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2016年01月26日

幸せな老後失い「一人っ子政策の犠牲者」 中国集団提訴

朝日新聞 2016年1月26日

瀋陽=平賀拓哉 北京=斎藤徳彦


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中国政府が昨年廃止した「一人っ子政策」をめぐり、
一人っ子を亡くした親たち約180人が昨年5月、
「2人目の出産が認められなかったために、老後の
介護などで子供から得られる利益を失った」などとして、
国に補償を求めて一斉提訴していたことがわかった。

「今でもつらくて、写真を目に届く場所に置いて
いられないのです」

一人っ子を亡くしたことによる損失補償を求めて国を
提訴した遼寧省の50代の男性が住む古びたアパートに、
一人息子の遺影は見当たらなかった。
息子の写真は、本の間にはさんで隠してあった。カメラに
向かって屈託のない笑顔を浮かべる少年が写っていた。

男性の息子は1998年8月にプールで溺れて亡くなった。
赤字続きの施設で監視員も少なかった。息子は難関
中学校に合格し、秋の入学を控えていた。
バスケッ トボールが好きな優しい子供だった。
なぜプールに行かせてしまったのか。悔やみきれず、
自殺も考えた。妻は仕事を辞め、自宅に引きこもった。

2人は息子の生前に第2子を中絶していた。
当時、男性と妻は別々の国営企業に勤めていた。

どちらの勤務先も第2子の出産を認めず、産めば
解雇されることもあった。「今とは時代が違う。
企業を離れれば生きていけなかった」

2人は「せめて2人目の子がいてくれたら……」という
思いを、「国の規定だから仕方がなかった」とのみ込んだ。
子育て話で盛り上がる同僚の輪から遠ざかた。
息子の思い出が詰まった自宅を引き払った。

中国では「親の老後は子供が見るものだ」という
伝統的な価値観が根強い。幸せなはずの老後が暗転し、
財産を託す子孫もなく家を途絶えさせることは耐え難い。

2人を救ったのが、インターネットのメッセージソフト
だった。2012年、一人っ子を失った「失独家庭」の
知人の紹介で、遼寧省の親同士で交流するグループに
加入。不慣れなキーボードをたたいて思いを伝えると、
仲間が慰めてくれた。「もう孤独じゃない」。
涙が止まらなかった。

仲間との交流で、過去との向き合い方も変わった。
「運が悪かった」と思っていたが、「自分たちは一人っ子
政策の犠牲になった」と考えるようになった。

政府は失独家庭に扶助金を支給しているが、日本円で
毎月1万円前後。近年は不満を持つ親たちが連携し、
各地で政府に補償を求める直訴活動を展開していた。
14年には全国のグループが連絡を取り合い、各地から
300人前後が当局に直訴するため北京に集結。
男性も北京で失独家庭の人々と交流した。
「同じ運命を背負った『共通言語』があった。
初めて会っても、すぐ親しくなれた」

加入当時45人だった遼寧省のグループは350人
余りに増えた。新たな仲間を、男性は夜中まで付き合って

慰める。「ここでは本音が言える。
家族と一緒にいるようで居心地いい」(瀋陽=平賀拓哉)

■中国、規制緩和したけれど

中国共産党は30年余り、中国の人々を縛ってきた一人っ子
政策を廃止した。党指導部にとっては、人口抑制より、
副作用としての経済の減速が現実的な課題になっている。

新年に施行された改正人口・計画出産法は、全夫婦が
2人目の子供を産むことを認めた。育児休暇の延長も
盛り込まれた一方、晩婚の夫婦に特別休暇を与える
などの優遇策は今後、取り消される方向だ。

政府は1月中旬には、一人っ子政策のひずみとして
生まれた、戸籍を持たない人たちの救済も指示した。
さらに、肉体労働者からの反対が強いために及び腰
だった定年(現行は男性で60歳)の引き上げも、
具体策の検討に入った。

これまでの慎重姿勢から一転、「人口を増やす」政策に
かじを切るのは、人口減が経済に与える負の影響が
鮮明に意識されたからだ。国内総生産(GDP)の
成長率は昨年、25年ぶりに7%を割り込んだ。

一人っ子政策は人口の抑え込みに成功する一方で、
高齢化のピッチがどの国よりも早くなる副作用を生んだ。
12年には労働人口が減り始め、製造業を支えてきた
安い労働力が先細りになることが現実となった。

先に人口減少を迎えた隣国・日本では経済の低成長と
社会保障費の負担増が如実だ。まだ成長途上で社会の
セーフティーネットも未整備な中国の場合、
「未富先老(豊かになる前に老いる)」の事態が迫る。

「ふたりっ子」の解禁で、政府は「対象となる夫婦9千万組の
うち3割弱が2人目を産む」とそろばんをはじく。
労働人口は50年時点でこれまでの予測より3千万人強
増え、その間にも育児や教育関連で幅広く需要が増えると
見込む。

ただ、計算には既に狂いが生じている。
今月19日、国家統計局が公表した15年の出生者数が、
人口学者に衝撃を与えた。
1655万人で、前年を32万人も下回ったからだ。

政府は14年、「親の片方が一人っ子ならば2人まで
産める」と一人っ子政策の一部緩和を認めていた。
15年の出生数は1700万〜1800万人まで増えると
見込まれていたが、人々の子供を産む意欲は
大方の予測を下回るものだった。

30年間を超える政策で、都市部の親を中心に
「一人の子を大事に育てる」ライフスタイルが根付いた。
習い事や育児用品に惜しげもなくお金を投じる一方で、
2人目へのハードルはその分、高くなる。

 上海に進出する外資系の育児用品企業の社員は
「都市部で2人目の子供が増えるかは分からない。
新たな工場投資は、この段階ではしにくい」と慎重だ。
世界の懸念を集める中国経済の減速の「特効薬」と
なるには、新政策は遅きに失した可能性もある。
(北京=斎藤徳彦)


この記事によると、区画整理で収用された農地の補償を求め、
最高裁や最高検に陳情を繰り返していた男性が広場で
さらし者にされ、40分にわたり、攻め立てられたということです。

私は、この記事を読み、日本では考えられないようなことが
中国では起こっていると知り、近い国なので、とても怖くなりました。

記事によると、この男性がやっていた行為は何も間違っておらず、
それにもかかわらず、地元に引き戻されさらし者に
させられたそうです。
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コメントです
今日の記事についてですが、中国での
「集団提訴」にものすごく違和感を覚えました。
はたして、そんなことが可能なのか?
関連記事に掲載しましたが、中央政府に
陳情した人たちを、みせしめにさらし者にする
行為が平然と行われている国です。
今回の集団提訴ですが、はたしてそんなに逸脱した
主張をしてただで済むのでしょうか?
裏で中央がプルストリングした、一人っ子政策変換の
ためのパフォーマンス臭が感じられます。


posted by salsaseoul at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国・台湾
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