SWSSINFO 2019/04/03

スイスでは自分の子供に意図的に予防接種を受けさせない親がいる。だがこういった姿勢は、感染症根絶の妨げにもなっている。なぜ予防接種を拒むのだろう?
2月の初頭、スイスのシュタイナー学校で生徒が麻しん(はしか)に感染した。感染の広がりを防ぐため、当局はワクチン接種をしていない子供60人を自宅待機させた。シュタイナー学校がはしか流行の温床となったのは今回が初めてではない。連邦内務省保健局(BAG/OFSP)の広報担当は、シュタイナー学校ではしかの感染が頻発するのは偶然ではないとスイスのメディアに述べている。シュタイナー学校は、ヴァルドルフ教育に基づき授業を行う。その思想の提唱者で創立者のルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)は予防接種を疑問視していた。
病気を成長のチャンスと見る。
はしかの予防接種を受けていない子供がなぜシュタイナー学校に多いのか、アントロポゾフィー医学(人智学医学)の立場から診療を行う医師に聞いた。アーレスハイム医療人類学クリニックで小児科および青年期医学を担当するベルンハルト・ヴィングアイヤーさんは、人智学医学では人間を単なる生物学的実体ではなく、それより広い意味で捉えているという。
この人間像は、人智学医学における病気の理解にも影響を与えている。「我々は人間の自己治癒力を信じ、それらを活性化する方法も心得ている」とヴィングアイヤーさんは説明する。「人智学医学において、病気は除外すべき悪ではなく、特に子供たちにとっては成長のチャンスだと理解している」
人智学医学に携わる医師は、「真の予防接種の反対派」(このグループについては後で言及する)とは異なり、すべての予防接種を拒否している訳ではない。ちなみにヴィングアイヤーさんは、破傷風の予防接種は必ず受けるよう推奨している。その他の子供がかかりやすい感染症に関しては、親に個別にアドバイスするという。「人智学医学では個々の特徴を知ることを重要視している」
個人主義が伝染病根絶の妨げに
この個人主義的な人智学医学のアプローチは、スイスでは広く一般に支持されている。「予防接種の必要性について質問をしたり、医師や当局といった専門家の推奨を疑問視したりするのは、現代医療や個別化医療の特徴でもある」とフィリップ・タール共同院長は言う。バーゼル・ラント準州の州立病院でスイス全国を対象にした研究プロジェクト「予防接種を疑問視するスイスの親と医師」を率いる。
問題は、このような個別化医療が、はしかなどの感染もう一つの問題は、予防接種をしていない人が、赤ちゃんや妊婦など、予防接種を受けられない人や予防接種が効かない人を感染の危険にさらすことだ。スイスでは2018年、過去に予防接種を受けていた男性がはしかで死亡した。化学療法で免疫システムが機能しなくなっていたのが原因だった。つまり個人主義は社会の連帯性とも衝突するということだ。
誰が予防接種を拒むのか、そしてその理由は?
では一体、どこの誰が自分の子供に予防接種を受けさせないのか、その理由は何かという疑問が生じる。ドイツでは、富裕層の多い地域で特に接種率が低いという研究結果が出ている。
スイスでも同様のことが観察されている。また、「高学歴の親に予防接種を拒む傾向があることも分かっている」と連邦内務省保健局のマーク・ヴィッチ予防接種推薦部門長は言う。予防接種の拒否は、国の豊かさを象徴する現象なのかもしれない。とりわけ秘儀の崇拝者や、代替医療や自然主義を支持する人々の間で(部分的に)予防接種を拒否する傾向が広がっている。
もっとも、予防接種を完全に拒否する人はスイス人口のわずか1〜3%に過ぎない。反対派は、製薬業界と予防接種の副作用について警告する。「国民は予防接種に対してさまざまな懸念を抱いている。ワクチンやワクチン添加物の安全性、そして『自然に任せた』生き方の方が良いという考え方もある。つまり自然に病気にかかって獲得した免疫の方が予防接種で植え付けた免疫より優れているという見方だ」(タール院長)
ワクチンの接種率は州によって大きく異なる。一つには、予防接種に対する市民の考え方が違うことがある。保守的なドイツ語圏のスイス人は、フランス語圏やイタリア語圏と比べて予防接種を懐疑的に見る傾向にある。もう一つには、学校で予防接種を行っている州は、そうでない州と比べて接種率が高い。症の根絶を目指す世界保健機関(WHO)の活動を妨げてしまう点だ。WHOは、予防接種の反対派は世界的脅威になりつつあると警鐘を鳴らす。
コメントです。
欧米でいよいよコロナワクチンの
接種が開始されました。
ワクチン接種にあたって、
以前から懸念されていた
ワクチン拒否論者に
どう対応するかを
議論する必要があります。
人権か、それとも協調か。
もともと、人権を強く主張する
人たちはその一面でしか
物事を見ようとしません。
時事状況が平成であれば
いろんな意見を交わしあうのも
いいでしょう。
ですが、現在のコロナ下は
有事です。
その状況下、強硬派によって
主張ばかりされても社会生活が
成り立ちません。
それに加えて、きちんとした
知識も持たず、自己の現状に
不満をもっているため
これを機会に無責任な
発言をする輩の存在も
頭が痛い問題です。
コロナ収束活動に
おいても、スポーツ観戦で
発生するフーリガン対策が
必要です。
むしろ、ワクチンや治療薬の
開発よりやっかいかもしれません。

スイスでは自分の子供に意図的に予防接種を受けさせない親がいる。だがこういった姿勢は、感染症根絶の妨げにもなっている。なぜ予防接種を拒むのだろう?
