反する不適切な手法で検索結果の表示順位を引き上げた
として、企業サイトやまとめサイトの順位を強制的に下げる
ペナルティーを相次いで科していたことが分かった。
ペナルティーは、多数の上場企業にも広がっている。
朝日新聞は2月、IT・サービスや金融、小売り、教育など
検索を通じて顧客獲得を図る12業種の上場100社
(ホールディングス傘下も含む)にアンケートを実施。
回答した72社のうち23社が最近5年間にグーグルから
ガイドライン違反の通知や警告などを受け、2012年
7月〜16年4月に順位を引き下げるペナルティーを
科されていた。
先月3日には、グーグル日本法人が検索結果の
順位を決めるアルゴリズム(情報処理の手順)の変更を
発表。朝日新聞の取材では、この前後に、旅行や生活の
まとめ情報を提供する人気サイトのうち10件超が順位を
大きく落とすペナルティーを受けていた。
生活に欠かせないツールとなった検索システムの中でも、
グーグルは世界や日本で9割のシェアを握り、全世界での
年間検索数は2兆回超に達する。
検索上位を確保すれば消費者や他の企業の注目を集め、
売り上げ増や顧客獲得に直結するため、サイトを上位に
表示させる「検索エンジン最適化」(SEO)という技術を駆使し、
時に不適切な手法で上位を狙う企業間の競争が激化。
不正確な情報掲載で批判を浴び、閉鎖に追い込まれた
IT大手「DeNA(ディーエヌエー)」の医療サイトのように、
利用者不在の手法も横行している。
ペナルティーを受けた各企業は、他サイトなどの記事を
許可を得ずに転載・コピー
▽他サイトへのリンク数を水増し
▽外部筆者に依頼して記事量を水増し
などの手法で検索順位を上げたため、グーグルに
ガイドライン違反と判断されたとみられる。
一方で、グーグルは「ユーザーの利便性向上」を
理由に、サイト内容の充実などで検索順位を上げる
技術開発は認めているものの、アルゴリズムの内容を
公表せず、ペナルティーの存在を認めていない。
ガイドライン違反判断基準も詳細を明らかにしていない。
このため企業側からは「ペナルティーの基準や仕組みが
分かりにくい」(金融会社)として、ルールの透明化を
求める声も出ている。
グーグル日本法人は、朝日新聞の取材に対し
「コンテンツ開発者の皆様には『ユーザーにとって
有益であること』を第一に開発されることを強く
お薦めします」と回答した。(中川竜児、村上英樹)
ネット上の倫理問題に詳しい吉備国際大学アニメーション
文化学部の大谷卓史(たくし)准教授
(情報倫理学・科学技術史)の話
私たちは日常生活や仕事など様々な場面で「検索」を
利用する。それは意思決定の場面ということができるが、
検索エンジンのアルゴリズムがどういうものかということ
には、ほとんど注意を払わない。
ユーザーが、検索結果に偏りがあるかもしれないことを
知らないまま、検索エンジンが決めた情報表示に従って
物事を考えたり行動したりしているとすれば、だまされて
いると感じる人もいるだろう。だから、アルゴリズムを
公表しろという意見には納得ができる面もある。
アルゴリズムの変更とSEO手法の改良はこれまで、
いたちごっこのように繰り返されてきた。
仮にアルゴリズムを公開しても、それを解読し、ユーザーを
無視して順位を上昇させるためだけの収益のみを重視する
SEOはより容易になり、正確な情報や責任ある意見が
上位に表示されるとは限らない。
ただ、どのような情報や意見が私たちに届くのかは、
広い意味での「表現・言論の自由」に関わる問題だ。
不適切なSEOが行われているからといって、立法府や
政府がアルゴリズムに法的規制を加えてコントロール
するのは、公権力が表現・言論の自由を間接的に制約する
ことになり、望ましくない。SEO技術を日々向上させている
業者の動きにも、すぐには対応できないだろう。
より良いネット環境を作り上げていくためには、政府や
業界団体、マスメディアなどが、ネットの検索結果は
アルゴリズムやSEO対策の結果で、バイアスが
かかっているものだと啓発をしていくべきだ。
ユーザーも、例えば「ネット上のこの情報は何か
変だぞ」と考えたり、実際に偽情報や有害な情報に
気づいた時には声を上げたりすることが大切だ。
インターネット広告大手「アイレップ」SEM総合研究所の
渡辺隆広所長の話
グーグルのアルゴリズムは非公開なので、どんなサイトが
上位に表示されるのか、その基準の内容については、
日々研究が進められている。
SEO(検索エンジン最適化)とは本来、検索画面で
表示されるサイトの順位を上げてユーザーの利便性に
応えるとともに自社サイトに誘導し収益に結びつけるものだ。
グーグルも適正な検索市場という信用を得ることで、
検索数が増え、広告収入につながる。いわばユーザー、
サイト運営者、グーグルの3者それぞれにメリットがあるものだ。
キュレーション(まとめ)サイトをめぐる最近の問題は、
サイトがユーザーの利便性に応えるものかどうかを
見極める検索システムの限界を示していたといえる。
機械が作成した意味をなさない文章と、人間が書いたと
思われる文章の違いを見分けることはできても、
正確さや信用性までは分からない。
検索エンジンにいかに評価されるかという点を見極め、
転用やリライトによって記事を作成することで、グーグルの
アルゴリズムをある意味、うまく「利用」していたともいえる。
グーグルが先月3日に発表したアルゴリズムの変更は、
低質なサイトを排除する狙いがあるのは明確だろう。
もちろん、まとめサイトのすべてが悪いということではない。
排除の対象はあくまで低質なサイトであり、グーグルが
掲げるユーザーの利便性に応えるものなら、まとめサイトで
あってもやめる必要はない。それは例えば、自動車事故が
毎日のように起きているからといって
「自動車は邪悪な存在で、禁止すべきだ」ということに
ならないことと同様だ。
今回のキュレーションサイトによる問題が示した教訓を
踏まえて、グーグルの意図を正確に理解し、ユーザーの
利便性にかなうという原点を再確認したうえで、SEOを
実行することが重要だ。
同時にユーザー一人ひとりにも、その情報が専門家に
よるものなのか、どの企業・団体が運営している
サイトなのか、その都度確認するリテラシーの向上が
求められている。
コメントです。
日々使いなれたパソコンと検索エンジン。
情報操作が行われていることはほとんどの
ユーザーが熟知していると思います。
それでも使用にりのは、ほどほどに
便利だからですが、やはりフリーの情報。
それほど精度が高いわけではなさそうです。