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2016年06月05日

電子マネーが中国席巻 取引額150兆円、日本の30倍

朝日新聞 2016年6月4日

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 中国に驚異的な速さで、本格的な電子マネー時代が訪れつつある。
ネット通販から始まったIT大手の決済サービスは実店舗へも広がり、
取引額は日本の数十倍とみられる。中国の既存金融機関の
不便さもあり、金融とITを融合した新サービス「フィンテック」の
優位性が際立っている。

「財布の中身は気にするな、スマホの電池が足りてりゃ良い」。
浙江省・杭州。ネット通販最大手、アリババグループが本社を
置くこの街に、こんな言い回しが生まれている。市内の隅々まで、
電子マネー「支付宝(アリペイ)」を使える仕組みが行き渡り、
スマートフォンさえあれば支払いが済むからだ。
飲食店では一人が代表してスマホで支払い、その後全員が
やはりスマホで代金をやり取りすれば、現金を介さずに
「割り勘」にできる。

アリペイは2003年、アリババが始めた決済サービスだ。
当初は始まったばかりのネット通販を補助する仕組みだった。
「お金を支払ったのに業者が商品を送らない」といった問題を
解決するため、アリババが間に入ってお金を電子マネーの形で
預かり、商品の受け渡しを待ってお金を動かすようにした。

アリババ以外のネット通販にも使われるようになり、アリペイの
口座数も急増。09年からは携帯電話からの支払いも

できるようになり、口座数は4億5千万を超える。
アリペイ運営会社は未上場だが、企業価値は600億ドル
(約6・5兆円)と、中国の大手国有銀行に並ぶとみられている。

最近は、ネット通販から実店舗へも活用が広がっている。
大手スーパーやコンビニではレジに専用のスキャナーを備え、
利用客のスマホから支払い情報を読み取る。小さい商店や
屋台でも、2次元バーコードを印刷した紙を置いておけば、
客がそれをスマホで読み取ることで支払いができる。
アリペイ運営会社の朱以師・広報担当役員は
「自分もここ半年、現金を使っていないよ。間もなく北京や
上海も同じ状況になる」。

13年にはこの市場に、アリババ最大のライバルとされる
ネット大手、テンセントも参入した。利用者数が約7億人に
達する通話アプリで、日本の「LINE」と似た仕組みの
「微信(ウィーチャット)」に、支払い機能も持たせた。
微信を使って友人に「紅包(お小遣い)」を配ることができる
仕組みが爆発的にヒットし、アリペイを追い上げている。

急速な普及の背景には、既存の銀行や現金への根強い
不信感がある。銀行窓口ではしばしば長時間待たされる。
現金は、紙幣の最高額が100元(約 1650円)と低く使い
勝手が悪いうえ、銀行のATMで偽札をつかまされることも
珍しくない。アリペイや微信は、個人間のお金のやり取りに
手数料がかからない便利さや、スマホの指紋認証などにも
いち早く対応する技術力で、既存の金融機関を置き去りにしている。

3年前からは電子マネー口座から直接、金融商品に投資して
利息が得られる仕組みが登場。銀行預金と同じように、
電子マネー口座にまとまったお金を預けておく習慣も定着した。

調査会社の比達咨詢によると、15年の中国のモバイル決済
(クレジットカードを除く)の取引額は約9・3兆元(約153兆円)。
日本の電子マネー市場は5兆円規模とされ、実に30倍だ。
アリペイがシェアの7割強、テンセントのサービスが2割弱を
占めて2社でほぼ独占する。

今年2月、米アップルは、同社の人気スマホ「iPhone」で
支払いができる「アップルペイ」のサービスを中国で開始。
「黒船襲来」と騒がれたが、「中国市場の構図は固まっており、
新しいサービスの浸透には時間がかかる」
(調査会社の易観智庫)との見方も根強い。

