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2015年05月17日

遺伝上の父を知りたい 生殖医療で生まれた医師

2015年5月16日 朝日新聞

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■非配偶者間の人工授精で生まれた医師 加藤英明さん

体外受精、提供された精子や卵子を使った受精、代理出産……。
「子どもがほしい」という願いに応えようと、生殖補助医療技術の
進歩はめざましい。加藤英明さんは、そんな医療で生まれる
子どもの立場をもっと考える必要があると訴える。
非配偶者間の人工授精(AID)で生まれ医師でもある加藤さんに聞いた。

―匿名の提供者の精子を使うAIDは日本では1948年に始まりました。

「30代前半で結婚した両親は子供ができませんでした。
検査を受けると、父が無精子症でした。精子提供という方法を
紹介された慶応大学病院で、母は匿名の医学生の精子を
使って妊娠。ふつうに妊娠したという形で地元に戻って
44歳で僕を産みました」

 ――いつ知ったのですか?

「医学部の5年生、29歳のときでした。父母と僕の血液で
白血球の型を調べる実習で、父と血がつながっていないことに
気づきました。母に尋ねると、一応答えてくれましたが、
いろいろ質問すると機嫌が悪くなり、『勝手に調べるあんたが
いけない』と何も話さなくなりました。
遺伝上の父がだれだかわからないのです。
受け止められませんでした。
身の置きどころがないような浮遊 感に襲われました。
『だまされてきた』と思ったし、気づかなかった自分も
バカだと思いました」

「AIDに関する論文や書籍、新聞記事を読みあさりました。
子どもの会みたいなところで相談できると思っていましたが、
そんな会はありませんでした。遺伝上の父を捜すため、
僕の大学の産婦人科の教授に相談し、母が診てもらった
慶大の元教授に会いました」

「1人の医学生が10人まで精子を提供したというので、
異母きょうだいと結婚する可能性や遺伝の問題を質問したのです。
『異母きょうだいと出会う ことはまずないし、提供者には
感染症検査をし、家族の病歴も聞いた。自分が面談して
決めたから大丈夫』という答えでした。
元教授は、親にも生まれた子にも 感謝されているという認識で、
僕の不安や思いは理解できないだろうと感じました」

 ――その翌年には仲間と自助グループを立ち上げましたね。

「AIDの記事が出ていた新聞社に連絡し、紹介してもらったのが
きっかけです。同じ境遇の人と話ができてうれしかった。
日本でのAIDの進められ方への疑問や不満も共有できました」

「欧米各国ではAIDで生まれた子どもの多くが自分ではっきり
その事実を語ります。親から精子提供事実を知らされているからです。
異母きょうだいを捜すことも当然のように行われています」

「僕らの自助グループはできて12年ですが、メンバーは10人ほど。
1万5千人以上がAIDで生まれたとされているのに、非常に少ない。
事実を知らされていないのか、恥という意識があるのか。
親が隠すから、知っても『恥』と感じるのではないでしょうか」

 ――親はなぜ隠すのでしょう。

「日本のある調査では、AIDを利用したカップルの9割近くは
子どもに事実を知らせない、と答えています。子どもが不幸に
なるから知らせてはいけないと勝手に思い込んでいると思います」

「精子でも卵子でも、第三者からの提供を受けての不妊治療なら、
子どもに知らせる覚悟をもってやってほしい。能動的に選択した
のだから、子どもの思いにまで責任を持つべきです。
隠すことはその責任を放棄することです」

「僕自身、事実を知った直後はだまされていたという思いが強く、
父を『お父さん』と呼びにくくなりました。でも8カ月ぐらいして、
思い切って父に 聞きました。
『血がつながっていないこと知っていた?』と。
父は『あー、知ってたよ』と答えました。僕はこれで気が楽になった。
血のつながりがないと知っていながら育ててくれたんだとわかり、
『これでいいか』と思えました。わざわざ『感謝している』とは
言いませんが。ふつうの親子でもそんなこと言わないですからね」

