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2015年08月08日

粒子線治療:先進医療除外も 一部のがん、優位性を示せず

毎日新聞 2015年08月08日


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患者が重粒子線照射を受ける治療室の機器
佐賀県鳥栖市の九州国際重粒子線がん治療センターで、上田泰嗣撮影

◇日本放射線腫瘍学会、厚生労働省に報告書提出

 重粒子線や陽子線を患部に照射し、がんを治療する
粒子線治療について、日本放射線腫瘍学会が
「前立腺がんなど一部では、既存の治療法との比較で優位性を
示すデータを集められなかった」とする報告書を厚生労働省に
提出した。粒子線治療はがん細胞を狙い撃ちできる治療法と
して普及し、診療報酬上も自己負担となる照射費用以外は
保険適用される優遇を受けている。
同省は優位性を示せない部位について、有効性や副作用の
有無を調べる臨床試験を求める「格下げ」や、がんの進行度に
応じて先進医療からの削除も検討する。

粒子線治療は、機器や治療技術の有効性、安全性がある程度
認められるとする「先進医療A」に指定され、照射のための
300万円前後の費用を自己負担すれば、残りの入院や検査、
投薬の費用に保険を適用できることが、診療報酬点数表に
盛り込まれている。現在、放射線医学総合研究所(千葉市)
など同省の基準を満たした全国の施設で、他に転移のない
がんを対象に実施している。先進医療による粒子線治療が
始まった2001年度以降、昨年度までに約2万1000人
以上が治療を受けた。

報告書によると、前立腺がんや一部の肝臓がんなどについて、
国内外の文献などを参考に生存年数や副作用のデータを
既存のエックス線治療と比べた結果、症例数が少なかったり、
比較条件が異なっていたりしたため優位性が証明できなかった。
過去の診療報酬改定で、保険適用の可否を審査する
同省の先進医療会議が何度も既存治療との比較結果を
要求していた。同学会は当初、これらの治療の保険適用を
目指したが、報告書で「先進医療Aのままでは評価に
耐えるデー タの蓄積は困難」と結論づけた。

公的医療保険は、保険診療と保険外の医療を併せて受ける
「混合診療」を認めないが、先進医療に指定されると
例外的に「混合診療」が認められる。

このうち未承認の医薬品や医療機器を使わず、有効性が
ある程度明らかなものが「A」、有効性が十分明らかではなく、
厳格な条件下で臨床試験として実施し、有効性などの
審査を受けるものが「B」となる。

今後の診療報酬改定で粒子線治療の一部がBに
「格下げ」された場合、対象となる疾患数や患者数、
試験期間が限られるため、施設経営に影響が出る
可能性がある。
さらに先進医療から削除されれば自由診療になり、
治療費全額が患者負担となる。
労省は来年1月をめどに結論を出す方針。

 一方、同学会は、
小児がん
▽骨・軟部腫瘍▽頭頸(とうけい)部がん
▽原発性肝臓がん▽原発性肺がん−−の5種類は
有効性と安全性が認められ、他に根治療法が
ないことから保険適用を要望した。【阿部周一】

 ◇粒子線治療

加速器でエネルギーを高めた粒子をがんの病巣に
照射し、がん細胞にダメージを与える治療。
照射する粒子が水素原子核(陽子)の陽子線治療と、
陽子 より重い炭素の重粒子線治療がある。
狙った病巣にピンポイントで粒子を当てられるのが特徴で
、高い治療効果と、正常な細胞を傷つけず副作用を
抑えることが 期待されている。一方、加速器の建設や
維持に必要な費用は大きい。放射線医学総合研究所に
よると、今年4月現在、建設中も含め陽子線施設は
9カ所、重粒子 線治療施設は5カ所。

