2011年2月8日10時19分 朝日新聞

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【ジュバ(スーダン南部)=古谷祐伸】スーダン南部の
分離・独立の是非を問う住民投票の最終結果が7日、
発表され、賛成98.83%で独立が承認された。
現在の南部自治政府による暫定統治が終わる7月9日に
アフリカ大陸で54番目の国家として独立する。
発表に先立ってバシル・スーダン大統領は「南部の人々の
意思を反映した投票結果を受け入れ、歓迎する」と語った。
アフリカでの国家誕生は、1993年にエチオピアから独立した
エリトリア以来。193番目の国連加盟国になる見通しだ。
首都ハルツームで行われた住民投票委員会の発表に
よると、有権者(18歳以上の南部出身者)の97.95%に
あたる約385万人が投票した。
スーダンでは、イスラム教徒主体の北部中央政府が、
非イスラム教徒が大半を占める南部に対してイスラム化
政策を押しつけたことが原因で、20年以上内戦が続いた。
この間、200万人以上が死亡したとされる。
2005年の包括和平合意(CPA)で内戦は終結。CPAに
盛り込まれた規定に沿って、今回の住民投票が実施された。
和平後もバシル政権は南部復興に力を入れなかったために
南部住民の中央政府不信は消えず、今回の圧倒的な
独立支持につながった。
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◇北部に自由の「外圧」 内部崩壊、促進も
「北部がうらやむような国になるさ」。9日にアフリカのスーダン
から独立する新国家「南スーダン共和国」。その首都となる
ジュバの酒場で、人々は酒を酌み交わしながら「独立後」を
語っていた。
イスラム教徒が多数派を占める北部はその戒律が厳しく、
飲酒は厳格に禁じられている。だが、独立する南部には、
飲酒を禁じないキリスト教の浸透により、地ビールをつくる
工場さえある。「北部の酒好きが、こっそり酒場に飲みに
来ることもある」という。
南アフリカ系企業が南部スーダンで09年に販売を開始した
地ビール「ホワイト・ブル」は、特に人気の銘柄だ。
大きな角を持つ白い雄牛の描かれたラベル。
辛口で、なかなかうまい。
「アルコールはイスラム法(シャリア)からの解放。
自由の象徴だよ」。南部を主導する「スーダン人民解放軍」
(SPLA)の元兵士で、警備員のラドゥさん(45)はそう言って、
ホワイト・ブルを飲み干した。
スーダン南部の独立は、周辺国を含めた一帯の宗教
勢力図を書き換える可能性がある。もともとスーダンは
エジプトなどアフリカ北側のイスラム系文化と、南側の
ケニアなどのキリスト教系文化にはさまれ、双方が
出合う「宗教の十字路」とも呼ばれた。
スーダン国内は北部を中心にイスラム教徒が7割を
占めるイスラム教主流の国家だが、キリスト教徒(5%)も
南部をベースに影響力を保持してきた。だが今回の独立で、
南部は独自のキリスト教文化を強める可能性が高い。
そうなれば、南スーダンと東アフリカ社会は連帯を強め、
キリスト教勢力は一層拡大することになる。
国内で異なる宗教文化が根付いた歴史は、英エジプト
共同統治(1899〜1955年)にさかのぼる。
両国は南北の交流を禁じ、英国は特に、南部でのキリスト教会の
進出と英語教育を支援した。イスラム教色の強い北部と分断統治
することで、支配への不満を拡散させる狙いがあったといわれる。
だが、南北双方の住民が本当にその対立を深めたのは、
80年代に入ってからだ。83年、北部に拠点を置くヌメイリ
政権はイスラム法の全土導入を決定。反発する南部との
間で第2次南北内戦(83〜05年)へと突入した。
「身勝手な北部政府の振る舞いに、南部住民は『悟った』
のだと思う」。ジュバ中心部の自宅で、フランシス牧師(60)が
振り返る。南部でキリスト教が急速に広まったのは、皮肉にも
第2次南北内戦時代だったという。「キリスト教会が、内戦で
困窮した市民の生活を食料や教育面で支えたからだ」。
牧師は、戦闘が激化すればするほど、教会は人々の生活
を助け、それが人心をつかんだと感じている。
内戦では、自らも南部の兵士として戦った。心臓付近や両肩に
銃弾を4発浴びながらも、生還した。
取材の途中、牧師はハイビスカスの花でつくったお茶「カルカデ」を
すすった。深紅の色合いは、ワインを思わせる。
レモンのような酸味と、砂糖の甘さが程よく合う。
南部では北部イスラム文化の影響下に置かれた時代、
アルコールは禁じられ、ワインの入手も困難だった。
だから教会では、ワインのかわりにこのカルカデを
「キリストの血」として使ったという。

■ ■
スーダン南部独立は、北部政権の内部崩壊を促す可能性も
指摘される。北隣エジプトでは、今年に入って民主化の流れが
一気に加速、長期独裁政権を倒した。「アラブの春」と呼ばれる
この潮流はスーダン北部にも流れ込み、若者を中心に厳格な
イスラム法支配への反発が広まっているという。今回の独立が
もたらす南部の自由拡大は、同じような「外圧」を北部に
与える可能性がある。
北部に住む商店主オマルさん(29)も、疑問を抱く一人だ。
「僕たち若者は、もっと自由が欲しいと思っている。
これまで通りの強権支配を続けるなら、いずれ内部崩壊が
起きるだろう」。オマルさんは、自由を求める若者の流れは
「止められない」と断言した。
アフリカ54番目の新国家として誕生する「南スーダン共和国」。
その現場から、現状と課題を報告する。
【ジュバ(スーダン南部)高尾具成】
コメントです。
今日は、7月9日に独立する
南スーダンについての記事を掲載しました。
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