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2010年05月10日

ギリシャ公務員100万人の特権・ユーロ不況が始まる

ギリシャ公務員100万人の特権  ・ ユーロ不況が始まる
AERA5月10日(月) 11時56分配信 / 国内 - 社会

──青い空、紺碧のエーゲ海に浮かぶ島々、古代遺跡。
世界中から観光客を集めるギリシャ。
この南欧の小国の財政危機が、
世界経済を揺さぶっている。
この国はいかにして借金漬けになったのか。
再び世界同時不況の悪夢となるのか。──

ギリシャが大揺れに揺れている。アテネ市内では、火炎瓶と催涙弾が
飛び交い、国際金融市場では、ギリシャの財政赤字を震源とする
経済大地震の予兆が各国政府当局者を震え上がらせている。
ギリシャ国会は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の緊急融資を
受けるための緊縮策関連法案を可決した。融資を受けなければ
国家経済は破綻、半面、緊縮策を実行すれば国民生活は甚大な
影響を受ける。法案が可決された前日の5月5日には、アテネ市内の
銀行に火炎瓶が投げ込まれ、3人が死亡する惨事も起きた。
欧州内でも豊かでない国民生活がさらに負担を強いられることに加え、
“特権階級”とも言える公務員が自分たちの既得権を守るために、
必死になっていることも背景にはある。

■遅刻しなければ手当
そもそも今回の財政赤字の最大の要因は、公務員労組が守ろうと
する「超巨大な政府」。ギリシャの公務員数は約100万人。
人口1120万人の1割弱、全労働人口の25%を占めていると
いえば、いかにむちゃくちゃなマンモスぶりかがわかる。
なぜここまで公務員の数が膨れあがったのか。
ギリシャでは、1974年の軍事政権崩壊以降、右派、左派が政権
交代を繰り返してきた。そのたびに自分たちの支持者を公務員
として採用し、幹部の首もごっそりすげ替えた。公務員には両派の
支持者が混在。政権基盤を固めるために自派側の公務員労組の
要求を次々に受け入れ、公務員の既得権が膨れあがっていった。
“特権”ぶりは身分の安定だけではなく、恵まれた早期退職制度、
早期年金受給などにも及ぶ。ギリシャ国内で、公務員は、学生の
就職人気ランキングで常にナンバー1だ。
中でも最優遇は、経済関係の中央官僚だ。
「表向きの基本給は月約2千ユーロ(約23万円)だが、各種手当が
加算されると月約7千ユーロ(約82万円)になる」
ある経済官庁の幹部は匿名を条件にこう明かし、こんな秘密
情報も漏らした。
「時間通りに出勤すると支給される特別手当もあるんだ」
通常のビジネスの世界では信じられない話だろう。
年金の相続という常識外れの制度も存在する。一部の公務員は、
本人と配偶者が死亡した場合、未婚または離婚した娘が親の
年金受給を引き継ぐことができる。現在約4万人の女性が
受給しており、年間の支出額は約5億5千万ユーロ
(約644億円)になるという。

■年に千回以上のスト
一方で恵まれない省庁もある。労働省幹部の
デスピナ・パパヤヌーさんは不満をぶちまける。
「33年半も働いているのに、税引き後の支給額は
1480ユーロ(約17万3千円)。他のEUの国では、同様の立場の
公務員は平均で4千ユーロ(約47万円)もらっている」
だから、緊縮策が全公務員を一律に対象とすることに、
到底納得がいかない。歳出削減には、公務員給与の引き下げが
必要だが、「スト社会」がそれを阻む。
ギリシャ人にとってはストライキは「生活の一部」と言われる。
昨年1年間には計千回以上のストがあったほどだ。
政府も、これまでは労組がストをすれば必ず何らかの要求を
受け入れてきた。だが、現在のパパンドレウ政権は中道左派で
ありながら、労組との妥協路線と決別した。政府に財政的余裕が
なくなってしまったからだ。
しかし、労組はこうした方針転換に対応できず、ストやデモ戦術を
繰り返している。労組内での経済的不公平感も、こうした戦術に
あおられている。ギリシャの財政危機が表面化したのは昨年10月、
現パパンドレウ政権の発足直後だった。前政権による巨額の
赤字隠しが発覚し、09年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で
12・7%にのぼることがわかった。EUの財政基準3%の
4倍以上に達していた。赤字隠しにはゴールドマン・サックスなど
米大手金融機関が関与していたとされている。ギリシャは帳簿上の
財政赤字を増やさないように、通貨スワップなどの簿外取引によって
資金調達していたという。ウォール街の錬金術が国家を食い物にし、
あげくの果てに破綻へと追い込んだといえる。

