デング熱を媒介する野生の蚊を駆除する計画について、米食品
医薬品局(FDA)が5日、「環境への重大な影響は見られない」とする
最終見解を発表した。米フロリダ州で実施が予定されているが、
反対意見もあり、地元では賛否を問う住民投票が実施される。
ジカ熱やデング熱のウイルスを媒介するネッタイシマカに、
自然界では2日ほどしか生きられない「致死遺伝子」を
組み込んだオスを大量に放つ。
オスは死ぬ前にメスと交尾するため、メスが産んだ卵は、
致死遺伝子の影響で、成虫にはなれずに死ぬ。いずれは蚊の
集団全体が駆除できるという仕組みだ。
人の血を吸うのはメスで、オスは無害という。
フロリダ州南端のフロリダキーズ諸島で蚊の対策を担当する当局が、
技術開発をした英オキシテック社と共同で、キーヘイブン地区での
実施を計画している。地区一帯では数百世帯が暮らしている。
FDAは見解のなかで、放される蚊はほぼすべてオスで、人や
動物を刺さないため直接の健康影響は考えられない
▽仮にメスが混入して人や動物を刺しても、遺伝子改変による
中毒やアレルギーなどの悪影響がでる証拠はない
▽放された蚊がデング熱などの感染症を拡大させることはない
▽生態系への影響も考えられない、などとして、同社が提出した
環境影響評価を支持した。
ただ、米メディアによると、地元では「長期的な影響が検証されて
いない」「遺伝子改変した蚊を使わなくても(ジカ熱などの)
感染を防ぐ手段は他にもある」などの反対意見もある。
そのため地元では11月に計画の賛否を問う住民投票が実施される。
同社は、すでにブラジルやパナマなどで駆除試験を行っており、
蚊を放した地区では9割以上の蚊を駆除できたとしている。
殺虫剤による駆除より低コストで、薬剤耐性をもつ蚊が生まれる
心配もなく、効果が期待できるとしている。(ワシントン=小林哲)
コメントです。
一種の生物農薬ですね。
蚊にかぎらず、農作物をくいあらすバッタやイナゴを駆除するために
技術開発が確立されています。
最近あまり聞きませんでしたが、ここで伝染病媒介対策として
採用されたようです。
さて、焦点は自然界への影響。正直、いまさら自然保護といっても
「人間」自体が自然界では「異物」ですから、検証程度の議論した
進まないでしょう。
いずれにしても、ひとつの種を絶滅まで追い込むことができる「人間」。
議論を重ねながら暗中模索していくしかないですね。