このほか、山形や大阪でも重粒子線施設の建設計画がある。


関連記事です。

粒子線治療:患者の混乱必至 優位性データ示せず

◇日本放射線腫瘍学会、前立腺がんなど一部のがんで

巨大な加速器を使う粒子線治療は治療費が高額に
なる分、治療効果も高いと期待されてきた。
他に根治療法がないがん患者には、すがる思いで
望みを託す頼みの綱にもなっている。
全国の治療施設の登録患者数は年々増え、2013年度は
4700人を超えており、既存の手術やエックス線治療と
比べ、どの程度効果が高いかという科学的なデータを
示すことが求められる。

日本放射線腫瘍学会が前立腺がんなどについて、
粒子線治療がエックス線治療より優れているという
結果を出せなかったことについて、報告書作りに
携わった医師は「各施設がばらばらに治療計画を
作り、患者の年齢やがんの種類、進行度も異なる。
統計的に有意な実績データを集めることが難しかった」と明かす。

一般に、公的医療保険で認められていない先進的な
治療を受ける場合、患者は入院や検査費用も含め
全て自己負担しなければならないが、先進医療に
指定されれば混合診療が認められる。
さらに粒子線治療を含む先進医療Aは、期間の限定は
なく年1回の報告をすれば続けられる。患者は高額な
新しい医療を受けやすく、医療機関側は患者が
増えるメリットがある。

厳格な計画に基づく臨床試験を進めることになれば、
症例数や実施期間が限定される。前立腺がんは
粒子線治療を受ける患者の約2割と最も多く、患者が
減ると年数億円かかる施設の維持費が医療機関に
重くのしかかる。また、試験に参加しない患者の治療が
自由診療になれば、民間のがん保険の先進医療
特約の 対象外になるなど患者が混乱する恐れもある。
一方、既存治療と比べて明確な優位性のない治療に
高額な医療費を支払うことも問題で、厚生労働省の
早急な調整が必要だ。【阿部周一】


コメントです。
粒子線治療は、最低でも300万円の
自己負担が必要なことから、
ずいぶん前から「命の格差」治療と
言われていましたが、ここで有効性が
疑わしい部位の癌が発表されました。
ですが、これまでに有効な治療結果も
数多く
実績として残しているので、
今後の適切な対応が期待されます。






posted by salsaseoul at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療

猛暑でも電力安定 太陽光発電、導入量10倍 節電効果、需要十数%減

朝日新聞 2015年8月8日05時


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東京都心で7日、最高気温35度以上の「猛暑日」が過去最長の
8日連続となるなど、各地で記録的な猛暑が続くなかで、
大手電力各社は比較的余裕のある電力供給を続けている。
すべての原発は止まったままだが、太陽光発電の普及や
節電の定着で、真夏の電力不足の心配は遠のいている。

 電力供給にどれだけ余裕があるかは、その日の電気の

供給力と、一日で最も電力の需要が多いピーク時を比べた
「最大電力使用率」でわかる。東京電力や関西電力の場合、
これが90%以上だと電力の余裕が「やや厳しい」、
95%以上だと「厳しい」とされる。

7日までの1週間で、東京、中部、関西、九州各電力の
最大使用率をみると、95%以上になったのは1日の
中部電だけだった。東電では90%以上が4日あり、
あとは90%未満の「安定的」だった。

関電と九電は震災前に原発依存度が高く、今夏も

綱渡りの供給が心配されたが、この1週間、関電で
90%以上となったのは8月3日の1日だけ。
九電はゼロだ。やはり猛暑だった2013年、関電は
7〜8月の2カ月間で90%以上が22日間あり、
最大使用率が96%に達した日もあった。

余裕ができた背景には、電力供給の変化がある。

東日本大震災後、安定した電力の供給源だった原発が
止まったことで、電力各社は老朽化で止めていた火力
発電所もフル稼働するなどして供給力を維持したが、
夏場の電力需要のピーク時の供給には不安があった。
だが、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度

