【12月26日 AFP】中国政府がフランス人記者に対し、執筆した
記事の1つを撤回しなければ記者証の更新を拒否すると通告し、
事実上の国外退去を迫っている。
記者本人が25日、AFPに明らかにした。外国人記者の事実上の
追放処分は2012年以降、初となる。

仏ニュース誌「ロブス(L'Obs)」の北京(Beijing)駐在記者、
ウルスラ・ゴーティエ(Ursula Gauthier)氏は、11月に発表した
記事について公式に謝罪しなければ、今月末に期限切れとなる
記者証の更新を中国外務省は行わないとの通告を25日に
受けたという。

問題となっているのは、
「(パリ同時テロ)事件後の中国の連帯に秘められた動機」と
題した記事で、新疆ウイグル自治区
(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での中国の
反テロ政策を取り上げた内容。

中国当局はゴーティエ氏の記事について、中国政府が「テロ」と
みなしている自治区内の暴力行為を正当化していると主張。
ゴーティエ氏によると、 「『中国人を傷つけた』全ての点に
ついて公式に謝罪しなければ、記者証は更新されず、1
2月31日に出国しなければならない」と通告してきたという。

フランス外務省や国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団
(RSF)」、ロブス誌は中国側の対応を批判している。

中国駐在の外国人記者の追放事例としては、2012年に
カタールを拠点とするテレビ局「アルジャジーラ(Al-Jazeera)」
英語版の中国駐在員、メリッサ・チャン(Melissa Chan)氏が
国外退去処分を受けている。

中国では国内メディアは検閲対象となっており、報道がタブー視
されている話題も多い一方、外国メディアに対する報道規制は
ない。ただ、日常の取材の際に外国人記者が中国当局から
嫌がらせを受けたと訴える事例は頻発している。
(c)AFP/Becky Davis