「父と息子のつながりというものは、遺伝以外には、旅行や
遊びなどの体験をどれだけ共有できるかが大きく影響すると僕は
思います。僕が29歳で血 がつながっていないと知ったとき、
父は既に70代。それから積み重ねられる共有体験はあまり
なかった。もっと小さいころに知っていたら、より意識して父子関係を
深めることができたかもしれません」

 ――生殖補助医療全般については、どう考えていますか。

「英語では『医療』の部分は『テクノロジー(技術)』という言葉を
使っています。メスで人体を切るなどふつうなら傷害罪にあたる
行為をするのが医療です。しかし、命を守るために専門職の医師が
行うから罪に問われない。不妊治療は命を守る『医療』とは
少し違うのではないかと思います」

「配偶者間で、自分たちの卵子と精子を用いる不妊治療に限れば、
積極的に反対する理由はありません。
ただ、そこに保険診療や補助金のようなものをつくるのは反対です。
不妊治療は本人の生命にかかわることではなく、自由選択で
行っていることだからです」

「配偶者間でも、死後の卵子や精子を使う治療やクローン技術の
ように体細胞を用いた技術は許可されるべきではないでしょう。
それによって生まれた子どもが、自分の出自を受け入れることが
可能だとは思えません」

「第三者がかかわるものとしては、身体的負担がほぼないと言える
AIDまでは認められるかな。でも、治療に同意していない子どもに
『遺伝上の親がわからない』という精神的、社会的負担を肩代わり
させているので、慎重であるべきです。自助グループの仲間には
AID自体も賛成しない意見が多いです。卵子提供や代理出産、
子宮移植は、より問題があります。第三者の体を傷つける、
あるいはその可能性が高いからです」

 ――不妊治療は金銭的にも身体的にも負担が重いと
言われています。それでも多くの人が受けていますし、
日本では学会が認めていない代理出産や卵子提供を、
海外などで利用する人もいます。

「子どもがほしいという欲求は生物としての本能だと思います。
でも、社会的な圧力があることも事実。日本では未婚の人に
『結婚はまだ?』とか、結 婚した男女に『子どもはまだ?』とか
聞くのがふつうです。そういう言葉は、意図的ではないにしろ、
結婚して子どもをもつことを『あるべき姿』として強要するものです」

「しかも、夫婦と、彼らと血のつながった子という古典的家族像を
理想とする感覚が根強い。それが養子や血のつながらない家族は
恥ずかしいもの隠すべきものと考える風潮につながっていると思います」

 ――自民党のプロジェクトチームが昨年まとめた生殖補助医療に
関する法案は、限定的に卵子提供や代理出産も認める内容です。

「日本でAIDによる初めての子どもが生まれて70年近くたつのに、
技術が先行して、生まれた子どもへの対応やケアは後回しに
されたままです。こんな状態で、適用される技術だけがさらに
拡大するのはどうなのでしょうか」

「子どもができずに悩んでいる女性がいれば、助けたいと思うのは
医師としては当然です。しかし結果として子どもが生まれます。
不妊治療のゴールは妊娠や出産ではなく、親子関係や家族を
築くことのはずです。だとすれば、生まれてくる子どもの
立場を考えることは不可欠でしょう」

 ――生殖補助医療で生まれた子どもが遺伝上の親を知る
「出自を知る権利」について、認めるべきだと訴えていますね。

「海外では、出自を知る権利が法律で定められた国が多く、
公的機関が提供者情報の管理や公開にかかわっています。日本では
自民党の法案も含めて出自を知る権利を認めることに消極的です」

「親は、不妊は隠したいが子どもは欲しい、という自分たちの願いを、
医師や提供者の力を借りて現実のものにしています。事実を伝えず、
『子どもは 知らない方が幸せ』と思い込むのは、『子は親の付属物』と
考えるからでしょう。日本でも出自を知る権利を明文化して、
子どもが希望するなら、自分の遺伝上の親を知ることが
できるようにすべきです」

