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2015年10月03日

(時時刻刻)VW・米当局、攻防1年超 不正発覚、大学の研究きっかけ

朝日新聞 2015年10月3日

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規制逃れを証明する試験を手がけたウェストバージニア大学の研究チームの一人
9月23日、ロイター



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独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による不正な排ガス規制
逃れの影響が、世界中に広がっている。9月に米環境保護局
(EPA)が問題を明らかにするまで、実は1年以上にわたって、
疑惑を突きつける米当局と否定するVWとの激しい攻防が
あったことがわかった。
米下院は8日、VW幹部を呼んで真相究明のための公聴会を開く。

 ■説明拒否、一転し認める

発覚のきっかけは、米ウェストバージニア大の研究だ。
2012年、研究チームは欧米が拠点の非営利組織
「クリーン輸送のための国際会議」(ICCT)の依頼で、
ディーゼル車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を
測定することになった。
5万ドル(約600万円)の研究委託費がついた。

「VWの規制逃れを暴こうなんて思っていなかった。欧州車が
いかに環境性能に優れているか立証し、普及に一役買おうと
思っていた」。5人のメンバーの一人、
アービンド・ティルベンガダムさんは朝日新聞の取材に振り返る。

13年春、カリフォルニア州で実験を始めた。
実際に道路を走りながら計測する装置を活用した。

結果は想定外だった。VW「ジェッタ」から基準の15〜35倍、
「パサート」から5〜20倍のNOxが出た。
「予想と正反対で驚いた」とティルベ ンガダムさん。
何度やり直しても同じデータが出た。
「達成感より、VWへの失望が強い」。
14年5月、EPAやカリフォルニア州の大気資源委員会
(CARB)などに報告した。

当局は「報告書の精度が高い」と判断。翌6月にVWと
協議を始めた。朝日新聞の取材に、CARB幹部は
「実は11年ごろから、VWに限らず欧州のディーゼル車の
データに疑いを持ち、欧州当局と話し合っていた。
報告書は大いに助けになった」と明かす。

当局側は様々なデータを用意したが、協議は難航した。
大学の調査結果についてVWは説明を拒否し、何があったのか
語ろうとはしなかったという。

このため、CARBもウェストバージニア大の協力を
得ながらVW車のテストを重ねた。そ
してエンジニアたちは「ディーゼルエンジンの
非常におかしな動作」に気づく。

ハンドルを動かさない通常の試験では排ガスを浄化する装置が
作動し、ハンドルを動かしたときは作動しなかった。
違法なソフトが組み込まれていることが明確になった。

今年7月上旬、「おかしな動作」をVWに示した。
それでも「技術者や幹部は私たちが見つけた事実を
認めなかった」(CARB幹部)という。

転機は突然訪れた。8月下旬、カリフォルニア州で開かれた
環境関連の会議の場で、VW側がEPA幹部に内々に
「不正を認める」趣旨を伝えた。

9月3日。10度目ほどになった両者の協議で、VWは正式に
不正を認めた。EPAは9月18日、VWに米国で発売した
約48万2千台のシステムを改修するよう求めたと発表した。
VWの一大スキャンダルが、世界に伝わった。

なぜVWは一転して不正を認めたのか。
CARB幹部は理由を明かさない。
ただ、EPAは「このままでは16年に販売を予定する
ディーゼル車の新モデルに承認を与えない」と伝えていた。
これが決定打になった可能性がある。(ニューヨーク=畑中徹)

 ■8日、幹部呼び公聴会

VWは今年1〜6月のグループ世界販売台数で、トヨタ自動車を
抜きトップに立った。
だが、9月の不正発覚後は様々な代償がのしかかり始めている。

米国で10月1日に発表された9月の新車販売台数は、全体が
前年同月比15・8%増で好調な中、VWは0・6%増と
伸び悩んだ。英証券会社アナリ ストは「欧州の最新の
規制を満たす車そのものに不正はないとされるが、
信用失墜による影響が懸念される。VWの7〜9月期
決算は赤字に転落する可能性がある」とみる。

市場も反応している。VWの株価は、米当局の発表から
1日までに約4割下がった。米当局が最大180億ドル

(約2兆1600億円)の制裁金を科す可能性があり、
不正車の改修費も膨らみそうだからだ。

ドイツ国 内は、名門企業の不祥事に混乱気味だ。
独検察当局は9月28日、最高経営責任者(CEO)だった
マルティン・ウィンターコルン氏(25日に引責辞任)を詐欺
容疑で捜査し始めたと発表。だが、その後に正式な捜査
ではないと修正した。当局の広報担当は10月2日、
朝日新聞の取材に「当初の発表は間違い。捜査対象から
外したわけではないが、容疑者を現時点で特定している
わけでもない」と話した。