配車サービスの「ウーバー」は5月から、世界中どこでも
アリペイを支払いに使えるようにして、中国人客の取り込みを
狙う。日本でも、訪日中国人客の多い店でアリペイを導入する店が
増える。「フィンテック先進国」として国外市場への進出も
始まっている。(北京=斎藤徳彦)


コメントです

中国内で、現金(紙幣)の信用度はすごく低いです。
そのことが根本にあるうえで、
スマートフォンの普及、
消費の味を覚えた、
経済成長、 などが重なって
急速な電子マネーの普及につながったのでしょう。
ただし、いうまでもなく電子マネーは痛払感が少ないです。
間違いなく国民の貯蓄率は下がります



posted by salsaseoul at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国・台湾

(難民 世界と私たち)日本留学、シリアにともす灯 「150人受け入れ」現地の若者は

朝日新聞 2016年5月25日

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主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、政府は
内戦が続くシリアの難民らを留学生として、来年からの5年間で
最大150人を受け入れると発表した。日本が中東の難民を
政策的に受け入れるのは初めて。期待に胸を膨らませる
現地の若者らの思いを聞き、課題を探った。

「日本留学のチャンスが増えるのは、とてもうれしい。
留学生に選ばれれば必ず日本に行きます」

アレッポ大3年のアフマド・アスレさん(24)は19日、
電話取材に声を弾ませて日本語で答えた。

「シリア内戦の最激戦地」と呼ばれる北部アレッポの中心部に
住む。政権軍と反体制派の戦闘地域は自宅からわずか
数キロ先だ。
この日、日本政府によるシリア人留学生受け入れ
拡充をフェイスブックで知った。日本に留学中のシリア人の
学生が新聞記事をアラビア語に訳してくれた。

生活は過酷だ。4月下旬にはアレッポ大の卒業生で、一緒に
日本語を学んだ友人女性が迫撃砲弾の直撃を受けて死亡した。

アスレさんの自宅はスナイパーの狙撃を避けるため、
全ての窓に灰色のシートを張っている。砲撃がひどい時は
地下室に避難する。電気を使えるのは1日数時間。
食品やガソリンは値上がりする一方だ。

でもいつかは内戦が終わると信じ、家族とともに耐えてきた。
「世界遺産も市場も住宅地も破壊された。戦争が終わった後、
街を元通りにするには高度な技術を持つ日本の助けが必要。
私は懸け橋になりたい」

シリア最大の国立総合大学のダマスカス大学には2002年、
シリア初の日本語専攻学科ができた。だが、内戦で日本人
教師が国外に退避。教員不足で、14年秋から募集を停止した。

宮崎駿監督に憧れる2年生のガザル・バラカートさん(20)は
日本語学科に入れず、考古学科で学ぶ。今年2月の「停戦」
発効で状況が落ち着くまで、迫撃砲弾の着弾におびえながら
通学した。初歩的な日本語を話せる先輩から日本語を学び、
日本留学の機会を探る。発表は朗報だが、
どこに問い合わせればいいか分からない。

日本政府は12年3月、在シリア日本大使館を閉鎖した。
「日本に憧れるすべてのシリア人の若者に平等にチャンスを
与えてほしい」

トルコ・イスタンブールのシリア難民向けの小学校教師
イヤード・ダムラヒさん(32)はアレッポ出身。内戦前の
10年4月から日本で日本語学校に通い、大学進学を
目指した。ところが翌年3月、東日本大震災が発生。
両親に戻るよう説得され、アレッポに戻ったが、内戦で
国外に逃れた。

日本の大学で日本の教育を学びたい。
「礼節や、皆で掃除をしたり、給食の配膳をしたりする
相互協力は、とてもユニーク。深く学びたいと思った。
募集人数を増やしてほしい」

 (イスタンブール=春日芳晃)

