人もいるからだ。
遺伝子の変異が見つかっても、乳がんは早期発見が
しやすいため、切除せずに、こまめに検診を受けるという
選択肢もある。片方の乳房にがんができた人の場合でも、
ホルモン剤を服用して予防する方法もある。

がん研有明病院の新井正美・遺伝子診療部長は「遺伝子に
変異がある人がみな予防的切除が必要なわけでは決してない。
ただ、検診のたびに『がんが見つかるのでは』と不安に
さいなまれる人も少なからずおり、そんな人が切除という
選択もできるようにしたい」と話している。

聖路加国際病院の山内英子ブレストセンター長
は「家族ががんで亡くなるのをみていて、自分もか、と不安で
押しつぶされそうになる人がいる。一方で、(予防切除で)
両親からもらった体を自ら傷つけていいのかと迷う人もいる。
大変な葛藤の末に乳房切除という選択をした人を温かく
見守って欲しい」と話す。

     ◇

〈遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)〉 
特定の遺伝子の変異が原因で、乳がん卵巣がんのリスクが
上がる病気。8割は遺伝子BRCA1、2の変異が原因。
この遺伝子変異があると、乳がんだけでなく、卵巣がんになる
可能性もある。70歳までに卵巣がんになるリスクは約10〜40%。
卵巣の予防切除はすでに数カ所の病院で行われていた。
家族に次のような人がいる場合、HBOCの可能性が高い。
(1)乳がん経験者が3人以上いる
(2)40歳未満で乳がんになった人がいる
(3)卵巣がんの人がいる
(4)男性の乳がん経験者がいる。

関連記事です。
【乳がん予防切除】
求められる慎重な実施 専門家、割れる意見


乳がんの予防のため、健康な人の乳房を切除する手術が
国内の病院でも実施される見通しとなった。乳房の予防切除に
ついては日本乳癌(がん)学会が是非について審議しており、
専門家の間でも見解は分かれる。実際に遺伝子検査や手術を
行っている病院も、患者と十分に話し合ったうえで慎重に
実施するとしている。

院内の倫理委員会が予防的な乳房切除手術を承認している
聖路加国際病院(東京都)。承認自体は2年前だが、これまで
行われた手術はいずれも、片方の乳房で乳がんを発症した
患者のもう片方の乳房の切除に限られる。

遺伝性の乳がんや卵巣がんの研究などを行う日本HBO
Cコンソーシアム(http://hboc.jp/)によると、国内では
複数の医療機関で希望により遺伝子検査(約20万円)を
受けることができる。検査で遺伝子変異が認められれば、
こまめに検診を受けたりホルモン剤を服用したりすることが
勧められる。「予防切除」は第三の道だ。

ただ、遺伝子検査や予防的な手術は意味を十分に理解した
上での慎重な実施が求められる。がん研究会有明病院
(同)の新井正美・遺伝子診療部長は、「家族が乳がんでも、
必ずしも遺伝するわけではないし、親に遺伝子変異がなければ
遺伝による発症の可能性はない」と説明。遺伝子検査が
進んでいる米国でも、遺伝子変異が見つかった人のうち、
半数は検診などで対応しているという。

検査の受け止め方などの相談に乗る「遺伝カウンセリング」の
必要性も指摘されているが、カウンセラーがいる医療施設は
限られる。ある関東地方の総合病院は「リスクを把握すれば
早めの対策が取れるという意味では、遺伝子検査は有効だと
考えている。乳房切除は院内倫理委に議題は上がっているが、
遺伝カウンセラーがおらず、実施の動きはまだない」と話した。



posted by salsaseoul at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/68114952
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック