【7月5日 AFP】マウスの脳の快楽中枢を人工的に刺激すると
免疫力が高まるとの研究論文が4日、英医学誌
「ネイチャー・メディスン(」に発表された。プラセボ(偽薬)の
効力を説明する一助となる可能性のある結果だという。
論文の主執筆者で、テクニオン・イスラエル工科大学医学部の
アスヤ・ロールズ助教は「好ましい期待に関連する脳の部位を
活性化させることが、病気に立ち向かう体の働きに影響を及ぼす
可能性があることを、今回の結果は示している」と話す。
今回の研究成果が「病気を治すために脳の潜在能力を利用する
新薬の開発につながる日が来るかもしれない」と、
ロールズ助教は述べた。
有効成分を一切含まない偽薬であっても本物の薬だと信じて
服用すると、人間の脳の快楽をつかさどる報酬系を活性化
できることは以前から知られていた。
ロールズ助教は、AFPの取材に「だが、これが肉体の健康に影響を
及ぼす可能性があるかどうかは不明だった」と語った。
また、実際に免疫反応が強化されるとしても、その場合に
免疫信号が体中に伝わる正確な仕組みも科学的に
解明されていなかった。
ロールズ助教と研究チームは、マウスの脳の報酬中枢にある
特定の細胞を刺激した後、そのマウスから採取した免疫細胞を
致死性の大腸菌にさらして培養した。
論文によると、これらの免疫細胞は、細菌を殺傷する効力が
通常の免疫細胞の2倍以上高かったという。
研究チームは次の実験で、これと同じ免疫細胞を
別の複数のマウスに接種した。
30日後、この新たなマウス群も同様に、感染症の撃退に
成功する確率が通常の2倍以上高かった。