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2017年07月23日

ゴールデン街の「欠損女子」バー人気、障害を「隠す」から「見せる」に

AFP 2017年07月21日

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【7月21日 AFPBB News】200店舗以上の飲み屋がひしめく
東京・新宿区の繁華街「新宿ゴールデン街」で、店舗の2階に
続く狭い階段を登ると、白を貴重としたこじんまりとしたバーに
行き着く。客と談笑しながらバーカウンターに立つ琴音さん(24)は、
お酒のグラスを常に左手で運んでいる。彼女には右手がない。

 2015年10月から不定期に開催しているバー「ブッシュドノエル
」は、体の一部が欠損した女性たちがカウンターに立つ
「欠損バー」だ。先天的に手や指がない女性、事故や病気などで
後天的に手や足、目を失った女性ら、現在5人の自称
「欠損女子」がスタッフとして働く。

バーは1時間の完全入れ替え制にもかかわらず、開店の
午後6時から満席状態が続き、途中からは立ち飲み客も
出るほどの人気ぶり。「欠損に興味があった。
セクシーというか」と「欠損フェチ」のくまもんさん(仮名・31)。
毎回来店しているという滝川なつみさん(50)は
「すごく皆さんかわいいと思う。かわいい子とお話しに
来ているだけ」と話す。

「どうやってその義手を動かすの?」という客の素朴な質問に、
琴音さんは肩の動きで能動義手を操作しながら説明し
、「前よりつかむ力が強くなったんですよ」と客の手を
挟んでみせる。最初は「義手」が話題にあがるが、
会話は自然に琴音さんの人柄や日常生活へと流れていく。

■障害を「隠さなくていい場所」

 琴音さんは、開催当初から欠損バーで接客を続けてきた。
店のオーナーの北川玲さんからドリンクの作り方も教わり、
今では片手で器用にカウンター業務をこなす。
「やれることは、彼女たちにもやってもらう。変に特別扱い
したり、私が気を使って全部やることはしない。
そのほうが女の子たちもやりがいがあるみたい」と北川さん。
琴音さんが注ぐグラスがぐらつくと、北川さんが自然に
手を添えてサポートする。

琴音さんが右手を失ったのは、高校1年生のとき。
アルバイト先からの帰宅途中にダンプカーに追突され、
目覚めたときには右手の前腕部を失っていた。
別の病気も併発したことで入院が長引き、高校は
卒業できなかったが、退院後はコールセンターなどの
仕事も経験した。「片手な分、作業が人よりもできないと
思われがちなのが嫌で、すごく努力した」

「欠損バー」を始めたきっかけは、今は廃刊と
なった雑誌「BLACKザ・タブー」の編集長・岡本篤さんが、
琴音さんが事故後も続けていた趣味のコスプレを目にし、
誌面で紹介したこと。読者から熱狂的なファンレターや
メールが届いたため、バーを企画したところ、予想以上の
人が集まった。「最初は成り立つのか疑問に思った」と
琴音さん。スタートから1年半たった今も、客足が絶えない。
「欠損はマイナスに見られがちなのに、ここはどんどん
プラスになっていく場所」だと琴音さんは感じている。
「隠さなくてもいい」という気持ちが彼女をより前向きに
させた。

スタッフで、生まれつき左肘から先の手がなく、3歳から
義手を装着しているぽわんさん(20代)も、
「普通に見えるよう」義手をすることに違和感を覚えて
いたという。「普通じゃないことを否定されているように感じた。
(義手だと)言いたくない人もいるけど、私は言いたい」。
1年半前にニュースで欠損バーの存在を知り、自ら働きたいと
声をかけた。最近では、義手をつけずに
外出することも増えたという。

義眼の「欠損女子」としてスタッフに加わった
大学生リブさん(22)は12歳の頃、窓ガラスに激突し、
右目を失明。去年の5月までは義眼を使用せず、
眼帯や前髪で片目を覆っていた。メイド喫茶で働いたことも
あるが、病気だと誤解されるなど、見た目を理由に
多くの店から断られた。そんな中で出会った欠損バーは
「これからも、い続けたい場所」だという。
「今までコンプレックスだったものが、ここでは『個性』と
思ってもらえる。今までそういう経験がなかったので楽しい」

スタッフ同士は、悩みや喜びを分かち合う仲間にもなった。
「今まで同じ境遇の子と会うことがなかった。知らないことも
知れるし、共感できるから楽しい」とぽわんさん。
プライベートでも一緒に遊びに行くことがあるという。

■「欠損フェチ」から多様な客層へ

訪れる客は様々だ。主催の岡本さんは「最初はフェチが
多かった。傷口を見て、触りたいとか、近くで見たいとか。
でも、彼女たちの努力で、客層が変わっていった。
来ると、ほっこりする空間になった」と話す。

確かに、「欠損バー」というアンダーグラウンドな響きに
似つかず、店内には和やかな雰囲気が漂う。
「お客さんの中でも温かい空気が流れていて、
他のバーにはない」と常連の小川佳祐さん(28)は言う。
小川さん自身も、軟骨無形成症という障害を抱えている。
「僕の場合、同じものを求めて来ているところも少しある。
相手もがんばっているから、僕もがんばろうという気持ちを
得られる」。実際、障害者の常連客も多いという。

■慈善事業ではなく、「普通に」「面白く」働く

 岡本さんは、障害者の働く場所が限られている現状に対し、
欠損バーで新たな風を吹き込みたいと願う。
「もう少し障害者が働くことが普通になって、
似たようなものがでてくれば面白い」

一方で、欠損バーは決して「慈善事業」ではないと念を
押す。琴音さんの腕を見て、岡本さんが思い付いたバーの
「ブッシュドノエル」という名前は、フランス語で「切り株」と
いう意味だ。「この名前もふざけていると思う。
でも、障害者だからって真面目にやる必要はない。
来てみたら、面白いよと」

中にはスタッフに同情する客もいるが、それは彼女たちに
とって本望ではない。「『事故に遭ったんだ、かわいそう』と
言われるのは好きではない。『あ、そういえば手が
ないんだったね』くらいがいい」と琴音さん。

そこには、「障害」という壁を超えた、一対一の
人間関係がある。「一般社会の中で、
1
人の人格がある人として位置づいている。
ごく自然体にやっていて、それを発信できるのがいい」。
普段から障害者に関わっている社会福祉士の
小幡恭弘さんは、バーの魅力をこう語る。

あえて「欠損」を押し出すことで、「障害」が障害で
なくなっていく場所。「こういう境遇の人たちが普通に
楽しく生きているのを、気をはらずに接してほしい」と
ぽわんさん。「事故に遭う前よりも、今の自分のほうが
確実に好き」と琴音さんの目も輝く。欠損バーの明かりは、
絶えない笑い声とともに、遅くまでともり続けている。
(c)AFPBB News/Hiromi Tanoue


コメントです。
欠損バーの話題です。




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posted by salsaseoul at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会