(FIT)のもと、太陽光発電の導入量がこの5年間で
10倍近くに急増。
晴れた日に発電量が多くなる太陽光が夏のピークに
対応し、電力供給の安定につながっている。

一方で、夏のピーク時の電力需要も、震災前と比べて
十数%ほど少ない。LED照明への切り替えなど、
企業や家庭で節電の取り組みが広がっているためだ。

九電は11日にも、川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働を
めざしている。猛暑続きでも電力供給にゆとりがある
日々が続いていることは、再稼働の是非をめぐる
議論にも影響しそうだ。(平林大輔)



関連記事です。

太陽光、ピーク時肩代わり 夏の電力需給 猛暑、晴れて本領


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真夏の昼間はエアコンなどで電力使用が1年で最も多くなる。
今年は記録的な猛暑が続き、国内では原発がまだ1基も
動いていないのに、電力各社はなぜ余裕のある電力供給を
続けていられるのだろうか?

東日本大震災後に原発が止まり、原発をもたない沖縄を
除く大手電力各社は、コストが高く老朽化した石油火力

発電所を動かすなど、おもに火力発電で供給力をカバー
してきた。その分、燃料費がかさんで業績が悪化。
電気料金の値上げに動く会社が相次いだ。

電力各社は、電力需要のピーク時に対応できるように、
火力発電所の定期点検をいまも繰り延べている。
今年4月時点で、前回の点検から2年以上経った
火力は全体の2割強にあたる70カ所あり、
うち5カ所は4年を超える。

そこで、夏のピーク時の電力供給を補う存在になりつつ
あるのが太陽光発電だ。太陽光は天気に左右される
不安定な電源とされるが、猛暑の日はまず晴れており、
電力の供給面では頼りになる。天気が悪くなれば出力は
落ちるが、その分、気温も下がって電気の需要も減る。

太陽光発電協会の穂岐山孝司・広報部長は
「夏の電力需要の動きにあった電源。同じ再生可能
エネルギーでも風力発電とは違う特徴だ」と話す。

2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度
(FIT)が始まると、家庭用のパネルや、企業が電気を売る
目的でつくるメガソーラーが一気に増えた。風力や
バイオマス発電などと比べ、太陽光発電はパネルを
設置するだけで始められ、電力の買い取り価格も高かった。

国内の太陽光の導入量は、震災前の10年3月末に
約280万キロワットだったが、15年3月末には
約2700万キロワットと9・5倍に伸びた。
実際の出力はその6〜7割程度に下がると計算しても、
増加分だけで原発十数基分ともいえる。

 ■企業や家庭、節電進む

 電気を使う側の変化も進んでいる。

電気事業連合会によると、大手電力10社の夏の
最大電力の合計は、震災前はほぼ
1億7千万〜1億8千万キロワットだったが、震災後後、
14年までは1億5千万キロワット台と十数%ほど
減っている。その大きな要因が節電だ。

企業や家庭では、照明をLEDに替えたり、冷房の
設定温度を28度など高めに設定したりする取り組みが
広がる。原発が止まったことで電気料金の値上げが
相次いだが、支払額を少しでも減らそうと節電する動きもある。

トヨタ自動車など多くのメーカーが自家発電を増やし、
生産ラインの省エネ化に取り組んだ。「クールビズ」も
定着し、工場の操業時間やオフィスの昼休みをずらす
「ピークシフト」に取り組む企業もある。

街の節電も進んだ。JR東日本は乗客の少ない時間帯は
駅のエスカレーターを一部止めたり、照明の数を減らしたり
している。
日本コカ・コーラは、夜に冷やして日中は冷却を止める
自動販売機を増やした。

節電に詳しい中上英俊・住環境計画研究所会長は
「震災前の電気の使い方は無駄が多かったという
意識は定着している。原発が再稼働して電力供給に
さらに余裕ができても、以前のような使い方には戻らないし、
戻すべきではない」と話す。

 (平林大輔)


 ■<考論>なお逼迫、原発必要

澤昭裕・21世紀政策研究所研究主幹の話 
この夏も最大使用率が90%を超えた電力会社は多く、
電力逼迫(ひっぱく)がないということではない。
電源の多様性確保のためにも原発はいる。
ベースロード電源の原発が止まっているから
電気料金が上がっているので、既存の原発を動かせば、
発電は最も安くすむ。同じベースロードでも、
石炭火力は二酸化炭素(CO2)の排出が多く、原発
再稼働は必要だ。(原発推進派の意見)