「出自を知りたいという願いは人としての根源的なものだと、
僕は体験に基づいて語ることができます。そうした願いや様々な
思いを持つ生身の『人間』を誕生させるのが生殖補助医療だと
いうことを、親も社会も改めて認識すべき時期が来ていると思います」
(聞き手 編集委員・大久保真紀)

     ◇

 〈生殖補助医療〉 体外受精などの生殖補助医療で生まれる
子どもは増え続け、約27人に1人の割合だ(2012年)。
日本産科婦人科学会は代理出産や第三者による卵子提供を
認めない立場をとるが、法的拘束力はない。自民党の
プロジェクトチームが昨年10月、代理出産を一定の条件で
認めるなどの法案をまとめた。

     ◇

かとう・ひであき 1973年生まれ。横浜市立大医学部卒業。
内科医として横浜市内の病院に勤める。2003年に
「AIDで生まれた人の自助グループ」を立ち上げた。


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2015年05月10日

児童虐待の時効見直し=性的被害対象、成人時まで停止−自民検討

2015 年 5 月 10 日 時事通信

自民党は、児童虐待に関する時効の在り方の見直しを始めた。
幼少時に受けた性的虐待が対象で、民事、刑事両面で成人に
なるまで時効を停止する案を軸に立法 措置を検討する。
幼いころに虐待された被害者が、成人しても加害者の責任を
問えるようにするのが狙い。支援体制の強化も併せて議論し、
政府に提言する。

検討しているのは「女性の権利保護プロジェクトチーム(PT)」
(馳浩座長)。先月開いた初会合で幼少期に親族から性的
虐待を受けた女性のヒアリングを実施。今後は関係省庁と
調整しながら、具体案づくりに向けた作業を進める。

厚生労働省によると、2013年度に全国の児童相談所に
寄せられた相談件数のうち、性的虐待は全体の2.1%に
とどまる。性的虐待の実態に詳しい寺町東 子弁護士によると、
幼い被害者が虐待の意味を理解するのは早くて思春期以降。
加害者が親や兄弟、親族の場合、相談相手もいないことから、
表面化していない 虐待もあるという。

さらに成人後、虐待を原因とする心的外傷後ストレス障害
(PTSD)などを発症しても、既に民事で損害賠償請求権が
消滅する除斥期間(20年)、刑事で公訴時効(強制わいせつ罪7年)の
期間がそれぞれ経過していれば、被害者が「泣き寝入り」
するしかないケースもある。

このためPTは、民法や刑法で加害行為の発生時となっている
時効の起算点を、被害者が20歳を迎えた時点に変える案を
軸に検討。民法や刑法を改正する か、児童虐待防止法の
改正で対応するかも今後協議する。時効見直しに関しては、
証拠の散逸や関係者の記憶の薄れに伴う誤判を招きかねない
との声もあり、対 応策が課題となりそうだ。 

コメントです
ふつう、時効等の期間を延長すると、
当然ながら、それを実施するための
費用の負担が増えます。
つまり、税金の負担が増えるという
ことですが、それでも、有効と思われる
法改正はどんどん行ってほしいですね。

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「年寄りだまして大もうけ」群がる業者 認知症社会

「年寄りだまして大もうけ」群がる業者 認知症社会
2015年5月10日  朝日新聞

判断力が不十分なまま、業者から高額な商品を買わされたり、
お金をだまし取られたりして財産を失ってしまう認知症の
お年寄りが後を絶たない。

■営業電話「主人よりよっぽどやさしい」

「認知症」「ボケ」「頭ヤバ」――。高血圧や糖尿病にも効果が
あるなどとうたい、高齢者らに電話で勧誘していた健康食品
販売会社(東京)の顧客名簿には、住所、氏名、電話番号の下に、
こうした走り書きが残っている。「認知?」とメモされた顧客には、
3カ月間に4人の営業担当者が9回、電話をした記録もある。