VWは、不正ソフトを積んだ可能性があるのは
「世界で約1100万台」と発表した。その後、様々な地域で
対象となる台数が判明している。ディーゼル車が普及する
欧州が中心だが、韓国などアジア地域にも広がっている。

ウィンターコルン氏の後任のマティアス・ミュラーCEOは
今週初め、ドイツの本社で幹部ら約1千人を前に、
創業78年で「最大の試練」と語った。

専門家などは、VWが不正をしたのは、苦戦する米国で
ディーゼル車の排ガス対策費が膨らむのを嫌ったため
などと指摘している。だが、当のVWはいまのところ口を
閉ざしている。8日の米下院公聴会にはVWの米子会社
社長らが出席する予定だ。どう説明するか、注目されている。
(ベルリン=寺西和男)

 ■排出上限、日欧の半分

ディーゼル車への米国の排ガス規制は厳しい。
特に窒素酸化物(NOx)の排出が許される上限量は、
測定方法は異なるものの、日欧の半分ほどだ。

早大理工学術院の大聖(だいしょう)泰弘教授(自動車工学)に
よると、NOxはガソリン車よりディーゼル車の排ガスに多く
含まれるが、米国は原則 同レベルだ。「燃料に関わらず
有害物質の排出は一律に規制する。二重基準を嫌う
国民性が出ている」という。結果、ディーゼル車の基準達成には
強力な浄化装置が必要で、コスト高になりやすい。

一方、欧州や日本は、特性を考慮し、ディーゼル車の基準は
ガソリン車より甘めになっている。


参考
ディーゼル車の排ガス規制

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■環境(かんきょう)や健康を守るため、有害物質の排出量に
上限がある

アウルさん ドイツのフォルクスワーゲン(VW)が破ったと
いう排ガスの規制ってどんなもの?

A ディーゼル車の排ガスには、光化学スモッグや酸性雨につながる
窒素酸化物(NOx)や、大気汚染の原因になる粒子状物質(PM)と
いった有害物質が多く含まれている。地球環境や人の健康に悪い
影響を与えるので、自動車メーカーはこうした物質の排出を
抑えるルールに従う義務があるんだ。

 ア 規制の内容はどうなっているのかな。

 A 国や地域によって違いがあるけれど、主に二つの基準が
あるのは共通している。両方を満たさなければ ならない。
一つは、車が1キロ走る間に出していい有害物質の量の上限。
もう一つは、その排ガスを浄化する機能を維持 できる走行距離だ。
米国の場合、NOxの上限量は1キロあたり0・044グラムで、
その上限を19・2万キロ走っても超えないようにする必要がある。

 ア どう調べるの?

 A テストのための屋内施設があって、装置の上で車を走らせる。
各国の交通事情などに合わせた 走行プログラムに従って、
テストドライバーがアクセルやブレーキを踏む。そうして燃費や、

排ガスからの有害物質を測る。

 ア なんで実際の道路を走らないの?

 A テストを受ける全ての車が同じ条件で走らないとデータの
公平性を保証しにくいからだ。でも、プログラムが国ごとにバラバラで
あることや、実際に走るときのデータとかけ離れているといった
批判もある。

 ア どうするのかな。

 A いま、国連のもとで世界共通の排ガス試験のための
走行プログラムがつくられている。日本は2018年の
排ガス規制の更新時にそれを採用する。
欧州では、道路でのテストを採り入れることも検討している。
(榊原謙)


コメントです
フォルクスワーゲンのディーゼル車の不正問題です。
この不正の発覚、フォルクスワーゲンの環境に
対しての有効性を測定しようと思ったら、逆に
問題のある数値を見つけてしまったようです。
なんとも皮肉な話ですね。
そして、この問題はフォルクスワーゲンの
役員幹部クラスの人を除く「社員さん」
尊厳も深く傷つけてしまったかもしれません。
なぜならば、トップの意向でずっと沈黙しなければ
ならなかったからです。
さて、日本についてですが、社員数名の町工場なら
ともかく、大手企業では絶対にありえないですね。
たくさんの社員の中から、たぶん声を上げる人が
でてくると思います。
(雪印食品の偽装牛肉内部告発・等)

さしずめフォルクスワーゲンのトップクラスは、
大手のやることだから、たとえ不正でも大量数は
スタンダード…… などど判断したのでしょうかね。
The end justifies the means. ウソも方便


posted by salsaseoul at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境
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