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2016年01月07日

(世界発2016)邦人犠牲、フィリピン銃の闇 海外での殺害、7件集中

朝日新聞 2016年1月6日

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フロリオ・ロブルさんの住宅裏にある銃工房。現在はライセンスをとって
修理のみ行っている=セブ島ダナオ市、佐々木学撮影


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ダナオ市内で製造された密造銃。本物と同じブランド名や製造番号が刻印されている


フィリピンで、日本人が殺害される事件が後を絶たない。
外務省によると、2014年に海外で日本人が犠牲となった
殺人事件13件のうち、7件がフィリピンで起きた。
背景には大量の密造銃が出回る現実があり、「殺し屋」の
存在も浮かび上がる。

首都マニラ南部ラスピニャス。街灯が乏しく、人通りの少ない
ダアンハリ通り脇の草むらで昨年9月、山梨県の会社経営者の
男性(42)の遺体が見つかった。右胸など3カ所に被弾。
近くに45口径銃の薬莢(やっきょう)が3個、落ちていた。

警察関係者によると、男性は「新たなビジネスを始めるため」、
頻繁にフィリピンを訪れていた。2014年10月には同行して

いた日本人男性(当時32)が、マニラでバイクに乗った男に
射殺された。警察は二つの事件は関連し、保険金をめぐる
日本人同士のトラブルがあったとみている。

14年5月に日系旅行会社の男性(当時59)が、バイクに乗った男に
路上で射殺される事件があり、日系社会に動揺が広がった。
この年、日本人がフィリピンで殺された事件は7件。
世界全体(13件)の過半数となった。ほかはタイと米国が
各2件、カナダとマダガスカルが1件ずつだ。

フィリピンで犠牲になったのは観光客ではなく、商用で訪れた人や
在住者という特徴がある。マニラの日本大使館も
「商売上のトラブルや怨恨(えんこん)に起因するものが多い」と
分析している。

フィリピン国家警察のビクター・デオナ犯罪捜査・認知班長は、
日本人が殺害される要因として、
(1)フィリピンでは銃が容易に入手できる
(2)「殺し屋」が安く雇える――の2点を挙げた。
治安の悪さでは南米やアフリカの方が深刻だが、
フィリピンは日本から近いため邦人殺害の
「舞台になりやすい」とみる。日本政府観光局などに
よると、フィリピンを訪れる日本人数は約46万人(14年)で、
世界トップ20に入る人気渡航先。
在留者数は約1万8千人(13年)で世界13位だ。

デオナ氏によると、「殺し屋」は多くの場合、「定職がなくて身の
こなしが軽く、バイクが運転でき、標準的な肌の色・体格の男」が
口コミで雇われる。
安ければ1件5千ペソ(約1万3千円)で請け負うという。

フィリピンでは、警察の許可を得れば銃を持つことができる。
登録数は約170万件だが、犯罪に使われる銃の多くは
未登録だ。人口約1億のフィリピンで、未登録銃は50万丁
以上出回っていると言われる。日本では暴力団関係者らが
数万丁を保持しているとの見立てもあるが、規模が違う。

インドネシアやマレーシアなどからの密輸銃のほか、
国内で「密造」もされている。南部ミンダナオ島のイスラム系
武装勢力が政府との「闘争用」に製造しているほか、銃職人が
小さな工房や自宅で密造しておりデオナ氏は「一掃は困難」と話す。

 ■広まらぬ規制運動

国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告によると、フィリピンの
人口10万人あたりの殺人件数(12年)は8・8件。
世界最多のホンジュラス90・4件、2位のベネズエラ53・7件など
中南米やアフリカ諸国と比べると少ない。だが、東南アジア
有数の多さで、米国の4・7件、日本の0・3件(11年)も上回る。
14年の統計では、フィリピンで殺人は1万8268件、
強盗は5万2798件で、ともに日本の約17倍だ。

「毎日、新聞を開くと銃犯罪のニュースばかりでうんざりだ」。
ナンディ・パチェコさん(83)は嘆く。9歳の時、旧日本軍の
侵略を受け、炎天下、捕虜や家族と一緒に長距離を歩かされた
「バターン死の行進」も体験した。戦争を知る世代として長年、
「武器なき社会」を訴え、銃規制を求めてビラを配ったり、
議員に働きかけたりしてきた。

だが、運動は広がらない。フィリピンは戦後、米国社会の
影響を受け、国民に銃を持つ「権利」を与えた。
「身を守るために銃が必要」との意識が広まった。
スーパーの警備員は機関銃を構え、一部のタクシー運転手は
ダッシュボードに護身用拳銃を潜ませる。「まさに悪循環。
戦後の親米政策の負の遺産だ」とパチェコさんは話す。

 (マニラ=佐々木学)

 ■観光の島に密造工房

ダイビングや観光で有名なセブ島。空港から北へ約25キロの
ダナオ市は、古くから銃製造で知られる。

市街地から車で10分ほど。民家の中庭を抜けると、古びたドリルや
万力などの工作機械が並んだ小屋が現れた。
フロリオ・ロブルさん(43)の「銃工房」だ。現在はライセンスを
持つ「修理専門工」となったが、昔は密造をしていた。

20歳の時、学費が払えず工科大学をやめ、近所の
「密造拳銃工房」で働き始めた。
ダナオ市では人口約12万人の2〜3割が銃の製造、

修理、売買など「銃産業」に携わるとされる。

銃問題に取り組むダナオ市長補佐官のダニー・ロブル氏に
よると、職人が密造した銃は市内に20人ほどいる
「仲買人」によって闇市場へ流れる。販売先はマフィアや
警備会社、政治家、「日本のやくざという情報もある」という。

 密造銃に正規銃の製造番号を施し、一部は本物から
複写した証書とセットにして売られる。フロリオさんは
「半月から1カ月あれば本物そっくりの複製を造れる」と
話す。値段は45口径の拳銃1丁で2万ペソほど。
真正品の5分の1程度だ。

ダナオ市は1980年代、銃職人の協同組合をつくり、
銃製造の透明化・合法化を試みた。だが正規の販売
ルートで受注できる量は限られ、2010年 に組合は
解散し、職人の多くが「密造」に戻った。フロリオさんは
足を洗ったが、今でも仲間は山間部などに点在する
「闇工」で密造を続ける。「これといった 産業のない街で、親から
引きついだ技術は貴重な生活の糧。簡単にはやめられない」

 ■日本人の海外での殺人件数

       全体  フィリピン

 2010年 17件 5件

   11年  9件 1件

   12年 14件 5件

   13年 10件 1件

   14年 13件 7件

 (外務省海外邦人援護統計などから)


コメントです
フィリピンでの銃密造に関する話題です。
ここでは掲載されていませんが、ここ十数年で
工作機械の低価格、高性能化、それを動かすパソコンも

やはり低価格、高性能化、そして、さらに追い打ちを
かけるように、今後は3Dプリンターが普及すると
予測されるため、世界中で銃密造環境は製作する側に

とってはさらに快適なものになります。
そして、本家大元の米国では未だに銃規制に関して
反対する声が膨大です。
そうなると、それらの地域に近づかないぐらいしか
保身策はないですね。




posted by salsaseoul at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 東南アジア
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