 消費者庁は4月、この会社に対し、うその説明をしたほか、
「認知症の消費者の判断力の不足に乗じ、売買契約をさせた」
などとして、3カ月の一部業務停止を命令した。
認知症の人に分割払いで約8万円の健康食品を売るなどしていた。
顧客は31都道府県に広がり、5割以上は80歳以上の
お年寄りだったという。

「団塊の世代が定年を迎える。年寄りをだまして大もうけができる」。
同社の元従業員は、幹部が言い放った言葉が忘れられない。

元従業員らによると、営業方法はこうだ。過去に他社で健康食品を
購入した高齢者ら23万人以上の名簿をもとに、パートが電話を
かける。割安のサンプルを買った顧客には、社員が電話で販売攻勢。
「以前に電話したこと自体を忘れているなど、10分話せば認知症か
どうか分かった」という。

営業担当の社員は約10人いて、高齢の女性2人が電話口で友達の
ように「もう少し飲む回数を増やしたら」と勧誘し、契約を重ねるのを
見聞きした。一度に数十万円分を販売することもあったという。

元従業員はいま、自らが加担してしまったことを後悔している。

消費者庁によると、商品の成分はコラーゲンやビタミンなどで、
メーカーからの卸売価格は1箱120粒で70円。これを別の会社を
通して1万8千円で仕入れ、顧客には8万8千円で売っていた。
だが、同庁の調査にこう語る高齢者もいたという。
「頻繁に電話をくれて、主人よりよっぽどやさしい」

 同庁の処分について販売会社は今月8日、取材に「判断力不足に
乗じた契約は断じてない。認知症の疑いのある顧客には販売せず、
リストから抹消する作業をしてきた。後にそのような事実が発覚した
際も真摯(しんし)に対応している」などと文書で回答した。

■90代女性、被害ほぼ1億円

金融商品を次々に売りつけられ財産を失った認知症の高齢者もいる。

2012年、東京都心に住む認知症の90代女性に代わって
財産を管理する「成年後見人」に就いた司法書士は、女性の
部屋をみて驚いた。投資や社債、健康食品、化粧品などの
パンフレットがあふれていた。少なくとも1億円近くあったと
みられる財産は、約100万円に減っていた。

一人暮らしの女性には月4万円の年金と、所有するビルの
フロアのテナント収入も月40万円あった。だが、10年ごろに
異常が発覚する。女性が銀行でお金を振り込もうとしているのを、
「振り込め詐欺」を疑った行員が止め、警察に通報したのだ。
疎遠だった親戚に連絡が入ったが、すでに預金の大半は
失われていた。女性は「6千万円振り込んじゃった」と話した。

財産の大半を失った後も、女性には月々40万円以上の
収入があった。

女性は預金を失った後も投資会社の男性営業マンと頻繁に
会い、お金を引き出したいときに通帳を渡していた。
女性は「30万円を私が受け取り、残り10万円を定期預金に
してもらっているの」と話したが、定期預金の記録はない。
司法書士が男性にただすと、「おろした金はすべて渡した。
私は一銭ももらっていない」。お金の行方は分からないまま、
女性は13年夏、老衰で息を引き取った。

国民生活センターによると、「認知症等高齢者」の契約などの
トラブルは昨年度、全国で9965件と、ここ数年、1万件程度で
推移している。統計がある04年度の約1・5倍だ。
8割は家族ら本人以外からの相談で、リフォームなどの
訪問販売、健康食品などの電話勧誘が多い。

センターの担当者は「高齢者の相談は年々増えているが
認知症の場合は、本人からの相談が少なく、被害が潜在化
しやすい。契約の経緯を覚えていないことも多く、被害の
回復も難しい。被害を防ぐには、親族や地域など周囲の
見守りが大切だ」と話している。

