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2015年12月05日

血液製剤不正、40年前から 化血研第三者委「組織的隠蔽」

朝日新聞 2015年12月3日

血液製剤やワクチンの国内有力メーカー
「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)が国の
承認と異なる方法で製品をつくっていた問題があり、化血研は
2日、第三者委員会の報告書を公表した。
報告書は、不正は40年以上前から始まり、血液製剤12製品
すべてで行われ、虚偽の製造記録を作成するなどして組織的に発覚を
免れていたと認定。「常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質」と批判した。

第三者委は、重大な副作用は報告されておらず、安全性には大きな
問題はないとしている。厚生労働省は近く化血研を行政処分する方針。
化血研は2日、宮本誠二理事長はじめ理事9人全員の辞任・辞職を
発表した。

化血研が設置した第三者委は、元東京高裁長官の吉戒(よしかい)
修一氏を委員長に元検事や専門家ら計6人で構成。

報告書によると、不正製造は、血液製剤12 製品の31工程で
あった。製造効率を高める目的で、承認書にはない添加剤を
入れたり、添加剤の量や加熱方法を勝手に変更したりしていた。
本来は製造方法の 一部変更の承認を得る必要があったが、
その手続きをとっていなかった。不正製造は、遅くとも1974年ごろ
から始まり多くは80年代から90年代前半に実施するようになった。

不正が起きた背景として、薬害エイズ問題によって国内での
加熱製剤の生産増強が要請され、早期の製品化や安定供給を
最優先に開発・製造を急いでいたことを挙げた。
さらに、「自分たちは専門家であり、当局よりもよく知っている」
「製造方法を改善しているのだから、当局を少々ごまかしても、
大きな問題はない」という研究者のおごりがあったと指摘した。

前理事長や現理事長らは、不正な製造や隠蔽を認識していながら
放置してきた。品質管理部門や品質保証部門の一部管理職は、
不正な製造や隠蔽を認識しながら、故意にその事実を明らかに
しなかったとした。

報告書では、製薬会社としてはあってはならない重大な違法
行為と認定。化血研の役員たちは「先人たちの違法行為に
呪縛されて、自らも違法行為を行うという悪循環に陥っていた」と
指摘した。また、薬害HIV訴訟の和解のころに経営陣が不正
製造の報告を受けていたとし、「和解における誓約がうわべだけの
ものに過ぎなかったと非難されてもやむを得ない」と批判した。

一方、ワクチンについては、重大な不正や隠蔽を認める証拠は
存在しないとした。

宮本理事長は2日夜、厚労省で会見し、「患者の皆さま、医療関係の
皆さま、国民の皆さまにご迷惑をおかけしておりますことを、
深くおわび申し上げ ます」と頭を下げた。隠蔽工作を続けたことに
ついては「研究者意識で技術的な面が先行し、対応が遅れていった」と
語った。薬害HIV訴訟の原告団らに対しても
「大変申し訳ないことをした」と謝罪した。

 ■「決定的な裏切り」 薬害訴訟原告団

薬害HIV訴訟の大阪原告団の花井十伍代表は2日夜、都内で
会見し、「和解に調印したときにも不正行為は続いており、
非常に悔しく、悲しい思いをしている」と述べた。
「和解に踏み切った私たちに対する決定的な裏切り」として、
化血研の宮本誠二理事長に抗議書を手渡した。

一方、日本医師会の小森貴常任理事は2日の会見で
「かなり以前から、問題が放置されてきたことは極めて遺憾だ
。国民の健康、命にかかわる重要な問題で、二度とないように
要請していきたい」と語った。

血液製剤に詳しい大戸斉・福島県立医大副学長(輸血学)は
「競争のない社会ではコンプライアンスや意欲が必要とされない。
血液製剤メーカーに対する国の過剰な保護政策も、コンプライ
アンス精神を失わせた背景にあるのではないか」と指摘する。

■手口は… 書類を二重に作成・紫外線あて紙を変色

国の調査・査察で不正製造が発覚しないように、化血研は
計画的に隠蔽工作を繰り返していた。

報告書によると、隠蔽工作が本格化したのは97年ごろ。
ある製造チームでは、査察で見せるための偽の製造記録は
ゴシック体で、実際の製造記録は明朝体で書類を二重に
作成し、区別できるようにしていた。

別のチームでは、不正製造による記録のページ数には
「2・5」などと小数を加え、査察の時にはそのページを
抜き取っていた。当時の部長は「このままでは見せられん。
査察対応のものをもう一つ作らざるを得ない」と指示していた。

偽の製造記録などは過去の分も書き直し、かつての上司の
承認欄には筆跡が似ている社員にサインをさせたり、紙に
紫外線をあてて変色させ古くみせかけたりもしていた。

調査に備え、国の承認書に沿った想定問答集をつくり
予行演習もしていたという。

 ◆キーワード

<化学及血清療法研究所(化血研)> 
旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体で
1945年12月に設立。薬害HIV訴訟の被告の一つで
96年に和解が成立した。ワクチンや血液製剤の老舗で、抗
がん剤や動物用の薬も製造している。
ワクチンではインフルエンザは国内の約3割のシェアを持つ。

