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2015年11月17日

(時時刻刻)仏、ISと全面対決 国際テロへ、IS戦術転換か

朝日新聞 2015年11月17日
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パリ同時多発テロについて、仏政府は、過激派組織「イスラム国」
(IS)がシリアで計画を立て、戦闘員に実行させたとの見方を固め、
全面対決を決めた。仏捜査当局は国内各地で捜索を実施し、
次々と身柄を拘束。シリアのIS拠点を空爆し、軍事介入を強める
姿勢も鮮明にした。米国主導のIS封じ込めは新たな段階に
入ったバルス仏首相の発言や、フランスやベルギーの捜査からは、
今回のテロ事件をISが組織的に計画自ら指揮した疑いが強まっている。

仏警察は13日夜のテロ事件発生直後から警戒態勢を敷き、
15日夜から16日にかけて、イスラム過激派の拠点を一斉に
捜索。168カ所で23人を拘束し、AK47など自動小銃4丁、
ライフル銃8丁、短銃19丁、防弾チョッキなどを押収した。
殺傷能力の高いロケット砲も見つかった。

1月の仏週刊新聞シャルリー・エブド襲撃事件や、その後に欧州で
起きたテロ事件は、いずれも「一匹おおかみ」型犯行の性格が
色濃い。実行犯は単独か2人のケースが大半で、ISと直接の
関係があるという形跡はなかった。

ISがテロの戦術を変えた背景には、「支配地」での劣勢を
外国でのテロで取り戻そうとする意図が垣間見える。

ISは最近、10月31日に224人が死亡したエジプト東部
シナイ半島でのロシア機墜落、11月12日にレバノンの
首都ベイルート南部での連続爆発で犯行声明を出した。
他にもトルコやサウジアラビアなどで積極的な動きを見せる。

一方で本拠地とするイラクとシリアでは苦戦を強いられている。
イラクでは13日に北部の拠点であるシンジャルが、
クルド人部隊に奪還された。西部アンバル州ラマディでも、
イラク治安部隊が攻勢を強めている。
また、シリア政府軍は10日、ISが2年間占拠を続けてきた
北部アレッポ近郊の空港を解放した。

今回の同時テロが標的としたのは、ISと敵対するフランスの
首都で、世界的に著名な国際都市パリ。そこで、大規模な
テロを「成功」させれば、組織の知名度が格段に上がる。
IS側には過激思想を支持する各国富裕層から寄付金を集め、
戦闘員の志望者を増やしたいとの思惑もあったとみられる。

AP通信によると、イラク政府はパリでテロ事件が起きた前日の
12日、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が
戦闘員に対し、欧米やロシア、イランなど交戦する国に対する

攻撃命令を出したとの情報を覚知。
フランスを含む関係国に通知していたという。

米中央情報局(CIA)のブレナン長官は16日、ワシントンで
講演し、パリでのテロについて「単発の行動ではないと見ている」と
述べ、今後もISが同様のテロを企てる可能性が高いとの
認識を示した。

ISは16日、新しい動画をネット上に投稿した。戦闘員と
みられる男は「十字軍に参加している国々に告ぐ。
フランスの中心地パリを攻撃したように、我々は
必ず米国の中心地ワシントンを攻撃する」と予告した。

 (パリ=神田大介、渡辺淳基)

 ■仏大統領「戦争をしている」

オランド仏大統領は16日午後、上下両院議員を集めた
ベルサイユ宮殿に姿を見せた。テロ犠牲者らに黙祷(もくとう)を
捧げた後に始めた異例の演説を、こう切り出した。
「フランスは戦争をしている」。
そして、シリアでのIS攻撃の強化を表明した。

「同じだけの報いを与える」(バルス首相)として、フランスは
テロのわずか2日後の15日にISが首都と称するシリア北部
ラッカの空爆に踏み切った。「ISによる犯行」と断定していた
オランド大統領は、この日も「ISを撃破する」と力を込めた。

オランド政権が素早く報復攻撃した背景には、最大野党の
右派・共和党(旧民衆運動連合)や、反移民の訴えを強める
右翼政党・国民戦線などによる治安対策の批判をかわす
狙いもあるとみられる。