実際、地域の「目」が被害の一部回復につながったケースもある。

神奈川県内の認知症の 一人暮らしの男性(89)は08年秋、
リフォーム業者をかたる男2人に勧められ、実態のない工事に
約500万円支払った。さらに「追加工事費680万円」 を迫られ、
支払う代わりに家と土地を差し出す契約まで結ばされた。
男たちは男性をアパートに転居させて家を壊し、土地を売り払った。

住民からの連絡で異変に気づいた地元の民生委員は、登記簿から
男たちと関係する業者を割り出し、法的トラブルの解決を助ける
「日本司法支援センター」(法テラス)に相談した。
男性の後見人は預貯金や土地の返還を求めて提訴し、
業者側が計1千万円を払う和解が成立した。
男性はいま、そのお金をもとに別のアパートで静かに暮らす。
(小寺陽一郎、松田史朗、本田靖明)

■認知症高齢者らを見守る家族や周囲へのアドバイス

《見守りから相談まで》

@日ごろから、本人の家の様子や言動におかしな点がないか
気をつける

・不審な契約書や請求書、宅配業者の不在通知などはないか

・同種の商品、通信販売のカタログやダイレクトメールなどが
大量にないか

・生活費が不足するなど、お金に困っている様子はないか

・預金通帳などに不審な出金の記録はないか

A変化に気づいたら声をかけ、経緯を確認。消費生活
センターなどに相談する

《トラブルを防ぐために》

@地域の見守り活動や、成年後見制度の利用も検討する

A市販の通話録音装置や、不審な電話番号からの着信を
拒否する装置を使う

B認知症などの症状があれば、トラブルに備えて医師の
診断書を得ておく

            ※国民生活センターへの取材による

コメントです。
類似する悪徳商法が後を絶ちませんね。
本当に怒りを覚えます。
微力ですが、記録記事として掲載しておきます。

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posted by salsaseoul at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会

2015年05月06日

赤外線でがん狙い撃ち 米研究所、新治療法の臨床試験へ

朝日新聞  2015年5月6日

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体に無害な光(近赤外線)を当ててがん細胞を壊す新しい治療法を
米国立保健研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発し、
患者で効き目を調べ る治験(臨床試験)を近く始める。
光を受けると熱を出す特殊な化学物質をがん細胞の表面に
結びつけ、がんだけを熱で狙い撃ちする。

この治療法は「光線免疫療法」。小林さんらが2011年、
マウス実験だと8割でがんが完治したと発表。副作用が少ない
新治療法になると注目を集 め、オバマ大統領が翌年の
一般教書演説で取り上げた。今年4月末、米食品医薬品局
(FDA)が治験を許可。通常、動物実験から治験開始まで
早くても5年以上はかかるとされており、今回は異例の早さだという。
米製薬ベンチャーと組んで準備を進め、新興企業に投資する
ベンチャーキャピタルなどを通して約10億 円の資金も確保した。

治験ではまず、近赤外線を受けて発熱する化学物質を、特定の
がん細胞に結びつくたんぱく質(抗体)に結合させた薬を患者に
注射する。最初は、首や 顔にできる頭頸部(とうけいぶ)がんの
患者10人前後で、近赤外線を当てずに副作用などがないことを
確認。その後、患者20人前後で、近赤外線を当てて効果を
調べる。3〜4年後にがん治療薬として米国での承認を目指す。

治験はオランダやシンガポールでも予定しており、日本でも
約2年後、安全性が確認された後の治験ができないか検討している。

抗体はさまざまな種類のがんで開発が進んでいる。近赤外線は
テレビのリモコンなどにも使われる無害な光で、当てる強さを
調整することで、正常な細 胞は傷つけず、がん細胞だけを
たたくよう制御できる。将来的には、膵臓(すいぞう)がんや
肺がん、悪性黒色腫など悪化すると治療が難しいがんで、
手術の際 に患部に照射し、取り残したがん細胞を死滅させて
再発を防ぐ治療法も検討しているという。
(ワシントン=小林哲)



コメントです。



posted by salsaseoul at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療