朝日新聞 013年08月26日
【月舘彩子、沢伸也】医師に患者を紹介して診療報酬の一部を得る
「患者紹介ビジネス」で、患者を集める「パートナー」を募り、確保した
患者数に応じて報酬を支払う紹介業者が出始めた。
パートナーには患者を多く集めやすい高齢者施設や介護事業者を
想定しており、患者の大量獲得を狙う新手の手法だ。
朝日新聞は兵庫県の紹介業者のパンフレットを入手した。それに
よると、紹介業者は提携先を「パートナー」と呼んで契約し、患者
1人の紹介につき月8千〜1万円の報酬を払う。医師は患者の
暮らす施設などに出向いて訪問診療をし、業者に対して患者1人に
つき月1万7千円の紹介料を診療報酬から払う。業者は患者1人に
つき月7千〜9千円の利益を得る計算だ。
パンフレットでは「パートナー様(御社)は弊社に患者様をご紹介
頂くのみ!」と強調。パートナーに「チラシを進呈」し、「患者獲得の
ためのイベント企画(高齢者向けセミナー等)」を行うとも書いてある。
さらに「超高齢者社会を見据えたシニアビジネスであり市場
のニーズが高い」「景気不景気に左右されない」と宣伝し、
「月2回以上の診察を受けて頂いた患者様分の手数料を該当
月末日にお支払いします」と説明。月2回以上なのは診療報酬が
跳ね上がるからだ。単なる往診は1回約7千円。
24時間体制の診療所が通院困難な患者を月2回以上定期的に
訪問すれば、月約6万円になる。
する市民の会」の本間郁子理事長は「利益を上げるため、高齢者を
金もうけの道具としか見ていないのは腹立たしい。
業者や医師を生かすために患者がいるわけではない」と憤る。
紹介業者は「資料も担当者もいないので答えようがない」と話した。