フランスは、米国が主導する対IS作戦をいち早く支持して
参加した。エジプトにラファール戦闘機のほか、ミストラル級
ヘリコプター空母を売却。カタールにも戦闘機を売るなど、
対IS包囲網を狭めるために軍事的関与を強めてきた。

フランスの軍事作戦への傾斜は、英国にも波及している。
英国は対IS有志連合に同じく加わるが、軍事作戦は原則
イラクに限定してきた。キャメロン政権は2013年8月に
対シリア軍事作戦の承認を議会に求めたが、否決された。
米国につき従い泥沼にはまったイラク戦争の後遺症で、
介入にアレルギーがあった。

しかし、英BBCラジオで16日、シリア空爆の是非を問われた
キャメロン首相は「議会を説得する必要がある」としつつ、
「私は常にそうするのが賢明だと考えてきた」と述べ、
フランスと歩調を合わせる意欲を示した。
(パリ=青田秀樹、梅原季哉)

 ■リビア・マリ… 仏の介入次々

フランスのサルコジ前政権は2011年3月、米英などで
つくる多国籍軍を主導する形で、内戦下にあったリビアに
対して空爆を開始。カダフィ独裁政権の人権侵害を
封じるとの目的を掲げていた。

しかし、フランスの旧植民地であるにもかかわらず、

チュニジアで始まった民主化を支援することが遅れたため、
北アフリカで薄れた自国の存在感を取り戻したいとの焦りから
軍事介入に踏み切ったとの見方もある。カダフィ政権が
倒れたが反体制派だった軍事組織が各地に割拠。IS系組織も
勢力を伸ばし、事実上、無政府状態に陥っている。

オランド大統領は13年1月、イスラム武装勢力が支配した
旧植民地マリの北部への空爆を命令。地上部隊も派遣し、

武装勢力の掃討作戦を展開した。
そして14年9月には米国が主導する有志連合の一角として、
イラクのISの拠点などの空爆に参加した。

また、シリアのアサド政権の打倒を掲げ、反体制派を
支援する一方、ISを掃討する名目で15年9月に
米国などとともに空爆に踏み切った。

 ■空爆8千回、遠い掃討 「憎悪の連鎖」懸念も

「米国の目標は(ISの)封じ込めであり、我々は
封じ込めてきた。彼らはイラクやシリアで、支配域を
拡大してはいない」。オバマ米大統領はパリでの
同時テロが起きる直前、米ABCのインタビューで、
こう語った。

ISはシリアの内戦に乗じて勢力を急速に拡大した。
危機感を抱いたオバマ政権は14年8月にイラク北部で、
翌9月にはシリア領内で空爆に踏み切った。
ただ、地上戦闘部隊は送らず、英仏などと共にISの拠点や
リーダーを狙った空爆に限定した。また、イラクの治安部隊や
シリアの反体制派への訓練や武器供与などの側面支援をしてきた。

しかし、ISの勢力拡大は食い止めているとはいえ、
「掃討」とはほど遠い情勢だ。AP通信によると、米情報機関は
イラク空爆開始から1年後の時点 でIS戦闘員の規模を
2万〜3万人と推計。空爆前から実質的に減っていない。
米軍主体の空爆は既に8千回以上に及ぶが、イラク第2の
都市モスルなど重要拠 点の奪還は見通しが立たない。
シリアで反体制派に行ってきた訓練計画も頓挫している。

そんな中、アサド政権の転覆に慎重なロシアは、ISの拠点
だけでなく、欧米などが支える反体制派に対しても空爆を加えたと
される。地域によっては、ISが再び息を吹き返す可能性もある。

米軍はフランスを含む有志連合の各国と連携し、イラクと
シリア内外でISの組織弱体化を急ぐ。
ただ、軍事介入を強めれば民間人の犠牲者も増え、
過激思想がさらに拡散するおそれがある。
(ワシントン=佐藤武嗣、カイロ=翁長忠雄)




posted by salsaseoul at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州
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