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2015年02月24日

家も車も現金払い ミャンマー、驚きの札束社会

2015年2月22日 朝日新聞
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買い物も商売も現金払いばかりのミャンマー。町を歩けば多額の
札束を持ち歩く市民が目につく。5千万人を超える人口や豊富な
天然資源を有する国の潜在力に日本からの注目が集まる一方で、
極端な「現金社会」が経済成長の足を引っ張っている。

紙幣計数機がけたたましい音をたてる。銀行員はマスクを着け、
地元通貨チャット札を手際よく束にしていく。1月上旬、ヤンゴンに
ある民間大手コーポラティブ銀行本店はさながら選挙の開票所の
ようだった。

窓口には毎日大量の現金が持ち込まれては引き出される。
不動産や車の購入、ビジネスの多くが現金を直接受け渡す形で
行われるためだ。カウンターには銀行名入りのポリ袋が用意され、
それに札束をいっぱいに詰めて銀行をあとにする人も珍しくない。

建設資材会社員のウィンカインさん(49)が窓口に持ち込んだのは
計1千万チャット(約100万円)。鉄筋代金の送金にきた。
会社から車で運んできたが、ウィンカインさんは
「ヤンゴンに強盗はいないよ」と笑う。

同社は地方の業者とのやりとりで銀行送金を使う。逆に代金を
送金で受け取ることもあるが、全額引き出すという。銀行が間に
入っているものの、要は現金で商品を取引しているわけだ。

銀行関係者によると、ミャンマーでは銀行に口座を持つ国民の
割合は「1〜2割」。経営者や庶民の多くが銀行にお金を預けず、
会社や自宅の金庫やたんすに現金を積んでいる。

背景には、2003年に民間銀行で起きた取り付け騒ぎがある。
当時、大手数行が営業を停止し、国民の間に銀行不信が広がった。
ミャンマー中央銀行幹部は
「この国では全体の95%が非銀行間取引だ」と明かす。

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 口座振替や小切手が一般的になりつつある他の東南アジア諸国と
比べても現金主義が根強い。給料も現金支給が一般的で、
1千人以上の従業員を抱えるヤンゴンの水産物輸出会社の

社長は「銀行振り込みよりも現金支給の方が喜んでもらえる」と話す。

現金決済は、国境を越えた取引が難しい。そこで暗躍するのが
「フンディ」と呼ばれる地下送金業者だ。ミャンマーと国外の双方に
銀行口座を持ち、たとえば国外で米ドルで現金を受け取ると、
直近の為替交換レートをもとに手数料を差し引き、自分の
ミャンマー口座からチャットを引き出して客の送金先に手渡す。

マネーロンダリング(資金洗浄)の温床になるとの懸念もあるが、
貿易、そして出稼ぎ先からの送金で多くのミャンマー人が
利用している。シンガポールから毎月フンディに送金を依頼すると
いうミャンマー人男性(31)は「フンディは手数料が安いし、
送金翌日には実家までお金を届けてくれるので便利だ」と話す。

■経済活動に足かせ

ミャンマーへ進出する日系企業は200社を超える。現金主義が
はびこるミャンマーの慣習に戸惑う声もある。

約400人の現地従業員を抱えるヤンゴン近郊の日系工場。
日本人幹部は「給料日は事務部門が総出で現金の袋詰め
作業ですよ。非常に非効率」と不満げに話す。

この工場では、地元取引業者との決済も現金払いだ。
銀行に取引記録が残らず、業者から請求額を水増しされても
見抜くのは難しい。「従業員の横領などの不正行為も心配です」

政府も手を打ってこなかったわけではない。金融機能を
強化するため、11年の民政移管後にテインセイン政権は
銀行の支店拡充を支援。約3年前からATMの設置台数も
増やし始めた。預金総額は13年11月には民政移管前の
3倍の約10兆チャットに達した。

ミャンマーの銀行預金残高の国内総生産(GDP)に占める割合は
近年高まりつつあるが、他の東南アジア諸国と比べると低水準に
とどまる。銀行に預金が集まらなければ、融資に回せるお金が
限られてしまい、国内の経済活動は盛り上がりにくくなる。

深刻なのは、金融システムを支える相互の信用が存在しない
ことだ。各銀行が財務内容を開示せず、信用力がないために
銀行間でお金を融通し合う仕組みがない。
企業がお金を借りようにも、不動産などを担保にしてしか
融資を受けられない。そもそも地元の複合企業傘下に
ある銀行が多く、融資がグループ内でほとんど完結している。

ミャンマー事情に詳しいプライスウォーターハウスクーパースの
公認会計士、服部基之氏は「金融システムを整備するだけでなく、
経済成長していくために国民が意識改革できるかがカギになる」と
みる。(ヤンゴン=五十嵐誠、都留悦史)