 ■支援者「新たな一歩」

留学生受け入れを埼玉県に住むシリア難民の
ジャマールさん(24)は「素晴らしいニュースだ」と喜ぶ。
空爆で家が壊され、ダマスカス大の学生だった13年に
母国を脱出。親類を頼って母、妹と来日し、昨年3月に
日本が初めて難民と認めたシリア人の一人になった。
日本語を学び、東京の大学進学を目指す。
「最も大切なのは最初の半年間に日本語をきちんと
教えること。日本社会になじみ、働くチャンスもできる」

日本はこれまで紛争から逃れた人を難民とは認めていない。
11〜15年に難民申請をしたシリア人65人で認められたのは6人。

留学生受け入れを政府に提言した学生グループ「P782」
メンバーで東工大4 年の富重博之さん(24)は
「難民が孤立しないよう社会のサポートも重要」と話す。
NPO難民支援協会(東京)は「難民を『難民』として受け入れる
方針が 示されなかったのは残念だが、人道危機に対する
責任の分担への新たな一歩を踏み出そうとしていることを
歓迎する」とした。

 (伊東和貴)

 ■受け入れ態勢や選考、課題

日本政府は留学生受け入れの態勢作りを始めた。
政府関係者によると、留学生に配偶者や子がいる場合、
同伴できるよう検討中だ。

課題も多い。留学生の選考はレバノンやヨルダンで
難民登録に携わる国連難民高等弁務官事務所
(UNHCR)の協力を想定するが、シリア難民の
最大受け入れ国のトルコは政府が独自に難民登録しており、
UNHCRが選考できるか不透明だ。対象はシリアに
とどまっている国内避難民も含むが、選考方法は未定。
同伴家族の滞在資格をどうするかも詰める。

 今回の取り組みは、本格的な難民受け入れに
つながるのか。外務省幹部は「今後は未定だが、
これで終わりだと考えているわけではない」。

欧州では、無制限な流入を抑えようとする動きが進む。
UNHCRは難民の受け皿として、難民認定による保護に
加え、大学に通う間の奨学金とビザの支給、病気やけがを
した難民に医療を提供する間の滞在許可、条約上の
難民と認められない人などに一時滞在を認める
「人道ビザ」の発行などを呼びかける。人道ビザは
ブラジルが8450人、スイスが4700人のシリア人に
それぞれ発行した。

周辺国に逃れた難民を第三国が受け入れる「第三国定住」の
拡充も訴える。4月までに各国が計約16万人分の受け入れを
表明。カナダや米国のように数万人規模を受け入れる国もある。

 (武田肇、鈴木暁子)


 ■シリア難民受け入れの枠組み

◇国際協力機構(JICA)の技術協力制度

20人/年→政府の途上国援助(ODA)を活用

◇国費外国人留学生制度

10人/年→文部科学省が実施

 (2017年から5年間で最大150人を受け入れ予定。
留学生として日本各地の大学で学ぶ)

その他の国際面掲載記事


コメントです
日本政府が難民受け入れに対して消極的なのは
既知ですが、留学生名目で一部緩和している
感じはうけますね。
これも時代の流れでしょうか。


posted by salsaseoul at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・政治 経済

LINE上も「賭博場」? 賭け事募集、司法の判断は

朝日新聞 2016年6月3日

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 無料通信アプリ「LINE(ライン)」で賭け事の参加者を
募るのは違法な「賭博場の開帳」にあたるか――。
明治時代にできた刑法の処罰対象の解釈をめぐり、

検察と弁護側が対決する野球賭博事件の裁判が
16日にも大阪地裁で始まる。
ラインは賭博場なの?

