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2016年01月21日

(世界発2016)エボラ熱、見えぬ終息 WHO、「宣言」何度も撤回

朝日新聞 2016年1月19日

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エボラ出血熱の症状を啓発する壁画。町中にあった同種の看板は、多くが撤去されている
=14日、モンロビア、三浦英之撮影


 西アフリカで大流行したエボラ出血熱が終息しない。
世界保健機関(WHO)は14日、最後の感染国とみられていた
リベリアで「終息宣言」を出したが、翌15日には隣国シエラレオネで
新たに感染が見つかった。
各国の市民には、WHOへの不信と深い疲労感が広がる。

シエラレオネでの新たな感染が発表された15日、リベリアの首都
モンロビアにあるエボラ出血熱の治療施設では、防護服に
身を包んだ医療従事者が、新たな感染者がいつ運び込まれても
いいように勤務を続けた。

リベリアでは前日14日に「終息宣言」が出された。
ただ、これは昨年5月と9月に続く3回目だ。
前2回は、再び感染者が見つかった。
責任者のマイク・タルケ氏(41)は
「完全な封じ込めまで数年かかるかもしれない」と話した。

リベリアの医療態勢はエボラで大きな犠牲を出し、立ち直れないままだ。

多くの医療従事者が感染した。モンロビアで救急搬送を担当する
フォーディ・ガラハ救急隊員(38)もその一人だ。

2014年8月、駆けつけた民家で、抱き上げた男児(当時4)が
防護服の上に激しく吐いた。直後、防護服をしっかり着けられて
いなかったことに気づいた。2日後、激しい頭痛と出血などの
症状が出た。隔離施設に送られ、2週間後に何とか回復した。

「一度感染した人は、社会から『再び感染を広げるのでは
ないか』と見られている」と悲しむ。

 ■装備手薄、医療者200人死亡

同国は感染拡大の前から医療態勢が極めて貧弱で、
人口10万人に対し医師が1人か2人しかいなかった。
現場の装備も貧弱だった。

 医療従事者協会のジョージ・ウィリアムズ事務局長(45)は
「当初は約8割の医療従事者がマスクや手袋なしで治療に
あたった。商店のポリ袋を手袋代わりにして手術に臨んだ
医師や看護師が多くいた」と話す。

同協会によると、所属する約1万人の医療従事者のうち
約200人が死亡。ウィリアムズ氏は「感染した医療従事者が

現場を離れたことに加え、感染患者の治療にあたる特別手当
などが支払われなくなったことで、医療従事者が病院を去り、
感染拡大を阻止できなくなった」という。

一方、街では最初の終息宣言の後、エボラ出血熱の予防対策
などを示す看板のほとんどが取り外された。
飲食店やバス停に置かれていた手洗い用の消毒液も多くが
撤去されている。地元記者アロイシャス・デビッドさん(34)は
「何度も終息宣言が繰り返され、市民は疲れ果てている。
緊張感も途切れた」と危惧する。

市民には、何度も「終息宣言」を出しながら撤回せざるを
得なかったWHOへの不満が募っている。

 (モンロビア=三浦英之)

 ■楽観視、拡大招く

14日のリベリアの「終息宣言」の際、WHOでエボラ出血熱
対策を統括するエイルワード事務局長補は「再発を予期
しており、それらに備えなくてはならない」と述べていた。
一日で、それが現実になった。

翌15日、WHOが出したのは、たった1行のそっけない
声明だけだった。

「WHOはシエラレオネでのエボラ出血熱の事例を確認する」

WHOは楽観的な見通しを示し続け、感染拡大を
食い止められなかった。

西アフリカでエボラ出血熱の流行が公式に確認されたのは
2014年3月。同年4月8日、対策を担当していたフクダ
事務局長補は封じ込めの見通しについて「4カ月」とした。

だが感染の勢いは増し、国際医療NGO「国境なき医師団」は
「制御不能」と警告を出した。フクダ氏の発言からちょうど
4カ月後の8月8日、WHOは「国際的な緊急事態」の宣言に
追い込まれた。

感染症の封じ込めには、感染経路の追跡調査や、住民への
感染防止策の周知が重要だ。しかし流行の初期には、
感染者に不用意に触れたり、葬儀の際に参列者が遺体に
触れたりして感染する事例が多発した。

WHOや地元保健当局は、接触相手の追跡や衛生的な
埋葬の普及に力を入れたが、流行国は貧しい国々で、
資金や人手が足りなかったという。

世界各国や国際機関、援助団体の協力で、15年になって
ようやく感染者数が減ってきた。
だが今も、封じ込めはできていない。

切り札となる治療薬やワクチンも完成していない。背景には、
インフルエンザなどと比べて感染者が少ないために市場規模が
小さく、民間主導で開発が進みにくいという現実がある。あるWHO
幹部は、研究や開発は軍事関連がほとんどだと指摘した。

さらに昨年10月には、新たなリスクが表面化した。
感染後に回復した男性の精液内で、ウイルスが数カ月以上も
残存していたと、医学誌で発表されたのだ。

終息宣言は、最後の感染者の血液からウイルスが消えた後、
もしくは埋葬後に、潜伏期間の目安とされる21日間の2倍、
42日間を経るのが基準とされてきた。この基準が正しいのか、
疑問が浮上している。

人類とエボラ出血熱の闘いは、終わりが見えない。

 (ジュネーブ=松尾一郎)

 ◆キーワード

 <エボラ出血熱> エボラウイルスに感染して起こる。

高熱や頭痛などの後、嘔吐(おうと)や下痢、出血などの
症状が出る。致死率が高い。患者の血液など体液に触れた際、
傷口や粘膜などからウイルスが入って感染する。ワクチンや
治療法は開発途上で確立しておらず、症状を軽くする治療が主だ。

2014年に西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネで感染が
広がり、欧米でも発症が確認された。
WHOによるとこれまでに1万1315人が死亡。
日本で発症者は見つかっていない。



コメントです
エボラ出血熱の話題です。
最近、あまり話題に上がってこないので
収束したと思っていましたが、まだ、ダメ
みたいですね。
啓発の意味合いから、ここで掲載しておきます。


posted by salsaseoul at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | アフリカ
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