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2016年07月01日

対欧州、主要国の誤算 英EU離脱

朝日新聞 2016年6月26日

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ロンドンで25日、英国民投票でEU離脱が決まってから一夜明けてもなお、
デモをする残留派の人たち=AP

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国が欧州連合(EU)からの離脱を選んだ影響は今後、外交、経済、
安全保障など多方面に及んでくる。英国や、「英国抜き」のEUと
の間合いをこれからどうとるべきか――。
米国、中国、ロシアなど主要国は情勢を見極めようとしている。

 ■米 「特別な関係」ほころび懸念

「米英の『特別な関係』は不変だ」。英国のEU離脱が決まったことを
受け、オバマ米大統領や政権幹部らは24日、同じ言葉を繰り返した。
「特別な 関係」とは、70年以上にわたる強固な同盟を指す。
オバマ氏は英国、EUそれぞれとの関係や北大西洋条約機構
(NATO)の重要性は変わらないことも強調 した。

オバマ氏は同日、キャメロン英首相と電話会談し、経済や金融の
安定に努めることで一致。オバマ氏は会談後「英国が混乱なく
離脱への移行作業に取り組むと確信している」と述べた。

オバマ氏は4月の訪英時には「英国の影響力はEUによって
高められている」「欧州が分断し始めるとNATOを弱める。
我々の集団安全保障に影響を与える」と離脱のマイナス面を
明言していた。離脱決定を受けて、反対にその懸念の払拭
(ふっしょく)に動いている形だ。

米国は、EUと環大西洋貿易投資協定(TTIP)の妥結を目指す
最中にある。英国と別に貿易協定を交渉する優先順位は低い。

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」の
サラ・ビーデンボー研究員は「離脱は『特別な関係』の終わりを
意味しないが、確実に影響があ る。特にこの貿易領域だ」と
指摘。安全保障面でも「英国のEU離脱とNATOは別だが、
NATO内の欧州各国間の結束の欠如は諸問題の取り組みを
難しくす るだろう。離脱による足並みの乱れは、
(ウクライナ問題などで緊張関係にある)ロシアを利する」と話した。

米国の対EU外交について、米ブルッキングス研究所の
コンスタンツェ・ステルゼンミューラー上級研究員は
「EU内にある英国との『特別な関係』の おかげで、
米国はEUに影響力を及ぼす足掛かりを持てた」と指摘。
「EUは戦略上、非常に重要。英国のEUへの影響力が落ちれば、
米国はドイツとの関係を 深めようとするだろう」と、
「特別な関係」にほころびが生じる可能性に触れた。

 (ワシントン=杉山正)

 ■ロシア 石油・ガスの下落を警戒

ロシアのプーチン大統領は24日、訪問先のウズベキスタンで、
英国のEU離脱でロシア経済が打撃を受けることへの
懸念を示した。

プーチン氏は、キャメロン英首相が国民投票を前に、EU離脱は
ロシアを喜ばせるだろうと述べたことを「何の根拠もない」と
批判。「今回の決定が 我々の経済に与える悪影響を
最小限にとどめたい」と述べ、主力輸出品である
石油・ガスの価格が下落することへの警戒感を表明した。

ペスコフ大統領報道官も「EUはロシアにとって最も重要な
貿易経済のパートナーだ。繁栄し、安定し、予見可能な
EUを望んでいる」と述べた。

プーチン氏は、17日にサンクトペテルブルクで行った演説で、
ウクライナ問題で対ロ制裁を科しているEUとの関係改善への
意欲を表明したばかり。 ロシアなど旧ソ連の5カ国でつくる
ユーラシア経済連合と中国との経済連携を進め、
さらにEUとの協力を拡大する「大ユーラシア圏」構想も
披露していた。英 国のEU離脱は、こうした将来像に冷水を浴びせた。

今後、ロシアがEUの不安定化を見据え、中国を中心とする
アジア太平洋地域との経済連携の拡大を目指す傾向を
強める可能性が高い。日本との経済協力への期待も
強まるとみられる。

その一方で、プーチン氏は「だれも外国の国民を養いたいと
は思わない。多数の移民流入をもたらした安全保障面の
決定への不満もあった。人々は独立していたいと考えたのだ」と
指摘し、英国の投票結果を「理解できる」と評した。

国家主権を絶対視し、他国からの干渉を警戒・敵視する
国家観に改めて自信を深め、国際社会で欧米との対立を
いとわない姿勢に変化はないとみられる。

ロシア国内では、EUから離脱した英国が米国に接近し、
米国が主導するNATOの内部でロシアに批判的な両国の
発言力が強まることを警戒する声も出ている。

 (駒木明義)

 ■中国 経済外交、ゆらぐ足がかり

中国にとってEUは最大の貿易相手であり、地理的な
要因から安全保障面での対立も少ない。東シナ海や
南シナ海、人権問題などで摩擦を抱える対米、
対日関係とは異なり、中国は経済中心の実務的協力を
進められる欧州との関係を特に重視してきた。
それだけに、英国のEU離脱による混乱への懸念が広がっている。

中国外務省の華春瑩副報道局長は24日の会見で
「英国民の選択を尊重する」としながらも、「欧州の統合を支持し、
欧州が国際問題で積極的な役割を果たすことを希望する」とも
述べ、複雑な心境をにじませた。

中国は欧州の金融センターの英国を、巨大な欧州市場への
「足掛かり」として重視してきた。中国との経済協力で
経済立て直しを図ろうとしたキャメロ ン政権も、人権問題への
批判を抑えるなど対中関係を重視。昨秋、訪英した
習近平(シーチンピン)国家主席を異例の厚遇でもてなし、
習氏は「利益を共有する 共同体になりつつある」と蜜月ぶりを

強調した。

だが、EUから離れる英国に今後も期待をできるのか、

中国側は慎重に見極めようとしている。中国人民銀行の
周小川総裁は24日、米ワシントンでの 討論会で
「事態を注視し、各国の中央銀行と共に金融市場の
安定を保証する」と発言。市場が予想外の動揺を
見せた場合は、各国との協調介入に踏み切ってでも
抑え込む姿勢を強調した。

対欧州の経済外交の再考も迫られる。設立を主導した
アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、英国の参加で
欧州主要国が雪崩を打って加わった。今後も、
貿易投資協定や世界貿易機関(WTO)での
地位向上といった課題で、英国を通じて欧州全体を

動かすことを考えていた。

ただ、事態の衝撃を和らげるために、英国もEUも
中国の経済力に頼る必要性は増す。中国国内では
「交渉力が強くなり、経済への影響は悪いことばかり
ではない」(大手証券)との見方もある。

 (北京=斎藤徳彦、西村大輔)

コメントです
英国のEU離脱についての話題です。
今後も、数多くの混乱が発生すると予測されます。


posted by salsaseoul at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 英国