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2016年06月30日

(離脱の衝撃)EU連帯、瀬戸際 英へいらだち「離婚手続き」急ぐ

朝日新聞 2016年6月26日

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 欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国に、EUが一刻も早い
「離婚」を申し入れている。早く手続きを進めないと、残された
加盟国にも騒動が広がりかねないためだ。
各国の連帯は瀬戸際に立っている。

 ■懐疑論やドミノ離脱、警戒

 「離婚の手続きについて協議する」

英国のEU離脱が決まった24日。EUの大統領に相当する
トゥスク常任議長から加盟28カ国へ送られた首脳会議の
案内状には、そう記されていた。

英国はEU域内でドイツに次ぐ経済大国。世界中に英連邦の
加盟国があり、国際的な発言力も大きい。その離脱が
EUに与える影響は計りしれない。

EU側は一刻も早く、英国との離脱協定の交渉を始めたいと
考える。ぐずぐずしていれば、域内各国で支持を広げる
EU懐疑派が勢いづき、「ドミノ離脱」が起きるとの懸念がある。
難民問題など対応しなければならない課題も山積みだ。

「EUは今まで通りではいけない」(オランド仏大統領)との
危機感もある。

だが離脱手続きの開始は、EUの基本条約「リスボン条約」

50条に基づき、英国による加盟国への通知が条件だ。

 辞意を表明したキャメロン英首相は、離脱通知や交渉は
後任に任せるとしている。辞任時期について「党大会がある
10月をめど」との見通しを示した。

交渉入りの時期についてすらぎくしゃくする関係にEU側の不満も募る。

ユンケル欧州委員長(首相に相当)は24日、独公共放送の
インタビューにこぼした。「(EU本部がある)ブリュッセルに
離縁状を送るのに、なぜ10月までかかるのか分からない。
すぐ始めたい」

さらに皮肉さえ口にした。「EUと英国は円満な離婚ではないが、
親密な恋愛関係でもなかった」

トゥスク常任議長は28、29日のEU首脳会議で、まずキャメロン氏に
英国の状況について説明を求め、2日目は英国抜きの27カ国で
話し合いをする方針を明らかにした。

英国への冷ややかな空気の中、「欧州の盟主」ドイツの

シュタインマイヤー外相は24日、独テレビのインタビューで
「(英国民の)決断を受け入れなければならない。報復を求めては
ならない」と訴えた。(ブリュッセル=吉田美智子、青田秀樹)

 ■原加盟6カ国、統合原点訴え 戦乱後、再興の誓い…難民巡り溝

25日朝、ベルリンの北西部にある政府迎賓館前に6カ国の
外相が国旗を背に居並んだ。EUの「原加盟6カ国」の外相たちだ。

フランスのエロー外相は記者会見で「我々は、EU創設の父たちが
始めたことを続けていく」と訴えた。

この6カ国は、1952年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を
設立した国々だ。統合は、戦乱と経済荒廃で疲弊した欧州の
再興を誓ったのが原点だ。

この日の会談は、英国の離脱決定後も、残る27カ国がその原点に
立ち返ろうと訴えるのが目的だった。

この6カ国の外相だけで集まるのは、実は異例だ。この前に
集まったのは今年2月。キャメロン英首相が、EU離脱を問う
国民投票の実施を前提に、EUのこれ以上の政治統合に
加わらないことを認めるよう求めていた時だった。

「原加盟国」が集まるのは、EUが人権や共生といった出発の
理念さえ共有できなくなっている現状を映している。ECSCから
始まった欧州統合は、 2013年にクロアチアが28番目の
EU加盟国となるまで拡大と深化を続けてきた。その政治統合の
流れが逆回転を始めたのは、昨年の難民危機がきっかけだ。

04年加盟のハンガリーが首脳会議で決まった難民の受け入れ
分担を拒否し、他の東欧諸国も同調した。

一方で債務危機にあたって緊縮策をのまされたギリシャは
難民受け入れの公平な分担を求めた。

ハンガリーやポーランドの右派政権は、加盟国がより強い権限を
持てることを望む。政治統合より経済的な恩恵を重視しているのは
明らかだ。

こうした国々は、英国の離脱が決まった今、「偽善的で凝り
固まった信条を追求し、問題を解決できていない」
(ハンガリーのシーヤールトー外相)と、EU首脳を批判する。

原加盟6カ国の外相らは、28、29日のEU首脳会議から、
今後の欧州統合のあり方について全加盟国での協議を始めたいと
している。ただ、ポーラ ンドのワシチコフスキ外相は、これまでの
政治統合を「仏独モデル」と呼び、「これ以上統合が推し
進められれば惨劇が起きる」と述べた。前途は多難だ。
(ベ ルリン=喜田尚)

 ■英交渉、貿易・移動の自由焦点

英国とEUの今後の交渉で、重要分野の一つが経済関係だ。
今までは、貿易に関税がかからず手続きも簡素化されてきた。
離脱なら、新しい貿易関係を結ばなければならない。

離脱が決まった24日、「経済の安定を維持し、業界の利益を
守る取引をEUと結ばなければならない」(英自動車工業会の
マイク・ホウズ最高経営責任者)など、経済界からは影響を
なるべく抑えるよう求める声が相次いだ。

EU非加盟国がEUと結んでいる関係には、いくつかのモデルが
ある。ノルウェーのようにEU非加盟ながら、EU各国が参加する
欧州経済領域(EEA)に加盟すれば、農作物など一部を除いた
物品やサービスの輸出入は原則自由だ。

一方スイスは、EEAには非加盟だが、一部を除く物品を
自由に輸出入できる欧州自由貿易連合(EFTA)に入り、
EU側と個別協定を結んでいる。ただ、金融サービスの取引は

制限されている。

交渉の障害になりそうなのは、EUが掲げる「人の移動の自由」だ。
英国の離脱派は移民流入の制限を求めている。ノルウェーや
スイスは、「人の移動の自由」を受け入れている。
英国がEEAなどに加盟すれば離脱派の不満が出そうだ。

このため、EUと経済取引に絞った自由貿易協定(FTA)を
結んだカナダにならうことも考えられる。ただ、この場合は
交渉が10年単位に及ぶかもしれない。

2年と定められた離脱交渉の期間に協定が結べないと、
最低限の取り決めを定めた世界貿易機関(WTO)のルールが
適用される。この場合、EUとの貿易にかかる関税が大幅に
引き上がる可能性があり、影響は大きい。
(ロンドン=寺西和男)


コメントです
英国のEU離脱についての話題です。
今後も、数多くの混乱が発生すると予測されます。


posted by salsaseoul at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 英国