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2016年08月13日

私たちは「買われた」展 女子中高生のSOSを知って

朝日新聞  2016年8月9日

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18歳の女性の手記。友人に誘われ、乱交パーティーに行ったことなどが
つづられている。「行く場所があるだけで安心してた」


援助交際や風俗、JKビジネスなどで「売春」をした中高生たちが、
自らの体験や思いを伝えたいと企画した「私たちは『買われた』展」が
11〜21日、東京都新宿区で開かれる。写真や文章、日記などを
通して彼女たちは訴える。
「私たちが、いま、ここで生きていることを知ってほしい」

主催するのは、居場所のない女子高校生らを支援する一般社
団法人Colabo(コラボ)と、コラボが支援する24人。1
4〜26歳の中高生や女性らで、北海道から九州で暮らす。
かつて立っていた街角、体をくっつけて暖を取った自動販売機、
リストカットを繰り返して傷だらけになった腕――。
自分の体験が深く関わる場所や場面を再現した写真のほか、
思いをつづった日記や絵、体験談など約100点を展示する。

関東地方で暮らす高校1年のあいさん(16、仮名)は中学生の
とき、母親と自分に暴力を振るう義父のいる家に帰りたくなくて、
新宿に出た。ひとりで下を向いて歩いていたとき、
男の人に声をかけられた。

 「ひとり?」。うなずいた。「お金欲しいんでしょ? 
あげるからついておいで」。怖くて体が固まった。
手を引っ張られ、そのまま部屋に連れ込まれた。
男がくれた5千円で上履きや文房具を買った。

あいさんは今回の企画展を準備する中、過去と向き合って
過呼吸になったり、涙が止まらなくなったりした。それでも多くの
人に企画展に来てほしいと願う。「断れなかった自分が悪いと、
ずっと自分を責めてきた。でも、そういうところに行くしか
なかったことをわかってほしい」

発案したのは、コラボにかかわっている20代の当事者の女性。
昨秋、戦時中のインドネシアで「慰安婦」とされた女性たちの
写真展を、コラボ代表の仁藤夢乃さん(26)と一緒に見に
行った。つらい体験を訴え、カメラをまっすぐ見据えた年老いた
女性たちの姿に圧倒されたという。「私たちも何かできないか」。
そこから輪が広がり、中高生を含む24人が参加を申し出た。
昨秋から少しずつ準備を進め、全国から寄付を募って
開催にこぎつげた。

仁藤さんによると、ある大学で学生たちに売春する中高生の
イメージを尋ねたところ、「快楽のため」「遊ぶ金がほしいから」
などの答えが返ってきたという。企画展は、そのイメージに
一石を投じたいとの思いも込められている。仁藤さんは
「中高生の売春は自己責任論でとらえられがちだが、
決して彼女たちだけの責任ではない。

彼女たちが買われるまでには背景や過程がある。
それを知ってほしい。暴力的な性行為も少なくなく、
彼女たちは心身ともにその傷を生涯背負う。女の子たちの
SOSに気づける人が増えてほしい」と話す。

新宿区矢来町158の神楽坂セッションハウス2階ギャラリーで、
正午〜午後8時(最終日は午後5時まで)。
入場料は一般1500円、高校生以下は無料。
詳しくはコラボのウェブサイト
http://www.colabo-official.net/別ウインドウで開きます)。
(編集委員・大久保真紀)

■当事者の女性たちの声(手記などによる)

「小さいころから母は帰って来ず、妹と2人暮らしだった。
家はごみ屋敷。お金はなく、駅前で物乞いをした。
中学生になって母が再婚すると、今度は暴力を振るわれた。
街で男に『どうしたの?』と聞かれ、事情を話すと
『おなか、すいているでしょ』と言われた。男はコンビニで
おにぎりを買い、手を握ってきて、家に連れ込まれた。
怖くて抵抗できなかった」(15歳、中学生)

「小学校ではトップの成績だった。名門校と言われる私立の

女子中学校に入ると、私より良い点数を取る人たちがいた。
親は『成績が悪い』と怒鳴り、私を殴り、蹴った。
学校でいじめられ、不登校になった。そんなころ、ネットで
知り合った男の人に『会いたい』と言われて、うれしかった。
カラオケに連れて行かれ、最後までした。2回売春した」
(18歳、高校生)

「私には知的障害がある。健常者の妹が生まれてから、
家族とは食事や洗濯なども別にされた。学校でもいじめられた。
誰にもほめられたことがなかった。ネットでやさしく声をかけて
くれた男と遊ぶと、ホテルに連れ込まれた。
男はコンビニで食べ物を買ってくれた。性を売るとほめて
くれる人がいた。必要とされていると思える気がした」
(21歳、フリーター)

「学校でいじめられていることを先生に訴えたが、
何も変わらず、不登校に。居場所は家にもなかった。
ネットで知り合った25歳の男性は、私の話を聞いてくれ、
私を否定しなかった。唯一の心の支えで、体だけでも
求められたのがとてもうれしかった。私の存在価値を感じた。
いまは後悔ばかり。あのとき私に逃げ場があれば、
男性と関係をもつことはなかった」(14歳、中学生)

「両親が離婚し、祖母の家で暮らしていた。中学2年から、
夜になると、おじが部屋に来た。家を出る高校2年まで
性的虐待を受けた。周囲に訴えても、誰も信じてくれなかった。
家にいたくなくて、15歳で夜の仕事を始めた。
雇い主から言われた指定の場所に行き、売春した。
週2回、乱交パーティーで5〜6人のおじさんを相手に
する仕事もした」(18歳、フリーター)


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展示される20歳の女性の写真。成人式で着た着物の袖から、
無数の切り傷とたばこの火を押しつけた痕がのぞく


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「ママも頑張ってるんだからアンタも頑張って我慢しなさい」。
あいさん(16、仮名)が親から言われた言葉を作品に書き込んだ


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「産まなきゃよかった」「迷惑だ」「だれの金で飯食ってると思ってんだ」……。
女性たちが親や先生などに言われて傷ついた言葉を書いた作品

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15歳の中学生が描いた絵。「死にたかった」などの言葉もある


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21歳の女性がつづった食事ノートと日記。「寂しくて誰かの温(ぬく)もりが欲しくて……。
自分に負けた」。援助交際の相手に買ってもらったお菓子などの写真も貼られている

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あいさん(手前)と企画展の打ち合わせをする仁藤夢乃さん




posted by salsaseoul at 08:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会
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