 ■<考論>再稼働、説明つかず

橘川武郎・東京理科大大学院教授
(エネルギー産業論)の話 
需給状況をみれば電力は足りており、問題ない。
太陽光発電の増加などが大きな要因で、電力不足だから
原発の再稼働が必要だ、という説明はもう成り立たなく
なっている。だから、電力会社は原発の燃料コストの
安さなどを強調している。再稼働を進めようと、最近では
電力不足をやや大げさに言っていた面もあったのだろう。
(原発反対派の意見)



参考記事です。
太陽光発電バブル崩壊? 再エネ買取制度、見直しへ 
相次ぐ電力会社の買取中断も影響か

日本政府は、太陽光など再生可能エネルギーの
「固定価格買取制度」について、抜本改定に着手した。
大規模太陽光発電所(メガソーラー)で作った電気の
買取価格が決まる時期を、「国の事業認定時」から
「事業開始時」に改正するという(読売新聞)。
電力会社が、再生可能エネルギーの買取を中断する
動きが 広がり始めたことも影響しているとみられる。

海外メディアも、同紙の報道などを基に、この事態に着目している。

【毎年引き下げられる価格】

買取制度が導入された際、太陽光発電の買取価格は
キロワット時42円で、世界的に見ても高額だったと
ロイターは指摘している。そのため、政府や電力会社の
予想以上に、多くの業者が太陽光発電に参入した。
しかしその後は引下げが続き、現在の買取価格は
キロワット時32円だ。

政府は、風力・地熱等の再生可能エネルギーの
買取価格は据え置く一方で、太陽光発電の買取価格は
毎年引き下げている、とブルームバーグは指摘している。
そのため、買取価格が下がる前に認定を受けようと、
太陽光発電業者が、年度末、申請に殺到していた。

ブルームバーグによると、固定価格買取制度の
発足以来、72,000メガワットのプロジェクトが
認定されてきたが、そのうち96%は太陽光発電である。

【プロジェクト完成に至ったのはわずか15%】

経済産業省によると、6月の時点で、11,090メガワットの
再生可能エネルギーが導入されているが、認定容量の
15%に過ぎない。土地取得の難しさや設備人材の
コスト高なども原因として挙げられているが、送電網の
不足がボトルネックとなっている。

25日、九州電力が新規買取契約の受付を中断した。
北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力など、
主要電力会社10社中7社が再生可能エネルギーの
買取を中断している、と『The Diplomat』は報じている。

電力各社は最大電力需要を想定して必要な容量の
送電網を整備している。
容量を超えれば大規模停電を招くリスクがある。
また、再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく
発電量が安定しないため、容量を拡大すれば
安定供給に支障が生じる恐れがある。

【全国の送電網の整備が先決】

再生可能エネルギーの固定価格買取制度の改正は、
根本的な問題の解決とはならないと指摘する声もある。

日本政府は、福島第一原発事故以来、再生可能
エネルギーの利用を推進している。
もし認定された太陽光発電が全て導入されたなら、
世界トップであるドイツの35,700メガワット(昨年末)の
約2倍となる。(『The Diplomat』)。

今回の制度改正では、全国の送電網の拡充まで
対処できていない、と同メディアは結んでいる。

コメントです。

今日の記事は、猛暑でも太陽光発電のアシストで
電力の供給が安定しているという内容ですが、
実際は赤字だった固定買取価格を下げたり、
電力会社が新規申請を受け付けていない等の
理由で、電力供給の安定も一時的なものでしょうね。
そうなると、再び原子力発電ですか。
電力会社は、商社と協力してカリスマバイヤーを
育成し、もう少し安く天然ガスを買い付けられるように
なればいいのですが。 




posted by salsaseoul at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境