関連記事です。
血液製剤・ワクチンの10製品出荷できず 化血研

■不正20年 止まったワクチン
血液製剤やワクチンの国内有力メーカー「化学及血清療法研究所」
(化血研、熊本市)が、20年以上にわたって不正な方法で製品を
つくっていたことが判明し、現在も10製品が出荷できないでいる。
化血研は近く、第三者委員会による調査の結果を発表する。 

■在庫なく予約中止

厚生労働省は、流通中や出荷予定の化血研製の血液製剤1
2種類とワクチン10種類、その他7種類の計29種類について、
9月までに出荷自粛を要請。安全性が確認された製品や緊急性の
高い製品を順次解除しているが、まだ血液製剤7種類と
ワクチン3種類は出荷が止まっている。

B型肝炎ワクチンは国内シェアが8割。宇都宮市内のある
診療所は在庫がなくなり、予約の受け付けを中止した。
インフルエンザワクチンと4種混合(百日ぜき、ポリオなど)
ワクチンは解除されたものの、一部の医療機関では
予約延期などの影響が出た。

血友病患者に必要な血液製剤も条件付きで解除された。
ただ荻窪病院(東京)の花房秀次医師によると、
「本当に安全か」と不安を訴える患者もいるという。

■記録偽り発覚回避

不正な製造は、承認内容と異なるつくり方をしていたこと。
化血研によると、1989年ごろから、血液製剤の製造効率を
高める目的で、添加剤を入れていた。
発覚を免れようと記録を偽造し、国の定期検査で示していた。
ワクチンでも同様の不正な製造や、書類の誤記が見つかった。

■承認外製法問題 近く第三者委報告

化血研は9月、元裁判官らによる第三者委を設置、原因を
調べ始めた。厚労省は第三者委の報告書をもとに
行政処分を検討する。

化血研は旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体。
薬害HIV訴訟の被告企業の一つで96年に和解した。
大阪原告団の花井十伍代表は「訴訟のさなかにも
不正行為を続けていたことになる。不正を見逃してきた国も
これまでの対応を検証すべきだ」と話す。(竹野内崇宏)

■出荷が止まっている主な製品

()内のパーセントは国内シェア

【ワクチン】

・日本脳炎(36%)

・A型肝炎(100%)

・B型肝炎(80%)

【血液製剤】

・重症の感染症などに使う「献血グロブリン」

・出血性ショックなどに使う「献血アルブミン」

※インフルエンザワクチン、4種混合
(百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)ワクチンは出荷を再開

化血研の血液製剤不正、内部告発で発覚

血液製剤やワクチンの国内メーカー「化学及(および)
血清療法研究所」(化血研、熊本市)による不正製造問題で、
発覚のきっかけの一つは内部告発だったことが、
厚生労働省への取材でわかった。この情報をもとに今年5月に
抜き打ちで調査をし、40年以上にわたる不正が明らかに
なっていったという。

厚労省によると、5月に匿名の投書が厚労省に届いた。
化血研の職員を名乗り、法令違反をしていることに「心が痛む」と
記載。国に承認された方法とは異なって、添加物を無断で
加えていたことなどが書かれていた。

厚労省は、内容が具体的で化血研内部からの情報提供と判断。
通常している事前通告をせずに立ち入り調査をし、投書の
内容を重点的に調べると不正が確認できたという。

化血研の第三者委員会の報告書によると、化血研では、
国の調査・査察で不正製造が発覚しないよう、製造記録を
偽造するなど、組織的な隠蔽(いんぺい)工作を1997年
ごろから本格化させていた。不正製造を解消しようとする
動きは何度かあったが、不正を隠しながら行っていたという。
(竹野内崇宏、武田耕太)

 ■化血研本所に立ち入り調査 厚労省

厚生労働省は3日午後、熊本市北区の化血研本所に
立ち入り調査に入った。化血研の第三者委員会の報告書で
指摘された問題点などを確認したうえで、医薬品医療
機器法(旧薬事法)違反で行政処分をする方針。

午後1時過ぎ、厚労省の職員5人と独立行政法人医薬品
医療機器総合機構(PMDA)の職員1人が本所に到着。
スーツケースを引きながら、次々と建物の中へ入っていった。

化血研本所の正門前には3日朝から多くの報道陣が集まり、
警備員が待機場所に誘導するなどして対応した。
昼休みには職員が報道陣の様子を遠巻きに眺めていた。

コメントです。
つまり、上の記事群を要約すると、
内部告発により不正が発覚するまでに
40年かかったということです。
不正行為の継続について、どれだけ結束が
高い組織、いえ、組織体制だったの
でしょうか?
ふつう、健全な組織内では、長期にわたる
不正行為など、
通常業務とくらべて
それを継続させるほうが逆にエネルギーを
必要とします。
自動車の運転で、ずっと信号無視して
目的地まで到達するのと、ふつうに
信号に従って運行するのに例えてみれば
わかりやすいですね。
この組織、よほどスリリングな業務指向が
好みだったようです。


posted by salsaseoul at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療