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2016年09月01日

自分は何者?学校行けず大人に… 「死後認知」求め提訴

朝日新聞2016年8月30日


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定時制高校での授業が終わり、下校する男性=東京都、関田航撮影

未婚の母の元に生まれ、住まいを転々として「所在不明」となり、
一度も学校に行けないまま大人になったさいたま市の男性(34)が、
「父」の名前が戸籍に記載されるよう、「死後認知」の訴えを30日、
東京家裁に提起した。いまは都立高校の定時制に通い、
来春卒業を予定。父、そして自分は何者かを明らかにし、
けじめをつけて社会に出たいという。

戸籍の父の欄は空白だが、家族の中では「父」の存在は明確だ。
国会議員の秘書をしており、3歳ごろには一緒に食卓を囲んでいた。
母と5歳下の妹との3人暮らしの家にときどき帰り、食事に連れて
いってくれたり、発売直後のPHSを持たせてくれたりした。

陳述書などによると、父には別に家庭があった。母は認知を求め、
父は「認知する」と言いながらしなかった。母は精神的に不安定で
働けず、生活費は父が出したがしばしば遅れた。

家賃滞納による立ち退きが何度かあり、小学校への入学は
うやむやに。母は学校に行かせたかったが、父は世間体を
気にして手続きしなかった。男性は、公園で虫を捕ったり、
市販の教材の顕微鏡を組み立てたりして過ごした。
窓から見える通学風景に「なんで自分だけ」と思ったという。

9歳ごろから7、8年間は、父が手配したホテルで暮らした。
お金をどう工面していたかわからない。男性は食事と清掃
以外の時間は部屋にこもり、学習ドリルで勉強した。
中学に入学するはずの年には、前に暮らした区が、
住民票を削除した。長期間居住実態がなかったためだ。

妹も学校に行かないまま飲食店で働き始めた。男性は母と、
その後も首都圏を転々とした。母は体調がよくなって
アルバイトを始め、男性は家事を担った。

18歳ごろ、ネットで見つけた野球チームに参加してみた。
「誰かに助けてほしい。でも知られたくない」。自分の境遇を
他人のことのように話し、チームの人に「どうしたらいい
ですかね」と尋ねたこともあった。

父の仕送りは途絶えて会うこともなくなり、電話が時々
かかるだけになった。

転機は29歳。母に連れられて行ったハローワークを通じ、
職業訓練の施設に通った。施設長は「人と目を合わせず
内向的。ただ、とても素直だった」と振り返る。何社か面接に
臨んだが、学歴が壁になった。30歳のとき、施設長が
探した夜間中学に入学した。

夜間中学の教員は、面談のとき、「自分の中に足りないものを
感じる」と話した男性の言葉が胸に残った。学校では下の
名前で呼び捨てにした。「彼は生徒になりたくてきた。
それが彼にないものだから」

当時の担任によると、男性は入学時、読み書きができる
程度だった。入学前面談で「未来が開けると思う」と話すと、
母親は大泣きしたという。

父から久しぶりに連絡がきたのは2014年末。携帯電話に
「少しお金を入れてもらえませんか」と伝言が残されていた。
数日後、履歴を見た警察から連絡があった。
路上で凍死したと聞かされた。男性の妹が、火葬と
納骨式に参列した。

朝日新聞の取材では、父の周囲は、男性たち家族の
存在をほとんど知らなかった。男性にとって、父の痕跡は
「親父(おやじ)」と登録した携帯電話の番号だけ。
「よくぞこんなことしてくれたな」と恨み、電話ごしに怒りを
ぶつけた時期もあったが、学校に入れた時点で前だけ
見ることにした。

飲食店で働きながら通っている定時制は皆勤。部活は卓球と
パソコンを掛け持ちしている。「今しかできないから。
エンジョイしないと」。来春、高校を卒業する。「長い期間、
学校に行けなかったが、周囲と自分の力でけじめを
つけられそうだ。社会に出る前に『父が誰か』をはっきりさせて、
リセットしたい」(中塚久美子、後藤泰良)

     ◇

戸籍や住民票があっても行政が居住実態をつかめない
所在不明になる子が後を絶たない。7月発表の厚生
労働省の調査では全国に少なくとも25人いた。
25人の内訳は乳幼児4人、義務教育年齢13人、
義務教育年齢を過ぎた18歳未満が8人。

所在不明の子が虐待などで亡くなる事件が起き、同省は
2014年に初めて実態調査。当時は大阪27人、兵庫26人、
神奈川16人、東京14人など計141人いることがわかった。

当事者が行政サービスを受けようとしないと、所在を
把握できないのが実情だ。総務省住民制度課によると、
マイナンバー制度は居住地に住民票があるのが前提で、
所在不明の子を自動的に発見できる仕組みはないという。

     ◇

 〈死後認知〉 民法では、親の死亡から3年以内で
あれば子は認知(死後認知)の訴えを起こすことが
できると定めている。検察官を相手として訴える。
審理内容は血縁的な親子関係の有無。関係者を
対象にしたDNA鑑定や証言などをもとに総合的に
判断される。原告の名誉回復や相続権の確保など、
訴えの目的は多様だ。最高裁によると、死後認知を
含む認知、認知の無効及び取り消しの訴えは、
昨年までの5年間で年252〜276件あった。


コメントです。
戸籍問題はほんとうに難しいですね。

政府がどれだけ個人に立ち入られるか?

しかし、まれに今日の記事にあるように、
諸事情で取り残されて現在も苦労している方も
います。

いずれにしても、政府は早急に相当量の

シュミレーションを組んでセーフティネットを

整備すべきですね。




posted by salsaseoul at 02:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会
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