■信用されない緊縮策
4月になると、財政赤字はさらに13・6%にまで膨らんでいたことが
判明。自力再建の断念に追い込まれた。4月23日にユーロ導入国と
して初めて、EUとIMFに金融支援を要請し、3年間で
総額1100億ユーロ(約12.5兆円)の融資を受けることになった。
ギリシャが支援と引き換えに受け入れた緊縮策は、(1)公務員の
3年間の昇給や新規採用の凍結、賞与廃止(2)年金受給年齢の
引き上げと受給額の約30%削減、さらに(3)3月末に19%から
21%になったばかりの付加価値税率を23%に引き上げるというもの。
ギリシャ国会が5月6日に可決したのはこの緊縮策だが、
国際金融市場では、ギリシャ国債に対する信頼は回復して
いない。ギリシャ政府はこれらの緊縮策をやり遂げ、財政赤字の
圧縮に成功するだろうか。ギリシャ政府への貸し付けは無事に
返済されるだろうか。この疑問に対する市場関係者の信認をはかる
長期金利は高止まりしたまま。つまり、緊縮策は信頼されていない。
欧州経済に詳しい白井さゆり慶応義塾大教授はこう話す。
「IMFの要求は達成できないだろう、という予測は日に日に
高まっている。ギリシャでは公務員ボーナスの廃止、3年間の
昇給凍結は受け入れられないという空気だ。職種によってちがうが、
年金受給額削減で早期退職がむずかしくなり、これが一番怒りを
買っているようだ」職種によっては50代なかばで早期退職し、
年金生活に入ることができたギリシャの公務員。優遇制度の
ないドイツ国民から見れば、ギリシャの経済破綻は、「優雅な生活」を
支え続けてきた放漫財政のつけだ。ドイツのメルケル政権が、
ギリシャ救済に当初積極姿勢を示さなかった裏には、こうした
国民感情がある。ギリシャ経済が国際的な信認を受けられない
背景には、目に見えない「徴税の壁」問題もある。脱税などは、
GDPの30%を超えるとされる。世界各国の腐敗を監視する
国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」
ギリシャ支部のシングロス氏は、
「ギリシャはEU内で最も腐敗した国の一つ」と指摘する。
昨年12月、政府が医者300人を調査したところ、ほぼ全員が、
納めるべき額をはるかに下回る税金しか納めていなかった
ことがわかった。ギリシャ在住の日本人女性は医者に
診察料を払う際、「領収書が必要なら120ユーロ、
必要なければ100ユーロでいいよ」と言われたという。

■失われた30%の税収
個人事業主に対する徴税は、推定年収によるみなし課税だった
ため、脱税の温床となってきた。そのため政府は3月、すべての
商取引に領収書の発行と記録を義務づけ、実際の収入に応じて
課税することを決めた。また税務当局は、収入に見合った税金を
払っていない富裕層にターゲットを絞り、ヘリコプターで上空から
高級住宅街や港を監視し始めた。プール付きの家や高級車、
クルーザーなどを発見すると、その価格に応じて課税するようにした。
だがこうした政府の努力をあざ笑うかのように多くのギリシャ人が
こう口をそろえる。
「エヒ パラフェロ」
必ず窓口がある、という意味のギリシャ語だ。つまり脱税する
方法はいくらでもあるということだ。
30%の税収があらかじめ失われ、緊急緊縮策の実行も危ういと
なれば、ギリシャ経済は文字通り崖から落ちる恐れが強い。
こう予測する国際金融市場の関係者は、次いで目をポルトガル、
スペインに向ける。

■最悪はユーロ圏離脱
ユーロ圏の中で財政基盤の弱い諸国は、その頭文字を取って
PIIGSと呼ばれる。
ポルトガルとスペイン両国に加えて、アイルランド、イタリア、
ギリシャの5カ国だ。このうちギリシャが脱落し、続いてPとSに
不安の目が集中している。
ギリシャには有力な製造業がなく、貿易赤字が常態化しているが、
ポルトガルも同じ事情を抱えている。巨額の財政赤字を補填する
国内資金がない。
スペインの場合は、世界金融危機のあおりを食って建設・不動産
バブルが崩壊、景気が一気に後退した。国内に展開していた
ドイツの自動車工場も、安い人件費を求めて東欧に引っ越した。
強力な国際競争力を持つ製造業がないため、その経済構造は
不安視されている。
市場関係者の不安心理を打ち消すために、ポルトガル、スペイン
両国は、財政再建策を打ち出しているが、両国を見る目には
それほどの変化はない。
ギリシャ経済を震源地とする世界経済危機の悪いシナリオはまず
ギリシャが緊縮策に失敗し、次いでユーロ圏から離脱することだ。
「離脱したら、ギリシャ・ドラクマは大暴落するだろう。そのときは
デフォルト(債務不履行)とセット。大変なショック療法だが、
ありえない話ではない」
こう予測するのは、欧州経済をウオッチし続ける伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所主任研究員だ。
しかし、EU各国の銀行は互いの国の国債を密接に持ち合って
いるため、ギリシャ国債のデフォルトは、ポルトガル、スペインの
銀行を恐慌に陥れ、ドイツ、フランスの金融界にも深い悪影響を
与える。ユーロの崩壊、さらには世界経済に大不況という津波が
襲ってくる恐れがある。
報道局 南島信也(アテネ) 編集部 佐藤 章
(5月17日号)


コメントです。
現在、多くの方々が関心を持っている「ギリシャの混乱」
ちょうどわかりやすい記事があったので掲載させていただきました




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posted by salsaseoul at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州
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