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2013年09月29日

(限界にっぽん)介護バブル、群がるファンド

(限界にっぽん)介護バブル、群がるファンド
朝日新聞 2013年9月29日

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転売が繰り返されたトラストガーデン南平台(渋谷区)の登記簿。
「所有権移転」の記録が並ぶ

 
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介護業界が熱いまなざしを送る大型M&A(企業合併・買収)の
交渉が大詰めを迎えている。

「かなりのプレミアム(買収額への上乗せ)がつくとは思ったけれど」

有料老人ホームなど約30の施設を運営する生活科学運営(東京)の
買い手を決める交渉。買収に動いた大阪中堅介護事業会社社長は、
買収額が当初の想定よりもつり上がっていることに驚かされた。

買収候補をしぼる1次入札では、10社以上が応札したといわれる。
「2次入札に残った社は、100億円前後の買収額を提示したはず」。
買収交渉で複数の社と組んだ金融機関の担当者はこう話す。

入札は、投資家から募ったお金を元手に投資する「ファンド」の
ジェイ・ウィル・パートナーズ(東京)が実施した。
1年前に別のファンドから引きつぐ形で生活科学運営経営権を握り、
財務を立て直して今回、売りに出した。

買収が過熱しているのは、介護の需要は増える一方なのに、
介護保険から給付されるお金を使って運営する有料老人ホーム
などの施設が増えすぎないように、国や自治体が新設の認可数を
抑えているからだ。落札するために、本来の価格に上乗せする
「のれん代(プレミアム)」の相場は、「年間のもうけの5〜6年分」
から最近では「10年分」とうなぎ登りだ。

東京・白金高級住宅10階建ての「ザ・レジデンス白金スイート」。
「50歳以上」という入居制限があるシニアむけ分譲マンションで、
訪問介護の事業者や定期的に医師が訪れるクリニックもテナントに
入る「サービスつき」を売り物にしている。
「村上ファンド」の村上世彰氏が新たに始めたビジネスだ。

2010年、破綻(はたん)した大手介護業者から安く買い取り、
1区画8千万円台〜1億数千万円で販売した。
「相場から見て安い価格で売り出したから全部売れちゃった。
その後値上がりして資産価値はずっと上がっていますよ」
と村上氏は言う。

■5年で「償却切れ老人」

「老人ホームころがし」のような例もある。

東京都渋谷区の有料老人ホーム「トラストガーデン南平台」などの
4施設は、介護会社が破綻した後の08年以降、ジェイ・ウィルなどに
よって少なくとも4回、転売された。

なぜ転売が繰り返されるのか。ホーム経営の裏側を、
あるファンドのマネジャーが明かしてくれた。

入居の際に家賃を一括して預かる「一時金」を、施設側は入居から
一般的には5年間、毎年分割して取り崩し(償却)、「家賃収入」
として懐に入れる。6年目からはそれがなくなるので、償却期間を
過ぎても入居が続く老人からは、介護費などしか徴収できない――。
「長生きすればするほど施設側は収益が出にくくなる。
なるべく『償却切れ老人』を減らし、家賃収入が計算できる
新しい入居者に入れ替えて収益力を上げ、早めに売ろうとする」

複数の介護施設で働いてきたある施設長は「けがや
病気をきっかけに、『償却切れ老人』を
『医療が必要になったのでうちではもうお世話できる力がない』
などと体よく追い出す施設が増えている」という。
収益力を高めれば価値が上がり、また買い手がつく。

介護を成長産業に」という安倍政権のかけ声とともに、買収合戦が
激しくなる。その陰で入居者の安心は遠のき、効率優先の
しわ寄せで働く人たちが疲弊する。

 

関連記事です。
アベノミクスと雇用:1 老人ホームを青田買い

 
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今月17日にも、新たなM&Aが成立した。
関門海峡をのぞむ北九州市門司区の住宅街に、リゾート施設を
思わせる3階建ての建物がたつ。不動産やカラオケ事業から
介護に参入したウチヤマホールディングス(北九州市)が
運営している老人ホーム「さわやか和布刈(めかり)弐番館」だ。

買ったのは、シンガポールに拠点を置く「パークウェイ・ライフ・リート」。
「不動産投資信託REIT〈リート〉」と呼ばれる金融商品を運営している。
不動産を買うお金を投資家から集め、買い取った物件の家賃収入
などを「配当」として投資家に返す。ウチヤマからは門司区の施設の
ほかにも三重県の鳥羽など四つのホームをまとめて買った。

ウチヤマの山本武博・経営企画室長は「売れたのは開設後
1〜2年の施設。どこもまだ半分は空室があるのに、早く成約したいと
いう感じで、まるで青田買いのようだ」という。5施設を計約45億円で
売り、ウチヤマには十数億円の売却益がころがりこんだ。

パークウェイは、リートでは日本国内で最大の介護施設のオーナーに
なっている。これまで総額800億円で計44件の介護施設や病院を
買収してきたが、このうち日本国内の施設が40件を占める。

「これから団塊世代が後期高齢者になって、介護や関連の市場も
成長が見込める。優良な投資先としては世界屈指。日本は買いだ」。
パークウェイ・ライフ・リートを運営するヨン・ヤンチャオ最高経営
責任者(CEO)は、日本へのさらなる投資に意欲をみせる。

