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2016年05月05日

(世界発2016)5兆円開発、中国が丸抱え 港湾や発電所整備 パキスタン

朝日新聞 2016年5月3日

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中国の支援で建設されたパキスタン南西部のグワダル港=武石英史郎撮影


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成長著しい新興国インドと制裁解除で投資熱に沸くイラン。
その間に挟まれたパキスタンに、空前の開発ブームが訪れている。
総事業費は約5兆円。
その内実は、アラビア海への出口を求めて
南下する友好国・中国の「丸抱え」だ。

ペルシャ湾の入り口、ホルムズ海峡から東へ約600キロ。
アラビア海に面したパキスタン南西部のグワダルは、2001年から
中国の支援で港が建設されている町だ。
インド洋に点在する中国の戦略拠点「真珠の首飾り」
一つとして注目されてきた。

町外れの空港から、ホテルの送迎バスに乗った。数人の乗客の
うち外国人は私だけだが、自動小銃で武装した警察官4人が
乗るトラックが警備のため先導。すべての交差点に警察官が立ち、
バスが猛スピードで通過するまで一般車両を通行止めにした。

グワダルでは04年に中国人の技師3人が地元の分離独立派に
よる爆弾テロで死亡しているが、治安が悪いパキスタンでは
珍しいことではない。町は軍の管理下に入っており、異例の
厳重警備はグワダルがいかに特殊な町かを物語る。

中国が建設した港には接岸中の船は一隻もなく、人影も
ほとんど見えない。大小のクレーンが稼働せずに立っている
ほかは、前回訪れた03年と何も変わっていないように見えた。

グワダルは、最も近い国内の都市カラチから500キロ以上も
離れた砂漠地帯にある。8万人の人口をまかなう水源がなく、
電気、ガソリン、生鮮品はイランからの輸入。07年に港の
一部が完成して以来、開発が止まった状態が続いていた。

その空気が一変したのは昨年4月。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席がパキスタンを
訪問し、シャリフ首相と会談。
グワダル港と中国新疆ウイグ ル自治区を結ぶ輸送路の
建設と、沿線のインフラ整備からなる事業規模約450億ドル
(約5兆円)の中パ経済回廊計画を発表した。
グワダル港と海岸沿いの約 8平方キロの土地の管理を
40年間、中国国有の港湾企業にゆだねる契約も結ばれた。

以来、町の警戒態勢は一気に強化され、中国が管轄する用地は
フェンスで区切られ、中国が造る新空港の建設準備も始まった。
グワダル地区議会のバ ブー・グラブ議長は「5月には、中国の
関係者が大挙やって来る。ただ、どう開発が進むのか、
明かされない部分が多い」と話した。地元の不動産業者に
よる と、01年からの港湾建設で不動産ブームが起きたが、
バブルはまもなく崩壊し、地価はピーク時の1割程度まで
下落した。だが最近、再び8割程度まで急回復 したという。

 ■砂漠に太陽光パネル、原発1基分

インドとの国境に近いチョリスタン砂漠。荒れ地を切り開いた
真新しい一本道に、パキスタンと中国の無数の国旗が
はためく。厳重警備の検問所を抜け、建物の屋上に案内された。
見渡す限り、太陽光発電のパネルが広がっている。

敷地は40平方キロ。すでに100メガワット分が稼働を始め、
17年までに13億ドル(約1400億円)を投じて、1千メガワットに
増強する計画だ。原発1基分に匹敵する発電能力で、
太陽光発電所としては世界最大規模になる。

建設に当たるのは中国の通信大手「中興通訊」系列の
「中興能源」。約800人の中国人と、2千人のパキスタン人が
住み込みで建設作業を続けている。

中国にとって中パ経済回廊計画は、習近平指導部が進める
シルクロード経済圏構想「一帯一路」の代表例との位置づけだ。
多数のインフラ事業からな り、起点となるグワダルの空港
などの整備にかかる8億ドルは、中国からの無償援助や
無利子融資が大半を占める。さらに、グワダルから中国へ
国内を南北に貫 く道路網を整備する計画で、建設費1
0億ドルは中国からの低利融資でまかなわれる。

金額的に最も大きいのが回廊の沿線に造られる発電所だ。
パキスタンは地域によって1日に10時間以上停電するほど
電力不足が深刻で、その解消のた め24カ所の
発電所建設に344億ドルが投じられる。両国の
合弁企業による投資と説明されているが、事業主体や
業者の選定、契約内容の詳細は明らかにされ ていない。

チョリスタンの太陽光発電所は、その中の優先プロジェクトに
位置づけられている。現地責任者のムハマド・アスカリ氏は
「太陽光パネルの価格は世界的に下がっている。
いい時期に建設できた」と話す。太陽光発電ブームだった
欧州の景気減速で、大量の過剰在庫を抱えた中国企業に
とってパキスタンでの大量受注は救いだったとみられる。

回廊計画とともに中国人が急増し、地元紙によると
内務省は国内に滞在する中国人は15年の約8千人から
倍増すると見込む。首都イスラマバードの旅 券事務所では、
ビザの更新に訪れる外国人の6割近くを中国人が占める。
中国人の安全を確保するため、軍と警察は1万7千人
規模の専門警護部隊を創設した。

 (グワダル=武石英史郎)


真珠の首飾り戦略

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真珠の首飾り戦略(英語: String of Pearls)とは、香港から
ポートスーダンまで延びる中国の海上交通路戦略である。
海路は、海軍が戦略的な関心を持っているパキスタン、
スリランカ、バングラデシュ、モルディブ、ソマリアだけでなく、
戦略的チョークポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡、
マラッカ海峡、ホルムズ海峡、ロンボク海峡などを通っている。
この表現はアメリカ国防総省部内報告書の
"Energy Futures in Asia"で使われていた。
"真珠の首飾り"は中国の南シナ海、マラッカ海峡、インド洋、
ペルシャ湾までの港と空港へのアクセスの増加のための努力、
特殊な外交関係の構築、近代化した軍事力の伸張を通した
地勢的な影響力の向上の兆候を表している。

 

中国の国家主席胡錦濤は中国の海軍戦略のゴールを
「調和の海」、「中国は覇権を求めないし、他国との
軍事力拡大や軍拡競争も求めない」としている 。
しかし、いくらかのインド人は真珠の首飾りはインドを
軍事的な不利益に押し込めると感じており、これに対する
インドの大戦略の喪失は中国にインド洋沿岸諸国との
関係の拡大を許していると考えている。

コメントです

つい、数ヶ月前の報道で、中国がギリシャの主要港を
抑えたとありました。
ここから欧州への進出が容易になります。
そして、今日の記事によると今度はパキスタンです。
中国は、航路やエネルギー供給を着々と確保して、
最終的に世界制覇を目指しているのでしょうか?
余談ですが、韓国、済州道も中国がそうとう触手を
伸ばしている場所です。過疎化が進むことに
つけこんで、土地を買い漁る動きがみられます。

韓国政府は、もう少し緊張感を持つべきですね。




posted by salsaseoul at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 南アジア・インド周辺国
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