コメントです
もともと市場経済は貨幣(現金)取引で発展してきたわけですが、
現在のように金融機関のインフラ(電子決済を含む)が発達して
便利さを覚えてしますと、おかしな話ですが、紙幣(現金)を
使うのがめんどくさいといった感覚にまで陥ってしまいます。
実際、たとえば自動車を現金で購入しようと思ったら、支払い側
受け取り側の両方が、それをかなり手間wだと感じます。

さて、今日はミヤンマーの現金取引の話ですが、まあ、この国も
この先、経済発展と共に例外なく現金使用のめんどくささを感じ
始めるでしょう。
今日は、一過性の話題かもしれませんが、興味深かったので
取り上げてみました。


posted by salsaseoul at 01:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 東南アジア

2015年02月07日

(世界発2015)サンバの国、リンチの闇 ブラジル、「犯罪」に集団暴行

2015年2月6日 朝日新聞

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南米初の五輪を来年に控えた世界第7位の経済大国ブラジルで、
「リンチ」が深刻な社会問題となっている。司法の手続きを経ずに、
市民が路上などで「犯罪者」に集団暴行を加え、最後には殺害して
しまうケースも少なくない。陽気な「サンバの国」のイメージとほど
遠い陰惨な暴力が、なぜ繰り返されるのか。その実態と背景を探った。

 ■誘拐犯と誤認、主婦を撲殺

ブラジル南東部の都市グアルジャ。この町で昨年5月、ブラジル
社会を震撼(しんかん)させる事件が起こった。33歳の
主婦ファビアニ・マリア・デジェズスさんが突然、地域の住民から
殴る蹴るの激しい暴行を受け、2日後に死亡したのだ。

きっかけは、その1カ月ほど前からソーシャルメディア上に流れた
「この地域で子供を誘拐している女がいる」というデマだった。

ファビアニさんはその日、路上で男の子にバナナをあげた。
それを見た住民が、ファビアニさんを「誘拐犯」と勘違いした。

近くに住む女性(39)は、男たちがファビアニさんの手と足を
ひもでしばり、「殺せ」と叫びながら運んでいく様子を見たという。
「200人以上が取り囲んでいた。彼女は鼻が折れ、体から血を
流し、何が起こったのかもわからない様子だった」と振り返る。

ファビアニさんは熱心なカトリック教徒で、教会に置き忘れた聖書を
取りに行った帰り道だった。パトカーや救急車が駆けつけたが
住民に阻まれ、すぐに救出できなかったという。

夫のジャイルソン・アルベス・ダスネベスさん(40)は、

「こんなことが起こるとは想像もしなかった。13歳と1歳の娘を
持つ優しい母親で、誘拐犯のわけがない。狂っている」と唇をかむ。

これまでに、殺人の疑いで住民5人が逮捕された。
めいのアンドレッサ・デオリベイラさん(24)は「もっとたくさんの住民
が暴行に加わっていた。この国は、法律がないのと一緒だ」と憤る。

 ■強盗未遂、裸でさらす

ブラジルでは凄惨(せいさん)なリンチが後を絶たない。
最も多いのは、窃盗や強姦(ごうかん)などの容疑者が、その場で
住民らに取り押さえられ暴行を受けるケースだ。

リオデジャネイロで学校を経営するイボニ・ベゼハ・デメロさん(67)は
昨年1月の夜、市内の路上で、街灯の柱に裸のまま鎖で
縛り付けられた15歳の少年を見つけ、救急車を呼んだ。
少年は体中を殴られ、耳の一部がちぎられていた。

通行人に強盗をしようとしたとして、30人ほどの若者から袋だたきに
されたという。イボニさんは「悪いことをしたら、その場でリンチしても
いいのか。若者たちは正しいことをしたつもりでも、実に危険な
行為だ」と語る。

イボニさんはその後の一部の市民の反応にも驚いている。
少年を助けたことをソーシャルメディア上で書くと、
「お前が縛られた方がいい」「殺してやる」といった書き込みが
相次ぎ、家にまで脅迫電話がかかってきた。イボニさんは
「社会に怒りや不満が満ちている。簡単に殺人やリンチが
起こりかねない危険な状況だ」と嘆く。

 ■低い処罰率、司法へ不満

リンチの問題に詳しいサンパウロ大学・暴力研究所(NEV)の
アリアジニ・ナタウ氏は「市民が暴力を振るう背景には、恐れや
不安だけでなく、犯人が逮捕されなかったり、十分な刑罰を
受けなかったりする警察や司法への不満がある」と指摘する。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)のまとめでは、2012年の
ブラジルの殺人発生率は人口10万人あたり25・2人で、
先進国や新興経済国で構成する主要20カ国・地域(G20)の
中でも南アフリカに次いで2番目に多い。

一方で、ブラジル犯罪学協会(ABC)によると、同国で殺人犯が
逮捕され処罰される割合は、全体の5〜8%に過ぎない。
米国の65%、イギリスの90%、フランスの80%などと
比べ、低さが際だっている。

