home003.gif

2015年12月11日

(地球異変)暮らし、のみ込まれる 海岸浸食、10年で200メートル

朝日新聞  2015年12月9日


海に沈む集落 ベトナム

201512104.jpg
浸食が進む海岸。昔は町中だった場所にかろうじて残る教会付近では、
高波にもまれながら漁師が船を出港させていた=ベトナム・ハイハウ海岸

廃虚となった教会のすぐそばまで、波が打ち寄せる。
横から小舟が漁にこぎ出ていた。ベトナム北部のハイハウ海岸。
教会はかつて集落の中心にあり、周囲には農園もあったが、
海に沈んだ。「15年前と比べ300メートルは海岸線が迫ってきた」と
住民はいう。
地球温暖化に伴う海面上昇などの影響で進む海岸浸食。
暮らしも脅かす。




201512101.jpg
月に1、2度ある大潮の高波時には波が堤防を越え、街は海水で浸水する=
ベトナム・ハイハウのティンロン地区、橋本弦撮影

201512102.jpg

 廃虚となった教会のすぐそばまで波が押し寄せるベトナム
北部のハイハウ海岸。数平方キロあった地区の3分の1が、
この70年で海に沈んだ。教会近くに住んでいた
グエン・ティー・ヒェンさん(56)は2003年、 約1キロ離れた
場所に移住した。だが、地元政府が提供した土地は以前の
約10分の1。
「狭くて野菜や家畜を育てられない。暮らしが厳しくなった」

政府は10年前から海岸沿いの土の堤防をコンクリートで
補強する工事を進めているが、波が堤防を越えることもある。
堤防は亀裂も入り、放置すれば 崩壊の恐れがある。
調査を続ける茨城大学の安原一哉名誉教授(地盤工学)は
「さらに浸食が進みかねない」と警鐘を鳴らす。
温暖化は海面上昇とともに台風の巨大化ももたらす。
「沿岸の人たちは高潮や浸水でより危険にさらされる可能性が
高くなる」

南へ約1200キロ。世界有数の穀倉地帯として知られ、
メコン川河口部に広がるメコンデルタも、海岸の浸食が進む。

海岸沿いの町ビンチャウで11月下旬、茨城大地球変動適応
科学研究機関(ICAS)のグループがドローン(小型無人飛行機)を
飛ばし、海岸線を撮影した。約10年前の衛星画像と比べて
200メートル前後迫っていた。マングローブ林が消え、
240メートル迫った地点もある。同大の田村誠准教授は
「日本では年間3メートルが浸食の基準の最大値。
すさまじいスピードで浸食が続いている」。

国立カントー大のドゥオン・バン・ニー教授は浸食が進む
理由について、
(1)人口急増で内陸から沿岸に人が移り住み、
マングローブの伐採が進んだ
(2)ダム建設や開発で川から海に供給される砂の量が
減った

(3)地球温暖化による海面上昇、の3点を挙げる。

ビンチャウでは3カ月前から護岸工事が始まったが人の
背丈ほどのブロックを並べ、波打ち際に木の柵を打ち込む
だけ。潮位が上がると水没する。

メコンデルタはベトナム領 内だけで九州に匹敵する
約4万平方キロの広さがあり、年間約2千万トンの
コメを生産する。だが海水の影響で、すでに井戸水が
使えなくなったり、塩害で農地 の収量が落ちたりしている。
マングローブを伐採し、日本への輸出も多いエビの養殖池に
転換する場所も多いが、地元のボー・バン・チャオさん(59)は
「このままでは浸食で池がのみ込まれてしまう」と気をもむ。

ベトナムでは年平均2・8ミリの海面上昇を政府が観測している。
温暖化が加速し、2100年に海面が最大1メートル上昇すれば、
メコンデルタの最大40%、国全体でも人が住む地域の
面積の10〜12%が失われると政府は試算する。
天然資源環境省のグエン・バン・ツエ気候変動局長は
「政府内で沿岸の住民を内陸に移住させる計画も検討を
始めている」と語る。

カントー大のニー教授は「メコンデルタのコメは約40カ国に
輸出されている。浸食対策への各国の資金援助は、
ベトナムのためだけではない」と訴える。

 (ハイハウ=佐藤建仁)

 ■途上国、被害軽減策求める COP21、ベトナムなど
  43カ国声明

11月30日にパリで始まった国連気候変動会議(COP21)の
初日。ベトナムも加わる43の途上国でつくる「気候脆弱性
(ぜいじゃくせい)フォーラム」が声明を出した。
「我々の国には温暖化の脅威がすでに迫っている」と強調し、
温暖化の影響で難民となる人たちを支援する国際機関の
設置などを求めた。

これらの国は、交渉が温室効果ガスの削減策に集中している
ことに危機感を抱く。途上国支援の半分は、被害の軽減策に
向かうべきだと主張する。30日の首脳会議でベトナムの
ズン首相も訴えた。「バランスのとれた合意が必要だ」

 (パリ=下司佳代子)



コメントです
今日の記事にあるベトナムに限らず、海面上昇による
海岸線の侵食は世界中で起きています。
世界中で陸地がどんどん減っているわけですが、
陸地面積を右肩上がりで増えている総人口で割った
数字は
、当然どんどん小さくなります。
この先、地球はどうなるのでしょうか?

posted by salsaseoul at 01:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境