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2016年05月08日

あのPC―98が高値で売られてた 意外な場所で活躍中

朝日新聞 2016年5月4日

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日本のパソコンの代名詞だった、往年の名機「PC―98」シリーズ。
スマホとタブレットがひしめく21世紀に、いまだ中古市場で根強い
人気を誇る。たった80MBしかないハードディスクが1万数千円する
など、周辺機器も高値で取引され続けている。どういう人たちが
買っているのか? 専門通販ショップ店主に聞いた。

■家庭向け本格PCの先駆け

PC―98は、NECが 80年代から販売していた16ビットマシン。
当時としては高精細なグラフィック処理を得意とし、旧来の
ビジネス用途のほか対応ゲームソフトもたくさん出回 り、家庭向け
本格PCの先駆けとも言える存在だ。ピーク時の国内シェアは
少なくともビジネス向けで8割、個人向けで5割以上あったとされる。

しかし、インターネット時代に適応したマイクロソフトのOS
「ウィンドウズ95」の登場や、より汎用(はんよう)性の高い
共通規格のDOS/V機(いわゆるウィンドウズPC)が国内外の
メーカーから多く出回るようになると、独自のソフトやハードが
逆に足かせとなりシェアが低下。旧来の規格を土台にウ
ィンドウズに対応していったが、ウィンドウズ98SEを積んで
2000年6月に発売された「PC―9821NR300/S8TB」が
最終モデルとなった。

■ジャンク品でも数万円で出品

さらに時代は下って、ウィンドウズPC の全盛期も過ぎて
情報通信の主役がモバイル端末に移りつつある2016年。
完全に使命を終えたかに思えたPC―98だが、ネット通販などでは
根強いニーズ に裏打ちされた高値取引が続く。オークションサイト
大手「ヤフオク!」では、「PC―98」カテゴリーで1400件超の
出品がある(5月4日時点)。動作 を保証しないジャンク品で
さえ数万円で売り出されている。

 今もって愛用し続けているのは、一体どういった人たちなのか?

PC―98シリーズを専門に扱う修理販売ショップ「PC―98のミシマ」
(静岡県伊豆の国市)の店主・井口智晴さん(34)によると、
工場での生産ライン管理や、部品を設計・製図するCAD(キャド)
システムを動かすのに活躍しているという。

■PC―98が組み込まれた生産ライン

80年代後半―90年代前半のバブル経済期 に設備投資された
工場設備は、開発コストを抑えるため、当時の汎用機だった
PC―98でシステムを組むケースが多かったという。
その後、不況に見舞われる などしてシステムを更新する
タイミングを逸して当時のまま使い続けている工場こそが、
今もPC―98が活躍する現場だ。

そう聞くと、設備投資に費用をかけられず最新デバイスにも
なじめないような町工場の高齢経営者を想像してしまう。
しかし意外にも、ロングセラー商品を作っているような大企業ほど、
古い設備の更新に膨大な費用がかかるため、古いPCを
使い続けるケースが多いという。

ほとんどがウィンドウズ以前の「N88―BASIC」や
「MS―DOS」といった当時のOSで動いている。
ミシマの顧客には「自動車やインフラ、電車製造など、
みんな知ってる有名な会社さんもいます」とのこと。

■倉庫には1千台のPC―98

ちなみにNECによると、PC―98の保守期間は2010年10月に
終了している。新品の買い替えが不可能なうえにパーツ供給も
ないため、ユーザーは既存の機器やパーツを修理しながら
使い続けるしかない。

そのためミシマでは、倉庫にPC本体だけで約1千台を確保。
CADのデータを読み書きするためのフロッピーディスクドライブは
2千台近くあるとい う。仕入れ時にはジャンク品同然だったり
するものも、分解して部品交換したり顧客の求める仕様に
カスタマイズしたりしながら、きちんと動くようにして一日
に数台のペースでコンスタントに売っている。

■「生産ラインが止まった」駆け込む工場担当者も

こういった専門業者に頼るしかない現場のニーズは切実だ。
なかには「PC―98が壊れたせいで生産ラインが止まってしまった」と、
アタッシェケースに入れて持ち込み修理に駆け込んできた
工場担当者もいたという。

周辺機器も引っ張りだこだ。1万800円の未使用品のマウスは
在庫切れ。ハードディスクは内蔵タイプの80MBモデルが
1万2960円だ。

業務用のバーコードリーダーは4万8600円。
LED式の最新型を、変換アダプターを介してPC―98に
接続できるように加工している。自動車部品工場で、
出荷時のタグの読み取りに用いられるという。

■まるでヴィンテージカー

さらに、近年は個人客からの問い合わせもある。
ロールプレイングゲームやシミュレーションゲームなど
80年代のレトロゲームがマニアの間で静かな人気だ。
ミシマでも、「懐かしい」「昔に持っていたのと同じマシンが欲しい」と
買い求める個人客が年に数人ぐらいいるという。

ただ、井口さんは「ブームはありがたい」としながらも、
「ファミコンと同じ感覚では(ハードを)維持できない」とクギを
刺す。たとえば、当時のゲームソフトである古いフロッピー
ディスクにはカビが生えてしまっていることも少なくなく、
そのまま挿入するとドライブが使えなくなってしまう。

まるでヴィンテージカーのごとく、専門知識やきめ細かい
メンテナンス、丁寧な取り扱いが求められる。

■製造元のNECは

知る人ぞ知るロングセラーとなっている中古のPC―98。
製造元のNECはどう思っているのか。

NECコーポレートコミュニケーション部の担当者は、
「(PCの知識が豊富で)よくお分かりになっている方に
お使いいただいているのだろう。大切に末永くご愛顧
いただきたい」と話している。(北林慎也)

コメントです
実際、製造現場では設置30年を超えた設備が多くあります。

もちろん大手企業でも、たとえばラック倉庫とか更新すれば
億円単位の費用がかかり、そして現状、特に問題もなく
稼動していれば、あとは、それを動かす頭脳部の旧式PCが
いちばんの要となり、今日の記事にあるようにその当時の
PCが必要となってきます。
極端に言えば、たった10数万円のパーツが手に入らないために、
億円単位の設備が産業廃棄物となる可能性もあるわけです。

ウィンウィンの関係かもしれませんが、このように当時のPCを
相当数在庫、修理、販売していただいている企業がある
ことによって、日本の製造現場担当者はものすごく安堵感を
抱いているはずです。



posted by salsaseoul at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境
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