ナタウ氏は「国が処罰できないから、自分たちで手を下す。
悪者は排除してもよいという人権意識の欠如が、その状況に
拍車を掛けている」と言う。

NEVの統計では、1980〜2006年に報道された同国内の
リンチ事件は1179件。ただ、報道されるのは都市部で
起こった事件に集中しており、実際にはこれよりも
はるかに多いとみられている。

ナタウ氏によると、リンチは米国や欧州諸国ではあまり
見られない一方で、アフリカ諸国やラテンアメリカの一部の
国でも起こっている。地元メディアは「過去60年間で100万人の
ブラジル人が何らかの形でリンチに加わった」とする専門家の
話まで紹介している。

80年代には泥棒がリンチの対象になることが多かったが、
その後は殺人や強姦などにも広がり、現在では交通事故を
起こした人が、住民や親族からリンチに遭うケースも珍しくない。
最近は、発生件数が増加傾向にあるとみられている。

ブラジル社会でじわりと広がる不満が、背景になっている
可能性もある。ブラジルは2010年ごろまでは高成長を
続けていたが、その後は成長率が年1〜2%程度に
落ち込んだ。物価上昇率は6%前後で高止まりし、
いらだつ市民は少なくない。

「問題は、リンチに加わる人が正義を実行していると
信じていることだ」とナタウ氏は言う。
「リンチは憎しみによる報復であって、正義とは違うことを
よく理解すべきだ」(サンパウロ=田村剛)

コメントです

古代ローマ人は、闘技や残酷な処刑を娯楽としていたと
聞いたことがあります。
また、現在のことですが、一部の共産国では、やはり処刑を
見せしめと称して、暗黙に娯楽としている報告もあります。

さて、今日はブラジルの私設報復(リンチ・私刑)の話題ですが、
現地では、明らかに正義の名を借りた娯楽化としています。

経済発展もいいですが、もう少し法の整備を含めた社会の
インフラをきちんと機能するようにしないと、いつまでたっても
先進国とは一線を引かれてしまいます。


posted by salsaseoul at 02:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 中南米

2015年02月01日

LED型信号、熱くならず雪溶けず/吹雪になれば真っ白に/青森県など産学官が北国仕様を開発へ

Web東奥 1月31日(土)

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レンズに付いた雪が溶けず信号の色が見えづらくなった、
ひさし付きのLED型信号機
(7日、青森市浜田玉川)。
県警が別の場所で行った検証では撥水塗料を塗っても
効果は限定的だった。


県内で導入が進む発光ダイオード(LED)型の信号機。
高い節電効果をもたらす一方で、熱を帯びにくいため冬季は
信号機のレンズについた雪が溶けず、ドラ イバーからは
「見えづらい。どう進んでいいのか怖いときもある」との声が上がる。
県警は委託業者や署員による「人海戦術」で除雪しているが、
対応には限界がある。このため昨年9月、県や県産業技術センター
などとLED型信号機の着雪・凍結対策を検討する
ワーキンググループを設置。
産学官が連携して、寒冷地 でも雪のつきにくいLED型
信号機の開発を進めている。

県警交通規制課によると、県内でLED型信号機が
導入されたのは2003年度。13年度末までに車両、歩行者、
矢印用合わせて8810灯が設置され、全体の34.1%を
占めている。メーカーは従来の電球型信号機の製造を終了。
今後、信号機の新設や取り換えの際は全てLED型になる。

LED型は電球型に比べて電気料が約5分の1と節電効果が
高く、寿命も約10年と電球型の1年よりも大幅に長い。
西日でも見やすいなどのメリットもある。

しかし、発熱によって発光する従来の電球型と異なり、
半導体を利用するLED型は発熱量が少ない。
このため、信号のレンズについた雪が溶けず、信号が
見えづらいケースが生じる。

同市の40代のタクシー運転手は「普段は電球の信号機よりも
見やすいけど、吹雪の後は雪で真っ白。はっとすることがある」。
別のタクシー運転手(68)は「信号の色や矢印信号が
見えず怖い。前の車の動きを見て判断することもある」と話す。

県警は委託業者に除雪を要請したり、署員らが先端にブラシの
付いた長さ5メートル以上の棒で雪をかき落とすなどしている。
だが「県内全てのLED型信号機を除雪できるわけではない。
人海戦術では限界がある」と同課の服部修次長は言う。

ワーキンググループは、県警、県、県産業技術センターのほか、
東北職業能力開発大学校青森校、公益財団法人
「21あおもり産業総合支援センター」が参加。昨年4回の
会合を開き、LED型の課題の検討などを行ってきた。
将来的には研究成果を公表し、県内外の公募企業と
積雪地域でも着雪しないLED型の商 品化、事業化を
進める意向だ。車両用信号機の商品化後は、
矢印用信号機などへの応用も視野に入れる。

座長を務める工藤彰交通企画課交通行政官は
「現状では完璧に着雪を防げる信号機はない。
雪に強いLED型を商品化できれば、県の産業の
一角にもなり得る」と語る。

コメントです
今日はLED信号が発熱しないので
posted by salsaseoul at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会