毎日新聞 2011年6月4日

軍事力増強を図る中国の同海域への進出を食い止めるため、
中国の隣国で「海域の玄関口」にあたるベトナムに対し、
「(オバマ米政権が)軍事面などで大きな役割を担う意思がある」と
する報告書を米議会調査局がまとめていたことが分かった。
米国は、ベトナムと同様に中国と南シナ海の領有権を争う
フィリピンにも軍事支援を進めており、ベトナムなどを“対中防波堤”に
位置付けているとみられる。海域を巡る軍拡競争がエスカレートする
恐れがある。
◇議会調査局報告「軍事面で役割」
シンガポールで3日始まった「アジア安全保障会議」でも、
南シナ海の領有を巡る問題が主要議題として取り上げられる。
毎日新聞が入手した報告書(今年2月作成)によると、
オバマ米政権は中国に対する「戦略上の懸念」から、ベトナムとの
関係を「次のレベル」に発展させるため関係強化を進めている。
ベトナム戦争の影響から、95年まで国交がなかった両国は、
中国の南シナ海への進出に対抗して関係を深め、07年には、
それまで禁じられていたベトナムへの武器売却を一部解禁。
さらに、米国の外国政府への主要な軍事援助の枠組みの
ひとつである対外軍事融資を09年にスタート。融資額は、
09年の50万ドルから10年には135万ドルに急増した。
軍事交流も活発化させ、昨年8月には、両国軍の次官級
ハイレベル協議を初開催。また、ベトナム戦争以降初めて、
同国中部ダナン沖に米第7艦隊の原子力空母や、
イージス駆逐艦が停泊し、軍関係者による交流も行われたという。
報告書はまた、米の積極的な姿勢に対するベトナム側の反応に
ついても記載。米国と一層の関係強化を求めているとする一方、
「ベトナムは、これまで関係の深かった中国と米国の間に
張られたロープの上をつま先で歩かなければいけない」と話す
ベトナム指導者発言引用しベトナムの外交政策の現状を分析している。
◇比とも戦略的関係強化
米国はフィリピンに対し、中国寄りの姿勢を取っていた
前大統領から昨年、政権交代したアキノ政権に積極的な
軍事支援を開始している。米政府によると、米国の対外軍事融資額も
09年2800万ドルから10年に2900万ドルへ増額した。
今年1月にフィリピンを訪問した米国のキャンベル国務次官補は、
中国を念頭に、フィリピンとの間で、安全保障分野で戦略的に
関係を強化することを表明。さらに5月には、南シナ海の警戒用に、
米国沿岸警備隊を退役した大型巡視船をフィリピンに売却した。
一方、フィリピン国軍も、南シナ海の領海警備のため海軍力を
増強する方針を打ち出し、潜水艦の購入も計画している。
軍事力の増強を進める中国は国産空母を建造中とされ、
「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」の
配備を始めている。同時に豊富な石油資源を埋蔵していると
される南シナ海で、石油探査活動を活発化。
7月にも、中国で最大のオイルリグ(石油掘削装置)を南シナ海に
展開し、掘削を始めるとしており、地域の緊張が高まっている。
アジア安全保障会議を主催する英国際戦略研究所は会議を
前に「アジアの軍拡競争の抑制」と題する論文を発表。
その中で「中国は台湾問題だけでなく、南シナ海を念頭に
置いている。東南アジア各国は、米国の戦略的役割が将来、
低下することへの懸念から、中国の冒険主義を防ぐため,
軍の近代化を進めている」と分析した。
◇アジア安全保障会議◇
アジア太平洋地域の安全保障問題を議論する会議で、
英国のシンクタンク「英国際戦略研究所」が主催し、毎年1回、
シンガポールで開催している。各国の国防相クラスが参加し、
講演を行うほか、個別会談も実施。今年で10回目で、
ゲーツ米国防長官や中国の梁光烈国防相らが講演する。
◇米国とベトナムの関係史◇
1954・7 インドシナ戦争のジュネーブ停戦協定でベトナムが南北に分断62・1 米軍がベトナムの対ゲリラ戦で枯れ葉剤散布開始。障害児や障害者が続出
65・2 米軍が北爆開始
73・1 パリ和平協定調印。3月末までに米軍完全撤退
75・4 サイゴン陥落、ベトナム戦争終結
76・7 南北統一でベトナム社会主義共和国樹立
78・12 ベトナムが親中のカンボジアへ侵攻。翌年2月、中国ベトナム戦争に発展
95・7 米国とベトナムが国交正常化
ベトナムが東南アジア諸国連合(ASEAN)正式加盟
2000・11 クリントン大統領がベトナム戦争終結後米大統領として初のベトナム訪問
05・6 ベトナムのファン・バン・カイ首相がベトナム戦争終結後同国首相として初訪米
09・11 第1回米・ASEAN首脳会議
10・3 中国が南シナ海について、領土保全に関する「核心的利益」と表明
10・8 ベトナムと米国が国防次官級協議。国交正常化後、最高レベルの防衛対話
10・10 ASEAN首脳会議が米露の東アジアサミット参加で正式合意
関連記事です。
「中国の侵略反対」ベトナム200人異例のデモ
読売新聞 6月5日(日)18時16分配信
【シンガポール=若山樹一郎】ベトナムの首都ハノイの中国大使館前で5日朝、学生ら約200人が中国への抗議デモを行った。
南シナ海で先月、資源探査船や漁船が中国監視船に相次ぎ
妨害されたことへの抗議で、参加者は「中国の侵略に反対」
などと書かれたポスターを掲げ、気勢を上げた。
一党独裁のベトナムでのデモは異例で、まもなく警察当局に
解散させられた。
デモは、インターネットなどを通じて呼びかけられた。
学生ら多数が参加する動きを見せていたが、当局は大学などを
介して「デモ参加者は罰する」と警告していた。
コメントです。
国際間で中国が存在力を増せば増すほど、
米国の中国に対してのけん制(対立)行動が
活発になってきました。
しかし、米国にとって唯一の「自信喪失」のもとで
あるベトナムと協力してまで、中国をけん制するに
踏み切ったオバマ政権。
考え方が柔軟すぎると言えば柔軟すぎますね。
また、ベトナムサイドしては、以前は中国の
支配下にあったわけですから、中国のことを
それほど快く思っていないわけで、そうなると
米国と協力関係を結ぶことは当然の成り行きかも
しれません。
ところで、関連記事にもあるように、ベトナムでの
デモ活動は珍しいとありますが、最近の世界情勢から
すれば、一例として、
・ 中東でのデモ活動の広がり
・ 内モンゴル自治州での開発への抗議活動…等
他にも小規模なもの多数ありますが、
これらのきっかけ・原動力となったのが、インターネットに
よる学生を中心とした若い世代の「呼びかけ」です。
このことをみても、もはや、国家の党首が民意を
力づくで抑え込める時代は終焉に向かっているの
かもしれませんね。
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