ついて、厚生労働省の専門家部会は2日、承認を了承した。
再生医療製品という分野を新たに設け、昨年11月に施行された
医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく初めての製品となる。
二つの再生医療製品は今月中にも承認される見通し。
細胞シートは医療機器会社テルモ(東京)が開発し、昨年
10月、国に承認申請した。患者の太ももなどから採取した
筋肉の細胞を培養し、シート状にする。患者の心臓に貼り、
心筋を活性化させて心臓の機能を保つ。
ただし治験の対象となった患者は7人と少なく、5年間に限って
使用を認める条件がついた。重い心不全の治療経験が十分で、
培養施設が整備された病 院で年間30人ほどに使われると
みられる。テルモは5年以内に、この間の使用データを検証
したうえで、改めて厚労省に承認申請する必要がある。
製薬会社JCRファーマ(兵庫)が開発した点滴する液も、
承認が了承された。健康な人の骨髄から採取した細胞が原料。
患者自身ではなく第三者の細胞や組織を使う、初めての再生
医療製品となる。骨髄移植の後、移植された免疫細胞が患者の
臓器や皮膚を攻撃する急性移植片対宿主病(急性GVHD)の
治療に使われる。免疫抑制剤のステロイド剤が効かない患者が
対象で、年に500人ほどの使用が見込まれている。
2製品は今後、中央社会保険医療協議会(中医協)で公的医療
保険が適用されるかも議論される。(田内康介)
■法施行で早期実用化
医薬品医療機器法は再生医療製品を早く実用化することを
目指し、施行された。治験の症例数が少なくても条件つきで
早期承認できる仕組みを導入した。日本はiPS細胞などの
再生医療研究は世界でも進んでいるが、実用化が遅れている。
これまで旧薬事法の もとで承認された製品はバイオ企業
「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(愛知)が手がけた
重症やけど患者向けの「培養表皮」と、けがなどでひざの軟骨を
欠損した患者向けの「培養軟骨」の2製品のみ。
開発から販売開始まで10年以上かかった。欧米や韓国に
比べて販売されている製品が少ないと指摘されていた。
法施行をきっかけに、今後も再生医療製品の承認申請は
相次ぐとみられ、実用化に拍車がかかりそうだ。
現在、申請に向けた治験も、がんや脊髄(せきずい)損傷などの
患者を対象に進んでいる。
細胞シートを移植する臨床研究を進めてきた大阪大の
澤芳樹教授(心臓血管外科)は「今回の製品が起爆剤となり、
日本発の再生医療製品や再生医療が世界に発信され、
貢献することを期待している。限られた施設で実施されてい
た医療だが、一般的な医療として普及してほしい」と話した。
(合田禄、今直也)
コメントです
再生医療製品の初承認の話題です。
承認までの時期も、これまでより
早期を目指すということですから、
承認を心待ちにしている患者に
とっては明報ですね。