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2015年09月11日

(時時刻刻)豪雨の帯、居座る 鬼怒川決壊「あまりにも水量多い」

朝日新聞 2015年9月11日

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国管理の1級河川・鬼怒川で起きた堤防の決壊は、茨城県常総市に
大きな被害をもたらした。台風18号が通過した後なのに、
なぜ記録的な雨が降ったのか。気象庁による警戒の呼びかけや、
自治体の避難指示は住民にどう伝わったのか。

 ■改修予定だった現場

茨城県常総市で堤防が決壊する予兆は、鬼怒川を管理する
国土交通省も把握していた。上流の栃木県で9日から強い雨が
続き、10日午前6時すぎに決壊場所から約5〜25キロ上流の
3カ所で、水が堤防を越えてあふれる「越水」が発生。堤防から
水が漏れる「漏水」も2カ所であった。

決壊場所から約10キロ下流の観測地点の水位は10日
早朝から急上昇。午前7時には5・62メートルと、
いつ氾濫(はんらん)してもおかしくない「氾濫危険水位」
(5・3メートル)を上回り、午後1時すぎには水位が8メートルを
超えた。

国交省は、上流に四つあるダムで東京ドーム70杯分を
超える約9千万立方メートルをため、水量を抑えようとした。
職員がパトロールしようとしたが、増水で昼前には堤防に
近づけない状態になり、午後0時50分に決壊したという。

国交省によると、堤防は高さ3〜4メートル、底辺の
幅約30メートルで、建設時期は不明。一般的に堤防の決壊は、
「越水」による堤防の浸食や、水が堤防にしみこむことで起きる。
国交省幹部は「あまりにも水量が多く堤防が耐えきれなかった」と
話す。
東大の高橋裕名誉教授(河川工学)は「日本の堤防は、
基本的に土の構造物。越水が30分も続けば堤防の土が
削られ、通常は決壊する」と指摘する。応急措置として、堤防に
土嚢(どのう)を積む方法もあるが、今回は川に近づけず
防ぎようがなかったとみる。

当初は20メートルだった決壊の幅は、午後5時時点で
140メートルに。国交省は近くポンプ車15台を派遣し、
浸水地域の排水に取りかかる。

国交省によると、現場付近の鬼怒川は河川法に基づく計画で
、「10年に1度の大雨に耐えるため」(同省)、堤防の
かさ上げや拡幅をする予定だった。だが、工事は20キロ
下流の利根川との合流地点から上流に向かって順番に
進めているため、現場付近では昨年度から用地買収を
始めたばかりだった。改修が必要な堤防のうち整備が
終わったのは44%にとどまっているという。

川の堤防は年に2回、安全性を確認する。現場付近では
8月28日に点検したが、異常はなかったという。

 ■避難指示、遅れた地区も

気象庁は栃木県に10日午前0時20分、茨城県に
午前7時45分に大雨の特別警報を発令した。

特別警報は、数十年に一度の大雨が降った時などに
出され、13年に新設。大雨・台風では6回目。48時間
降水量などを基準に発令する。茨城県では発令基準を
満たしていなかったが、気象庁は栃木県の状況などから
積極的に出したという。

特別警報が発令されると、都道府県は市町村に、市町村は
住民に危険を伝える義務がある。また、特別警報などを
もとに、市町村は独自に判断して避難指示を住民に発令する。

鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市は、県内への
特別警報に先立つ午前2時20分、決壊地点のすぐ上流の
若宮戸地区に避難指示を出した。堤防がなく国が大型の
土嚢(どのう)を積んでいる場所で、国土交通省から未明に
「水があふれそうだ」との連絡を受けての対応だった。
防災無線や消防車両で避難を呼びかけたという。
この地区から避難した農業、谷中保さん(61)は
「防災無線が何回も鳴り、これは危ないと思った。
避難所の場所も教えてくれ、重大性が伝わった」と振り返る。