この事件は、大阪府藤井寺市の
建設業ダルビッシュ翔被告(27)がラインを使い、
野球賭博の胴元となって昨年4〜10月に友人ら
数十人から969回、総額1億円余りの賭け金を集めたとして
刑法の賭博開帳図利(とり)罪に問われたもの。プロ野球や
米大リーグの試合結果を予想させ、1口1万円を募ったとされる。
被告が大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ有投手の
弟だったことでも注目を集めた。

被告は10月末に大阪府警に 逮捕され、起訴後に保釈された。
取材に「幼なじみの友人との仲間内の行為。利益のために
やったわけではない」と無罪を主張。
「暴力団とのつながりもない。 裁判で事実を訴えたい」と
話した。事件に絡み、自らが賭け客になったとする常習賭博罪は
認め、集めた金の使途は公判で明らかにするという。

賭博開帳図利罪とはどんな罪なのか。刑法によると、
「賭博場を開いて利益を図った者」に3カ月から5年以下の
懲役刑を科す。今年1月に始まった検察と弁護側の
協議で「賭博場」の定義が争点に浮かんだ。

検察側は、賭博の参加者を固定電話で募った事件で最高裁が
1973年、賭博場とは「必ずしも賭博者を一定の場所に
集合させることを要しない」とした決定内容を重視。
当事者それぞれの居場所を含む空間全体が賭博場だとし、
ラインを使った今回の事件もこれにあてはまると主張する。

一方、弁護側は「賭博場は特定可能な一定の物理的空間
とみるべきだ。最高裁決定も固定電話が特定の事務所に
あった点を考慮している」とし、電子空間は賭博場に
あたらないと反論する。弁護人の下村忠利弁護士は
「検察の主張は、犯罪となる行為をあらかじめ法律で
明示しなければならないとする憲法31条の罪刑法定主義に
反する」と話す。

電子空間は「賭博場」なのか。

賭博開帳を手助けしたとして幇助(ほうじょ)罪に問われた
男性に対し、福岡地裁は 昨年10月、判決を言い渡した。
胴元と参加者が携帯メールでやりとりした行為について
「賭博場と評価できる一定の場所や設備を提供したとは
言いがたい」と 指摘。刑法の規定が時代に合わないと
しながら、「解釈で処罰を広げることは許されない」と罪の
成立を否定した。そのうえで予備的に問われた常習賭博の
幇助 罪のみ認めた。

一方、別の事件で大阪地裁は今年3月、携帯メールや
ラインで賭けさせた胴元の男性について賭博開帳図利罪の
成立を認めた。自宅や近辺で集計表を作り、金銭の受け渡しも
していた点に着目し、この行動範囲を「賭博場」とみなした。

司法の判断が割れる背景には、法律が現実に追いついて
いない現状がある。刑法は明治時代の1907年に制定された。
園田寿(ひさし)・甲南大法科大学院教授(刑法)によると、
当時は客を賭場に集めて開くサイコロ賭博(丁半賭博)などが
主流。「刑法の規定は特定の物理的空間を想定していたと
考えられる。賭博場の定義がテクノロジーの進歩に
追いついていないのは確かだ」と言う。

これまでも技術の発展や犯罪の変化に合わせ、刑法は改正を

重ねてきた。旧刑法時代の20世紀初め、電気を盗む行為は
窃盗罪にあたるかどうかが裁判で争われ、最高裁にあたる
当時の大審院は有罪と判断。現行の刑法に
「電気は財物とみなす」と盛り込まれた。

近年では2001年、不正なクレジットカードを作ることが罪と
して明示された。2011年には、インターネット犯罪の増加を
背景にコンピューターウイルスを作る罪が追加されている。

園田教授は「賭博場の定義を拡大解釈すると、国内法の
及ばない海外にいてもネットさえ使えば処罰できることになる。
法の適用の可否は道義的なよしあしとは別に考えるべきで、
現実との隔たりは法改正で対応するのが筋だ」と話す。
(阿部峻介)


コメントです
LINEを使った賭博に関する話題です。
科学技術の進歩の速度と法整備の速度を
比べたら、その差が歴然なのは
いうまでも
ありません。

法律が実状に追いついていないことを
ふまえて、早急な整備が必要です。




posted by salsaseoul at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会