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2020年11月29日

【解説】 英オックスフォード大のワクチンに疑義 原因は「投与量の間違い」

今月23日、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発している新型コロナウイルスワクチンが、臨床試験で高い効果を示したことが発表された。

すでに90%以上の有効性が発表されていた米ファイザーと独ビオンテック、そして米モデルナのメッセンジャーRNAワクチンよりも安価で流通させやすいという点で、この一報はCOVID-19との闘いに新たな希望を与えてくれた。

しかしこのお祝いムードの後、ネガティブな報道が続いた。

26日には、英米の複数メディアがオックスフォード大のデータに疑義があると伝えた。安全性ではなく、有効性に関する疑問だった。

臨床試験では、3つの有効性に関する数値が公表された。全体の有効性が70%、最低値が62%、最高値が90%だ。この数値の揺れは、臨床試験での投与量に間違いがあったことから生まれた。一部の被験者は、予定されていた量の半分しか投与されなかったのだ。しかしこの「間違った」量が、最終的には勝者となった。

どういうことなのか?
一部の被験者は、予定よりも弱いワクチン、つまり免疫をつけるのに必要な要素が少ないワクチンを投与された。オックスフォードのワクチンは全部で2回、1カ月の間を置いて接種する必要がある。被験者のほとんどが、2回とも正しい量のワクチンを接種したが、そうでない人もいた。規制当局はこの間違いについて早期に報告を受けており、臨床試験の続行と、被験者を増やすことで合意していた。この間違いは、ワクチンの安全性には影響を及ぼしていない。
結果はどうなった?
結果的に、約3000人のボランティアが1回目に規定の半量のワクチンを、4週間後の2回目には規定量のワクチンを投与された。

そしてこのグループが、約90%という最も高い有効性を示した。

1回目と2回目に規定量を投与された約9000人については、有効性は62%だった。

アストラゼネカはこの数値をどちらも公表し、平均では70%の確率でCOVID-19を防ぐと発表した。しかしこの数字の違いに、一部の科学者が頭を悩ませることになった。

免疫の専門家で、王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)で健康プログラムに携わっているデイヴィッド・ソールズベリー教授は、「異なる投与量について2つの研究を行って、どちらの投与量についても反映していない、混ぜ合わせの1つの結果が出ている。多くの人が、このことに困っている」と説明した。

アストラゼネカは、23日に発表された内容は暫定的なもので、完全な最終結果ではないと強調している。これはファイザーについても、モデルナについても同様だ。

完全な結果がそろった時には各社とも、公の考査を受けるために医学誌にデータを掲載することになる。

また、緊急使用認可を得るために規制当局にも完全なデータを提出している。そうすれば各国で、国民全員に免疫をつけるために3つのワクチンが使われ始めることになる。

今回のことで何が変わるのか?

アメリカの食品医薬品局(FDA)は、パンデミックに対抗するには少なくとも50%の有効性が必要だとしている。

もしオックスフォード・ワクチンを接種して有効性の最低値を示したとしても、このボーダーはクリアできるだろう。

このワクチンの臨床試験では、被験者のうち131人がCOVID-19を発症した。

うち101人は偽薬を投与されていた。残りの30人はワクチンを投与されていたが、うち少ない量を接種していたのが3人、規定量を接種していたのが27人だった。

オックスフォード大学の研究者は現在、なぜ弱いワクチンを打ってから規定量を打つことで有効性が上がるのかを調べている。

可能性のひとつとしては、弱いワクチンを打ってから強いワクチンを打つことが新型ウイルスの感染に似ているため、より高い免疫反応が得られたという説が挙げられる。

しかし、ワクチンを半分の量しか受けなかったボランティア本人に、他の人とは違う要素があったのかもしれない。

米政府のワクチン開発計画の科学主任、モンセフ・スラウイ博士は、半分の量を接種したグループには、55歳以下のボランティアしか含まれていなかったと指摘した。

COVID-19では年齢が高くなるほど重症化リスクが高まるため、高齢者をウイルスから守るワクチンは非常に重要視されている。

一方で、オックスフォードのワクチンに関する治験初期の研究では、すべての年齢層に強い反応が得られることが分かっている。

アストラゼネカは「これらの研究は最高の基準に沿って進められている」と説明した。

「これからもっと多くのデータが蓄積され、追加分析によってより正確な有効性が示されるとともに、免疫が続く期間も明らかになるだろう」

その上で、高い有効性を示した少量のワクチン接種について、新たな研究を行うとしている。

同社のパスカル・ソリオ最高経営責任者は、「国際的な研究も行われるだろうが、こちらの方が早いだろう。ワクチンの有効性はとても高いので、被験者は少なくてすむ」と語った。

専門家の意見は?

投与量こそ違っていたものの、研究のその他の部分は当初の計画通りに進んだ。

英インペリアル・コレッジ・ロンドンのピーター・オープンショウ教授は、もうすぐ3種類の有望なワクチンが手に入り、人命が救えるというメッセージこそ大事だと指摘した。

「完全なデータを待ち、規制当局が結果をどう判断するかを見なければならない」

「我々はいま、限られたデータでしか判断していない。オックスフォードとアストラゼネカのワクチンは、ほかのメッセンジャーRNAワクチンより効果が薄いかもしれないが、結果を待たなくてはならない」

その上でオープンショウ教授は、「長年、ワクチンの到来を待っていて、まだ完成していない病気がたくさんある。HIVや結核、マラリアなどが良い例だ」と話した。

「これまでの結果から、COVID-19にはワクチンができそうで、これはとても良いニュースだ」


(英語記事 Oxford's Covid vaccine 'dose error' explained

コメントです
コロナウィルスのワクチンに
ついての話題です。
まだまだ未知数のウィルスに
向けての戦いが続きますが、
日々、精度(ワクチンの有効性)が
上がっています。







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posted by salsaseoul at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | covid-19
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