■先進41カ国で8番目に大きい。学力や健康に影響も
アウルさん 子どもの貧困(ひんこん)格差が深刻と聞いたわ。
A その国の最貧困層の子どもが標準的な子どもに比べて、
どれぐらい厳しい暮らしをしているか。それに着目したのが、
子どもの貧困格差だ。貧困率が貧困の広がりを表すのに対し、
貧困格差は深まりを示す指標だ。先進41カ国で日本は8番目に
格差が大きかった。ユニセフ(国連児童基金)が4月に発表した。
ア どう計算するの?
A 厚生労働省の 国民生活基礎(きそ)調査から2012年の
数値を使った。18歳(さい)未満の子どものいる家庭の年間手取り
収入を家族の人数で調整した金額を、まず試 算。それを順番に
並べ、下から10%目と真ん中の子どもの金額差を数値化した。
子どもに収入はないけれど、その金額に相当する生活水準にある、
という考え 方だ。
ア それで結果は?
A 下位10%目は84万円で、真ん中の211万円より127万円
少なかった。最貧困層の子どもの金額は、標準的な子どもの
4割にも満たない。上位の北欧(ほくおう)諸国は6割以上だよ。
ア 順位は下がったの?
A ユニセフが日本について分析(ぶんせき)したのは今回が初めて。
今までは各国と比較(ひかく)可能な日本のデータがそろわなかった。
ただ、首都大学東京の阿部彩(あべあや)教授が今回分析したところ、
日本は1985年より格差が拡大している。
ア 貧困の度合いが大きいと、どんな問題が?
A 貧困から脱(だっ)するのが難しくなる。学力低下や健康悪化の
リスクも高まるので、金銭的支援(しえん)だけでなく、手厚く多彩な
支援がもっと必要だ。
ア 対策をとらないと。
A 限られた財源をどこに充(あ)てるかは、議論が必要。
現金給付のほか、子育てにお金がかからないようにすることも
考えないと。教材費なども含(ふく)めた義務教育の完全無償化
を望む声も大きいよ。
(田中陽子)
コメントです
子供の貧困率の話題です。
以前から日本は世界順位で下位にあると聞いていましたが、
このような現実を突きつけられると、少し情けない気分に
なります。