一方、決壊した下流の三坂町地区への避難指示は
午前10時半だった。市によると、上流で水があふれた
ことへの対応に手間取り、避難指示の発令がこの時刻まで
遅れ、避難勧告や避難準備情報も出していなかったという。
堤防が決壊したのは約2時間半後だった。市の担当者は
「堤防があり、まさかここが切れるとは思わなかった。
決壊は急で、かなり住民が残っていたと思われる」と話す。

決壊地点の東約100メートルに住む会社員中山吉広さん
(40)は午前10時半ごろ、防災無線で避難指示を聞いた
。「荷物をまとめていたが時間が足りなかった。
特別警報が出たときに避難指示を出してくれれば」

 ■流域、台風で湿った空気集中 気象庁「これほどとは」

栃木、茨城両県を中心に記録的な大雨になったのは、
低気圧と台風の位置関係によって、異なる向きから
流れ込む二つの湿った空気が同じ地域で長時間
ぶつかりあったためだ。

気象庁によると、東海―北陸地方を縦断し9日に日本海に
抜けて台風18号から変わった低気圧に向け、南西から
暖かく湿った空気が大量に流れ込んだ。そこに、日本の
東側の太平洋にある台風17号を取り巻く東からの
湿った風が衝突。行き場がなくなった空気が上昇し、
積乱雲を発達させた。

東からの風が、南西からの空気の流れを押しとどめる形に
なったことで、大雨が降る範囲は広がらず、
東西約100〜200キロの幅に収まった。
このことも雨が激しくなった一因だ。積乱雲は南北の帯状に
ずらりと並び鬼怒川の流域とほぼ重なった。

帯状の範囲の中でも茨城、栃木両県で雨が特に
激しかったのは、二つの空気が最も強くぶつかり
あったためとみられる。栃木県北部では湿った空気が山に
ぶつかって上昇し、積乱雲ができやすくなっていた可能性がある。

南西から湿った空気をもたらした低気圧は、日本海で
気圧の谷に差し掛かり北上する速度が遅かった。
このため、雨が降る帯状の範囲もあまり移動せず、長時間
同じ場所で大雨が続く原因になったとみられる。

今回のように台風に関係する空気どうしがぶつかって帯状の
範囲の大雨になるのは珍しいという。気象庁の弟子丸卓也
予報課長は記者会見で「こうした例はあまり記憶がない。
台風17号単独での雨の影響は少ないと考えていたが、
(台風18号から変わった低気圧と)相互作用を起こして
これほどの大雨になるとは(8日の時点では)予想できて
いなかった」と話した。

 (渡辺周)

 ■<考論>情報を得て、早めに行動

 静岡大学防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)
 特別警報はすでに災害が起きたか、起きつつあるという
防災気象情報で、そこまでに何もしていなければ手遅れに
なる情報だと考えるべきだ。今回、気象庁は大雨特別警報を
出して注意を呼びかけ、決壊した鬼怒川で は氾濫(はんらん)
発生情報も出ていた。どこで堤防が切れるかは分からないが、
川の近くは危険な状況だったといえる。ただ、洪水につながる
ような河川の水 位の情報が公表されていることを知らない
住民も多い。住民にどこまで情報が伝わっていたか
現段階では分からないが、自治体が出す避難勧告や
避難指示に加 え、自分がどういう水害の危険性がある
場所に住んでいるのか、洪水ハザードマップで確認し、
その上で水位情報などを得て、早めの避難行動に移れる
ようにしておくことが、被害軽減につながる。


コメントです。
栃木、茨城などの記録的豪雨の話題です。
ここ数年、政府を筆頭に官民あげての
防災対策・啓発活動が盛んになって
いますが、それでも、今回の事例は想定外の
記録的災害となってしまいました。
残念です。
いずれにしても、早期の復旧支援が望まれます。
現時点では、大手損保が現地近くに保険支払いの
窓口を設置したようです。
ですが、これはあくまでも保険加入者に限定
されますので、これから本格的な復旧に向けては、
多くの課題が発生しそうです。
余談ですが、地震災害とくらべて水害は、
「根こそぎ」で固定資産等を奪ってしまうため、

ある意味、情け容赦がないですね。




posted by salsaseoul at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境
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