■効率優先、人員は最低限

買収合戦の過熱で施設が値上がりしても、
その恩恵は働く人に届かない。

「そんなこと書いちゃダメ。マズいから、書き直して」。施設トップの
ホーム長の言葉に、当時勤めていた女性看護師は耳を疑った。

介護事業会社「ワタミの介護」(東京)が経営する神奈川県内の
老人ホームで昨春、前夜の状況を引き継ぐ会議でのことだった。
夜勤責任者のケアワーカーが、ある入居者について「ベッドから
落ちたが、けがはないので様子見した」と報告書を読むと、
ホーム長がすぐさま書き直しを命た。

この施設では夕方6時以降、看護師が常駐せず、翌朝8時まで
ケアワーカー3人で約60人の入居者をみる。夜間に転落などの
「事故」が起きた時は、自宅待機の看護師に連絡し、処置を
仰ぐことになっていた。

ルール違反の発覚をおそれて、ホーム長は「様子見した」と
いう報告書を、「自宅待機の看護師に報告した」と書き直させた。

入居者への薬の飲ませ忘れや取り違えも数え切れなかった。
誤って薬を飲ませれば重大事故につながる可能性もある。
配薬ミスを聞いた主治医が、「いい加減にしろよ」と
怒鳴ることもしばしばだったという。

酸素ボンベの操作ミスで女性入居者が意識不明に陥ったり、
徘徊(はいかい)ぐせのある男性の部屋に鍵をかけ忘れ、
深夜2時に5キロ離れた場所で警察に保護されたこともあった。
「本来なら自治体に事故報告書を提出するケースさえ、
もみ消されていた」と関係者は証言する。

「経営効率を優先するから、人員は最低限。だから入浴や
排泄(はいせつ)の介助が重なると、誰もいないことも多かった。
便で汚れたまま、数時間も放置された老人もいた」。
同じ「ワタミの介護」で勤務したことのある元ケアワーカーは
慢性的な人手不足を挙げる。

こうした問題に、ワタミグループは「事故隠しの事実はない。
人手不足でサービス低下の認識もない」(広報)としている。

■低賃金のままノルマ増

働き手の処遇も厳しい。

低賃金の長時間勤務が社会的な問題になり、職員1人あたり
1万5千円が上乗せされる「処遇改善交付金」が2009年には
設けられた。だが「低賃金」もあまり改善された様子はない。

中国・四国地方の施設で働く40代の女性介護スタッフは、
09年以降、資格手当がつき、休日出勤も業務扱いに変わった。
だが、毎月の手取りは18万円ほどでほとんど変わらなかった。
ボーナスは夏冬合わせて基本給の約3カ月分、年収は300万円に
満たない。「10年働いても基本給は2万円しか上がらない」。
その一方で施設を運営する社会福祉法人は事業を拡大してきた。

医療法人「徳洲会」グループの介護関連会社「ケアネット徳洲会
鹿児島」(鹿児島市)でも、職員のストレスはたまるばかりだ。

訪問介護を担当する介護職員たちは、月に訪問する利用客数の
目標値を会社から突きつけられる。「月140件はこなして
もらいたい。あなたの給料分は稼いでもらわないと。このままだと
パートになってもらうか、辞めるしかない」。
複数の社員はこの夏、社長に呼ばれ、こう告げられた。

徳洲会が07年、撤退したコムスンから事業を引き継いだ時の
ノルマは90件弱だったが、その後どんどん増えた。

朝日新聞の取材に対して、ケアネット徳洲会鹿児島の社長は
28日、「時間がなく、取材に対応できない」と回答した。

関東で病院や介護施設を幅広く運営する医療法人で働く
30代の看護師は、「疲れて休日は体が動かないから、
ずっと寝ている。消耗品のようだ」と話す。

大手メーカーの半導体工場で非正規で働いていたが
「雇い止め」に。看護学校に通い、ここで働き始めた。
3カ月契約で、ボーナスも昇格もなかった以前と比べると、
医療や介護の仕事はまばゆかった。ところが、夜勤手当
などを入れても手取りは以前の3分の2。
「年齢や結婚のことを考えると、このままでは厳しい」。
将来への夢がしぼんでいく。

■介護、成長戦略の柱

介護は医療とともに、安倍政権の成長戦略の柱の一つと
位置付けられている。6月の「日本再興戦略」では、
「制度設計次第で巨大な新市場として、成長の原動力に
なり得る」とし、介護情報の電子化をはじめ、高齢者向け
住宅の建設や介護ロボットの開発を促す方針を打ち出した。
近く分科会を立ち上げ、具体策の検討に入る。

介護保険給付費は増加の一途をたどり財政を圧迫しているが、
逆に介護事業を成長産業に転ずることで負担を和らげる
狙いもある。介護はこれまでも、麻生政権の「未来開拓戦略」
(2009年4月)や、菅政権の「新成長戦略」(10年6月)などで、
雇用を増やす成長産業として育てる方針が示されてきた。



コメントです。

古今東西、あふれたお金は行き場を探して
自然とどこかに流れていきます。
それが、米の先物取引であったり、貴金属、
そして土地などさまざまな場所に流れこみますが
今日の記事によると、今度はそれらが介護
ビジネスへと流れていったようです。
ですが、これら人為的な要因によるものが
多いですし、
まあ、バブル景気時に政府が
総量規制をかけて膿み出しをしたように、
今回の件も何らかの規制で直に抑制されると
思います。
ただ、現時点では志を持ってきちんと事業を
行っている業者や、そうとは知らずに問題ありの
施設へ入居した利用者の方々へは気の毒
しかたがありません。



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posted by salsaseoul at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本・社会