2月の初頭、スイスのシュタイナー学校で生徒が麻しん(はしか)に感染した。感染の広がりを防ぐため、当局はワクチン接種をしていない子供60人を自宅待機させた。シュタイナー学校がはしか流行の温床となったのは今回が初めてではない。連邦内務省保健局(BAG/OFSP)の広報担当は、シュタイナー学校ではしかの感染が頻発するのは偶然ではないとスイスのメディアに述べている。シュタイナー学校は、ヴァルドルフ教育に基づき授業を行う。その思想の提唱者で創立者のルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)は予防接種を疑問視していた。
病気を成長のチャンスと見る。
はしかの予防接種を受けていない子供がなぜシュタイナー学校に多いのか、アントロポゾフィー医学(人智学医学)の立場から診療を行う医師に聞いた。アーレスハイム医療人類学クリニックで小児科および青年期医学を担当するベルンハルト・ヴィングアイヤーさんは、人智学医学では人間を単なる生物学的実体ではなく、それより広い意味で捉えているという。
この人間像は、人智学医学における病気の理解にも影響を与えている。「我々は人間の自己治癒力を信じ、それらを活性化する方法も心得ている」とヴィングアイヤーさんは説明する。「人智学医学において、病気は除外すべき悪ではなく、特に子供たちにとっては成長のチャンスだと理解している」
人智学医学に携わる医師は、「真の予防接種の反対派」(このグループについては後で言及する)とは異なり、すべての予防接種を拒否している訳ではない。ちなみにヴィングアイヤーさんは、破傷風の予防接種は必ず受けるよう推奨している。その他の子供がかかりやすい感染症に関しては、親に個別にアドバイスするという。「人智学医学では個々の特徴を知ることを重要視している」
個人主義が伝染病根絶の妨げに
この個人主義的な人智学医学のアプローチは、スイスでは広く一般に支持されている。「予防接種の必要性について質問をしたり、医師や当局といった専門家の推奨を疑問視したりするのは、現代医療や個別化医療の特徴でもある」とフィリップ・タール共同院長は言う。バーゼル・ラント準州の州立病院でスイス全国を対象にした研究プロジェクト「予防接種を疑問視するスイスの親と医師」を率いる。
問題は、このような個別化医療が、はしかなどの感染もう一つの問題は、予防接種をしていない人が、赤ちゃんや妊婦など、予防接種を受けられない人や予防接種が効かない人を感染の危険にさらすことだ。スイスでは2018年、過去に予防接種を受けていた男性がはしかで死亡した。化学療法で免疫システムが機能しなくなっていたのが原因だった。つまり個人主義は社会の連帯性とも衝突するということだ。
誰が予防接種を拒むのか、そしてその理由は?
では一体、どこの誰が自分の子供に予防接種を受けさせないのか、その理由は何かという疑問が生じる。ドイツでは、富裕層の多い地域で特に接種率が低いという研究結果が出ている。
スイスでも同様のことが観察されている。また、「高学歴の親に予防接種を拒む傾向があることも分かっている」と連邦内務省保健局のマーク・ヴィッチ予防接種推薦部門長は言う。予防接種の拒否は、国の豊かさを象徴する現象なのかもしれない。とりわけ秘儀の崇拝者や、代替医療や自然主義を支持する人々の間で(部分的に)予防接種を拒否する傾向が広がっている。
もっとも、予防接種を完全に拒否する人はスイス人口のわずか1〜3%に過ぎない。反対派は、製薬業界と予防接種の副作用について警告する。「国民は予防接種に対してさまざまな懸念を抱いている。ワクチンやワクチン添加物の安全性、そして『自然に任せた』生き方の方が良いという考え方もある。つまり自然に病気にかかって獲得した免疫の方が予防接種で植え付けた免疫より優れているという見方だ」(タール院長)
ワクチンの接種率は州によって大きく異なる。一つには、予防接種に対する市民の考え方が違うことがある。保守的なドイツ語圏のスイス人は、フランス語圏やイタリア語圏と比べて予防接種を懐疑的に見る傾向にある。もう一つには、学校で予防接種を行っている州は、そうでない州と比べて接種率が高い。症の根絶を目指す世界保健機関(WHO)の活動を妨げてしまう点だ。WHOは、予防接種の反対派は世界的脅威になりつつあると警鐘を鳴らす。
コメントです。
欧米でいよいよコロナワクチンの
接種が開始されました。
ワクチン接種にあたって、
以前から懸念されていた
ワクチン拒否論者に
どう対応するかを
議論する必要があります。
人権か、それとも協調か。
もともと、人権を強く主張する
人たちはその一面でしか
物事を見ようとしません。
時事状況が平成であれば
いろんな意見を交わしあうのも
いいでしょう。
ですが、現在のコロナ下は
有事です。
その状況下、強硬派によって
主張ばかりされても社会生活が
成り立ちません。
それに加えて、きちんとした
知識も持たず、自己の現状に
不満をもっているため
これを機会に無責任な
発言をする輩の存在も
頭が痛い問題です。
コロナ収束活動に
おいても、スポーツ観戦で
発生するフーリガン対策が
必要です。
むしろ、ワクチンや治療薬の
開発よりやっかいかもしれません。